◇コメ不足・価格高騰を招いた政府の「失政」/2025年産の新米が出る前に、コメ不足になる「リスクはある」と大臣答弁/自己責任を迫る新自由主義的農政から、政治の責任で希望ある農政への転換を
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
昨年夏の米不足と秋以降の米価高騰について質問いたします。
店頭の価格が上がっていますけれども、二〇二四年二月から九月、そして今年三月、直近のスーパーでの販売価格がどうなっているのかを最初に示していただきたいと思います。政府参考人。
○政府参考人(農林水産省農産局長 松尾 浩則君) お答えいたします。
農林水産省で公表しております民間のPOSデータでございますけれども、五キログラムの税込みの米の価格は、二〇二四年二月第一週で二千十八円、二〇二四年九月第一週で二千九百七十八円、三月の第一週というのはなかったんですけれども、まだないんですけれども、二月第一週が三千八百二十九円、あるいは二月の第四週は三千九百五十二円になっております。
○紙智子君 ありがとうございます。
今の説明を資料にしました。資料の一枚目を御覧いただきたいと思います。
昨年二月から約二倍になっているんですよね。今年に入って九週間連続して値上がりです。それで、黄色いところを見てほしいんですけれども、一月三十一日に大臣は政府備蓄米を早期に放出するというふうに表明しました。そして、二月十四日、二十一万トン放出を表明しました。しかし、価格はこれ三月の二日で三千九百五十二円と、これ過去最高の価格になっているんですけれども、これは、大臣、なぜでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 何度も答弁させていただきましたが、やはり流通がスタックしているということに原因があるというふうに思っております。
〔理事進藤金日子君退席、委員長着席〕
そして、小売の段階では、いろんな方々から私も直接聞き取りをいたしました。中には、少し下げたいけれども、自分のところだけ下げると多分お客さんが殺到するので怖くて下げられないと。勇気を持って下げてほしいなと思うんですけれども、そういった方も、まあ私との信頼関係で正直に言ってくれたんだと思いますが。それからもう一つは、高い値段で仕入れている在庫があると、その部分についてはやはり適正な利益を乗せて売るしかないので、今しばらくは店頭価格は下げられないというような御意見もいただきました。
いずれにしましても、この二十一万トンが放出されることによりまして、もう市場に出回る米の量は確実に増えるわけでありますから、スピーディーにこれが店頭に出る努力を重ねることによって、早くこのトレンドを抑え込みたいというふうに考えております。
○紙智子君 政府備蓄米放出をして、これ価格高騰というのは解消されるんでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) いえ、価格にはコミットしないということはずっと申し上げてきました。あくまでも価格は市場で決定されるものでありますが、しかし、今回起こっていることは極めてイレギュラーな事態でありますので、当然流通が改善されれば私は価格にもそれはいい影響が出ると思っております。
もう米に限らず、いわゆる市場に出てくるストックの量が増えれば価格は下がるというのがこれもう常識でありますので、そういうような効果は期待していると申し上げていいと思います。
○紙智子君 次に、資料の二枚目を見てほしいんですね。
これは二〇二三年から二四年の需要実績、これは赤い字で書いてありますけれども、七百五万トンだと、そして、二〇二五年にかけては、これ需要見通しということで六百七十四万トンとなっています。そうすると、これ引き算しますと需要が三十一万減るということになっているわけなんですけれども、これはどういうことなのか、ちょっと説明を政府参考人、お願いします。
○政府参考人(農林水産省農産局長 松尾 浩則君) 米の需要でございますけれども、トレンドといたしましては、人口減少、一人当たりの消費量の減少ということで、毎年十万トン程度の減少が続いてきたところでございます。
それの中で、令和五年七月から令和六年六月と、これにつきましては、まず幾つか要因はございますけれども、令和五年産の高温ということで精米歩留りが低下した、あるいはパンなどと比べて値頃感を背景、値頃感があったということで、例年の動きと違って需要が増加ということで六百八十一万トンの見通しを上回っております。
他方で、現在の令和六年七月から令和七年六月までの見通しでございますけれども、まず、これ昨年の十月及びその最新データを踏まえまして、今年の一月にも食糧部会で関係者の中でも御議論いただきましたけれども、一つは、やっぱり価格が昨年よりも大きく上昇したと、あるいは大手卸の販売、スーパー、店頭での販売というのが先年より減少ということで、やはり一人当たりの消費量の減少あるいは人口減少のトレンドということで、これまでのトレンドどおりが適当ではないかということで答申をいただいているところでございます。
○紙智子君 一方で、米穀機構というところが米の消費動向調査を出していますよね。それで、一人一か月当たりの消費量は、去年の七月以降、対前年度同月比でどうなっているのか、比率、パーセントで示していただきたいと思います。
○政府参考人(農林水産省農産局長 松尾 浩則君) 米穀機構の米の消費動向調査でございます。千五百人のモニターということでインターネットで調査されていると聞いております。
これの一か月当たりの対前年同月比につきましては、昨年の七月は一〇〇・四、八月一〇三・六、九月は一〇〇・六、十月は一〇〇・五、十一月一〇二・二、十二月は一〇六・八ということでございます。
ただ、他方で、大手の卸が販売している量あるいはスーパーなどの小売店の販売ということではこういった状況とちょっと違っておりまして、前年比、対前年同月比で一〇〇を下回るようなことが続いている状況でございます。
○紙智子君 もう一度この資料の二を見てほしいんですけれども、需要が三十一万トン減るというふうに見込んでいるわけですけれども、消費と需要については、今のちょっとパーセントで示していただきましたけれども、全体としては増えているということになっています。それで、そういう意味では、見通しと違った結果で推移しているんじゃないかと思うんですね。
で、資料の三枚目を見てほしいんです。
これは民間在庫の推移です。二〇二四年の一月は二百七十四万トン、黄色の部分です。そして去年の八月、これ米不足が発生したときですけれども、そのとき民間在庫が六十五万トンだったわけです。今年の二〇二五年の一月、また黄色でありますけれども、二百三十万トン。だから、去年の一月よりも、引き算しますと、四十四万トン少なくなっているということなんですよね。仮に、これ四十四万トンということにはなるんだけれども、前年比でマイナス四十万トンというペースで、この後、ちょっと薄く書いてはありますけれども、仮にそうだとすると、今年の六月末には七十五万トンになると。
で、例年は七月、八月というのは在庫はずっと減っていくわけですよね。そうすると、今年の八月というのは去年以上に逼迫をして、在庫が底を打つ懸念があるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 御指摘のとおり、令和七年六月末の在庫は百五十八万トンと見通しておりますので、もう適正在庫は、これ市場関係者の通念上ですけれども、百八十万トンから二百万トン程度が適正在庫、民間在庫と言われておりますので、それに比べても低い水準であるということは確かだと思います。
しかし、今回二十一万トン出しますので、これを足しますと、大体百七十九万トンが民間在庫として確保される。まあ百八十万トンぎり切っていますけれども、この水準であれば、まあこれは通念上の数字でありますから、これで確定的なもの、安心できる数字とは申しませんけれども、目安となる百八十万トンには近いということであります。
そして、それでも足りないということであれば、やはり今後、米の高騰であったり米不足、流通の改善がなされていないということであれば、追加的な放出することも当然視野に入れて考えておりますので、それによって対応してまいりたいと考えております。
○紙智子君 今大臣は、そのとおりということで、このままでも安心できる状況ではないということを言われたと思うんですよ。
それで、六月はまだ新米は出てこないわけですよね。それで、御飯ものを切らすことができないので、流通業者は業務用お米を確保する衝動に駆られて、集荷競争が激化していると思うんですね。米価高騰にそれがつながっているというふうにも言われているわけです。
で、今年の夏に、これ米不足が起きないということを明言できるでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) この夏、夏が何月かということも極めて非常にセンシティブな段階だと思います。全く起こらないということは申し上げることは難しいかもしれません。
ストック、スタックしているものがそのまま市場に出ずに、そのまま闇に消えてしまうこともあるかもしれません。もしかしたら、保管状況が悪くて駄目になってしまって、流通に乗らずにそのまま米が終わってしまえば流通は改善しませんから、それは、リスクはゼロだとは申しませんが、しかし、それに対応して備蓄米の放出を決めたわけですから、それを補う分はしっかり対応できるということで、夏の米不足は発生しないように対応してまいります。
○紙智子君 発生しないというふうには言い切れないけど、発生しないようにしたいということではあるんですけれども。しかし、今おっしゃったように、二十一万トン放出すると、足りなければもう少し考えるという話もあるんだけれども、いずれこれ回収するわけですよね、また買い戻すということですよね。そうなると、状況はやっぱり改善されるわけではないと。で、米の流通関係者の間では、五月連休段階で棚からなくなるという指摘も出ているんですよね。そもそも生産が足りていないんじゃないかというふうに思うわけです。
ですから、今からでも米を増産するようにメッセージを出すべきじゃないかと、これから皆さん、農家の人は植えていくわけですから、今からでも米を増産するようにメッセージを出すべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) これからの米の作付けについては、この夏に対応するものではまずないということですね。出来秋以降の出荷になるわけでありますから、この夏に向かってのいわゆる市場の需給の改善にはまず余り関係がないということであります。
それから、その米の増産をするかどうかは、何度も申し上げておりますが、平成三十年の生産数量の割当てをやめて以来、農家の方々が自主的に、飼料用米を作るのか、それか主食用米を作るのか、それとも高収益作物に転換するのか、ほかの事業に、事業を利用しながら方向転換をするのか決めていただいていることでありますので、私の地元でもいろんな方の意見を聞きました。来年、何か米がこういう状態だからいっぱい作ろうかなと思っていたけど、やっぱり値下がりするのも怖いからやっぱり昨年並みの作付けに抑えることにしましたという人もいれば、中には、畜産農家であって、自分のところで、畜産農家で食べる分の、飼料用米を作っていたんだけど、自分のところの飼料としてですね、それを全部主食米に転換するよというような人もいました。
ですから、様々でありますので、なかなか一概に平準的なものを申し上げることは難しいですが、国として増産に向かうんだというようなメッセージを出すということではなくて、あくまでも農家の自主的な御判断に任せて、価格については市場で決定していただくというのが基本でございます。
○紙智子君 やっぱり、その自主的に任せるのでいいのかということなんですよ。これぎりぎりで、需給の見通しでいいのかと、民間任せでいいのかと、そのことが問われているんですよね。やっぱり、気象の変動もあれば災害もあったりするわけですから、それで大丈夫かということなんですよ。
なぜ米不足と価格高騰になったのかと。政府は、需要が毎年十万トン減るよ減るよということを前提にして、米の生産者に需給調整といって減産を求めてきました。一方で、流通を自由化して、大手量販店の求めに応じて低米価を押し付けてきたということがあると思うんです。一九九〇年代、六十キロ当たり二万円の生産者米価だったわけです。これは、地域によってはもう一万円を割るという状況になったわけですよね。三分の一以下ですよ、採算割れですよ。
これは、政府が米の需要と供給への責任を放棄して市場任せにしてきたと、失政と言われても仕方がないんじゃないでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) かつては食管というのが随分昔の話ですがございました。全量買上げ、そして国が価格も全部決める、そして全て逆ざやになってとんでもない財政負担が発生するということであって、それではとてもやっていけないということで現在に至っているわけであります。
そして、平成三十年から生産数量の割当てをやってきて、随分うまくいってきたんだろうと思います。米価はそれほど高くはなかったかもしれませんが。じゃ、やはり、生産者の自主的な御判断によって、何事もそうですよ、米に限らずですね、需要に見合った生産をするというのは経済活動の基本でありますから、特に価格弾力性が少ないこの米の世界においては、やはりその見通しが甘かった、そしてふるい下がどうこうとかですね、いろんなことを私たちが言うと言い訳だというふうに怒られますけれども、しかし、様々なその変動要素はあるにしても、一定の目安を食糧法の第四条に基づいてお示しすることによって、農家の方々の経営感覚の下で生産するということの方向性については私は間違いではなかったんだろうと思っています。
今年はこういう状況ですからそういう御意見が出るのも分かりますが、これから先に、国を、例えば米は全量買い取ってそれで生産者米価も決めるような体制に戻せるはずがありませんので、しっかりとした定着を図るように、データの集積等は今まで以上に正確に細やかにやることによって、できるだけ国内消費の見通しも狂わないように、狂わないというよりも差異が少なくなるように努力をしていきたいと思っております。
○紙智子君 そんなこと言っている場合じゃないと思いますよ。
資料の四枚目見てください。
この十年で稲作農家が百十五万戸から六十九万戸に四割減少しています。水稲作付面積二十六万ヘクタール減、生産量は百三十五万トン激減しました。米作って飯食えないと言われるように、農家の所得は一時間当たり百円にもならないわけですよ。
今必要なのは、やっぱり農家の経営と生活を守る農政に転換することだと思います。私、やっぱり価格保障と所得補償などで生産者を支えて、国民の皆さんが安心できる政策と予算が必要だと思います。
資料の五枚目を見てください。
農林水産予算と防衛予算の一九八〇年からの推移です。農林水産予算三兆五千八百億円だったのが、二〇二五年度では二兆二千七百億円と。一方、防衛費は二兆二千三百億円が八・七兆円になっているわけです。農水予算と逆転しているんですね。
それで財務大臣、これ逆転している現状、どう思われますか。
○国務大臣(財務大臣 加藤勝信君) 農林水産関係予算について、今御指摘のように減少してきたという経緯もあります。そのときの状況状況を踏まえて、必要な予算の確保には努めてきたところでございます。
我が国の、今御指摘がありました農業者の減少、また高齢化、あるいは国際社会における食料需給の不安定化などに直面している中で、食料安全保障の観点からもその強化を図ることは重要であるというふうに考えており、昨年、食料・農業・農村基本法が改正されたところであります。
政府として、農林水産業の収益力向上の実現を通じて、農業の担い手や農地を維持し、必要な生産基盤の確保を図るため、令和七年度の農林水産関係予算については二兆二千七百六億円、前年度に比べて二十億円の増でありますが、を計上しているところであります。
○紙智子君 農水大臣ね、やっぱりこの農水予算が、こうやって表にしてみると、いかに増えていないかということが一目瞭然だと思うんですよ。食料安全保障ということで、去年、法改正した、見直しをしたわけですよね。安全保障が何よりだというふうに言っているわけで、そういう中でこういう予算状況でいいのかということが問われていると思います。
あえてちょっと農水大臣に聞きませんけれども、私、実は、参議院に来たのが二〇〇一年ですけれども、その時点では農林水産予算って三兆円超えていたんですよね。そのときから生産者は半減しました。そして、米農家でいえば七〇%も減少したんですよ。生産する基礎的な力がやっぱり大きく減退していると、食の安定供給を脅かす事態を、こういう状況で生まれてきているんだと思うんですよ。
先日、農水大臣に党の議員団としての申入れしましたけれども、農家が中心になって、今、令和の百姓一揆というふうに銘打って、今度、パレードもやろうということなんですけれども、広がっています。生産者が本当に希望を持って農業に取り組んで、農村で暮らせる条件をやっぱり政治の責任でちゃんと保障すると、そのためにも予算を大きく増やしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。