日本共産党参議院議員 紙智子
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酪農・畜産問題に関する申し入れ

2020年12月8日

農林水産大臣 野上浩太郎 殿

日本共産党国会議員団

酪農・畜産問題に関する申し入れ

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な状況にある。農畜産物は外食消費やインバウンド需要激減による価格の下落が著しく、生産者は重大な影響を受けている。
 TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定が相次いで発効し、牛肉、豚肉、乳製品などの大幅な市場開放が始まったさなかの事態であり、既に危機的状況にある酪農・畜産の生産基盤がさらに掘り崩されかねない。
 肉用牛の飼養戸数は10年間で3万500戸減、乳用牛は7500戸減、養豚は2570戸減と、生産基盤の弱体化に歯止めがかかっていない。さらなる離農・廃業を防ぎ、国産食料の確保、農業の多面的機能と地域社会の持続可能性を保全するため、農家への支援を強化すべきである。
 同時に、際限のない市場開放路線と決別し、食料主権を回復するとともに、大規模化偏重の農政から、家族経営をはじめとする多様な担い手が安心して生産に取り組める酪農・畜産政策に転換するべきである。
 また、10月から鳥インフルエンザの感染が拡大し、膨大な数の採卵鶏やブロイラーの殺処分が行われている。被害を受けた農家に対しては、従来の枠組みにとらわれない支援が強く求められている。
 2021年度の畜産政策価格及び関連対策の決定にあたり、以下申し入れる。

  • 新型コロナによる需給への影響が長期化する中、加工原料乳生産者補給金および交付対象数量は、中小の経営も含め再生産が可能な水準とすること。
  • 集送乳調整金は、全国の集送乳コストの実態やドライバー不足等による輸送環境の変化を踏まえるとともに、指定生乳生産者団体が果たしている機能に見合った単価水準とすること。
  • 新たに加工原料乳生産者補給金の支給対象となった生乳卸業者が一部農家からの集荷を停止し、大量の生乳が廃棄された問題について、原因を明らかにするとともに改正畜産経営安定法を再検証すること。
  • 脱脂粉乳やバターの在庫量が増加している。飲料用等、需要のある用途に仕向け、生乳生産や流通に支障が生じることのないよう対策を講じること。
  • 国は、生産者団体と乳業メーカーとの対等な価格交渉、条件不利地での生産の安定、生乳の需給調整機能の維持、牛乳と乳製品の安定供給に責任をもつこと。
  • 飼料生産型酪農経営支援事業の交付金単価の引き上げや基準面積などの支援対象要件の緩和など、輸入飼料に依存しない自給飼料型の酪農経営に対する支援を拡充すること。また、飼料作物の増産を支援するため、水田、畑、採草地への直接支払交付金を維持、拡充すること。
  • 肉用子牛生産者補給金の保証基準価格については、生産者が再生産可能な水準とすること。
  • 牛マルキンについて、生産者積立金が不足した県に対し国が財源を補てんし、全額交付を行うこと。また、牛マルキンでは価格下落を補いきれない実態がある。別途抜本的な農家支援策を講じること。
  • 豚熱(CSF)対策については、養豚農家の要求に耳を傾け、予防的ワクチン接種や飼養衛生管理への支援強化とともに、被害発生農家に対する支援の拡充を行うこと。近隣諸国で拡大しているアフリカ豚熱(ASF)への対策に万全を期すこと。
  • 高病原性鳥インフルエンザの発生を受け、確実に営農再開できるよう養鶏農家への経営支援策の拡充を行うこと。特に、発生農家への殺処分手当金・特別手当金については、逸失利益まで含めて補償を行うこと。
  • 高病原性鳥インフルエンザの発生にともなう高ストレスの防疫作業にあたる自治体職員、自衛隊員、農協職員について、適切な作業環境や作業時間が設定され、メンタルヘルス対策をはじめとする体調管理が確実に行われるよう県への支援を行うこと。また、作業に見合う適切な金銭的手当の支給ができるよう国が措置すること。
  • 畜産クラスター事業をはじめ各種支援措置は、小規模・家族農経営を含めた多様な担い手が意欲と希望をもって生産に取り組めるよう、規模拡大要件を撤廃するなど実情を踏まえた改善を図ること。
  • 日本の畜産業に重大な影響を与えるTPP11、日EU・EPA及び日米貿易協定などの輸入自由化路線を中止し、食料主権を保障する貿易ルールを確立すること。TPP11、日EU・EPA及び日米貿易協定については、生産者などへの影響を把握し、TPP関連政策大綱の効果を検証すること。

以上

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