◇住民の移動の権利守れ 道東の鉄路存続を
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。まず始めに、伊東大臣に伺います。
北方領土隣接地域に唯一乗り入れている花咲線についてお聞きします。花咲線は、釧路と根室間を結ぶ根室本線花咲線です。JR北海道は住民の移動の権利を保障する重要な役割を担っています。しかし一方で、廃線も続いていて、JR北海道は二〇一六年に単独維持困難線区を公表しました。輸送密度二百人未満の赤線区と言われる路線は、二〇二六年四月一日、来年ですね、に廃止と、留萌線を含めてです、全て廃線となりました。花咲線は、輸送密度が二百人以上二千人未満と言われる黄線区です、赤じゃなくて黄ですね、線区です。JR北海道などでまとめた花咲線の改善方策の実現に向けた実行計画によりますと、徹底的な利用促進、コスト削減などの取組を進めるとしています。このコスト削減によって、今年三月に東根室駅は廃止、ダイヤ改正で乗降者の数の少ない時間を減便としました。計画では、花咲線の特性を観光利用区、利用区間ということで位置付けましたけれども、学生や高齢者や障害をお持ちの方など、いわゆる交通弱者にとっては過酷な位置付けになりました。
北方領土隣接地域にとって花咲線の果たす役割って大変大事だと思いますけれども、大臣の認識を伺います。
○国務大臣(伊東良孝君) 北特法に基づき北海道が策定をいたしました第九期隣接地域振興計画にもあるように、JR花咲線は北方領土隣接地域における唯一の鉄道であり、通学や通院等の移動手段として地域住民の生活を支える重要な役割を果たしていると、このように私も認識しているところであります。
○紙智子君 重要な役割を持っているとお答えになりました。以前、根室市、隣接地域の根室市の市立病院の医師が大幅に減って、それで、一時内科医も一人もいなくなるという危機的な状況があったんですよね。それで、何とか対策しようということで、この一地域の病院というだけではなくて、北方領土返還運動の拠点、隣接地域全体に関わる問題だということで、実はこの委員会で取り上げたことがありました。それで、医療機関が経営できなくなるということは地域に住めなくなるということにもなると、地域が疲弊してしまえば返還運動も支えられなくなるということで、当時、内閣府や厚生労働省、文科省、総務省と各省またがって対応しようというふうになりました。それで、医師確保は必死になって市長を先頭にやったということもあって確保できて、乗り越えることができて今に至っているということなんですね。それで、今回観光を位置付けるというのは重要なんですけれども、あわせて、やっぱり地域住民の移動の権利を保障する公共交通であるこの鉄路の路線を維持することも大変重要だというふうに思っています。
そこで、国土交通省にお聞きするんですけれども、二〇一八年にJR北海道などが策定した北海道交通政策総合指針では、この花咲線は北方領土返還運動の拠点として重要な役割を有する北方隣接地域の鉄道であるということで、国の北方領土対策などを進めながら路線の維持に最大限努めていくことが必要としています。国政としても重要な路線ですけれども、既にこの花咲線は赤線区とされた、輸送密度二百人を切る状況にあります。路線を維持するために、どのような実行計画になっているでしょうか。
○政府参考人(岡野まさ子君) お答え申し上げます。JR北海道の花咲線につきましては、地域における通学、通院等の日常利用や道東地域を周遊する観光客の移動手段としての役割を担っているというふうに認識してございます。また、委員から御指摘ございましたとおり、北方領土隣接地域における重要な交通手段としての役割も担っているというふうに考えているところでございます。
その利用状況を見ますと、最新のデータがございます二〇二三年度の実績では、輸送密度が一日__当たり二百二十一人。二〇二二年度は一日当たり百九十人でございましたので、そこからの若干の増加というふうになってございますが、引き続き厳しい状況が続いているというふうに認識してございます。他方、花咲線につきましては、JR北海道におきまして、利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な、いわゆる黄線区に位置付けられてございます。赤線区ではなく、黄線区の一つとして位置付けられてございます。この黄線区につきましては、JR北海道では、地域とともに利用促進やコスト削減等に関する実行計画を線区ごとに策定し、地域と一体となって取組を進めるとともに、抜本的な改善方策の検討を進めているというところでございます。花咲線につきましては、こうした実行計画に基づきまして、JR北海道、北海道庁、根室市等の沿線自治体が連携して、例えば景色の良い地域で減速運転をしたり、あるいはその海側の指定席、指定座席の導入等による普通列車を活用した観光利用の促進、また根室市内の高校生の通学定期の補助、そしてコスト削減と、こういった取組を進めているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き必要な支援を行うとともに、地域との議論に積極的に参画しまして、他地域の事例や活用できる支援策の紹介、助言、こういったことを行うことで地域の取組を後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。
○紙智子君 観光は大変重要です。
あわせて、やっぱり不便を解消するということも必要ではないかと。アクションプラン結果検証報告書の総括検証では、七八%が花咲線を重要と考えていると。特に、通学利用の高校生は、満足、やや満足合わせて五割弱なんです。で、不満が三割弱なんですけれども、その理由は、運行本数が少ないということを挙げています。こういう声にやっぱり応えていくことが必要ではないかと思うんですね。
それで、もう一つ、国土交通省になんですけれども、今、昨年三月のJR北海道に対する事業の適切かつ健全な運営に関する監督命令に基づいて、北海道等関係市町村で話合いが行われていると思います。一方で、北特法で位置付けられている重要な地域であるこの花咲線を維持するために、どういう支援が行われているのか紹介していただきたいと思います。
○政府参考人(岡野まさ子君) お答え申し上げます。先ほども申し上げましたが、花咲線につきましては、JR北海道と北海道庁、沿線自治体等の関係者が設置する実行委員会において利用促進の取組等について検討進められているというところでございます。この検討に基づきまして、必要となる調査、実証の経費と、こういったものにつきまして国が支援しているというところでございます。
繰り返しになりますが、私どもとしましては、引き続きこういった必要な支援を行うとともに、地域の議論に積極的に参画して、地域の取組を後押ししていきたいというふうに考えてございます。
○紙智子君 是非十分その応援をしていただきたいなと、支援をしていただきたいなというふうに思います。
そこで、伊東大臣に伺います。この花咲線の実行計画は、JR北海道のみならず、これ根室市や釧路市など関係市町村で協議をして立案している計画なんですよね。それで、一企業の考えということだけではなくて、やっぱり地方自治体と一緒に立案してきた非常に公的な位置付けが強い計画だと思うんです。国政上も重要な北方領土隣接地域を走る花咲線の維持をどうするかということを考えていく必要があるんだと思うんですけれども、そこで提案をしたいんですけれども、是非この北方基金、これをこういうところに活用できないのかなというふうに強く思うわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(伊東良孝君) 北特法に基づき北海道が設置するその基金につきましては、北方領土隣接地域の振興及び住民の生活の安定のための事業等で、北方領土隣接地域の特性に即した基本的な産業の振興に資するための事業等、地元の要望を踏まえた事業に活用をされているところであります。JR花咲線につきましては、まずは関連自治体、地元自治体により、維持確保や、あるいは利用促進により、よく議論いただくべきものと考えているところでございます。
○紙智子君 そういうことで、今一生懸命考えて努力をしている最中なわけで、もし北海道がそういう中でその基金も使わせてほしいというようなことで要請が、計画を作って要請があった場合には、これは考えていただけるんでしょうか。
○国務大臣(伊東良孝君) この基金につきましては、百億を積んで、それを取崩しが可能になって、その地域の振興策にそれぞれ充てられてきたこれまでの経緯がありますので、基金残高の見込額が現在七十四億まで百億から減ってきているところでありまして、このJR花咲線の維持にこれを用いるということが地域にとって果たして本当に何年もつかの話になるわけでありますし、ほかの振興事業との兼ね合いなど、地域のそれぞれの、隣接一市四町の、隣接市町村の考え方、議論を踏まえてでなければなかなか結論は出てこないかなという、そんな思いをしております。
○紙智子君 地域を本当に振興させていく上で必要な項目考えられていると思うんですけれども、その中でもこれが必要だということでなった場合は、是非前向きに国としても検討していただきたいんですよ。北特法の改定のときにやっぱり基金を取り崩すことをめぐって議論になって、使えば必ず減るわけですから、じゃ、その場合どうするんだという議論になりましたし、そのときのやっぱり担当の方は、そのときはそのときでちゃんとまた積み増しも含めて考えることが結論としては出されていたというふうに思うんですよね、そのときの議論を振り返ってみますとね。ですから、やっぱり基金は毎年取り崩しているわけです。二〇二四年の五月二十四日のこの委員会で、自見前大臣は、要請があれば基金の積み増しを検討するというふうに答弁していましたし、それから北海道からは、二〇二二年の九月、岡田元大臣も、それから二三年の自見元大臣、それから二四年は伊東大臣もですね、それから去年、今年と、これ国費の要望でも基金の検討を求め続けてきているわけですね、北海道としては。だから、これ、要請に応じて基金の積み増しをするべきではないのかなと思うんですが、もう一回お願いします。
○国務大臣(伊東良孝君) 基金の積み増しにつきましてはまたちょっと別な議論になりますので、この中身含めて検討させていただきたいと思う次第であります。また一方で、JR北海道に対しては国土交通省の予算から相当額出ているわけでありまして、そこら辺との兼ね合いもあるかなという気がいたしております。
また、釧路から根室と同時に、釧網線という網走に向けての路線も同じくらいの距離であるものでありますから、そこのところの兼ね合いも含めて検討させていただきたいと思います。
○紙智子君 是非前向きに検討してほしいなと思います。それで、柔軟に対応してほしいと思うんですよね。JR北海道のことをちょっと質問してきているんですけれども、JR北海道の経営全体でも捉えていくべき課題でもあるのでちょっと一言言いたいんですけど、北海道の新幹線が、二〇三〇年の開業を断念して、二〇三八年度末開業の見通しに変更しました。年間で百億の赤字となっていて、この赤字額が一キロ当たりでいうと約七千八百五十万円に上ると。で、赤線区の約八・七倍、黄線区の約四・六倍と、大きく上回っているんですよね。それで、JR北海道はこれからどうなっていくのかということでは、道民の皆さんの中でも不安がいっぱいあるわけなんです。この事業費の赤字額の縮小や、あるいはこの地域の鉄道を守って安心、安全な鉄路とするためにも、今後の新幹線の延伸の事業の検証と、それからJR北海道全体のこの経営安定化に尽力をして、地域住民の負担軽減で、この移動の権利を確保するべきではないかということを申し上げておきたいと思います。
最後に、外務大臣にお尋ねします。
イスラエルによるパレスチナ・ガザ地域へのジェノサイド、これ多くの無辜の市民が本当に大変な犠牲になっているわけです。そして、飢餓も広まって、深刻な事態となっているわけです。ネタニヤフ首相は十九日の声明で、ガザ地域全域を支配するという表明をしました。イギリスやカナダ、フランスの首脳は共同声明を上げて、これ制裁も示唆しているわけですよね。日本政府は、このイスラエルとの例えば経済連携協定の交渉停止だとか、何か具体的な行動を取らないのかなと。そして、イスラエルを政治的、軍事的に支援をしているアメリカに対してもやっぱり中止を迫っていくべきじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(岩屋毅君) 今般の軍事作戦の拡大によって民間人にも多くの死傷者が出ていること、極めて遺憾に思っております。我が国としては、この深刻なガザの状況を改善をさせる、そして二国家解決を最終的に実現するという考え方に基づいて、イスラエルに対して強く申入れを行っております。十三日に行った日・イスラエル外相会談では、私からサアル外相に対して、停戦交渉に立ち戻って、合意の継続に向けて誠実に取り組むよう求めるとともに、人道支援の確保、国際人道法を含む国際法の遵守を強く申し入れたところでございます。また、五月二十日、我が国を含む二十七か国・機関の外相共同声明において、この人道支援の全面的な再開を直ちに許可すること、そして人道支援機関が国連も含めて独立して中立的に活動できるようにするということを強く求めました。また、五月二十一日の、我が国も含む外交使節団に対してイスラエル軍が警告射撃を行ったと。誠に遺憾でありまして、あってはならないことだと考えております。翌二十二日、船越外務次官からコーヘン駐日イスラエル大使を召致して、この抗議と、そしてガザへの人道支援の全面的な再開を直ちに許可することを改めて強く求めたところでございます。
今般の事態を受けまして、イスラエルへの働きかけを一層強めてまいります。
○紙智子君 時間ですね。
○委員長(石井浩郎君) 時間です。
○紙智子君 はい。ODAでも、先ほども話ありましたけど、ガザ地域へ様々な支援をしてきたわけですよね。医療機械や器具や、あるいは病院なども全くどうなっているかということが確認できない状況です。昨年以上に深刻な中で、今まさにガザ地区、住民の命の危機に、ODAでの緊急支援以上に援助が必要ではないかということを申し上げまして、質問を終わります。