◇タッチパネル式食券購入、視覚障害者の利用改善を/トランプ関税は貿易協定違反、農家への所得補償こそ
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
今日、まず最初に、視覚障害者の方の支援を求める質問をしたいと思います。
現在、大手の牛丼店や飲食店でタッチパネルを導入するお店が増えていると思うんですね。それで、QRコードを読み込んだりタッチパネルの操作なり、私も実は苦手なんですけれども、視覚障害者の方はとっても大変だと思うんです。それで、まず、案内する人がいないと食券を買うタッチパネルの機械がどこにあるのかということで分からないわけです。それから次に、注文するときにもメニューが分からないと。購入しても座席への誘導がなかったり、あるいはセルフサービスの場合だと、食品の配膳とか、それから下げ膳ですね、これもどうするのかというのが分からないと。出口への誘導がないということも含めて、この飲食店の利用を中には諦める人もいるということを訴えられていたんですね。
大臣、こうした視覚障害者の実情について、ちょっとまずどう思われるか、お話しいただきたいと思います。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 私も実は昨日、晩飯はデニーズに行ったんですけれども、タッチパネルだったんですよ。非常に苦戦しまして、ハンバーグ、御飯、あとサラダ、全部入れなきゃいけないので、まあ、私は六十四歳ですけど、視覚的にも全く問題ありませんが、それでも苦労をするわけであって、そして、最近は配膳ロボットなんかも来ていて、多分、視覚障害の方々は配膳ロボットでぴぴぴっと来ても取ることも難しいと思いますし、様々、トイレに行きたいとかお会計をしたいとか。
人件費を節約することは経営者にとっては喫緊の課題で、人手不足ですから致し方ない部分もあるかもしれませんが、やはり企業というものは、社会的な責任、社会に奉仕する責任も同時に背負っているということもやっぱり分かっていただかなきゃいけないので、そういったことに対する配慮は必要ではないかというふうに思います。
○紙智子君 ありがとうございます。
じゃ、内閣府にお聞きします。視覚障害者が飲食店を利用するに当たって、障害者差別解消法ではどのように位置付けているでしょうか。
○政府参考人(内閣審議官 江浪武志君) 障害者差別解消法におきましては、障害のある方から社会的障壁の除去について申出があった場合には、事業者は過重な負担ではない限り合理的配慮を提供しなければならないとされておりまして、委員御指摘のタッチパネルでの対応のような情報面のバリアに関しましても社会的障壁の一つであるというふうに考えられます。
昨年、令和六年四月から合理的配慮の提供が民間事業者にも義務付けされており、全国の事業者においても取組が推進されるように、内閣府におきまして基本方針を定め、これに即して事業所管ごとに担当大臣に対応指針を策定していただいております。
外食産業におきましても、所管の農林水産省において定められております対応指針に基づきまして、全国の事業者で合理的配慮の提供などの取組がしっかりと進められることが重要であるというふうに考えてございます。
○紙智子君 今のお話でも合理的配慮が義務付けられたということなんですけれども、課題がたくさん残されていると思うんですね。その一つがタッチパネルへの対応ということがあると思うんです。
それで、次、農水省ですけれども、農水省は指針を示すことになっているということなんですが、この指針にはタッチパネルへの対応が書かれていませんけれども、どのように対応するんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省官房総括審議官 宮浦浩司君) お答え申し上げます。
今お話ございました農林水産省所管分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針、これに関しましては、タッチパネルに関する直接的な記載はございません。その中で、ロボットなどの機器を活用する際には環境整備に配慮するという旨の規定がございますので、こういった規定を根拠にいろいろ関係事業者と調整を進めていきたいと考えてございます。
○紙智子君 やっぱり一番は、人がいると呼んできて、それで、こうしてほしい、ああしてほしいということをやれるんですよ。それがやっぱり一番求められていると思うんだけれども、いない場合どうするのかということも含めて非常に大事な問題だというふうに思うんです。
それで、ちょっと提案なんですけれども、障害者が利用しやすい飲食店にするためにどうするかということで、まず一つは、この従業員が対応するということが必要なんだけれども、それでもタッチパネル方式を導入するということであるならば、操作などをサポートする対策、これ農林水産省としてどういう工夫するのかというのをちょっと発信していただきたいなというのがあります。一つです。
それから二つ目は、フードサービス協会との懇談の場をつくっていただきたいと。例えば、金融庁なんかはATMなんかもありますから、そういうことをめぐって金融業界と視覚障害者の懇談の場をつくっているそうなんですよね。それから、国土交通省も、こちらも安全に移動するための手段ということで、鉄道協会と障害者の皆さんの懇談の場をつくっているということを聞いています。
是非農林水産省も、言われるのを待つということではなくて、このフードサービス協会と視覚障害者の皆さんとの懇談の場をつくっていただきたいなと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 農林水産省では本年度、高齢者、障害者の方々が手軽に利用できるように工夫している飲食店の事例を収集するという努力はいたしております。予算も三千八百万ほど用意いたしましてこれをやっておりますので、そういったいい例をお示しをして、先ほど、役所はどこだったかな、ああ、内閣府か、内閣府からもそういう要請があったら対応しなきゃならないという答弁があったようですから、こういう成功事例のようなものをお示しをしたいと思います。
それから、そのフードサービスセンターの方には協力を求めてみようと思います。やはりお話を聞くことは、今回の社会、いわゆる保険料の議論でも、やはり現場の声を聞くことの大切さということは非常に我々政治の場でも痛感したことでありますので、これについては私の方でちょっと預からせていただきたいと思います。
○紙智子君 ありがとうございます。
直接フード協会の皆さんに申し入れたことがあったようなんですけど、なかなかちょっと応えてもらえていないということもあるので、是非ちょっとそこは窓口になっていただいて、そしてやっぱり認識を共有するということでお願いしたいと思います。視覚障害者の皆さんの、視覚障害だけじゃないと思うんですけども、立場に立った対応を改めて求めておきたいと思います。
それでは次に、トランプ大統領の関税の問題について、関税措置について質問したいと思います。
トランプ大統領は、一律に二四%の追加関税引上げを九十日間停止をしましたけれども、一〇%は残ったままなんですよね。昨日、我が党の田村智子委員長が衆議院の予算委員会で、トランプ大統領の関税措置は、これ、WTO協定、そして日米貿易協定違反ではないかということで、石破総理に撤回を要求すべきだということを求めました。
この協定で設定されている輸出額上位十品目の関税、これ資料でお配りしました。タリフラインは物すごい、もっとたくさんいっぱいあるんですけれども、そのうちの輸出の上位十品目ということであります。
それで、ちょっと表を見てほしいんですけれども、具体的にこういうふうに見ると、右側の表が現在の関税率ということだと思うんですけども、中には無税というものもありますよね。これに今後、相互関税で一〇%が上乗せされるという話が、残したということはそういうことになるわけなんですけども。例えばブリありますけども、これ無税となっていて、それで二百二十九億円、輸出額になっていますよね。そうすると、一〇%を更にこの課税ということになるということは、二百二十九億円の一〇%だから二十二・九億円ですか、この新たな関税、税金が掛かっていくということになるわけで、これ、どの分野もそうなんだけれども、今までこういうふうに低い税金でやっていたところは軒並み一〇%となると大変だと思うんですよ。お酒なんかも、今まで輸出ということで日本酒なんかもやってきているんだけども、ここも、さっきも話ありましたけど、出すのをやめようかというようなことなんかも出てくるように、非常に大きな影響が出てくるというふうに思うんです。
やっぱり私、日米貿易協定にこれ違反しているというのは明らかだと思うので、撤回を要求するべきではないのかというふうに思うんですね。米国の側が撤回しないということになったら、この協定は言わば米国によって一方的に破棄されたというふうに受け止めてしまい、私の場合は受け止めますけども、そういうふうに受け止めるべきではないのかというふうに思うんですけども、これ、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) この相互関税一〇%残っている部分ですね、極めて遺憾であります。二四が一〇になって、日本の株式市場はなんか戻ったみたいですけども、そんな喜ぶような話では全くないなというのが私の正直な受け止めであります。WTO協定違反、それから、WTOに加えて日本貿易協定との整合性、これには深刻な懸念があると思いますよ、間違いなくですね、間違いなくあります。
しかし、対米国との協議はまだ始まったばかり、まだ始まっていないと言ってもいいと思います。メディアを通じて、ああ言っている、こう言っているが流れてきているだけであって、オフィシャルに個別具体的にこうしろというものはまだ来ておりません。全体のこの一〇%、こういう話は来ていますけども。
赤澤大臣が、先ほど持ち回りの閣議決定がありまして、十六、十七でアメリカに行くことが正式に決まりました。あっ、まだ公表しちゃいけなかったらしいです。済みません。聞かなかったことにしてください。公表は夕方だそうです。時々こういうフライングをしますけども、お心広く。
ということでありますので、まずアメリカが何を言ってくるかをしっかり、やっぱり冷静にやるべきだと思うんですよ。私も、TPPのときは副大臣で、ずっと林大臣の下で日米、それからTPP交渉やりましたし、前回の大臣のときは日米の貿易交渉やりましたし、そして日英の貿易交渉もやりました。とにかく、最後までじっくり粘って、余り慌てずに、ばたばたせずにやらないと、我々は米食っているわけですから、粘り強くやっぱり協議をすることがこれから大事になってくるんだろうというふうに思っております。
○紙智子君 懸念という話は石破総理もされるんだけど、懸念というか、やっぱり違反しているじゃないかというふうに私は思うわけですよ。
そもそも日米貿易協定自体、自動車関税を二五%に上げるぞ上げるぞということで脅してきたわけですよ。そして、それとの関係で牛肉や豚肉や乳製品、ワインなどの日本の関税を撤廃、削減させるというやり方で来たというふうに記憶しているんですよね。今回も同じ構図じゃないのかなというふうに思うんです。USTRが、代表がこの二四%に引き上げるぞということを言っていて、農産物の輸入を迫ってくるんじゃないか。
大臣、これ、米国の無法なやり方に対して、まさかと思うんですけれども、また日本との農業を差し出していくと、犠牲にしていくというようなことは絶対ないですよね。ないというふうに明言していただきたいと思うんですが。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 私は、日米の五年前の貿易交渉、これがもうぎりぎりだと思っています。もうあのときでも、もう乾いた雑巾を絞るようなつもりでひねり出したのがあの条件でありまして、もうからっからの雑巾でありますので、これ以上絞っても何も出ないと思っております。
ですから、この場で余り強いことを言うと、私も閣内の人間でありますので、そこはちょっと分かっていただきたいんですが、本当は性格的に言うと、もう言いたいことは山のようにあるんですが、余り言うとまたかえって赤澤大臣に迷惑掛けることになりかねないので、若干控えめにしますけれども。
しかし、農林水産分野を大きく譲歩したことによって、アメリカが課している二四%の車に関しては、五か、二五がどうこうという話じゃなくて、ちょっと話を戻すと、日米の間には貿易交渉はあって、そして再協議という話はありますけれども、しっかりそれが履行されているかどうか、まずこれを検証されるべきだと私は思っています。ですから、自動車に関しては、自動車部品に関しても彼らは約束を履行していないわけですから、その上で更に求められてもそれはむちゃでしょうというのは、私は当たり前の物の感じ方、考え方だと思っております。
○紙智子君 これまでのを振り返って考えて思いますと、結局いろいろやりながら米国の輸入圧力に屈して自由化の路線を進めてきたんじゃないかというふうに思うんですね。今懸念するのは、国内で米が不足しているということで、ミニマムアクセス米のSBS枠を大きく増やすことを取引材料にするなんてことがまさかないだろうと、そういうことは絶対にやめるように求めておきたいと思いますよ。
一方、国内では米や酪農の農家がもう限界だという声を上げているわけです。先月、三月三十日ですけれども、東京を始め全国で令和の百姓一揆というのがやられました。それで、多数の農民の方が参加をしてトラクターを走らせて、私も一緒に実は歩いたんですけれども、農家の皆さんの要求は欧米並みの農家所得の補償をということです。
そこでお聞きするんですけれども、先日二十四日の農水委員会で私の質問に大臣は、税金を投入しながら農家の下支えをする、そういう農政の展開というのは間違いではないと、全てを市場に任せればいいということでもないということを答弁されていたと思うんですね。しかし、同時に大臣は、価格は市場に任せると、競争力を持たせるんだということも答えているということでは、大臣の言うこの税金投入してもということは、再生産を可能にするということというふうに捉えていいんでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 私自身は再生産を可能にするということはあんまり好きではなくて、再生産さえできればいいのかというとそうではなくて、そこにはなりわいがあり、暮らしがあり、家庭があり、経営があるわけですから、そこではしっかりとした利益が農家にも還元される産業構造というのが正しいというふうに思っております。
この戸別所得補償の議論は、いずれ舟山先生や徳永先生や田名部先生たちと、女性の名前ばっかり言いましたけど、もちろん男性議員もですけれども、交えて議論する場が生まれてくると思いますが、これはやり方だと思うんですよ。
例えば、まあ昔の話ですけれども、かつて減反政策をやったときに、当時、十アール当たり三万円出しました、そのときはです。今の貨幣価値でいうと九万円ですよ。しかし、それは何も作らなくてもよかったんですよ、米さえ作らなければ、米さえ作らないでくれていれば三万円出しますと。これは国民の理解は得られないですよね、もう農業やっていないんだから。ですから、ああいうお金の出し方はやっぱり間違いだったなと歴史振り返って私は思います。
ですから、農業生産を維持する、しっかりと維持する上でどのような農業政策が正しいのか、それをまさに議論するのがこの場でありますので、もう様々な政党から様々な御提言をいただいて、そして来年度、八年度予算についてはしっかり取るということを今考えておりますので、その中で、あっ、済みません、議論させていただければと思います。
済みません、長くなりました。
○紙智子君 余り昔の話されても困るんであって、令和の百姓一揆が問うているのは、やっぱり大小あらゆる農家がちゃんと地域で生活できる水準の所得を確保したいと。そういう意味では、再生産できるというのはすごく大事な要になる問題だというふうに思っています。
それから、もうちょっと時間になるんですけれども、やっぱり大規模農家、これを私たちは否定しているわけじゃなくて、大規模も小規模も含めてやっぱり下支えをしていくということの大事さ、これ本当に再生産できることを財政によって支えて、その上で生産性の向上を図るべきだというふうに思うんですよね。
戸別所得補償だっけ、ということも、言ってみればこの下支えするような、不足しているところを、市場の価格が下がっているところをこの不足払いにしていくというようなことも含めて言われているというふうに思うんですけれども、そういう意味では、やっぱり再生産がちゃんとできると、向上していくと、そういうところを本当に大事に考えてほしいということを申し上げまして、ちょっと時間になりましたので終わりとしたいと思います。