<第217回国会 ODA沖縄北方特別委員会 2025年3月25日>


◇イスラエル・米に抗議を
 政府一般会計ODA予算にジェンダー案件は7府省でなし/核ゴミ発言を批判/北方領土館の調査費計上

○紙智子君
 日本共産党の紙智子でございます。最初に、北方隣接地域の振興に対する認識についてお聞きします。二月七日に行われた北方領土返還要求全国大会は、北方領土が不法占拠され八十年になり、元島民の平均年齢が九十歳を迎えようとしているとし、これ以上長引くことは許すことができないとアピールを確認しました。また、国民一人一人の関心を高めるとともに、次世代への啓発を進めていくことも問題解決に向けて不可欠であるとしています。ところが、石破茂総理大臣、岩屋外務大臣は、この八十年という節目となる全国大会が予定されたにもかかわらず、アメリカでトランプ大統領との会談を優先して欠席をしました。一月には、国と原子力発電環境整備機構、NUMOが開いた原発の高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定をめぐる説明会で、参加者から処分場を北方四島に建設してはどうかという発言に、経済産業省とNUMOの幹部が、実現すれば魅力的だ、一石三鳥、四鳥だと返答し、批判を浴びました。この一連の発言は、NUMO、経済産業省を始め、政府全体で領土問題をどう考えているのかと、軽視しているんじゃないかという批判が出ました。
 なぜこのような発言が出るのでしょうか。担当副大臣、お願いします。

○副大臣(鳩山二郎君)
 御質問にお答えをいたします。
 お尋ねについては、二月三日の衆議院予算委員会で石破総理大臣から、このようなことは絶対にあってはならないことであり、発言がいかなる意図であったかは分からないが、緩み、おごり、思い上がりが、などがあったということだと思っている、政府の責任者として深くおわびを申し上げる旨の発言があったと承知をいたしております。

○紙智子君
 総理からはそういう発言があったということですけれども、担当副大臣としてもそれは同じでしょうか。許し難いこれは発言だというふうに認識はあるでしょうか。

○副大臣(鳩山二郎君)
 御質問にお答えします。当然、私も総理と全く同じお気持ちであります。また、内閣府として申し上げますと、二月三日、資源エネルギー庁長官から伊東北方対策担当大臣に対しておわびがあり、伊東大臣から改めて遺憾である旨を伝えるとともに、御高齢となられた元島民の方々の切実なお気持ちに寄り添い、本件について丁寧に説明を尽くすように求めたところであります。北方領土問題の解決には国民の理解と関心が不可欠であり、このようなことがないよう、内閣府としても引き続き国民世論の啓発等に着実に取り組んでいきたいと思います。

○紙智子君
 昨年、根室の千島歯舞居住者連盟の皆さんと懇談したんですけれども、そのときに、三世、四世はもう一世の話は聞けないと、連盟の活動だけでは限界があるというふうに切実に訴えられました。元島民の方は、我々はもちろん頑張ると、しかし、本来、国が先頭に立ってやるべきじゃないのかと感じるんだということを、率直な訴えがありました。総理の欠席や核ごみ発言というのは、これ、国が先頭に立ってやっているとは言い難いことだというふうに思います。次に、北方隣接地域の振興に資する北方領土館についてお聞きします。隣接地域の発展や振興、さらに国民理解を進めるためにも、啓発施設の維持管理というのは欠かせないものです。二三年の十二月六日の委員会で私質問をし、昨年は、この当委員会の委員派遣での調査でも、北方領土館の老朽化については各委員が目の当たりにされてきたというふうに思います。北方領土館の老朽化に対する検討状況並びに来年度の予算についても伺います。

○政府参考人(原典久君)
 お答え申し上げます。令和七年度政府予算案におきましては、北方領土隣接地域に多くの人を継続的に呼び込み、北方領土問題に関する関心喚起、理解促進を図るとともに、隣接地域の振興にも資するよう、北方領土隣接地域における地域一体となった啓発促進策についての調査研究を新たに盛り込んだところであり、御指摘の標津町の北方領土館については、この調査研究の中で取り上げていく考えでございます。地元自治体や関係団体、関係省庁と緊密に連携協力し、また様々な方の知見もいただきながら、北方領土問題に関する効果的な啓発の在り方等について検討する中で、北方領土館についても検討していきたいと考えております。

○紙智子君
 確認しますけど、調査費は付いたということでよろしいんですか。

○政府参考人(原典久君)
 お答えを申し上げます。令和七年度予算におきましては、北方領土隣接地域における地域一体となった啓発促進策についての調査研究費を計上してございます。この検討の中で、北方領土館につきましても取り上げて検討していきたいと考えております。

○紙智子君
 施設の老朽化ということでは、まさに啓発に対する姿勢が問われていると思うんですね。新設をし、学生たちなどを積極的に迎え入れて、振興に資するためにも、外務省と内閣府と町の住民と、それから居住者連盟の皆さんの声をよく取り入れて、そういう施設にしていくように積極的に進めていただきたいと思います。
 次に、イスラエルによるガザ侵攻についてお聞きします。十八日に、イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区全域への大規模な攻撃を再開しました。十八日から二十日の三日間だけでも五百人以上が亡くなっています。そのうち四割は十八歳以下と報道されています。国連のハディ人道調整官は、恥知らずとイスラエルの攻撃を非難し、停戦をすぐに回復しなければならないというふうに投稿しています。一方、ホワイトハウスのキャロライン・レビット大統領報道官は十七日の夜、トランプ政権とホワイトハウスは今夜のガザ攻撃についてイスラエルから相談を受けていたと言って、事前に攻撃を容認したことを公にしています。このままだったら、更に必要物資が届かなくなるし、犠牲者が増え続ける、またODAの活動にも更なる支障が出てしまいます。アメリカはイスラエルを容認し続けていると、このアメリカの姿勢に政府として抗議しないんでしょうか。

○国務大臣(岩屋毅君)
 御指摘のように、三月十八日以降、イスラエル軍がガザ地区の広範囲で軍事作戦を実施しておりまして、民間人を含む多くの死傷者が発生をしていると承知しております。このことを我が国として強く懸念をしております。米国との間でどういうやり取りがあったかということについては、我々が子細を承知しているわけではございません。せっかく本年一月に発効した停戦合意によりまして人質の解放がなされて、これはもう人道状況の改善と事態の鎮静化に向けた重要な一歩になったと評価をしてきたところであっただけに、非常に遺憾に思っております。この合意のプロセスが止まることはあってはならないというふうに考えておりまして、この米国、カタール、エジプト等にも、引き続き仲介努力を我が国として働きかけていきたいというふうに思っております。

○紙智子君
 現実に大勢の人が亡くなっているわけですよね。そして、今朝の新聞報道ありましたけれども、日本の新聞社の通信員も殺され、家族も亡くなっているわけですよ。だから様子見してはいけないと。直接アメリカやイスラエルに対して抗議すべきだと思うんですね。それ、やっぱりちゃんとはっきり言わないとなると、イスラエルを支援する米国に追従しているというふうに言われても仕方がないと思うんですよね。僅か二か月の停戦で、再建の期待を踏みにじられて暮らしを奪われているわけです。各国では反対の声明を出していますよ。アルジェリアやイギリスを始め、フランスの外務省は、イスラエルの攻撃を非難し、人員解放への努力を危うくし、ガザの民間人の命を脅かす敵対行為、この即時停止を呼びかけると。イスラエル当局に対しては、全ての民間人の永続的な保護を確保し、人道支援物資搬入の障害を直ちに除去すべきであるというふうに言っていますし、十八日は、ユニセフの事務局長キャサリン・ラッセルさんが声明を発表しました。一日当たりの子供の死亡数としては、過去一年間で最多になる日の一つになったと言っているんですよね。それで、世界は、攻撃と暴力を今すぐやめるべきだと、直ちに停戦をするべきと求めています。日本もこのイスラエルに強く抗議をし、アメリカに対しての追従姿勢を改めるべきだというふうに思います。
 最後にもう一つ聞くんですけれども、最後、ODAの予算です。一般会計におけるジェンダー案件についてお聞きします。これ、政府全体の一般会計に計上されているODA一般会計予算、これ二五年度の当初で、先ほどもありました五千六百六十三億五千五百三十七万円計上されているわけですけれども、二五年度でこのジェンダーに配慮した案件というのはどれぐらいあるでしょうか。

○政府参考人(石月英雄君)
 お答え申し上げます。
 政府全体予算、政府予算__全体に占める個別のODA案件の金額及び割合については、各府省庁予算の内容を含むため外務省からお答えすることは困難でございますが、外務省予算について申し上げさせていただきます。
 まず、OECDの開発政策委員会、DACというところがございますが、そこにジェンダー平等に配慮した案件として報告している我が国のODA実績額、これ二〇二二年、令和四年のデータで約百七億ドル、全体額の約五七%を占めてございます。令和七年度予算案、外務省予算案のうちODA部分は四千三百八十億円となりますが、外務省のODA予算の執行自体は、その時々の国際情勢等を踏まえ、外交ニーズや効果を踏まえて実施されるため、現時点でその内訳は確定してございませんが、今後、委員御指摘のジェンダーに配慮したODA案件につきましては、開発協力大綱を踏まえ、お認めいただいた予算の範囲内で、お認めいただけた予算の範囲内で適切な支援の実施が可能となるよう対応していきたいと考えてございます。

○紙智子君
 各省庁についてはなかなか把握できないという話なんだけれども、私どもの事務所で聞いたんです、直接。そうしたら、農林水産省も内閣府も、経済産業省、厚生労働省、法務省、文部科学省、国土交通省はジェンダー配慮案件はないという回答でありました。財務省では、各国、国際機関の拠出金の中で切り分けが困難だということで回答はありませんでしたし、環境省は、明示していないものの中で、水環境に関する国際協力推進費、国際資源循環促進事業が該当だと。それから、総務省では、国連アジア太平洋統計研修所での開発途上国政府統計職員への研修のみ該当ということです。これ、もうODA大綱でジェンダー主流化ということを位置付けているのに、この今紹介したところではゼロなんですよね。こんなことでいいんでしょうか、外務大臣。

○国務大臣(岩屋毅君)
 外務省は、政府開発援助全体に共通する方針に関する関係行政機関の調整を所掌する立場にございますので、委員の御指摘も踏まえて、開発協力大綱においてしっかりうたわれているジェンダー主流化を含むインクルーシブな社会の促進の原則がそれぞれの事業、各省の事業に少しでも浸透していくように、外務省としてしっかり役割を果たしてまいりたいと思います。

○紙智子君
 しっかり役割を果たすということで、是非、各省庁も含めて取りまとめていただきたいと思うんですよね。ジェンダー主流化ということで位置付けてほしいと。昨年十月、CEDAWの勧告でも、政府のあらゆる政策においてジェンダー平等を主流化し、都道府県及び市町村を含む政府の全てのレベルにおいてジェンダーに対応した予算編成をするべきと指摘もされています。ODA大綱でジェンダー主流化を位置付けているにもかかわらず、余りにもやっぱり政府全体として位置付けが弱いと。取りまとめるだけでなくて、やっぱりジェンダー主流化の取組の強化を強く求めまして、質問とさせていただきます。