日本共産党参議院議員 紙智子
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HOME北海道・東北>東北漁業シンポジウムでの発言

2005年 5月14日
[東北漁業シンポ報告]
水産物輸入規制とあらたな貿易ルールを
(五月十四日岩手県陸前高田市で開かれた東北農業シンポでの発言。
「議会と自治体」誌2005年7月号掲載)
 いま、WTO(世界貿易機関)の水産物交渉は、年内の大枠合意に向けて動いています。交渉は、日本が基本的に自由化したい非農産品グループの中でおこなわれています。漁業者が危惧する関税撤廃など、予断が許せません。それに加え、当面IQ(輸入割当)制度をめぐる状況が切迫しています。韓国が日本のノリIQをWTO違反と訴えたことに端を発しています。ノリやコンブはIQ枠を目いっぱい使って輸入していますが、この枠がはずされたらもっと入り、国内業者には大打撃です(注)。
 ではどうやって対処していくのか。一つは、IQ制度の堅持の運動を強めることです。国内では、資源を枯渇させないように生産調整しています。そこに外国からどんどん入ってきたら、何のための努力か、ということになります。IQ制度の合理性を主張すること、対象を(ニシンの昆布巻き)調整品まで広げることも必要です。
 もう一つは、交渉で新たな水産物の貿易ルール確立を主張することです。いまの体制でも認められるセーフガード(緊急輸入制限)は大変時間がかかり、野菜や水産物では発動しても時期がずれてしまいます。政府自身が農業交渉で提案しているように、季節性があり、腐敗しやすい産品は、輸入急増などの事態に機動的、効果的に発動できる特別の基準を設けて運用することが必要です。
 水産でも大切なのは、食料主権の確立です。国は、いま五七%の水産物自給率を二〇一二年までに六六%に引き上げることを目標にしています。そのためには、一律の関税引き下げを認めず、わが国で数量制限や資源管理をしている魚種について、輸入急増でその実効性が失われる事態になったときは輸入規制できるルールが必要です。また相手国の環境や資源を破壊してまで輸入するような事態には、制限がかけられるようにすべきです。
 東北の漁業の国際関係でもう一つ大きな課題は、北海道と同じくロシアとの漁業関係です。ロシア側へ入漁する漁船三百十隻中、東北関係は七十隻です。サケ・マスでは中型船五十九隻中、二十隻を占めます。いぜん重要な漁場です。領土問題が未解決のため、不利益をこうむっている面があり、こうした漁業への国のいろんな形の支援が必要です。
 私はこの国会で、もともと根室市の一部でありながらロシアの支配によって水揚げの四割(〇三年)にも及ぶ入漁料支払いを余儀なくされている貝殻島コンブ漁への支援を要求しました。領土問題にとっての節目の年でもあり、打開に向けて努力するとともに、それ以前にも国の支援の拡充を求めていきたいと思います。
(注)IQ枠に対する輸入量割合が高いもの〜
ノリ〜100%、コンブ97%、コンブ調整品99%、干しするめ84%、いか86%など。
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