◇食料・農業・農村基本計画案/自己責任でなく農家支援を
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
まず初めに、我が党としても基本計画に反映してほしい内容を、三月三日でしたけれども、要請、申入れをいたしました。大臣には時間がない中で受け取っていただいたということであります。
閣議で決める前にこうやって今審議をしているわけですから、是非ともこの議論の中身を反映させたものにしていただきたいと思います。
それで、大臣は農政の大転換が求められているというふうに言われています。私も、農政は大転換しなきゃいけないというふうには思っているんですね。大臣の言う大転換というのは、何を指しているんでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) いわゆるこのじり貧の状況から抜け出すということに尽きると思います。
もういわゆる、あらゆるトレンドが、もうこのままでは日本の農業の未来は暗いという数字を示しています。しかし、可能性が全くないわけではなくて、これだけ世界中が自分たちの国さえ良ければいいというようなトレンドになってきたこの時代においては、日本も独立国家として食料の自給率を上げ、安全保障の確立をするということは、エネルギーの安全保障やいわゆる国防の安全保障、それから半導体の安全保障、様々ございますが、その中でも食の安全保障は極めて大切な分野だと思っています。
ですから、このことを国民の方々も御理解いただければ、私はこれまでとは全く違う世界がまた開けると、私自身は信じています。日本の農業には明るい未来があると思っていますし、十年先に農業をやっている若者は、農業やっていてよかったと、やはり自分の選択は間違いじゃなかったと、私の息子もそうですが、農業に身を投じてよかったと思ってもらえるような、そういう明るい未来を目指していきたい。
小さな構造、小さないわゆる施策の、ちょこちょこっとやることではなくて、いわゆる方向性が変わっていくと、未来が変わるぐらいの大きな政策の転換ができたらいいという気持ちで大転換という言葉を使わせていただきました。
○紙智子君 大転換すると、そのためには、やっぱり私は農林水産予算も大幅な増額が必要だと思っていましたので、今年度、二十億だけ増えていたということですから、その転換の中身については恐らく多少違いがあるんだろうなというふうに思います。
そこで、これ実は通告していなかったんですけれども、この農業基本法の改正前の段階で、今、自民党幹事長をされている森山裕さんが、おととしですね、JAの食料・農業・地域政策推進全国大会があって、そのときにこう言われたんですね。新自由主義の考え方によって地方や第一次産業の厳しさが増している、基本法の改正のポイントは新自由主義からの転換だということを強調されたんです。私も聞いていて、思わず同感だなというふうに思ったわけですよね。
それで、これ、実は農業新聞の大会のときにも同様のことを言われていて、その点は私も同感だと思っているわけなんですけど、この新自由主義の農政というのは、私の理解では、やっぱり価格を市場に委ねつつ、まあ競争原理ですよね、強いところは生きていくけれども、弱いところは消えてもしようがないという考え方で、十分な下支えもないまま生産者に自己責任を迫るという農政の中身だと思うんです。
森山さんはその新自由主義からの転換だと言われたんですけれども、これ、大臣はその辺はどうなのかなと、新自由主義からの転換をされるのかなということについて、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 今回のお米の問題でもそうですけれども、あらゆる物の価格は市場で決まるということについては、私は大原則だと思っています。しかし、それを作るに当たって、どれだけ競争力を持たせるかということについては政治に責任があると思っています。例えば、生産性の低い農地を農家の方々にお願いをして、そこで十分な収穫が得られない、だから収入が得られないということは政治の大きな責任があると思っています。
そして、食料の安全保障ということを考えたときには、時にはいろいろ、財政審辺りは、国、多額の税金で支えられているじゃないかというような指摘をされますけれども、それはあくまでも農家のためのこれは施策ではなくて、日本の国で生きている国民の生活を維持するためにこれはやっていることであって、国体を維持するために必要な施策だということを十分理解していただくということであれば、税金を投入しながら農業の下支えをし、そして未来を切り開いていくような農政の展開は決して間違いではないと思っています。全てを市場に任せればいいということは私も正しくないと思っております。
○紙智子君 農家の人たち回って歩くと、やっぱりこの新自由主義的な農政については評判が良くなかったわけですよ、悪かったというか。やっぱり、自己責任を迫るということではなしに、やっぱり懸命にやってもいろんな事情でもってなかなかうまくいかない人たちもいるわけですから、そういうやっぱり赤字で苦しんでいるところをやっぱり支援していく、助けていくということが大事ではないかというふうに思います。
そこで、これもずっと議論になってきていますけれども、食料自給率の問題についても聞きます。目標ですね。
一九九九年の旧農業基本法の後の基本計画の中で、食料自給率は目標を掲げても一度も達成されなかったわけです。二〇二三年に会計検査院が、食料、農林水産省は目標を達成していなかった場合の要因分析を行っていなかったということを指摘しました。今回の基本計画では、カロリーベースは現状を維持したわけですけれども、新たに摂取熱量ベースでという指標が出されたわけなんですけれども、この摂取熱量ベースというのはどういう目標なんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省総括審議官 山口 靖君) お答え申し上げます。
今般、現行のカロリーあるいは生産額ベースの自給率に加えまして、一人当たりの必要な摂取熱量に対してどの程度国内生産が確保されているのかを示すために、国民に供給される食料から食品ロス等を除いた熱量である摂取熱量を分母とし、国内で生産される食料の熱量を分子とする摂取熱量ベースの食料自給率を新たに示すこととしたところでございます。
これによりまして、消費者の皆様方に食品ロスなどの削減により関心を持っていただき、ひいては食料安全保障にも資すると考えてございます。
○紙智子君 今まででいうと、カロリーベースの食料自給率で見ていたと思うんです。そのときは国産の生産熱量を供給熱量、これは輸入も含めてですけれども、その供給熱量でもって割り出して、出てくるのが、パーセントが食料自給率ということで、それをもって、だから、私たちが見るのは、じゃ、今国産で作っているその食料はどのくらい外国に担ってもらわなきゃいけなくなっているかと、頼っているかということを比率として分かるものだったと思うんですよ。
今回、そのカロリー、食料ロスを除いた数字というふうに言われるんだけれども、それを分母の部分から除くんであれば、分子は全然手付けないで同じ形で計算していたら一体どうなるのかなと、この辺がよく分からないんですよ。ちょっとこの間何回も聞いているんだけれども、どうもこれよく分からないわけなんですよね。もしその分母からそれを引くんであれば、分子だって同じようにやらなかったらちょっとおかしなことになるんじゃないのかというふうに思うんですけど。
○政府参考人(農林水産省総括審議官 山口 靖君) 繰り返しになりますが、今回、摂取熱量ベースの自給率を設けた趣旨は、一人当たりの必要な摂取熱量に対してどの程度国内生産で賄うことができるのかということを示すためのものでございますので、分子である食料、国内の生産につきまして操作を加えることは不適当だと考えております。
なお、この摂取熱量ベースの自給率の算定におきまして、分子の国産熱量は、分母でも、その摂取熱量で除かれます歩留りみたいなものは、例えばキャベツの芯とか魚の骨とか、そういうものは既に考慮した数字として計算されてございます。
○紙智子君 何かよく分からないんですよね。
それで、私、二〇二三年、二年前にも自給率の問題で質問していて、これ指標になっているのが厚生労働省の身体の活動レベルに合わせた必要なカロリー計算と、農水省としては座ったままの仕事が中心の人が必要となるカロリーを二千百六十八キロカロリーと試算していて、カロリーベースでの食料自給率というのは日常生活を営む上で必要最低限のカロリーがどの程度国産で確保されているかを示している数字と、で、これは食料安全保障を表す数字というふうにも説明を受けていたわけなんですよね。
それがどうして摂取熱量という、摂取熱量ですか、というふうに置き換わっているのかというところもなかなかよく理解できないし、まあ、いいです、いいです、それで、分かりづらいというのは皆さんおっしゃっていて、そういう分かりづらい指標を新たに持ち出すんであれば、やっぱり、そもそも今までつくってきたものを一日も早く、四五%が今度の計画の目標になっているわけだから、それをやっぱり早く達成できるように具体的にどうするかということを示す方が必要じゃないのかなというふうに思います。それが、ちょっとこの間の何回かレクチャーで聞いているんだけどよく分からないという中で感じていることなので言っておきたいと思います。もっと分かりやすくした方がいいんじゃないかということであります。
それで、食料自給率を高めていくためには、輸入に依存している麦や大豆の国内生産を増大させるというのももちろん必要なわけですよね。
それで、財務省がこの間、いや、支援は要らないんだというふうに攻撃してきていた飼料用米を本格的に拡大することが必要だというふうに思うんです。基本計画の中には飼料用米中心の生産体系を見直すと記載されているわけなんですけれども、飼料用米の作付けを大幅に拡大するというふうに本当は書くべきじゃないのかと思うんですけど、これ大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 増やすべきと書くべきということですか。
これは、生産者の方々が、主食用米を作るのか飼料用米を作るのか、それから酒好適種米を作るのか米粉用米を作るのか、それはもう生産者の方々が選択することでありますので、それを、こちらの方でこれについては増やすとか減らすとか書くのはなかなかちょっと難しいということで、こういうことになっております。
二〇二三年の七百九十一万トンが全体の生産量でありますが、これを八百十八万トンまで増やすというKPIを設定しておりますので、その八百十八万トンの中に主食用米、加工用米、米粉用米、飼料用米が内包されているということでありますから、それぞればらばらに数字を書くのはちょっと困難だということでございます。
○紙智子君 江藤大臣ね、この間の議論の中でも主食用米から飼料用米に転作した場合の助成の引下げということについては全く考えていませんというふうに言われてきたと思うんですね。しかしながら、実際には既に昨年度から一般品種の飼料用米の助成単価が段階的に引き下げられてきていると思うんです。その状況でいえば、基本計画で示した食料自給率を上げることさえ難しくなるんじゃないかと。
それで、飼料用米を含む、今お話がありましたけれども、飼料用米を含む米全体の生産量が七百九十一万トンから八百十八万トンに伸ばす計画なわけですけれども、米の作付面積でいうと、これさっきも話になっていましたけど、百四十八万ヘクタールから五年で百四十四万ヘクタールに減ることになっているわけですよね。
それで、農地を減らしていく目標で、この作付面積が減っていくのに二十七万トン増産するという計画になっているということなんだけど、これはどうやってできるのかということがまずちょっとお聞きしたいと思います。
○政府参考人(農産局長 松尾 浩則君) まず一点、先ほど飼料用米の助成の単価というのございました。一般品種は一部下げております。現在、多収性の品種はやはりしっかり作ってほしいということで、多収性の品種の飼料用米は単価は継続しているということが一点でございます。
それから、先ほど米の作付面積、それから生産量のお話ございました。私ども、その主食用米の国内需要の減少というところは避けられない中で、やはり輸出ですとか米粉とか、こういったものは拡大していくということで、生産量全体として見れば、七百九十一万トンから八百十八万トンまで増加していくというところで見通しております。
その中で、単収の増加と、今多収性のものを入れながら単収の増加ということで入れておりますので、面積につきましては百四十八から百四十四ということで僅かに減少する、そういうふうに計算しております。
○紙智子君 まあ多収性の品種でもって、もっと増やすんだということが今答えだったと思います。
もう一つ、それと同様に、麦とか大豆についても目標のところに書いてあるんですけれども、小麦でいうと、北海道、九州で二十三万ヘクタール、面積はですね、二十三万ヘクタールから二十六万ヘクタールに、作付面積三万ヘクタール増やすんだと。ところが、生産量は百九万トンから百三十七万トンということで、二十八万トンということですから二割増えるということですよね。そして、大豆は、北海道、関東地域で十六万ヘクタールから十七万ヘクタールへと、面積そのものは一万ヘクタールしか増えないんですけれども、生産量については二十六万トンから三十九万トンということで、十三万トン、五割増ですかね、というふうになっているわけなんですよ。
それで、作付面積がそんなに増えないのに、生産量で、小麦で三割増、大豆で五割増というのは可能なんでしょうか。
○政府参考人(農産局長 松尾 浩則君) 小麦、大豆につきましても、単収をちゃんと上げながら生産性を上げて農家所得も確保していく、こういったことが非常に重要だと思っておりまして、小麦、大豆、いずれも多収性品種、今出ているものをしっかり普及しまして単収を上げていくと、そういうふうにしております。
○紙智子君 単収を上げていくということは、どういうことでやろうとしているんですか。
○政府参考人(農産局長 松尾 浩則君) 基本的には、今単収を結構たくさん取っておられる方は、ほぼほぼ多収性の品種、新しい品種を入れると。そのためには、いろんな土地改良とか、いろんな基本技術の励行がございますけれども、そういった、まずはしっかり取れる多収性の品種を普及させていくということが大事だというふうに考えております。
○紙智子君 あと五年の中でそれやっていくということになるんだけれども、五年で面積が狭くなっても増やすってなると、例えば化学肥料だとか農薬だとかを使わざるを得ないということはないのかなというふうに思うわけです。
基本計画では、この化学肥料や農薬の低減をうたっているわけですから、それとの関係でいうと、ちゃんとうまくいくのかというのもちょっと聞きたいところなんですけど。
○政府参考人(技術総括審議官 堺田 輝也君) お答えいたします。
化学肥料、農薬を削減すれば、その意味では収量が低下するおそれがあるわけでございますけれども、堆肥を活用した土作り、あるいは肥料の効率的な利用、あるいは病害虫に強い品種、こういったものを導入することが大事だというふうに考えております。
そういったことを通じまして、収量の向上と環境負荷の低減の両立を図っていくということを考えているところでございます。
○紙智子君 そうすると、やっぱり化学肥料だとかに頼らない方向でどうやっていくのか、今ちょっと幾つか土作りの話とか言われたんだけれども、それをやるとしたら、やっぱり何もなしにできないんだと思うんですよね。いろいろと費用が掛かったりもすると思うんですけれども、そのための支援なんかも示すべきではないかと思うんです。
実際にこの増やす計画自身を、こんなふうにしてやればできるということでもっと具体的に示さないといけないんじゃないかなというふうに思います。
それから、あっ、これについてありますか、もっと具体的にということで。
○政府参考人(農産局長 松尾 浩則君) 先ほど委員御指摘の、化学肥料を低減しながらきちんと肥料、国内産の肥料を上げていこうということで、私ども今、堆肥、一生懸命普及していくようにということで施設の整備でございますとかやっておりますので、そういったものをよく活用しまして、国内資源の肥料ということで対応していきたいというふうに考えています。
○紙智子君 これも、目標としては掲げているんだけど、実際にやり出すと本当に大変なことではないのかなと、現実は、というふうに思います。そういうのも本当に把握しながらやっぱり必要な支援はやっていく必要があるんだろうと思います。
それから、経済的な食料アクセスの問題で、以前、私の質問に対して、当時、坂本農水大臣が、一人一人の国民が食料を入手できる状況を権利だと解釈しているというふうに答弁しました。つまり、政府としては、食料へのアクセスというのは国民一人一人にとっては権利であると認めている発言だったと思うんです。
農林水産省がこの食料へのアクセス権を所管しているのかどうか、これはどうでしょうか。
○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 安岡澄人君) お答えいたします。
先ほど、改正の食料・農業・農村基本法の第二条において、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態の確保が図られなければならない旨が規定されたところでございます。
権利とは書いてはいないものの、国民一人一人が安定的に食料を入手できるようにする、このことは国の重要な役割という形で位置付けられているものというふうに認識をしております。
○紙智子君 そうであれば、食料へのアクセスは生存に不可欠の権利であり、その充足は政府の責任であるというふうに書くべきでないかなと。書いてあるんですか。書くべきじゃないのかなと。
今、九人に一人の子供が満足に御飯を食べられていないと言われています。栄養状況や飢餓人口や、特に子供、お年寄りの栄養不足の状況の実態把握というのは必要だと思うんですけれども、これはされているんでしょうか。それとも、これからするんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 安岡澄人君) お答え申し上げます。
まさに委員御指摘のとおり、食品アクセスの問題においては、まずは取組実態とか現場の実態把握というの、これは非常に重要なこれから課題だというふうに思っております。
来年度からになりますけれども、経済的食品アクセスの実態だとか取組状況の全国的な調査を行うということのほか、各地域それぞれ課題が異なりますので、地域で課題を把握して、その解決に向けて関係者が連携して取り組む地域の体制づくり、こういうものも進めて、実態を把握をしながら現場現場の実情に応じた取組と、進めていければというふうに考えております。
○紙智子君 それ進める上では、やっぱり厚生労働省任せではなくて農水省としてきちっと把握をする必要があると思うんですね。で、やっぱり対策を取るべきだと思うんです。
それで、計画案の記述の中には、寄附の見える化とかマッチングとか寄附の促進ということで、どうも寄附頼みになっているなという感じがするんですよね。やっぱり、寄附というのはそもそもそれぞれの自覚的なことでやることですから、何か初めからそれを期待してというのは、ことがこういうふうに何回も書かれると、ちょっと違うんじゃないかなというふうに思います。
本来、やっぱり政府の供給する責任ということをはっきりさせるべきだと思うんですけども、これ、どうですか。
○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 安岡澄人君) お答えいたします。
現在、そういう経済的アクセスの活動というのは、様々な未利用食品などを活用しながら、フードバンク、子供食堂などが活動されているという実態がございます。
まずはそういった民間の皆さんの取組をベースに進めていくということで、今、食品ロスになっているような食品もかなりあります。そういう中で、フードバンクのところにまだまだ活用できるのに使われていないものもあったりするということがございますので、そういう使われていない食品をしっかり活用していくということをベースにしながら、取組をしっかり進めていきたいというふうに考えております。
○紙智子君 ちょっと、次に酪農に移りたいんですけれども、酪農については百三十六万頭から百十七万頭に減らす目標になっていますよね。酪農家の戸数が減るということを想定しているということなのか、今赤字で崖っ縁の経営を強いられている酪農家もいらっしゃるわけですけれども、あえてそれを見捨てようとしているというふうに言われても仕方がないんじゃないかというように思うわけです。
それで、生産者に対して、これまで国としては、需要に応じた生産をするようにと、価格は市場が決めるんだというふうに言ってきたわけです。価格が下がったのは余らせた農家の責任と言わんばかりの自己責任を押し付ける対応をやってきたというふうに思うんですね。それではやっぱり、離農する広がりというものが、大規模経営の場合でもそうだし、なかなか続かないということになると思うんです。この先も離農が続いてしまうというふうに思うんですよ。
資材高騰が高止まりしている事態の中で経営改善がなかなか進まないと、そういう状況の中で、やっぱり離農しないでも続けていけるための緊急対策というのを直ちに打つべきだと思うし、それと同時に恒久的な対策を位置付けるべきだと思うんですけれども、これは、じゃ、大臣にお願いします。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 酪農家の皆様方におかれましては、酪肉近の数量の目標が高過ぎたという御指摘もありましたし、そして今、新しい酪肉近に向かって今努力をしている最中でありますが、やはり現場の御意見をしっかり承った上で、今後の見通し、それから数量の設定もしなければならないというふうに思っております。
何といっても酪農家の方々にとって一番大切なものは、生乳の値段が一番大事。その生乳の値段を、やはり民民ではありますけれども、乳メーカーと交渉する場合には、今回四回、加工を入れて四回ですが、上げることができました。
これは、やはり脱脂粉乳を積極的に処理してきたということが非常に間接的ではなくて直接的に私は効いたんだろうと思っております。そしてまた、今年の令和七年六月にもまたキロ六円上げることが大体もう決まっておりますので、これもまた、これは上がると大体経済効果としては二百億ということでありますから、過去の四回の上げで一千二百億の所得の向上が図られておりますので、こうやってやっぱり脱粉の処理などを間接的に我々やることによって、生乳の価格の安定を図ることによって酪農家の経営を安定させていきたいというふうに考えております。
○紙智子君 関東の酪農家の人や岩手に行っていろいろ懇談してきたんですけど、やっぱり、例えば、人使っているところなんかはずっと高止まりしているという中で、人件費を出すことが非常に大変になっているという話も出されていましたし、やっぱりもうぎりぎりのところで支えて、何とか頑張っているところをやっぱり続けられるように緊急対策をやっていただきたいというふうに改めて要請をしたいと思います。
それから次に、基本計画の中で、女性農業者の割合を、やっぱり地域の方針策定に参画する割合を増やすということですとか、あるいは規模拡大、事業の多角化のための経営基盤の強化のところに位置付けて、農業が若者や女性に選ばれる産業となるようにということで、法人の従業員としての定着とか雇用の問題とか、そういうことがいろいろ書かれています。
それで、もう一か所は、その継続的な雇用に向けて、子育てのライフステージに合わせた働きやすい環境をということも書いてあるんですけれども、それ自体は否定するものではないんだけれども、ただ、現実には、やっぱり多くのその農家の女性たちというのは、やっぱり、今基幹産業の四割占めているわけですけれども、実際には貢献が十分可視化されているかというと、あんまり見える状況ではないんじゃないのかなと思います。
そして、直面する課題についても十分な対策が講じられているとは言えないんじゃないかと。女性による経営への意思決定の参画、これはもちろんなんですけど、やっぱり農業と家事とか育児とか介護とか相当いろんな過重労働があるわけですから、ここをやっぱりもっと楽にしてやんなきゃいけないし、妊娠、出産、育児ですね、この時期における農作業の場合は本当に厳しいわけですから、そこを補助する。例えば、農作業を補助するというようなことなんかの仕組みも整えていくとか。
フランスなんかでは、農業共済制度を、保険を活用しながら労働力代行サービスというのが大分昔からあるみたいなんだけど、日本の中でも、同じとは言わなくても、国としてのそういった支援体制を検討すべきではないかというふうに思うんですけれども、これは大臣、いかがですか。
○政府参考人(農林水産省経営局長 杉中 淳君) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、農業に従事する女性は家事や育児を行う時間が男性に比べて約七倍となっておりまして、その負担の軽減に取り組んでいく必要があると考えております。
このため、基本計画案におきましては、議員御指摘のように、子育てなどのライフステージに合わせた女性が働きやすい環境整備を推進するということを位置付けることとしております。
そのための具体的な取組としては、女性農業者の育児と農作業のサポート活動や農業経営体への託児スペースなどの整備への支援を行うほか、家事や農作業の負担度割合を見直すためのワークシートの活用や、それを踏まえて家族経営協定の締結推進などを通じて、家族間での役割分担や就業条件の明確化にも取り組んでする、このような取組を通じて女性にも長く農業に働いていただくような環境づくりを進めていきたいと考えております。
○紙智子君 ちょっと残り少なくなったんですけれども、ですよね、そうだ。それで、基本法四十三条二項に基づいて、農業振興策だけではなくて、医療、教育、介護、福祉、生活物資の供給などを、荒廃し続けている農村の生活基盤の整備を本格的に行うことが求められていると思います。
農業、農村を担当する国や自治体の行政職員、ここが本当に一人で何役もやっているとか大変なことなんですけれども、で、地域間格差を解消するということも課題ですけれども、全国町村会がこの間、そういった問題を含めて提唱している農村価値創生交付金というようなものを創設してほしいと、予算措置をやってほしいということを要求しているんですけれども、これ大臣、是非検討していただきたいと思いますが。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) これは前回の大臣のときにも御質問をいただいた記憶があります。
こういう地方にとって使い勝手のいいお金があることは、例えば森林環境譲与税のような形ですから、非常に有効だとは思いますけれども、果たしてこれを私がこの農林水産政策として推進することが適切なのかどうか。これは委員御指摘のとおり、その農業政策だけのものではないということでありますから、地方創生交付金のようなものは、今回分配もされましたけれども、これ、そういったものがこの趣旨に沿ったものであろうというふうに思うんです。
ですから、こういう名称にはこだわらず、やはり、地方にとって使い勝手のいい交付金のような形が継続的に地方に配られて、独自の判断で地域振興を図るということは極めて有効だろうというふうに考えております。
○委員長(舞立昇治君) 紙さん、おまとめください。
○紙智子君 時間ですね。
地方にとって本当に使い勝手がいいものをきちっと予算としても使えるようにしていくということが大事だと思うんです。
最後になりますけれども、今回、水田政策に書いてあるんですけど、現行の水活の見直しや、見直しに伴う既存施策の再編によって得られた財源を活用するというこの表現は、結局増えないよという話に聞こえてきてしまうんですけれども、もちろん、整備してもっとより良くしていくというふうに変えていくという上で検討した結果、必要なものはまた申請していくというか、要請していくというふうにするべきだということは最後に申し上げまして、終わります。