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HOME食と農>酪農・畜産問題に関する申し入れ

コロナ禍による米の需給緩和・米価下落への対策を求める要請

2021年12月20日

農林水産大臣 金子 原二郎 殿

日本共産党国会議員団

酪農・畜産問題に関する申し入れ

 新型コロナウイルスの影響により、農畜産物は外食消費やインバウンド需要が激減し、価格の下落がいまだ続いている。
 そのうえ、燃油や輸入飼料など生産資材価格が高騰しており、生産者の経営環境が悪化している。
 TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定が発効し、牛肉、豚肉、乳製品などの市場開放が農家の経営不安に拍車をかけており、既に危機的状況にある酪農・畜産の生産基盤がさらに掘り崩されかねない。
 肉用牛の飼養戸数は10年間で3万500戸減、乳用牛は7500戸減、養豚は2570戸減と、生産基盤が弱体化している。さらなる離農・廃業を防ぎ、国産食料の確保、農業の多面的機能と地域社会の持続可能性を保全するため、農家への支援を強化すべきである。
 同時に、際限のない市場開放路線と決別し、食料主権を回復するとともに、大規模化偏重の農政から、家族経営をはじめとする多様な担い手が安心して生産に取り組める酪農・畜産政策に転換するべきである。
 また、豚熱や鳥インフルエンザの感染により被害を受けた農家に対しては、従来の枠組みにとらわれない支援が強く求められている。
 よって、2022年度の畜産政策価格及び関連対策の決定にあたり、以下を申し入れる。

1.コロナ禍による需要減退により、乳製品は過剰在庫が生じ、年末年始に向けて生乳廃棄の懸念が高まっている。生産者は、国の政策に従って規模拡大・増頭増産を進めてきたにもかかわらず、廃用などの生産抑制を迫られている。国は、牛乳、乳製品の消費拡大や輸入乳製品の置き換えをすすめるなど生乳の需給調整に責任を持ち、酪農家が生産意欲を失うことがないよう経営を継続できる支援をすること。
 また、畜産クラスター事業を利用した酪農家は、生産抑制によって投資資金の返済計画の見直しを迫られている。資金の償還にあたっては、償還期間を延長するなど柔軟に対応すること。

2.燃油や輸入飼料など生産資材価格の高騰が続いている。藁や牧草も不足しており、生産者の経営環境が悪化している。加工原料乳生産者補給金および交付対象数量は、中小規模の経営も含め再生産が可能な水準とするとともに、輸入飼料の高騰に対して、農家負担の軽減を図ること。

3.集送乳調整金は、燃油価格の高騰や全国の集送乳コストの実態やドライバー不足等による輸送環境の変化を踏まえるとともに、指定生産者団体が果たしている機能に見合った単価水準とすること。

4.国は、生産者団体と乳業メーカーとの対等な価格交渉、条件不利地での生産の安定、牛乳と乳製品の安定供給に責任をもつこと。

5.酪農経営安定化支援ヘルパー事業について、必要な予算を確保するとともに、酪農ヘルパーの要員確保と事業対象を拡充すること。

6.環境負荷軽減型酪農経営支援事業(エコ酪事業)は、生産者の意向に沿って交付単価の引き上げや基準面積などの支援対象要件の緩和すること。輸入飼料に依存しない自給飼料型の酪農経営に対する支援するため、水田、畑、採草地への直接支払交付金を維持、拡充すること。

7.再生可能エネルギーの地産地消を推進するため、家畜排せつ物を利用したバイオガス発電など、畜産バイオマス地産地消対策予算を十分確保するとともに、送電線へ接続する際の生産者の負担を軽減すること。

8.肉用子牛生産者補給金の保証基準価格については、生産者が再生産可能な水準とすること。

9.牛マルキンについて、生産者負担金の納付免除を継続すること。生産者負担金が不足した県に対し国が財源を補てんし、全額交付を行うこと。また、牛マルキンでは価格下落を補いきれない実態がある。別途抜本的な農家支援策を講じること。

10.豚熱(CSF)対策については、養豚農家の要求に耳を傾け、予防的ワクチン接種や飼養衛生管理への支援強化とともに、被害発生農家に対する支援の拡充を行うこと。近隣諸国で拡大しているアフリカ豚熱(ASF)への対策に万全を期すこと。
 高病原性鳥インフルエンザについては、確実に営農再開できるよう養鶏農家への経営支援策の拡充を行うこと。特に、発生農家への殺処分手当金・特別手当金については、逸失利益まで含めて補償を行うこと。
 また、高病原性鳥インフルエンザの発生にともなう高ストレスの防疫作業にあたる自治体職員、自衛隊員、農協職員について、適切な作業環境や作業時間が設定され、メンタルヘルス対策をはじめとする体調管理が確実に行われるよう県への支援を行うこと。また、作業に見合う適切な金銭的手当の支給ができるよう国が措置すること。

11.畜産クラスター事業をはじめ各種支援措置は、小規模・家族経営を含めた多様な担い手が意欲と希望をもって生産に取り組めるよう、規模拡大要件を撤廃するなど実情を踏まえた改善を図ること。

12.日本の畜産業に重大な影響を与えるTPP11、日EU・EPA及び日米貿易協定などの輸入自由化路線を中止し、食料主権を保障する貿易ルールを確立すること。TPP11、日EU・EPA及び日米貿易協定については、生産者などへの影響を把握し、TPP関連政策大綱の効果を検証すること。

以上

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