◇安倍政権が進めた農政を検証し、抜本的な変革を求める/フードバンクに政府備蓄米の無償交付をはじめると答弁/北海道コンブ漁の不漁対策、沿岸クロマグロ漁の漁獲枠の増枠を要求/クビアカツヤカミキリ(害虫)によるウメ、モモ被害対策が急がれる
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。 まず初めに、大臣、先日も非常にタイトな日程の中で、我が党の畜産、酪農の申入れを受けていただきまして、ありがとうございました。感謝申し上げます。 その上でなんですけれども、今日、農政全般について質問したいと思うんですが、特に、今回の臨時国会がさきの総選挙で与党が過半数割れという中で始まったと思うんですね。総選挙は政治と金などと同時に、やっぱり私、農政も有権者が判断する、そういう、それに反映した結果ではなかったのかなというふうに思うんです。 それは、二〇一二年に自民党が政権に復帰して進めてきたTPPなどの自由化、それから農協改革もありました。生産者に自己責任を迫る農政がこの十年間続いてきたことへの審判でもあったんじゃないかというふうに思うわけです。どこに行っても今農業で飯が食えないという声が出ますし、それから後継者がこの後どうなるかということが出されてくるわけです。 なぜこの十年間でその思いが一気に広がってきているのかということで考えるわけですけれども、安倍政権以来続けてきた新自由主義的な農政、ここに問題があったんじゃないのかなと、それが総選挙でやっぱり与党が過半数割れになった一つの要因でもないのかなというふうに思うんですけれども、これ、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 選挙で苦戦をした理由は様々ありますので、その理由の一つに農政に対する批判がなかったのかと言われれば、あったんだろうというふうに思います。 私、安倍内閣の中で農水大臣を務めました。あのときに一番言われたのは、大規模にさえすればいいんだ、小農切捨てじゃないかという批判がすさまじくありましたよ。しかし、私が大臣になって、基本法の改正は、あのとき、基本計画の改正を五年前にしたんですが、そのときに、規模の大小にかかわらず日本の農業を守っていくんだというものを基本計画の中に書き込みました。 ですから、安倍内閣、安倍政権が農家に厳しかったという部分は、客観的にそういうふうに見る人もいるかもしれませんですが、しかし、規模拡大が必要だ、基盤整備が必要だ、そして担い手に農地を集約すべきだということは、あれ以来ずっと、多分、与野党の垣根を越えて共通的に認識されている共通理念だと思うんで、全てまずかったというふうには思っておりません。 TPPのときは、私は国益を守る会の会長でしたし、それから農協改革のときも、もう農林のインナーに入っていましたんで、内幕、もうすごく全て見てまいりました。 やはりこの戦後、敗戦国として日本がスタートして、アメリカのいわゆる核の傘の中にいるこの日本が外交交渉上なかなか厳しいところに追いやられてしまうような場面を見てまいりましたが、それでも安倍総理は極めてタフな交渉を当時オバマさんと私はされたと思いますよ。あの人でなければ聖域は守れなかったと私は固く信じています。 ですから、様々な御評価はあると思いますけれども、それらの評価も御批判も身に受けながら、これから未来を見据えて政治をやっていきたいと考えております。
○紙智子君 自分の言葉で答えていただくというのは歓迎なんです、面白いし。だけど、ちょっと限られた時間の中でいっぱい質問したいことありますので、できるだけ簡潔にお答えいただきたいと思います。 それで、水田活用の交付金の問題なんですけれども、この水張り問題、これも、今年、農業基本法ですね、この改正のときに岩手県で行った地方公聴会がありまして、このときに五年に一度の水張りはない方がいいというのが大体多くの皆さんがおっしゃっていました。生産者にしてみたら、政府の減反政策に協力してきたのに、五年に一度水張りしない水田を対象から外して畑地化を押し付けるということはどうなんだと。しかも、畑地化というふうにいっても、十アール当たり十四万円プラス五年間二万円の合計二十四万円が出るけれども、その後については示されていないと。これでは先が見えないよねということも出ています。 この総選挙の結果踏まえるならば、様々に批判があったんだろうということもおっしゃっていましたけれども、この水田活用の見直しというのは、私は、やっぱり一回白紙に戻して、もう一回ちゃんと考え直すべきじゃないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 私が今ここで白紙に戻すと言ったらまた大混乱するんで、とても言えません。 十四万円に二万円掛ける五年ということについても、先がないという話も聞いております。ですから、水田政策を見直す中で水活も根本的に見直すということを申し上げているわけでありまして、できるだけ早く、作付けに間に合うというのはなかなか難しいですけれども、骨子、方向性についてはお示しをしていきたいと考えております。
○紙智子君 白紙に戻したら混乱起きると言うんだけれども、元々でいうと、これ政府の誘導策だったわけですよね。米が余り増え過ぎると価格下がるということで、それで転作してくれと。転作奨励金なんという言い方も最初していたと思うんだけれども、そうやって誘導してきたという経過の中で起こってきている問題だから、これやっぱり政府の責任で、いや、米作らないで畑にするんだったら、畑やってもちゃんと成り立つと、どれをやっても成り立つというふうに、そういう責任ある提案をするのが本来じゃないのかなというふうに私は思います。これは答弁要りませんけれども。 それで、具体的な問題、課題でいうと、いわゆる令和の米騒動というのがあります。お聞きしたいのは、今の需給見通しに頼るようなやり方で果たして本当にいいのかということなんですよね。というのは、私、六月十一日の農林水産委員会で、お米屋さんから聞き取りをして、その下で、米不足が発生しているので備蓄米放出した方がいいんじゃないかということを言ったんですよ。そうしたら、当時の坂本農水大臣の答弁は、これは一部のスポット買いで価格が高騰しているけれども、店から米は消えていないんだと、それで民間在庫はあるんだという答弁だったわけですよ。 七月末から八月にかけて、いよいよ店から米がなくなってしまったと。その後、九月になってようやっと新米が出てきたと思ったら、この価格がすごい高いわけですよね。このときに大臣は、いずれ落ち着くと、だから待てという話だったと思うんですけれども、ところが、十一月に総務省が公表した全国消費者物価指数で見ると、米類は前年同月比で五八・九%に上昇している、過去最大の伸び率だったわけですよね。米が消えたと思って、今度出てきたら、今度は価格、物すごい高くなっていると。 今のこの需給見通しの甘さというものがやっぱり混乱を招いたんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(農林水産省農産局長 松尾浩則君) まず、今年の夏の店頭での米の品薄の御質問だったと思っております。 まず、五年産の作況、一〇一ということで、生産量六百六十一万トンということで、四年産と遜色なかったわけでございます。その中で、先ほど委員御指摘ありました、四月ぐらいから一部店舗では仕入れに苦労されたというようなお話ございました。その中でも、流通の過半を占めます相対価格、要は集荷業者から卸売業者に販売される価格につきましては、おおむね横ばいで推移していたところでございます。そういった意味では、一定の量販店、多くの量販店では特に大きな欠品みたいなことはなかったんだと思っております。 そうした中で、ちょうど新米に切り替わります八月の端境期におきまして、八月八日に南海トラフ臨時情報が発表されまして、また同じ頃には地震、台風、こういったこともございまして、スーパーの購買量が前年の約一・五倍まで跳ね上がるということで、こういった買い込み需要が数週間にわたって発生したわけでございます。 こうした中、元々スーパーのお米というものは、外食、中食と異なりまして、年間契約というのはそんなにしておらずというような特徴ございます。そういったことで、卸売業者からスーパーへの供給というのが追い付かなかったと、こういったことで品薄、店頭での品薄につながりまして、そういった情報がまた伝わるということで更なる買い込み需要が生じたものと思っております。また、その新米の価格、済みません、新米の価格はその集荷競争の中でまた上昇していったというような経過があるというふうに認識しております。
○紙智子君 流通の実態を把握するというふうに言ったとしても、やっぱり市場取引、商売なわけですよね。いろんな臆測だとか先読みが出たりするという中で、需要、需給をコントロールするというのはなかなか大変なことだというふうに思うんですよ。 それで、私、九月に宮城県に行ったときに生産者から聞いた話ですけれども、首都圏から全く付き合いのなかった卸業者が買い付けに来ていると、うちは二万円出すからと言うけれど、という話になって、JAの方は、本来だったらうちに納まるはずのやつがそうやって出ていってしまったら集まらないということで、概算金をプラスするという事態になってきたわけですよね。 そうやって上がってきたというふうに思うんですけれども、やっぱりこのままだったら、みんなが心配しているのは、来年また米不足が発生するんじゃないかということなんですよ。これについてどうかということなんですけれども。
○政府参考人(農林水産省農産局長 松尾浩則君) 令和六年産のお米につきましても、作況は一〇一、生産量六百七十九万トンということで、昨年のお米に比べますと十八万トン多い水準でございます。 その中で、来年の端境期に向けまして、私どもも、卸売業者、こういう米の流通業者とも情報交換の会議などを既に行っているところでございます。また、端境期に、本年、端境期の急激な需要増と、こういったことでスーパーでの店頭の品薄ということございましたので、私ども、そういったことが生じないよう情報把握、発信というものをしっかり行っていきまして、流通業者、消費者にタイムリーな情報というのを発信していきたいというふうに考えております。
○紙智子君 もちろん情報を把握するのは大事なんだけれども、ただ、来年の六月の民間在庫というのは大体百五十八万トンと予想されているわけですよね。今年の六月末というのは百五十三万トンで、このときに予期せぬ地震が起こったわけですよ。だから、そういうことが起きたらまた同じようなことになるんじゃないのかなというふうに思うんですよね。 なぜこの米の供給が減っているのかということでは、私は、やっぱりもっと根本には、現象面だけじゃなくて、根本的には政府の生産抑制政策に原因があるというふうに思うんです。 主食用の水稲の作付面積が二〇一三年度から十年間で二十八万ヘクタール減少しました。生産量でいうと百五十七万トンということで、大幅減少です。稲作農家でいうと二〇一〇年から四割減っているわけですよね。そして、米農家の一時間当たりの時給が、全部トータルすると十円だという話になっていて、主業経営体で見ても六百九十九円ということですよね。 二〇一三年に、安倍政権のときに閣議決定した日本再興戦略の中では、米の生産コストを、現状六十キロ、当時は一万六千円だったと思うんです、平均がね。それから四割削減を目標にしてきたわけですよ、政府の政策で。生産者に対しては、需要に応じた生産しなさいということを求めてきた。四割削減ということは九千六百円ですよね、もう大きく一万円割るわけで、それを目標にしてきたわけですよ。 ですから、生産抑制と低米価政策で農業では生活できないと、このままでは後継者ができないという状態をつくってきたということがあるんじゃないのかというふうに思うんですけれども、これ、大臣、いかがですか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 米政策は極めて難しい政策だというふうに認識いたしております。 昭和四十二年にようやく国で作った米で国民の腹を満たせる、自給ができる唯一の作物になったわけですが、もう次の年から大豊作で、在庫は積み上がり、四十二年、四十三年、それで七百二十万トン以上の在庫が積み上がって、とんでもない金を掛けて処理しなきゃならないところに追い込まれました。その結果、四十六年からいわゆる減反政策というものが始まるわけですけれども、長い農業政策の歴史の中で、米の生産は、先ほども先生おっしゃいましたね、コントロールするのが難しいと。難しいですよ。そして、平成三十年に生産数量目標の張り付けもやめました。それ以降は、食糧法に基づいて正確なデータを農家の方々にお示しすることによって、自主的な判断によって作付けを決めていただいてきました。ようやくバランスするところになってきたんです、この一、二年ですね。非常に現場の方々の御努力に敬意を表すところであります。 しかし、そのタイミングで、今年、米不足という事態が起こったので、国民にいろんな問題意識を惹起しておりますけれども、政策のミスがなかったのかと言われれば、全くありませんでしたということは申し上げませんが、しかし、そのときそのときにおいてこれが最良であるという政策を我々は取ってきたというふうに考えております。
○紙智子君 やっぱり、全て市場任せというのは非常に不安定だというふうに思います。私たちは、価格保障と所得補償を軸にして、日本の農業ちゃんと生かしていくべきだというふうに思っております。 そこで、今年の米不足に対応するために備蓄米を放出したらどうかということを提案したわけですよ。それで、この備蓄米の放出についてはちゃんと決まっていて、書かれていますよね。大凶作だとか連続する不作、これが想定されていて、それ以外は書かれていないんですよね。放出すると米の需給や価格に影響を与えるからということで、なかなか米の不足だとか品薄での放出はしないというふうにずっとやってきているわけですよ。 果たしてそれでいいのかというのが問題提起でありまして、改正基本法でいえば、国民一人一人がこれを入手できる状態なんだと、食料安全保障ということを据えるということになって、それはやっぱり一人一人に手渡るようにしなきゃいけないということなわけですけども、それから見ると、一番欲しいときに手渡らない状態がつくられてしまったわけだから、そういう意味ではこの備蓄の政策も制度も、この米、大凶作でないとというんじゃなくて、やっぱり米が不足しているとか品薄のときにも備蓄米を放出できるような柔軟な対応が必要じゃないかと思うんですけど、これは変えられるんじゃないかと思うんですけど、いかがですか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 先ほど副大臣からも御答弁いただいたと思いますけども、食糧法の第三条の第二項の規定があります、もう読みません、ありますので、やはり全ての政策は根拠法によって運用されるということは先生も御理解いただけると思います。 様々御議論の中でこの運用を変えるということであれば、やはり法改正にまで踏み込まないとできませんので、運用改善というところではちょっとのりを越えてしまいますので、もうその先の話にまで踏み込まないとなかなか難しい話であるというふうに私は理解いたしております。
○紙智子君 ちょっと、そこは運用改善ぐらいできるんじゃないのかなと、法律を変えろと言っているわけじゃないわけだから、できないのかなというふうに改めて思います。 それで、気になるのが財政審議会なんですけど、令和七年度の予算の編成等の建議というのを出されていて、ここで備蓄についても、米について、この輸入米やミニマムアクセス米の活用を打ち出しているわけですよね。必要なのは、ミニマムアクセス米を活用するんじゃなくて、削減するべきだろうというふうに思うわけですよ。 農林水産省に、やっぱり財務省の建議については、これはやっぱり否定していただきたいということなんですけども、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 基本、備蓄米については国産米を基本といたしております。この方針は変えるつもりはありません。
○紙智子君 是非拒否してほしいと思うんですよね。変えないでいいということは、そういうことなのかなと思います。 それで、一方で大事だと思っているのは、子供食堂やフードバンクへの備蓄米の放出で、政府備蓄米の無償提供が九月に年四回から通年申請に変わって、これ喜ばれたと思うんですよね。四回でなくて、もっと回数多くやれると。 一方で、七月にNPO法人のフードバンク仙台が行った全国の支援団体アンケート、約七割に当たる団体で米の寄附が減少しているというふうに発表しています。各地のフードバンクからも、物価高騰や米不足で寄附が減ったという声が出されました。 政府参考人に聞きたいんですけども、フードバンクも支援すべきじゃないかと、これについて。
○政府参考人(農林水産省農産局長 松尾浩則君) 私ども、政府備蓄米の無償交付ということで、子供食堂、子供宅食に支援してきたわけでございますけども、今回新たに食育活動を支援するフードバンクも交付対象とすることとしたところでございます。 そのフードバンクの、例えば前年度の食品の取扱実績などを踏まえながらやっていきたいと思っております。来年二月の交付申請開始を目指して準備を進めてまいりたいと思っております。
○紙智子君 ちょっと今おっしゃらなかったんだけども、実績の五分の一以内で、上限は五十トンということですよね。そして、最大千トンを活用したいという話ですよね。はい、確認しました。 あっ、そこをちょっと確認しますので、返事してください。
○政府参考人(農林水産省農産局長 松尾浩則君) 御指摘のとおりでございます。パンフレット公表しておりますので。
○紙智子君 申請手続の簡素化など、やっぱり利用しやすい仕組みにしてほしいと思うんですね。それと、子供食堂などでの備蓄米の活用を広げていただきたいということもお願いしておきたいと思います。 次に、北海道のちょっと昆布漁について質問をしたいんですが、北海道の太平洋沿岸が、二〇二一年に赤潮の被害が発生しました。今、漁を復活させる取組が進められているんですけれども、今年は昆布が不漁に見舞われているんですね。世界で昆布は十九種類あるそうなんですけど、そのうち十一種類が北海道周辺に生育していると言われています。天然昆布は貴重で、だし昆布とか食べる昆布ということで、日本の食文化にとっても欠かせない食材だと思います。北海道の昆布の二〇二四年の生産量は一万トンを割り込んで、今八千八百六十二トンということになっています。 それで、根室などの道東地域というのは、ロシアとの関係でも漁業全体、非常に大変な影響を受けているところであります。ですから、日ロ交渉、日ロの関係でいうと、貝殻島昆布の採取協定があったり、あるいはサケ・マス、地先沖、それから北方安全操業とかありますけど、この安全操業でいうと、近年全然合意に至っていないということもありますよね。 大臣に伺いたいんですけれども、北海道のこの漁業や北方隣接地域の漁業をどうするかということはあるんですけれども、いろいろ広がっちゃうと困るので、特に今日、昆布に焦点を当てて、昆布が不漁になっているということについての認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 先ほど衆議院でもありましたけれども、地先の話とか、ロシアと三つの漁業協定、一つは今ずっと潰れていますから、それが北海道の漁業に大きな影響を与えていることは十分認識をいたしております。 その上で、昆布について申し上げると、昆布は二年生のものでありますから、今年八千八百トンしか取れなかったということになると、多分来年も、余り言うと難しい、いかぬかもしれませんが、多分厳しいんじゃないかなというのがまあ予見できますよね。 私も毎年利尻の昆布を送っていただいておりまして、そして、今年は利尻昆布が天皇賞も取りました。もうどれだけすばらしいものであるかは、もう国際的にも認知されているものであります。 被害総額もたくさんありますけれども、沿岸漁業にとって極めて重要なものであって、ただ、積立ぷらす、漁業共済、これには九九%の方々がしっかり入っていただいているんですね。こちらをしっかりまず活用していただくということがまず重要だと思っております。 そして、その漁場を再生するには、藻場を再生しなければなりませんので、これも緊急対策事業で、補正予算で七億円積んでございますから、これを利用して、藻場の再生にも活用をしていただければと考えております。
○紙智子君 根室でお聞きしたときに、根腐れで胞子が抜けたんじゃないかという話もありました。 赤潮対策として、この間、二十億円の予算が付いています。それから、補正予算で海洋環境の変化に対応した漁場保全緊急対策事業というのがあって、この二つの予算は、不漁の原因究明ですとか被害対策に活用できるのかどうか、また、昆布の胞子を保存することも必要だと思うんですけど、これの支援はあるのかどうかをちょっと政府参考人の方に、短くお願いします。
○政府参考人(水産庁長官 森健君) お答えいたします。 御指摘の事業のうち、海洋環境の変化に対応した漁場保全緊急対策事業、先ほど大臣の方からも言及があった事業でございますが、これは昆布の漁場回復に向けた漁業者等による藻場の保全活動支援への活用が可能でございます。 他方、赤潮対策緊急支援事業につきましては、これは赤潮被害を受けた漁業者が行いますウニの生息環境改善のための岩盤清掃などへの支援ということで、直接的に昆布の漁場回復を支援するものではございません。ただ、本事業が実施されることで結果的に昆布の生育にも裨益することはあるというふうには考えております。 なお、もう一つ、昆布の胞子の確保、保存という点につきましては、まだ、これをまくことも含めて、まだ試験的な段階にあるというふうに承知をしております。
○紙智子君 ありがとうございます。 根室地域では、漁協の七、八割の組合さんが昆布漁に携わっておられるんですね。それで、共済や積立ぷらすに加入していても、補償する基準が下がっていくと、五年先、十年先まで経営を続けることが困難だと。海水温の上昇の中で、魚であれば魚種転換も考える必要があったりしますけれども、この昆布は天然なので、なかなかそうもいかないと思います。 海洋環境が変化している中で、昆布漁師の経営ですね、継続する対策を検討していただきたいと思いますけれども、大臣、お願いします。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 言われるように、捕れる魚が変わったり、全く捕れなくなったり、海の変化はすさまじく変化をしていると思います。それにやはり人間は対応していかなきゃいけない。そうなれば、漁法も変わりますし、網の形も変わるし、事によっては船も、もう形状自体も変えなければならないということを考えなきゃならないと思っております。 平成三十年の漁業法改正の理念の中に、いわゆる水産資源の高度化ということをやってまいりました。内水面漁業も含めて、育てる漁業ということにも力を注いでいく必要があるんだろうと思います。 そういったことについて様々やってまいりますが、そして、もう一つだけ加えさせていただくと、これまでは共済制度が、それぞれ一つ一つの魚種についてばらばらに共済加入が義務化されておりましたけれども、これはやっぱり丸めた方がいいだろうと、手間もありますし、保険料も高くなるので。複数の魚種を丸めて漁業共済に入れるような見直しも行っていこうというふうに考えております。
○紙智子君 気温上昇を止めるための一・五度の約束、この取組を国を挙げて行うとともに、沿岸地域で漁業を継続できる政策を検討していただきたいと思います。 それから、海水温の上昇で捕る魚がなくなっていると言われている中で、はっきりと増えているのはクロマグロなんですよね。 水産庁は、中西部太平洋まぐろ類の委員会で、年次会合の合意を受けて、沿岸と大臣許可の枠が公表されました。しかし、沿岸漁業者は納得していないんですね。クロマグロにTACの制度が導入された際に、大臣許可の巻き網などを優先する配分枠になったことから、沿岸漁業者が置き去りにされたという不満と行政への不信の声が出されました。 この二〇一八年のTAC設定の決め方について、これどういうふうに反省しているのかということをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 御不満があり、しこりが残っていることはよく分かっております。前回の大臣のときには、農水省は止めたんですが、大間のマグロ漁師の方々も大臣室まで招き入れて、直接のお話を伺ったりもいたしました。 しかし、今回はかなり慎重にやったなという印象です。水産庁からしっかり聞き取りをしましたが、やはり、これまでWCPFCの決まりに基づいて資源管理に協力していた方々は、これまでの俺たちが我慢したおかげで資源回復したんじゃないか、だから我々に配慮するのは当然だというのは、まさにそのとおりだと思います。それで、沿岸の方々の、網の方々にしてみりゃ、網に入れたものをもう一回再放流するのは超大変なんだよと、その手間を考えたら我々にもっと配慮すべきだという意見ももう十分聞きました。 ですから、今回の枠の取決めについては、沿岸にはかなり配慮をした内容になっていると思います。様々な御意見が現場であり、私のところもマグロ結構捕っていますので、沿岸もいれば遠洋もいますんで、大型が一・五、小型が一・一という枠の配分になりましたけれども、これも漁業者の方々の御努力の結果ですから、なかなか全ての方々がああ良かったというのは難しいですが、大幅にというのが適当かどうか分かりませんが、枠の拡大はできましたので、その中で、しっかり漁獲枠の中で漁業を進めていただければというふうに考えております。
○紙智子君 私、実は反省されたのかどうかなと思って聞いたんですけれども、そういう言葉はなくて、配慮したんだという話でいいのかなと思うんですよね。 沿岸漁業者で構成している全国沿岸漁民連絡協議会ってあって、八月から、沿岸漁業の配分枠の大幅な拡大を求める署名ということで、僅か二か月で一万二千筆超えて署名を集めているんですよ。大変な苦労だと思うんですよね。 公表されている枠は、小型魚と大型魚を合わせて総量で二〇二四年の一・三一倍で、沿岸漁業は一・五四倍と。で、沿岸が増えたように思うんですけど、これだけ聞くと。だけど、沿岸の漁師や操業で見てみると、約一万七千隻ありますからね、一万七千隻。ですから、漁業者一人当たりにすると二尾から三尾程度なんですよ。これでは生活できないというのが実際の声なわけです。 知事許可の配分の切替えというのは来年の四月だと。大臣許可は一月から始まるわけですけれども、本格的な漁は夏場ということですから、ちょっと、一月からの大臣許可枠が暫定割当てになったとしても、全体の配分をそんなに焦って決めなくても、二月、三月頃までに十分配分枠をめぐって沿岸の漁業者とよく話し合って、それでちょっと決めるべきじゃないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 先ほどに若干付けさせていただきたいと思うんですが、反省をした上でしっかりやったんですよ。その一つの証左が、水産政策審議会の下に、学識経験者だけではなくて沿岸漁業者の団体の代表者も構成員とするくろまぐろ部会というものをつくって、この配分について議論をいたしましたので、前回の反省は今回の配分決定に生かされたということを若干付け加えさせていただきます。 そして、焦る必要はないじゃないかという御指摘ですけれども、都道府県からの漁期は四月から翌年、翌三月ということはよく御存じだと思います。来年一月から、大臣許可の管理漁業の漁期がもう一月から始まりますから、それに間に合わないとどうにもならないので、やはり今のタイミングで決めることが適切だったというふうに考えております。
○紙智子君 やっぱり、そういうふうなことであれば、その不満とか批判とか、署名がそんなに集まるわけがないわけで、やっぱり不満があるわけですよ。ですから、そこは、もう話しないんじゃなくて、ちゃんと話を最後までやっていただきたいというふうに思います。沿岸漁業の配分を是非増やしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 最後、ちょっと時間ないので、クビアカツヤカミキリ被害ということで、前にも質問したんですけど、行ってきたんですよ。それで、物すごい危機感です、現地は。これが梅の産地まで広がったら和歌山の梅全滅するというぐらいの大変な危機感の中で、これに対しての国挙げてのしっかりと対策を取ってもらいたいということで、ちょっと時間ないので一言だけ、最後、大臣に格段の対策を取っていただきたいということでお答えいただきたいと思います。
○委員長(舞立昇治君) 時間が参りましたので、答弁は簡潔にお願いします。
○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 非常に繁殖力が強くて、駆除が難しいやつです。人海戦術によらなければできないという側面がありますので、都道府県、当該市町村の協力も必要ですから、しっかり連絡を取りながら対策を講じてまいりたいと思います。
○紙智子君 終わります。