◇食料供給困難事態対策法案、農振法等改正案、スマート農業技術法案 農業経営基盤強化法改正案は、企業が農業を行わず、適格化法人に参入することで、優良農地を確保し、食品企業の系列下に置くことが可能になり、農外資本の農業、農地支配が強まると指摘。 ラピダスの工場(半導体工場)から出る工場排水のPFAS汚染が心配されているとし、農地や農作物への影響調査を要求。農水省の消費安全局長は、「調査などは考えていない」と答弁。 スマート農業技術は、平場だけでなく中山間地での利用でき、生産者の採算性が成り立つ技術の開発を。農業の弱体化に歯止めをかけることが必要と主張。
○食料供給困難事態対策法案(内閣提出、衆議院送付)
○食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
今日は、農業振興地域整備法、いわゆる農振法についてお聞きします。
目的規定に、これ、食料の安定供給の確保及びそのために必要な農用地等を確保するということを明記をしたと、これ重要だというふうに思います。それで、これまでの農地確保の取組がどうだったのかということが問われてくると思うんですね。
農地全体の面積を見ると、二〇〇九年、平成二十一年の四百六十・九万ヘクタールが二〇二三年、令和五年には四百二十九・七万ヘクタールに減少している。農用地区域内農地は四百六・八万ヘクタールだったのが二〇二二年の令和四年には三百九十七・八万ヘクタールに減少していると。これ、なぜ農地の減少に歯止めが掛からなかったのか、大臣、お答えください。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) 農地全体の面積につきましては、近年では年平均で、今委員も御指摘いただきましたけど、二万ヘクタールずつ減少をしており、その主要な原因といたしましては、宅地や工場等の建設に伴います農地転用、そして高齢化や労働力不足によります荒廃農地の発生によるものと考えております。
一方、農用地区域内農地面積につきましては年平均で〇・七万ヘクタールの減少となっておりまして、農地全体よりも減少が一定程度抑制されているというところであります。
○紙智子君 こうやってじりじりとやっぱり減ってきているということの背景、理由があるわけなんですけれども。
それで、地方分権改革の後のこと聞きたいんですけれども、地方分権改革で農地転用許可の権限が移譲されていましたよね。二〇一五年の第五次地方分権一括法の改正で、都道府県の自治事務が二ヘクタール以下から四ヘクタール以下に広がったと。それで、四ヘクタールについては国の許可権限から法定受託事務になって、都道府県と協議するんだということになったわけですよね。
この権限移譲が農用地の確保にどのような影響を与えたのかということは、これは検証されているんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省農村振興局長 長井俊彦君) お答えいたします。
委員御指摘のように、平成二十七年の通常国会で成立し、二十八年に施行されました第五次分権一括法において、四ヘクタール超の農地転用の許可権限は、地域における土地利用の方向付けが反映されるよう、より現場に近い地方公共団体が担う役割を拡大する観点から、国から都道府県等に移譲されたところでありますが、四ヘクタール超の農地転用許可を行うに当たりましては、当分の間、農林水産大臣との協議を行うこととされ、大規模な転用事案に係る都道府県知事等の判断が適当であるか等について確認することを通じまして農地転用許可事務の適切な運用を図っているところでございます。
なお、この権限移譲が行われた平成二十八年前後における四ヘクタール超の農地転用の実績の年間平均で比較いたしますと、権限移譲前は年間約四十件、権限移譲後は年間約五十件と若干増加しているところでありますけれども、令和二年は三十七件、令和三年は三十件と近年は減少傾向にあるところであります。
農林水産省といたしましては、引き続き、協議事務の適切な運用を図りながら優良農地の確保に努めてまいりたいと考えております。
○紙智子君 どのような影響を与えたのか、検証はされたんですか。
○政府参考人(農林水産省農村振興局長 長井俊彦君) 検証といいますか、適切に都道府県がやっているかについては協議の中で確認をしているところであります。
○紙智子君 だから、都道府県と確認しているというだけで、もっとやっぱり検証が必要じゃないかということは一つ思うんですよね。
それから、改正案は必要な農地を確保するものということでなっているんですけれども、しかし一方で、これずっと話が午前中から続いているんだけれども、北海道でいえば、国家プロジェクトとしてラピダスによる半導体の工場の建設が今進んでいるわけですよ。
参考人質疑で意見陳述をされた笠原尚美参考人も、この農地を守る、農地を守る立場として、地域未来投資促進法等の地域整備法に懸念を語られたんですよね。なぜならば、地域未来投資促進法に基づく支援には幾つかの特例措置があるんだと、地域経済牽引事業計画に基づき整備される施設用地については、事業実施場所が農用地区域にある場合には農用地区域から除外できるというふうに書かれているわけですよ。だから、やっぱり半導体誘致という国家プロジェクトで、まあ国家のプロジェクトということですから、農地の転用が進むんじゃないかと。
やっぱり、農地は本当にこれ確保できるんだろうかというのは繰り返し出されている疑問だと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) 農地は農業生産の基盤であります。食料安全保障の観点から適切に確保していく必要があります。このため、地域未来投資促進法におきまして、優良農地の確保を前提としながら、産業導入等に必要な農地の転用需要に適切に対応するための農振除外の特例の仕組みが設けられているところでございます。
具体的には、地域未来投資促進法によりまして開発を行う場合には、地方公共団体の農林水産部局があらかじめ当該施設整備計画の計画内容を確認します。農林が必ず事前チェックをいたします。そして、周辺の土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないことなど、農振除外等の可否を慎重に判断した上で、市町村は都道府県に協議をし、その同意を得ることとなっているため、農振除外、農地転用というのは二重三重の形で必要最小限度のものになっているというふうに考えております。
○紙智子君 そういうふうになっているんだという答えなんだけど、実際上はやっぱり、現実にはなかなかやっぱり農地が守られていかない現状があるんだと思うんですよ。
先ほど来いろいろやり取りになっていましたけれども、この地方未来投資促進法の土地利用調整の仕組みというところでいうと、最初のところで主務大臣による同意となっているわけですよね、国の。だから、最初に同意すると。
さっきのやり取り聞いていますと、その以前にもっとよく調整、現場との関係でやった上で同意となっているんですか。
○政府参考人(農林水産省農村振興局長 長井俊彦君) お答えいたします。
国が協議を受けて同意をするわけですが、その中身についてはよく事前に伺った上で調整をして同意をさせていただいているところでございます。
○紙智子君 そこのところがやっぱり非常に不安を持たれているし、現実にはどんどん減っていくという、それから、優良農地をまず確保してからだという話あったけれども、実際上は一番いい土地をその入ってくるところが陣取ってというか、それ以外のところが回されてしまうんじゃないかということもあるわけですよね。
私、この仕組み的に言って、同意している以上、国が、主務大臣が同意している以上は、本当に責任を持ってしっかり農地を確保できるようにするべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) そこは市町村の農林関係ともしっかりチェックをしながら、最大限の、農振そして農地、そういったものを守ってまいりたいというふうに思っております。
○紙智子君 そこは、もう繰り返しになりますけれども、しっかり厳しくやっていただかなきゃいけないというように思うんですよ。
それと、もう一つ聞きたかったのは、この半導体工場から出る排水にPFASの汚染なんかも心配されているわけですよね。農地や農作物への影響が出たら困るという声が上がっているわけですけれども、そういうことに対しての影響調査というのを農水省は行うんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 安岡澄人君) お答えいたします。
PFASのうち、PFOS、PFOAについては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づいて、現在その製造及び使用が禁止されているところでございます。
一般的に申し上げてということになりますけれども、ラピダス社のように新たな工場については、こうした規制がございますので、PFOSやPFOAなどを漏出する可能性は低く、周辺の農地、農作物への影響も低いものと考えております。
いずれにしても、河川などの公共用水域のPFOS、PFOAなどについては自治体がモニタリングを実施しており、こうした情報についても必要に応じて把握をしてまいります。
○紙智子君 農水省はやらないんですか。
○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 安岡澄人君) 重ねてになりますけれども、先ほど申し上げたとおりで、新たな工場ということでございますので、化審法の、基づいて、今PFOSやPFOAなどについては製造、使用が禁止されているということでございますので、現時点の考えにおいては、漏出する可能性も低いですし、周辺の農地、農用地への、農作物への影響も低いものと考えております。このため、現時点で調査などが必要だとは考えておりません。
○紙智子君 それは全然保証が取れないと思うんですよ。そういう、禁止されていることになっているから、それを前提にして、だから使われないだろうというのは、それはちょっと言い過ぎじゃないかと思うんですよね。分からないですよ。やっぱりそういう不安がある以上はきちんと調査もすると、そして、特になかったらそれで問題ないわけですけれども、ちゃんと調査はするべきだというふうに思います。それ一つ申し上げておきたいと思います。
次に行きますけれども、基盤強化法ですが、農業経営発展制度が今回創設をされます。認定を受けた農地所有適格法人は、認定経営発展法人というふうに呼ぶようなんですけれども、これ農地所有適格化法人と、まあ農地という名称が取れるんですけども、認定経営発展法人というのはこれどう違うんでしょうか。その関連性について説明いただきたいと思います。
○政府参考人(農林水産省経営局長 村井正親君) お答え申し上げます。
まず、農地所有適格法人でございますけれども、これは、農地の権利取得が認められる法人として、農地法第二条第三項に基づき農業関係者の議決権要件等の要件が設けられている制度ということでございます。
その上で、今回の法案におきまして、農地所有適格法人が経営基盤強化を図るため経営発展に関する計画を大臣に申請をし認定を受ける仕組みを設けた上で、農地所有適格法人の要件のうち、議決権要件を緩和する特例措置を講ずることとしております。
したがいまして、今回の特例を受ける法人においても、主たる事業が農業及びその関連産業であること、あるいは役員が農業に常時従事することといった議決権要件以外の農地所有適格法人の要件につきましては従来どおり適用をされることになります。
したがいまして、基本的には、農地法に基づくその要件を満たした農地所有適格法人が今回新たに創設をするこの農業経営発展計画制度を使って計画について大臣の認定を受けた場合に議決権要件についてのその特例が受けられることになるという理解でございます。
今回特例を受ける法人につきましては、総議決権のうち農業関係者は株主総会の特別決議の拒否権を持つ三分の一超とし、農地の権利移転、転用、それから取締役の選解任を特別決議の対象とすること、また、国が農業経営発展計画の実施状況や農地の権利移転、転用を監督することといった通常の農地所有適格法人にはない議決権要件の緩和に対する農業現場の懸念を払拭するための措置を講ずることとしているところでございます。
○紙智子君 要するに、経営基盤を強化するために認定を受けた農業所有適格法人ということですよね。
それで、振り返りますと、農業生産法人制度というのは一九六二年にできたと思うんです。当時、庄野農地局長は、法人組織を認める理由として、資本家的経営と申しますよりは共同経営的色彩の濃い性格のものであるから株式会社は排除したと答弁をされているんですよね。
その後、要件がどんどん緩和されて、一九九三年の農地法の改正では法人の業務範囲に農産物を原料とする製造加工業者が認められたと。で、二〇〇九年の農地法の改正では、株式会社にあっては、連携事業者を含めた関連事業者全体の有する議決権の合計が総株主の議決権の二分の一未満であり、かつ連携事業者以外の関連事業者の有する議決権の合計が株主総会の四分の一以下に緩和をされたと。二〇一五年には農業者以外の議決権を二分の一未満にと緩和されました。
今回は農業関係者が総議決権の過半を有することとする農地法に特例を設けて、農業関係者が総議決権の三分の一超の議決権を有していると、かつ、農業関係者又は連携事業者が過半の議決権を有しているという特例を設けて緩和をするわけです。
更に言えば、この規制緩和を議論している最中にも、政府の規制改革推進会議は、五月三十一日でしたけれども、規制改革事業をまとめて、農地所有法人の出資規制を緩和する対象をスマート農業事業者や食品関連事業者以外にも広げるように求めているわけですよね。
この家族農業経営の協業として始まった制度なのにこの企業参入を広げていく動きというのは止まらないわけですけども、何でこれ規制緩和に歯止めが掛からないんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省経営局長 村井正親君) お答え申し上げます。
今委員から御紹介いただきましたように、この法人による農地の権利取得につきましては、一九六二年の農地法の改正によって農業生産法人制度として創設をされたところでございます。御指摘のとおり、この……(発言する者あり)あっ、短めに、はい。この制度につきましては、家族農業経営の補完と発展に資することを趣旨の一つとして創設をされたということで、現在も実態として家族農業経営が法人化したものが多くを占めているという状況でございます。
一方で、当該制度の創設後、農業経営の法人化や規模拡大など、その時々の農業経営のニーズがあったことから、こうしたニーズを踏まえて法人経営の発展を図るために要件の見直しを行ってきたところでございますけれども、主たる事業が農業及びその関連事業であること、あるいは法人経営の決定権を農業関係者が有することなどといった基本的な要件を維持してきたところでございます。
一方で、いわゆるその農外からの企業参入については、農地法上、リース方式を基本としているということで、この農地法の基本的な考え方は今回変更はないということでございます。
所有適格法人の在り方については、こういった考え方も踏まえながら、また現場の懸念等、そういった動向を見極めながら、今後も慎重に検討していきたいと考えております。
○紙智子君 要するに、私としては、地域社会で生活しながら生産に従事する農業生産法人の在り方そのものが崩れていく懸念というのが非常にあるなと思っています。
それから、農業経営発展計画制度についてお聞きするんですけれども、農林水産省は、法人の経営基盤強化の懸念を払拭するために、地域との調和ということを強調しています。特例に関わる出資を活用する取組内容は地域農業の裨益すること等を条件にするとしていますけれども、年月はどれぐらいの期間を考えているんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省経営局長 村井正親君) お答え申し上げます。
地域の調和の関係でございますけど、この農業現場の懸念を払拭するために非常に重要だというふうに考えております。このため、今回の計画制度におきましては、認定農業者として一定の実績があること、地域計画に位置付けられているなどの要件を満たす地域の中心的な担い手となっている農地所有適格法人を対象とすることとしております。
こういった、今回この新しい制度に基づいて認定を受けた場合に、この計画の実施状況については農林水産大臣への定期報告を義務付けるなど、認定後も大臣の監督措置をしっかりと講じていくということとしておりますけれども、今委員から御指摘のあった年数につきましては、基本的にこれ計画を出していただいて、その計画の取組期間というような形で出していただきますので、具体的に何年というところはこれから更に詰めていきますけれども、基本的にそんな一年とか二年とかそういう短いスパンではなくて、ある程度の期間を取ってこの計画の中にきちんと盛り込んでいただくということを考えております。
○紙智子君 具体的にはこれから検討していく、期間考えていくということなんだろうと思います。
それで、参考人質疑で、笠原参考人が出資企業の撤退を大変危惧していると言われました。地域計画で人・農地プランを達成するめどが立てば撤退するとなって、撤退した場合に、その後、法人はどうなるんだろうかと。
これ、地域が安心する条件というのは示すべきじゃないかと思うんですけれども、これいかがでしょうか。
○政府参考人(農林水産省経営局長 村井正親君) お答え申し上げます。
農業経営発展計画制度を活用している場合において、食品事業者が農地所有適格法人への出資を引き揚げることも想定をされるところでございますけれども、その際には、一般的には当該農地所有適格法人が株式を買い戻すことになると考えております。この場合、当該法人は、特例を受けない一般の農地所有適格法人の議決権要件を満たすこととなって、引き続き農地を利用して農業経営を継続していただくということになろうかと思います。
ただ、いずれにしても、この計画出していただく際に、連携する相手先の企業、どういったところかというところを出していただきます、具体的にどういった取組やるのかということを出していただきます。そういったところで、基本的に、安定的にそういった取引といいますか、連携ができるかどうか、これは計画の認定の際にしっかり見ていきたいと考えております。
○紙智子君 あと、地域との調和において、国が監視、指導、農地買収をするとされていて、法人に定期的報告義務を求めると。地域性との調和を強調するということであれば、この地域での雇用を確保することも重要だし、地域での雇用率というのも報告を求めるんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省経営局長 村井正親君) お答え申し上げます。
繰り返しの答弁になりますけど、今先生から御指摘あったように、計画の認定後においても、この定期報告求めていくということになります。具体的な報告事項につきましては、計画に基づく措置の実施状況のほか、農業経営の発展に関する目標の達成状況、食品事業者等からの出資の状況等を想定をしております。
農業法人は、これ実態といたしまして、若手の新規雇用就農者を始めとした地域内外からの人材の受皿として重要な役割を担うようになっております。地域雇用の確保につきましては、現時点でその具体的な目標を計画の中で定めてもらうことまでは想定をしておりませんが、農業経営の発展に関する目標を達成するためにとるべき措置として認定計画に記載がある場合などは報告対象にしていただくということになろうかと考えております。
○紙智子君 農林水産省は農業基本法の検証会に担い手確保の資料を出しています。その論点整理には、農業法人が持続的に農業供給の一定の役割を担っていくためには、外国人労働者を含めた雇用労働者の確保の必要性があると、地域内外での労働力の調整の在り方を検討する必要があるというふうにしています。
これ、地域外も含めて調整をすると、こうなりますと懸念が残るんじゃないかと思うんですけど、いかがですか。
○政府参考人(農林水産省経営局長 村井正親君) お答え申し上げます。
先ほど申しましたように、農業法人、各地域ですね、雇用就農というような形を始めとして地域の雇用の受皿としても非常に重要な役割を果たすようになってきております。そういった中で、今、地域内の若者といいますか、はもちろんそうなんですけれども、地域外からやっぱり農業の世界に飛び込んでいきたいというような若者のその受皿としても非常に重要な役割を果たしてきているというふうに考えております。
今後、各農業法人でのそういった人材確保に当たって、地域内はもちろんそうですし、地域外あるいは、確かに先生御指摘あったように、外国人材も含めていろいろ考えていかなければいけない状況とはなってきておりますけれども、我々、やはり地域を中心としてそういった特に若い農業者の確保という観点からも、この農業法人の役割に期待をしているところでございます。
○紙智子君 農業法人は、農業経営と労働の一体化を図ることが必要だというふうに思います。
それで、法案は、農地法で、農業関係者が議決権の過半を占めるというふうに規定しているわけですけれども、この農業関係者三分の一超、農業関係者と食品事業者の合計で過半でも構わないという特例を設けています。なぜこれ、特例をつくるんでしょうか。認定経営発展法人は農業経営に関わる物資や役務の提供と引換えに食品事業者等から出資を受けることから、特例として議決要件を緩和するということなんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省経営局長 村井正親君) お答え申し上げます。
御指摘あったように、農地所有適格法人につきましては、農地法のルールの中では、農業者、農業関係者が二分の一超の議決権を保有しなければならないということになっております。
一方で、最近、農地所有適格法人についてもかなり経営が大型化してきているようなケースがございます。そういった法人についていろいろ実態をお聞きしたところ、やはりそういった生産した農産物のその取引先として食品産業、食品事業者と提携をした上で安定的に引き取っていただいて、そういった中で、今現在、農地法のルールの範囲内で食品事業者から出資をいただいているというようなケースが増えているということでございます。
今後、そういった農業法人が経営を更に発展をさせるために財務基盤を更に強化したいといったときに、今の農地法のルールに基づきますと、どうしてもその二分の一超を農業関係者が持たなきゃいけないということで、農業関係者のその出資に関する負担がかなり重くなってきて、やはりなかなか難しいというような声がある中で、今回、その計画の中で提携先きちんと決めていただいて、我々の目から見てもしっかりとやっていただけるというようなケースについては、計画を認定することによって議決権要件の特例を設けたいと、そういう考え方で今回制度を提案させていただいているところでございます。
○紙智子君 参考人質疑で、笠原参考人が、資本力が違う食品事業者などに対して、決定権の担保だけでは農業経営者の不安を拭い去れないというふうに言われました。農業関係の学者からも、農地所有適格化法人の議決要件の特例が設けられるが、農外資本の農業、農地支配が強まるという意見が出されているんですけれども、大臣、これについての見解を求めたいと思います。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) 農業関係者の懸念を払拭するために、様々なやはり特例を設けました。それは、今事務方の方からも言いましたけれども、総議決権のうち、農業関係者の株主総会の特別議決の拒否権を持つ三分の一超とした上で、農地の権利移転、そして転用、さらには取締役の選任、解任を特別決議の対象とすることを要件といたしました。会社法上、元々特別議決事項であります定款変更に加えまして、農業の根幹となる農地の処分、あるいは業務を執行する取締役の体制の変更についても、この三分の一の権利を持っている農業関係者の同意なくしてはできないというふうにしたわけであります。
あわせて、国が農業経営発展計画の実施状況や農地の権利移転、転用を監督することによって、農業関係者の決定権や農地の農業上の利用の確保を更に図っていくというふうにしたところでありますので、このことについては、法律が成立いたしましたならばしっかりと説明をしていきたいというふうに思っております。
○紙智子君 ちょっと大分時間が押してしまったので、ちょっと質問飛ばします。
それで、スマート農業の問題についても一言質問したいと思うんですけれども、やっぱり、平場であれだけの便利なものを使えたら確かに能率は上がるなと思うんですけど、やっぱり中山間地域だとか、そういう条件が不利なところでどういうふうに活用できるようにしていくのかというのも大事だと思うんです。
それで、中山間地域で活用できるスマート技術をどう開発するのかということでいうと、読売新聞大阪版に福井の記事が載っていました。中山間のいびつな農地で機械が入らない場所がある、一般的な田植機が一台三百万円程度だったら、GPS付自動田植機は一台四百五十万円、昨日見たのは六百五十万でしたけれども、ほどして、購入費を上回る収益を上げるには相当時間掛かると、便利なのは使いたいが、農家が利益を出す仕組みが確立していない、もうかるのはメーカーだけではないのかというように書いているんですね。
中山間で活用できるスマート技術を生産者の意見を取り入れてどういうふうに発展、開発していくのかということについて述べていただきたいと思います。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) 担い手と農地の確保はもちろんのことでありますが、スマート農業技術の展開等による生産性の向上、そして農業の付加価値の向上、さらには輸出による販路拡大等を通じまして収益性の高い農業の実現を図っていくことが必要と考えていますが、特に、スマート農業技術は農作業の労働時間の減少などの効果が確認されるなど有望な施策となっております。
本法案は、農業に従事する方々を減らしていくという意図は全くなく、今後、農業者の急速な減少にしっかりと対応できるようにすることを狙いとするものでありまして、サービス事業者による取組の促進なども通じまして、平場、そして中山間地を問わず、中小・家族経営を含む幅広い農業者にスマート農業技術の活用を促進してまいりたいというふうに思っております。
○紙智子君 時間になってしまいましたけど、やっぱり人口に、少なくなったからそれでということだけにとどまらず、やっぱりもっと増やしていくと、そういうところにこそやっぱり熱意を持って取り組んでいただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。