<第204回国会 予算委員会 2021年3月24日>


◇コロナ禍での政府の食料支援・備蓄米の活用について/米価の下落対策について/新型コロナと世界の食糧事情と日本の生産基盤について

○令和三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○令和三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○令和三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 新型コロナ感染症は農業と食料の供給に大きな影響を与えています。農業では、外食需要が減少し、農産物が過剰になっている、特に主食である米が過剰になり、流通業者、生産者の経営に大きな打撃を与えています。その一方で、一人親家庭を始め、食料が買えず、食事を減らさざるを得ない状況が生まれているということです。
 厚生労働省にお聞きします。
 労働政策研究・研修機構が一人親家庭の緊急調査をしています。これについて御報告をください。

○政府参考人(厚生労働省子ども家庭局長 渡辺由美子君) 御指摘のございました調査でございますが、これは、昨年十一月末時点の一人親家庭の状況を緊急に把握するために、LINEリサーチのモニターに対して調査を実施したものでございまして、目的としましては、元々一人親家庭は非正規労働者の割合が高く、収入が少ないなど、経済的基盤が弱く、厳しい状況にある中で、新型コロナウイルス感染症による影響が懸念されていることを踏まえ、緊急に実態を把握するために行ったものでございます。
 この調査では、年末に向けての暮らし向きについて、苦しいと回答した一人親世帯が六〇・八%、一人親世帯以外は四七・六%、それから、直近一か月間に必要とする食料が買えない経験があった一人親世帯が三五・六%、一人親家庭以外は二六・四%、貯蓄が一切ない又は五十万円未満の一人親世帯が四〇・六%、一人親世帯以外は二八%といった結果が出ており、一人親家庭の生活実態が依然として厳しいことが改めて明らかとなったものでございます。

○紙智子君 つまり、直近一か月にお金が足りずに必要とする食料が買えないということがあったという回答が三分の一と、食料が買えないという結果ですよね。
 それで、厚生労働省の要請を受けたこれ調査なんですけれども、それを受けてどんな対策を取ったんでしょうか。

○国務大臣(厚生労働大臣 田村憲久君) 元々重層的ないろんな支援はしておるわけでありまして、例えば緊急小口資金、総合支援資金等々の貸付け、それから住居確保支援金等々やってまいったわけであります。これを更に延長等々する中において、四月までこれを貸付けの期限を継続という形、それから、この緊急小口、生活支援資金に関しましては、償還の免除に関しての要件、これを明確化をいたしました。
 さらに、低所得者の子育て世代に関して、これに対しての特別給付金という形で一人当たり五万円というようなことを決定させていただくと同時に、一人親の御家庭に関しましては住宅支援資金の貸付けということで、これ、一年間基本的に就職いただければこの償還は免除になるというようなものであります。
 このような形で、様々な支援策を講じてまいりました。

○紙智子君 今いろいろお話しされたんですけど、予備費で三度目、これを決められたんですか、支援策。

○国務大臣(厚生労働大臣 田村憲久君) 三度……(発言する者あり)ああ、そうでございます、はい。

○紙智子君 更に昨日予備費でその支援策を出したということは、要するに、更に深刻になっているという認識なんでしょうか。

○国務大臣(厚生労働大臣 田村憲久君) 緊急事態宣言、二回目を発令して、それを延期をしてきたわけでありまして、そういう意味では、国民の皆様方の生活に一定の制約をお願いする中において、経済活動等も、業種によりますけれども、影響が出ておるということは多々あると思います。
 特に、非常に生活に困られておられる非正規等々で働いておられる方々に関しましては、そのしわ寄せが大きい職種というものが影響があったであろうということでありまして、様々な支援をさせていただいたということであります。

○紙智子君 それで、農林水産省にお聞きしたいんですけども、備蓄米の無償提供をしておりますけれども、この量について説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(農林水産省政策統括官 天羽隆君) お答え申し上げます。
 農林水産省におきましては、従前より、食育の観点から政府備蓄米を活用して学校給食における御飯食を推進してまいりました。最近、子供食堂等が食育の一環として御飯食の提供を行い、学校給食の補完機能を果たす取組が見られるなど、その役割が再認識されたことから、昨年の五月から食育に取り組む子供食堂に、また、コロナ禍で子供食堂が開けないというお話も伺っておりまして、本年の二月からは食育に取り組む子供宅食に拡大をして実施をしております。
 令和二年度における交付実績につきましては、学校給食が約十トン、子供食堂が約八トン、子供宅食が約十トンということでございます。

○紙智子君 つまり、無償提供ということで今量を聞きましたけれども、無償提供は三十一トンだけなんですよね。これ、ちょっと規模が小さいと思うわけです。
 備蓄米の運用ルールを変えても、もっと増やせないんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省政策統括官 天羽隆君) お答え申し上げます。
 政府備蓄米は、供給の不足に備えて政府が毎年二十万トン程度買い入れて備蓄をしておるものでございます。備蓄米を無償提供する場合、それは学校給食、子供食堂、子供宅食ございますけれども、食育の観点から行っているということでございます。

○紙智子君 何回もこの議論されていると思うんですけどね、本当に食料を買えないで困っている人がいるのに何と冷たい答弁だろうかと思うわけです。無責任な対応だと思うんですよ。
 それで、アメリカでは、これ政府が農産物を買い入れてコロナ禍で生活が苦しくなった人々や子供にも配給しているわけです。SNAPという、こう言われる低所得者の支援、生活困窮者への支援と額についてちょっと教えてください。

○政府参考人(農林水産省大臣官房総括審議官 森健君) お答えいたします。
 御指摘の米国のSNAP、補助的栄養支援プログラムにつきましては、低所得者を対象としまして、小売店での食品購入を経済的に支援する制度でございます。農務省が実施しているものでございますけれども、制度の趣旨、位置付けとしては、要は我が国におけます生活保護に近いものでございます。
 本制度の予算につきましては、二〇二〇年の予算額として約六百九十一億ドルが措置をされ、さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対策として二〇二〇年三月に百五十八億ドルが追加的に措置されております。また、本年三月には、支援単価が九月末までの半年間に限り一五%引き上げられたものと承知しております。

○紙智子君 これ、トータルで幾らになるんですか。日本円にするとトータルで幾らなんですか。

○政府参考人(農林水産省大臣官房総括審議官 森健君) お答え申し上げます。
 二〇二〇年の予算額六百九十一億ドルは約七兆五千億円、三月に追加されました百五十八億が一兆七千億円、単純に計算をいたしますと九兆二千億円程度ということでございます。

○紙智子君 今日の日本農業新聞でも約十兆円と報じていますよね。こういう規模に比べたら、日本の対策というのはスズメの涙だと思うんですよ。
 もっと大胆に支援したらどうなのかと思いますけども、農水大臣、いかがですか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 政府備蓄米の交付につきましては先ほど御答弁させていただいたところでございますが、農林水産省におきましては、米以外の支援も重要だということでありまして、新型コロナの影響を受けました国産農林水産物を子供食堂へ提供する際の食材費の調達費ですとか資材費等への支援、あるいは、食品ロス削減の観点からも、このフードバンク活動における食品の輸送、保管への支援といった施策も行っているところであります。
 他方、福祉政策の観点から、生活保護受給世帯等に対して学校給食費の無償化等が従前より講じられておりますが、コロナの影響も踏まえまして、一人親世帯や生活困窮世帯に限ってお米等の現物の支給やあるいは商品券の配布を行っている地方自治体もあると承知をいたしております。
 農林水産省としましては、これらの施策と相まって生活困窮者等への支援が広がっていくように連携して対応してまいりたいと考えております。

○紙智子君 さっき無償提供は、いや、もう三十トンですよ。万トンじゃなくて三十トンですよ。本当に少ないんです。
 コロナ禍でこういう農産物を買い取って食料支援を強化するということは、これは食料にも事欠く方々にとってもそうだし、米余りで困難に直面している生産者にとっても、そして卸業者にとっても、これ救いとなる対策になるんですよね。そのために備蓄米の制度が変えられないということをあくまで言うのであれば、農水大臣、厚生労働大臣、関係閣僚連携して、これ生活困窮者や学生などへの食料を支援する制度をつくったらいいんじゃないですか。どうですか。

○国務大臣(厚生労働大臣 田村憲久君) 既存の制度であるのはもう先生御承知だと思いますけれども、例えば、子供食堂等々に見守り事業という形で見守りをやっていただいている、若しくはお食事をお届けいただくようなそういう事業もありますが、そういうところに対しての助成、これやっております。
 それからもう一つは、セーフティネット交付金、これ強化交付金、これ新型コロナ対応でありますけれども、これで民間NPO、生活困窮者の方々支援していただいております民間のNPOに対しての支援という形でありますが、この中で、食事等々供給いただいているそういうNPOに対して、これ食材費も含めて使えるというような形で、このような交付金の中からお使いいただけるというメニューを作っております。

○紙智子君 ですから、縦割りじゃなくてちゃんと連携してやったらどうかと。新しい枠つくって、農水省も一緒になって、それでつくったらどうかということなんですよ。いかがですか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 生活困窮者の方々に向けた支援としましては、今厚労大臣からお話のあったとおりでありますが、生活困窮者自立支援制度における子どもの学習・生活支援事業におきまして、これ子供食堂やフードバンク等と連携した取組がなされると、なされていると承知をいたしております。今お話のあったとおりだと思います。また、子供食堂やフードバンクの活動等はこれ民間の取組も盛んになってきておりますので、それを政府、地方公共団体とも多様な手法で支援しているところであると承知をいたしております。

○紙智子君 やっぱり縦割りですよね。
 それで、実際民間でやっていますよ。ボランティアで民青同盟なんかも各地でやっていて、たくさん人が来て喜ばれているわけです。だけど、はたと考えたら、これってもっと政治が乗り出してやるべきじゃないかという話も出ているわけですよね。コロナ対策として新たな枠をつくってやると、そういうことで是非決断をしていただきたいというふうに思います。
 それから、次、米価下落についての話もしたいんですけれども、これ、コロナの影響だけにとどまらない問題もあるというふうに思っています。
 米の相対取引価格の推移について、二〇一五年以降と最新の価格について説明をしてください。

○政府参考人(農林水産省政策統括官 天羽隆君) お答え申し上げます。
 お米の相対取引価格につきましては、全銘柄の通年平均で、二〇一五年、平成二十七年産の価格が六十キログラム当たり一万三千百七十五円、令和元年産の価格が六十キログラム当たり一万五千七百十六円、その間、対前年比ではプラスで推移をしてきております。二〇二〇年、直近、二〇二〇年、令和二年産の価格でありますけれども、出回りから本年二月までの平均で六十キログラム当たり一万四千九百四十四円ということでございまして、対前年比で約五%のマイナスとなってございます。

○紙智子君 今説明していただいたのはなかなか、数字があるので、資料を作りましたので、ちょっと資料、お配りした資料一枚目を見てください。

資料(1) 飼料用米作付面積、米価と生産費

 この緑色の飼料米の作付けが、あっ、違った、要するに、二〇一四年と一五年、これ米生産が過剰だったために、政府は、価格の暴落を防止するために、主食用米の市場から切り離すことができるようにこの飼料用米の生産に誘導しました。
 それで、二〇一五年以降の飼料用米の米の作付面積というのはどうなっているのか、説明願います。

○政府参考人(農林水産省政策統括官 天羽隆君) お答え申し上げます。
 飼料用米の作付面積でございますけれども、二〇一五年、平成二十七年産が八・〇万ヘクタール、二十八年が九・一万ヘクタール、二十九年が九・二万ヘクタール、三十年が八・〇万ヘクタール、令和元年産が七・三万ヘクタール、令和二年産が七・一万ヘクタールでございます。

○紙智子君 この資料見てもらうと、緑色のところの飼料用米の作付けが増えているわけですよね。それで、主食用米の価格が、これ赤の線ですけれども、これが、価格が一旦がんと下がったのが戻ってきていると。しかし、二〇一七年をピークに、ちょっと見てほしいんですけれども、その後の飼料米の作付けが減ってきています。これはなぜなんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省政策統括官 天羽隆君) お答え申し上げます。
 飼料用米につきましては、近年、主食用米の価格が堅調に推移していることに加えまして、令和二年産で申し上げれば、飼料用トウモロコシの国際相場が昨年まで低価格でございました。低価格で推移をしておりまして、それと競合する飼料用米の販売価格も低下していたということがございまして、産地の中には、飼料用米から備蓄米、主食用米、米粉用米等への転換を判断されたところもあったというふうに考えてございます。

○紙智子君 この表で見ると、二〇一五年産は米価が暴落したということで、青色のこの生産費にも届かなかったので、これ赤字だったわけですよね。そのときは飼料米の奨励金が魅力があったので、米価が戻ってくると、今度は飼料米ではなくて、コシヒカリなどの主食用に戻ってきたと。それは農家の気持ちとしては自然なんだと思うんですよね。
 なぜ米が過剰になったのか。それは、安倍前総理のときに、減反は廃止する、これからは作りたい人が自由に米を作れる時代だというふうに言って、二〇一八年度に戸別所得補償と減反を廃止したからなんですね。そうじゃないですか、大臣。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) まず、米政策の基本的な考え方でありますが、やはり需要に応じた生産をしていくということがその基本だと考えております。
 例えば、先ほどありました飼料用米の価格が下がってきていると、また、あっ、主食用米の価格が下がってきていると、そして飼料米の作付けが進まないという状況でありますが、これは、主食用米の需要が毎年減少すると見込まれる中で、今年度につきましては、例えば二〇二一年産の作付けに向けまして、補正予算でその作付けが進むような、それに必要な施策を盛り込んだところであります。合計三千四百億円にも及ぶ予算を計上しているところでありますが、これによりまして、今般は六・七万ヘクタールという大きな作付け転換をしていかなければならないというふうに思います。
 飼料用米につきましては、年間大体百三十万トンぐらいの受入れが可能となっておりますが、二〇二〇年は七・一万ヘクタール、今お話のあったとおりですが、二〇一七年には九・二ヘクタールまで作付けした実績があります。また、飼料用トウモロコシも国際相場が上昇しているところでありますので、この水田フル活用のための重要な選択肢であるということも考えております。

○紙智子君 ちょっとかみ合っていないなと思うんですけど、要するに、米が何で過剰になって価格下がったのかということの原因について聞いたわけなんですけれども、これ今、米政策の考え方と言ったけれども、米政策そのものが、私、今もう破綻してきているんじゃないかと思うんですよ。
 今の価格暴落というのは、コロナの影響もありますけれども、生産者に自己責任を押し付けて、政府が本来あるべき米の需給と価格の安定に対する責任を放棄したことにありますよ。そのことを改めて言っておきたいと思います。
 次に、コロナで米が過剰になっているのに、なぜミニマムアクセス米は七十七万トンも入るのかという、生産者が怒っているわけです。輸入米をなくし、せめて輸入量を減らせという声上げています。この声に応えるときではないんでしょうか、大臣。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 紙先生の今のお気持ちということは私も理解をさせていただくところではありますが、米のこのミニマムアクセスは、これ、平成五年に合意したガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の中で、全体のパッケージの一つとして、従来輸入がほとんどなかった品目について最低限度の市場参入機会を与える観点から、全ての加盟国の合意の下に設定されたものでありますので、このような経緯の下で導入されたこの米のミニマムアクセス米の削減等々、あるいは廃止等々につきましては、これは極めて困難であると考えております。

○紙智子君 WTO協定と言われるんですけれども、もう三十年たっているんですよね。それで、WTO、国家貿易と言われるんだけれども、世界の貿易ルールを変えようと、そういう動きが今出ているんですよ。
 二〇二〇年の七月に国連の食料の権利に関する特別報告で、マイケル・ファクリさんは、これまでの貿易政策が食料安全保障などに有効な結果を残せなかった、WTO農業協定の段階的な廃止と食料への権利に基づく新しい国際的な食料協定への移行、これを提案しているわけです。
 なぜこういう動きがあるのかということを分析すべきだと思うんですね。生産者を支援する対策でいえば、一番即効性があるのは米の戸別所得補償を復活することだということを申し上げておきたいと思います。
 さて、新型コロナは、世界の食料事情にも大きな影響を与えています。
 外務省に伺います。
 FAOを始めとする国際機関が、パンデミックによる飢餓人口の増大への影響について、二〇二〇年の七月に世界の食料安全保障と栄養の現状を公表しました。その内容について教えてください。

○政府参考人(外務省大臣官房審議官 吉田泰彦君) お答えいたします。
 国連食糧農業機関、いわゆるFAO及び関連国連機関が昨年七月に共同発行いたしました世界の食料安全保障と栄養の現状二〇二〇年報告におきまして、二〇一九年時点での世界の飢餓ないし栄養不足の人口を約六億九千万人と推定をしております。さらに、二〇二〇年六月時点の予測シナリオに基づいて、新型コロナの拡大により、八千三百万人から一億三千二百万人が追加的に飢餓ないし栄養不足に陥るという可能性を指摘してございます。

○紙智子君 これも分かりやすく資料にしていますので、二枚目見てください。

資料(2) 世界の飢餓人口

 それで、二〇一九年の飢餓人口は、青色ですけれども、六億八千八百万人、二〇年には飢餓人口は最大で、赤色部分ですけど、一億三千二百万人増加して八億二千万人になる可能性があると。
 国連は、SDGsの取組として二〇三〇年までに飢餓人口ゼロを掲げています。飢餓ゼロに向けて日本はどのような取組をしようとしているのか、農水大臣にお聞きします。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 世界の飢餓撲滅に貢献するためにも、我が国としては、国内で必要となる食料は可能な限り国内で増産をしていくということが重要であるということも考えております。
 また、様々な技術的な支援も行っておりまして、途上国の食料生産を向上させるために、今、JICAへの専門家派遣等を通じた農業開発の支援ですとか、あるいはWFPやFAO等国際機関への拠出による技術支援を行っているところであります。
 具体的には、JICA専門家の派遣については、現在、アフリカやアジア等八か国に対しまして当省職員十二名を派遣をしまして、かんがいプロジェクトやその管理、政策面、技術面でのアドバイスなどに当たらせております。
 また、国際機関への拠出につきましては、例えばWFPによる西アフリカ地域の小規模農家への生産、栄養改善指導の取組ですとか、あるいはFAOによる動植物疾病の発生予防の取組など、支援をしているところでございます。

○紙智子君 飢餓人口の増大が予測されている中で、食料を海外に依存し続けていいのかということが問われているんじゃないでしょうか。いかがですか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) お話ございましたとおり、この世界の飢餓撲滅に貢献するためにも、やはり国内で必要となる食料、これは可能な限り国内で生産をしていくということが重要であると考えております。
 このために、輸入品からの代替が見込まれます小麦、大豆等の国産農産物の増産ですとか、あるいは加工食品、外食、中食向けの原料の国産への切替えですとか、あるいは農業経営の底上げにつながる生産基盤の強化、荒廃農地の発生防止、担い手の育成確保、さらには官民共同で新たな国民運動で農業、農村への国民の理解を醸成する等々、食料自給率の向上に向けて取り組んでいるところでございます。

○紙智子君 食料自給率が三八%という低水準で、農林業センサスから二〇〇〇年以降の耕地面積や販売農家や基幹的農業従事者を説明していただきたいと思います。

○政府参考人(農林水産省大臣官房統計部長 大角亨君) お答え申し上げます。
 農林漁業センサス、農林業センサスの結果によりますと、経営耕地面積、こちらは農業経営体が経営している耕地の面積でございますけれども、こちらの方は二〇〇〇年の三百八十三万六千ヘクタールから二〇二〇年では三百二十五万七千ヘクタール、販売農家数につきましては、二〇〇〇年の二百三十三万七千戸から二〇二〇年は百二万八千戸、基幹的農業従事者数につきましては、二〇〇〇年の二百四十万人から二〇二〇年は百三十六万一千人と、いずれも減少傾向となっております。

○紙智子君 今説明いただいたのは、資料で作った三枚目のとおりなんですね。

配布資料(3) 生産基盤の推移

ですから、全体として見て分かるように、減少傾向になっていると。
 生産基盤の弱体化、なぜこれ歯止めが掛からないんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) まず、この経営耕地面積の減少につきましては、これは主に荒廃農地の発生等によりまして生じている。また、販売農家や基幹的農業従事者等の減少につきましては、やはり高齢化や後継者不足による離農が主な原因と認識をいたしております。

○紙智子君 やっぱり、これ、輸入自由化路線、規模拡大路線が中小家族農業とか中山間地を疲弊させてきたんだと思うんですよ。やっぱり今、世界中が今変わろうとしているときですから、是非、リーマン・ショックや新型コロナを受けて在り方そのものが変わろうとしているわけで、国連も二〇一九年から家族農業の十年を始めているわけですから、そこに立って日本農業も変えていく必要があると。
 食料自由化、規模拡大路線を見直して、食料主権、中小家族農業を重視する政策に転換すべきことを述べて、質問を終わります。