◇急がれるクビアカツヤカミキリ被害対策
農業用ハウスの大雪被害/被災農業者支援タイプの発動を
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
クビアカツヤカミキリの被害について質問します。
まず、環境省に対してですけれども、昨年の十二月に和歌山県に行きまして、被害に遭った桃園や桜並木を見てきました。それから、和歌山県のかき・もも研究所から現状も聞いてきました。二〇二四年の十月の被害が一千四十園地で、桃、スモモ、梅の被害が四千九百九本、桜などの被害が百五十二か所で三百六十五本に広がっているということでした。
この十年間で近畿圏では八府県、関東でも六都県、合計で十四都府県に広がっています。私、昨年の四月と十二月に質問しているんですけれども、十二月のときに大臣は、非常に繁殖力が強くて駆除が難しいと、都道府県、市町村と連絡を取りながら対策を進めるというふうに言われました。政府も、関係省庁が連携した対策を強化する必要があるということですよね。
まず、環境省にお聞きするんですが、特定外来生物防除等対策交付金は、特定外来生物の駆除、早期防除計画の策定、必要な調査や検討を支援する交付金で、地方公共団体の自己負担、これ最大で四分の一に軽減されるわけです。申請は多いというふうに聞いているんですけれども、これ申請どおりに満額交付決定をされているんでしょうか。
○政府参考人(環境省審議官 飯田博文君) お答え申し上げます。
環境省では、平成三十年にクビアカツヤカミキリを外来生物法に基づく特定外来生物に指定し、地方公共団体が実施する生態系等に係る被害防止対策について令和五年度から交付金による支援を進めており、令和五年度は二十件、令和六年度は三十七件支援を行っているところであります。地方公共団体が実施する被害防止対策は令和五年度から特別交付税措置の対象にもなっており、交付金と併用した場合の地方公共団体の実質的な負担は最大で四分の一まで軽減されます。
一方で、委員も御指摘のとおり、本旨の対策に関しましては多数の地方公共団体から申請があり、必ずしも全ての申請に対して満額交付とはなっておりませんけれども、引き続き必要な支援を行えるよう対応してまいりたいと考えております。
○紙智子君 必ずしも申請どおりに交付できてはいないということだと思うんですね。
それで、廃校になった学校の桜の木を見てきたんですけれども、これ、木の根元に、幼虫のふんと木くずが混ざっている、フラスというんですね、フラスというのが排出されていました。放置すれば桃や梅にも広がるというふうに心配をされていると。クビアカは一匹の雌が一千個も卵を産むので、卵を産む場所がなくならないと解決しないんじゃないかというふうに言われるぐらい深刻なわけです。
果樹は農家が管理できるんですけれども、この街路樹とか学校の桜というのは誰が日常的に管理するんでしょうか。
○政府参考人(環境省審議官 飯田博文君) お答えを申し上げます。
クビアカツヤカミキリの被害防止対策については、原則としてそれぞれの土地及び施設の所有者や管理者において取り組んでいただくべきものと認識しております。例えば、街路樹の場合であればそれを管理している自治体など、学校の場合には学校法人等になります。
○紙智子君 なかなか大変だと思うんですよね。花見ができなくなるんじゃないかとかですね、広がっていったら桜の名所がなくなるんじゃないかという心配の声も出されています。日常的な注意喚起と支援策の周知を是非強化してほしいと思います。
それから、桃農家の園地も案内をしていただいて見たんですよね。農家は一昨年と昨年で一気に広がったと。二年間で園地の八割の桃に被害が出た。今年、二〇二四年ですけれども、あっ、今年、これはその現地で言っていた人で去年の話なんですけど、二〇二四年なんですけれども、今年は赤字で来年もめどがないというふうに言われました。ですから、急がれるのはこのクビアカツヤカミキリの捕殺、産卵防止策ということです。
研究所ではいろんな実証実験がされているんですけれども、ネットを巻き付けて、木に巻き付けて拡散防止をすると、産卵防止ということにもなると、効果的だというように聞いたんですけれども、この捕殺や産卵防止策、ネットの効果についてどういう効果があるのかということを説明いただきたいと思います。
○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 安岡澄人君) 委員御指摘のとおり、クビアカツヤカミキリは非常に繁殖力が強くて、現場では産卵をいかに減らすか、産卵対策が非常に重要でございます。
こうした中で、今委員からお話もございましたとおり、成虫の飛散防止のために、幼虫の食害、今おっしゃったフラスが見られるような幹にネットを巻き付けて外に出ないようにするといった対策、さらには、成虫に対して農薬で防除するといったような親世代の密度を減らして産卵数を減らすというのが有効な対策となっているところでございます。
また、こうした産卵抑制対策のほか、著しく被害を受けた木の伐採ですね、まさに発生源となるような木の伐採であるとか、そういった現場の防除の取組に対して消費・安全交付金で支援を行っているところでございます。
加えて、令和六年度補正予算で新たな技術の導入なども実証支援をしているところでございますので、引き続き、関係省庁、そして都道府県、市町村と連携しながら対策を進めてまいります。
○紙智子君 今、いろいろ説明もあったんですけれども、ネット巻いたりとかこの伐採費用だったり薬剤散布などは、これ支援としては二分の一の支援ということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 安岡澄人君) 国の支援としては二分の一ということでございます。
○紙智子君 次、経営支援についてなんですけれども、樹体の撤去費用ですとか、それから改植に必要な苗木代ですとか、それから未収益期間の支援が必要だと思うんですけれども、この点についてはどうでしょうか。
○政府参考人(農林水産省農産局長 松尾浩則君) お答えいたします。
クビアカツヤカミキリ、こういった被害に遭った園地の再生に向けまして、伐採後に改植する場合は、果樹経営支援対策事業ということで、まず改植費用として桃や梅の場合は十アール十七万円、あるいは改植後の未収益期間における管理経費として十アール当たり二十二万円の支援を行うこととしております。
○紙智子君 十アール十七万円で、未収期間二十二万ですから、合わせると三十九万円ということですよね。そういう交付金で出てくるということですよね。
それから、和歌山の研究所では、生態の解明やネットなど物理的な防御対策の効果を調べる試験研究、それから防除対策のマニュアルの作成などで努力をされていたんですよね。それで、環境省と農林水産省にお聞きするんですけれども、和歌山の研究所は地域に根差して本当にそこのところを研究されている、なくてはならない研究所だなというように思ったんです。
害虫研究費とか、それから研究員なんかも、やっぱり人手が必要だということではそういうところを強化すべきじゃないかというように思うんですけれども、この点、農水省としてはどうでしょう、支援は。
○政府参考人(農林水産省技術会議事務局長 堺田輝也君) お答えいたします。
農林水産省におきましては、クビアカツヤカミキリによるこの被害の拡大防止に向けまして、効果的な防除技術の確立に向けた研究開発を進めているところでございます。
これまで、先ほどのネット巻きの技術を含めた防除マニュアルを策定し、産地への普及を進めてきたところでございますし、また、現在、イノベーション創出強化研究推進事業という事業におきまして、天敵や振動を利用した行動制御による新たな防除技術の開発を進めておるところでございます。
本事業では、委員御質問の研究員の人件費も含め、人件費の経費も対象としているところでございまして、国の独法、自治体、それから企業と関係機関の勢力を結集して研究を実施しているところでございます。
○紙智子君 三千万円の上限で、これでもって例えば必要な人を確保できるということも含まれているということでよろしいんですか。
○政府参考人(農林水産省技術会議事務局長 堺田輝也君) 経費の対象に含めて進めているところでございます。
○紙智子君 そこで、大臣にお聞きするんですけれども、大臣が非常に、このクビアカというのは非常に繁殖力が強くて駆除が難しいと、都道府県や市町村と連絡を取りながら対策を進めるというふうに以前も答えられていたと思うんですね。
それで、今、各地の観光名所ですとか、それから街路樹、個人宅でもクビアカツヤカミキリが確認をされているということも聞いています。各地からもそういうの出てきていると。農業にとってもこれ本当に甚大な被害が発生しているということで、しかしながら、今お話ありましたけれども、環境省の予算としてはなかなかニーズに追い付いていないということがあるわけです。
害虫を早期に発見、防除するということとともに、果樹経営が継続できるようにするためには、このクビアカに関わる予算を全体として増やしていただきたいなというふうに求めたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 委員おっしゃるように、桃や梅の一大産地、例えば和歌山県のみなべ町ですか、こういったところにも大分接近してきていると、ここに来たら大変なんで、一大産地がやられてしまう可能性も出てきたということでありますので、緊張感を持っております。
ですから、今環境省さんからもお話を聞きましたし、我々としても対策を打っておりますが、これで十分かどうかしっかり検証したいと思います。足りなければ補完することは当然必要でしょうし、しかし、お金がたくさんあるからといって防除できるものでもない。ですから、現場の声をよく聞いて、予算の面でも対応してまいりたいと思います。
○紙智子君 是非よろしくお願いしたいと思います。
次に、大雪被害についてお聞きします。
今年、非常に広範囲で大雪被害が発生しました。北海道は、いつもは少ない十勝で記録的な大雪が降って、農業用ハウス、畜産用の施設、倉庫などで被害が発生しました。それから、青森はリンゴですね。それから、農業用ハウスということでいうと、福島では八百七十五棟、愛媛県でも百六十棟が倒壊したと。で、八幡浜市ですね、ここはかんきつ類ですけれども、それを栽培するビニールハウスに被害が出ています。農業用ハウスの被害は二千棟を超えているというふうに聞いています。
大雪被害で私思い出すのが二〇一四年の関東での、関東を中心にした大雪被害のときなんですけれども、このとき農林水産省が打ち出した被災農業者向け経営体育成支援事業というのがありました。今名前が変わって農地利用効率化等支援交付金、また、被災農業者支援タイプというふうになっているわけですけれども、昨年の能登半島地震のときにはこれ発動されたと思うんですね。
それで、県や市町村がこれ補助の上乗せをすると、補助割合が幾らになるんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省経営局長 杉中淳君) お答えいたします。
能登半島地震により被害を受けた農業用ハウスや農業用機械の復旧を支援する農地利用効率化等支援交付金の被災農業者支援タイプでは、委員御指摘のように、国の支援に加えまして県や市が任意で上乗せ支援を行えることとしております。
石川県では、県で十分の二、市町で十分の二の上乗せ支援を行っており、国の補助と合わせると補助率は最大十分の九となります。
○紙智子君 そうですよね。この十分の九ということになるとかなり助かるとは思うんです。
それで、被害状況を是非早期に把握してほしいと思うんです。雪が多い福島の農業用ハウスの被害が八百七十五棟、比較的雪が少ない十勝でも三百棟、それから四国の愛媛で百六十棟の被害ということで、特に共済に加入していない未加入者ですね、この人たちは撤去から再建に向けて全くめどが立たないと、営農を諦めるという話も出ているということなんですね。未加入者への支援というのもやっぱり必要だと思うんです。
気象庁は、今年は、日本海寒帯気団収束帯と言うんですかね、難しい言い方ですけれども、といって、大雪をもたらす気団が発生しているんだと注意喚起をしました。しかし、経験のない大雪に備えるといっても、これなかなか簡単ではないと思うんです。
それから、今、各地で地域計画の作成が進んでいるんですけれども、やっぱり地域計画で担い手を確保していこうというふうに思うと、この離農を防ぐ必要があるんじゃないかと思うんですね。ですから、被災農業者の支援タイプ、これを是非発動していただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 経営体育成事業、私もよく覚えています。埼玉の方々がかつてない支援の水準でやってくれて、おかげで立ち直ったという話を随分聞いた記憶があります。今は名前が変わりましたけど、御指摘のとおりですね。
これが発動できれば、それはとてもいいんですが、過去の例をちょっと、私も御質問いただいたんで聞いてみたんですけれども、かなり規模のでかいときに、例えば平成二十四年、二十五年のときは八万というロットの施設が被害に遭ったと。もうこれ八万が基準だと言っているんじゃないですよ、それぐらいのロットであったということでありますので、まだ、先週も委員会で答弁させていただいたんですが、まだ雪の下にあって、どれぐらいの被害があるか、まだつかめておりません。ですから、その被害の報告を先週の金曜日も農林水産省から求めたんですが、役所の方も、まだ雪の下なので確定的な数字は申し上げられませんという報告しか上がってきていませんので、その経過を見ながらやらせていただきたいと思います。
それから、共済の未加入の問題は何度か議題になりましたけれども、共済に入るという意思を示していただければ、改植とか、そういったものについては手当てすることが可能ですので、是非そういった制度も御利用いただきたいと思います。
極めて大規模な災害のときに限ってこの農地利用効率化等支援交付金というのは出されているということは御理解いただいた上で、被害の全体の把握にまずは努めていきたいと思っております。
○紙智子君 被害全体の把握ということを言われて、それはそうだというふうに思うんです。
ただ、やっぱり実際に制度というのはあるので、使わない理由を挙げないで、やっぱり最大限まずは利用すると。同時に、やっぱり規模がいつも問題になっていて、規模が小さくても被害を受けた人は同じなんですよね。ですから、そこは未加入の人に入るという意思示してもらえれば対応できるということを今お話あったんですけれども、恐らく、今まで全然そういう被害がなかったところにとってみたら、突然のやっぱり大雪が来て、こんなことになるとは思わなかったということが多いと思うんですよ。だから、加入していなかったという例もあるというふうに思うので、そこは現状を把握した上で必要な対応策を是非、やめないで続けるよというふうになるように進めていただきたいと。
私は、二〇一四年のときは直接埼玉を回りましたし、そうしたら、もう明け方になって、物すごい重くなって明け方に崩れちゃったとか、それから山梨の方は、改植をする費用とかもすごい困っていたんだけれども、あのときにいち早く改植も含めた支援というのが出て、それで助かってそのまま頑張るというふうになったということも含めて振り返ると、やっぱり規模大小というよりも、やっぱりそういう置かれている実態に照らして、是非離農しなくても続けていけるようにしっかりと対応策を出していただきたいということを強く要求いたしまして、質問といたします。
終わります。