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酪農・畜産問題に関する申し入れ

2019年12月6日

農林水産大臣 江藤拓 殿

日本共産党国会議員団

酪農・畜産問題に関する申し入れ

 TPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、日EU・EPA(日EU経済連携協定)が相次いで発効し、さらに政府は日米貿易協定により牛肉、豚肉、乳製品などの大幅な市場開放を行おうとしている。既に危機的状況にある酪農・畜産の生産基盤をさらに掘り崩すものであり、農家を一層の不安に陥れている。
 乳用牛の飼養戸数は、この10年間で6900戸減少し、生乳の生産量も3年連続で減少している。肉用牛も2万8100戸減、養豚は2600戸減と減少に歯止めがかからない。
 さらなる離農・廃業を防ぐため、際限のない市場開放路線と決別し、食料主権を回復するとともに、大規模化偏重の政策を抜本的に改めるべきである。家族経営をはじめとする多様な担い手が安心して生産に取り組める酪農・畜産政策こそ求められる。
 また、今年は相次ぐ豪雨・台風災害により、停電で搾乳できず、施設も倒壊するなど酪農・畜産業にも甚大な被害が発生した。さらに、豚コレラ(CSF)の感染が拡大し、これまでに15万頭を超える飼養豚が殺処分された。被害を受けた農家に対しては、従来の枠組みにとらわれない支援が強く求められている。
 2020年度の畜産政策価格及び関連対策の決定にあたり、以下申し入れる。

  1. TPP11等による安価な乳製品の輸入量が増加する可能性があることから、持続的な酪農経営がおこなえるように、加工原料乳生産者補給金は再生産可能な水準とすること。また、交付対象数量は現行数量を維持すること。
  2. 集送乳調整金は、全国の集送乳コストの実態やドライバー不足等の輸送環境の変化を踏まえるとともに、旧指定生乳生産者団体が果たしている機能に見合った単価水準とすること。
  3. 国は、生産者団体と乳業メーカーとの対等な価格交渉、条件不利地での生産の安定、生乳の需給調整機能の維持、牛乳と乳製品の安定供給に責任をもつこと。
  4. 肉用子牛生産者補給金の保証基準価格については、生産者が再生産可能な水準とすること。
  5. 日本の畜産業に重大な影響を与えるTPP11、日EU・EPA及び日米貿易協定などの輸入自由化路線を中止し、食料主権を保障する貿易ルールを確立すること。TPP11、日EU・EPA及び日米貿易協定については、生産者などへの影響を把握し、TPP関連政策大綱の効果を検証すること。
  6. 飼料生産型酪農経営支援事業の交付金単価の引き上げや基準面積などの支援対象要件の緩和など、輸入飼料に依存しない自給飼料型の酪農経営に対する支援を拡充すること。また、飼料作物の増産を支援するため、水田、畑、採草地への直接支払交付金を維持、拡充すること。
  7. 畜産クラスター事業をはじめ各種支援措置は、小規模・家族農経営を含めた多様な担い手が意欲と希望をもって生産に取り組めるよう、規模拡大要件を撤廃するなど実情を踏まえた改善を図ること。
  8. 酪農経営安定化支援ヘルパー事業については、必要な予算額を確保するとともに、ヘルパーの人材確保、育成、定着の取り組みへの支援を拡充すること。
  9. 営農再開に向けた被災農家に対する支援策に万全を期すこと。台風19号による河川の氾濫などで稲わらが水没し、使用不能となった件につき、畜産農家への確保対策を講じること。また、自然災害に対応できるように農家の非常用電源等の整備に対して支援を講じること。
  10. 豚コレラ(CSF)対策については、養豚農家の要求に耳を傾け、予防的ワクチン接種や飼養衛生管理への支援強化とともに、被害発生農家に対する支援の拡充を行うこと。
  11. 有効なワクチンが存在しないアフリカ豚コレラ(ASF)が近隣諸国で拡大しており、国の責任で動物検疫官、検疫探知犬の大幅増員・増頭など水際対策に万全を期すこと。また、CSF発生時の初動を検証するとともに、アフリカ豚コレラ(ASF)の侵入に備え、諸外国の対応も研究し、早急に封じ込め戦略を立てること。
  12. 北海道において、牛に頑固な下痢を起こさせる慢性伝染病のヨーネ病の発生が増加している。早期に発見するため、5年に1度の検査期間を見直すとともに万全の経営支援策を講じること。

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