酪農・畜産問題に関する申し入れ |
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2015年1月9日
農林水産大臣 西川公也 殿
日本共産党国会議員団
酪農・畜産問題に関する申し入れ
昨年は店頭からバターが不足するなど、原料乳の不足問題が深刻化している。肉用牛の生産においても、東日本大震災による廃業、口蹄疫の後遺症で子牛生産が回復しない状況にある。
現在の畜産・酪農経営の現状は、アベノミクスの円安誘導による輸入飼料価格、灯油・軽油価格の高止まり、電気料金の値上げの影響で極めて厳しい状態にあり、生産基盤は弱体化している。
また、日豪EPA(経済連携協定)による経営不安に加え、畜産・酪農経営と地域経済に壊滅的な打撃を与えるTPP交渉のゆくえが将来不安を加速させている。すでに、大規模施設に投資する負担感から就農を断念したり、若い経営者でも施設更新時を機に離農しはじめている。
日本の畜産業がかかえる現状を打開するために、以下、申し入れる。
- 畜産・酪農の長期的な展望を奪い、生産意欲の低下と離農を招いているTPP交渉から直ちに撤退すること。
- 日豪EPA協定の畜産・酪農経営に与える影響評価をただちに行い、生産基盤を弱体化させないための万全の対策を講じること。
- 配合飼料価格の高止まりをはじめ、生産コストの上昇で、酪農経営は深刻な事態になっており、加工原料乳生産者補給金を大幅に引き上げるとともに、限度数量を引き下げないこと。
- チーズ向け生乳供給安定対策事業の助成単価を引き上げること。
- 肉用牛経営安定対策については、肉用子牛等の保証基準価格を再生産可能な水準に引き上げること。また、子牛価格の上昇や生産資材価格の上昇、配合飼料価格の高止まりで苦境に追い込まれている肉用牛肥育経営を支援するための新マルキン事業の継続拡充を図ること。
- 配合飼料価格安定基金で財源不足にならないよう万全の対策を講ずること。また、飼料作物の増産を支援し、流通体制の整備を図ること。
- 滞留している放射性物質汚染稲藁・牧草等の処分方法を国の責任で明確にし、実施すること。また、牧草地の除染について、国の責任で実施すること。東電による賠償が早期かつ確実になされるよう万全の対策をとること。
- 酪農経営安定化支援ヘルパー事業について、必要な予算を確保するとともに、酪農ヘルパーの要員確保と事業対象を拡充すること。
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