◇食料供給困難事態法案は、食料が不足する困難事態と政府が判断すれば、生産者に農作物の生産の増産や、作付け品目の転換も指示でき、従わなければ罰則を科す強制力を伴うのかと質問。農水省の総括審議官は「強制力を伴うものだ」と回答。 戦争する国づくりを進める政府は、自衛隊員が不足していることから、子ども食堂に自衛官募集のパンフレットを置き、勧誘したことが発覚。事務次官通達に反すると指摘し、中止を求める。
○食料供給困難事態対策法案(内閣提出、衆議院送付)
○食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
食料供給困難事態法案、それから農地関連法案、スマート農業法案など、三法案の審議が始まっているわけです。それで、新法はこの中で二つだと思うんです。それぞれ切り離して審議すべきところですけれども、一括して審議するということになりました。ただ、一本一本審議するとなれば三日以上掛かるんじゃないかと思いますので、やっぱり十分な時間を取って審議をするようにお願いをしておきたいと思います。
今日は、その中で、新法である食料困難事態法についてお聞きします。
改正食料・農業・農村基本法が成立をしました。その目的に食料安全保障の確立を位置付けたと。それなのに、何で安全保障が確立されていないことを想定した法律が必要なんだろうかと思ってしまうんですけれども、穀物の供給に不安があるからなのかなと。食料事態法で焦点になってくるのは、特定食料一号ということにしている米、小麦、大豆、砂糖、畜産物。加えて言えば、特定資材二号ということで畜産用の餌ではないかと思うんですね。
それで、大臣にまずお聞きするんですけれども、この改正基本法の目玉というのは食料の安全保障の確立だと。で、食料の供給が困難になることがないように、この特定食料の国内生産の増大あるいは自給率を高めるということが必要だと思うんですけれども、まずこの点についての見解をお聞きします。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) 気候変動によります食料生産の不安定化、それから世界的な人口増加に伴います食料争奪の激化、さらには国際情勢の不安定化というようなことで、我が国の食料安全保障上のリスクが高まる中で、国内の生産基盤の確保、そして過度な輸入依存からの脱却に向けました構造転換ということを進めることによりまして、平時からの食料安全保障の確保のための取組が最重要であるというふうに考えております。
このため、意欲のある担い手の育成や確保、そして農地の集積、集約、さらにはスマート技術の導入等によります生産性向上、そういったことによって生産基盤を強化をいたします。さらには、麦、大豆、飼料作物、加工原料用野菜等の輸入依存度の高い品目について国産転換を推進し、それでもなお輸入に依存せざるを得ない品目については輸入の安定化を図ってまいります。
そういうことを全て実施していった上で、平時からの対策を充実させ、食料の安定供給というものを図ってまいります。
○紙智子君 今最後のところで、なので、国内生産の増大とか自給率高めるというのは必要ですよねということで聞いたんですけど、そこはいいんですか、そういうことで。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) 国内生産の増大、そして自給率の向上、これはやっていかなければならないというふうに考えます。
○紙智子君 改正基本法を具体化するに当たっては、これ特定食料の供給が不足することがないように、食料事態法を発動しなくても済むように、本来、済むような生産目標とか自給率目標を決めるんだろうと思うんですけど、そういうことでよろしいんですか。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) 少し丁寧にいきますと、改正食料・農業・農村基本法に基づきまして食料・農業・農村基本計画を策定をいたします。その中では、食料自給率も含めまして食料安全保障を確保をするための目標を設定することとなっていますが、目標の設定においては、輸入リスクを低減するために、国内生産の増大を図る等の政策の効果を反映することが必要であるというふうに考えております。
一方で、世界の食料需給が不安定化する中で、世界同時不作や国内外の複数年連続の不作によりまして、主要国の食料生産が大幅に減少し、我が国の食料供給が大幅に不足するリスクはむしろ増大をしているというふうに思います。本法案は、このような事態が発生したときに国民生活や国民経済への影響を最小限度とすることを目的としているところであります。
○紙智子君 食料不足にならないように、特定食料の生産目標や自給率目標、これをやっぱり決めて進めていただきたいというふうに思います。今後のちょっと動向は注視していきたいと思っています。
そこで、食料供給事態法のこれ十分な丁寧な説明を求めたいと思うんですが、まずは、平時からこの食料供給困難事態に進んでいくということなんだけれども、兆候という言葉があります。この兆候というのはどういう状態をいうのでしょうか。
○政府参考人(農林水産省官房総括審議官 杉中淳君) 本法案における食料供給困難兆候とは、例えば世界的な干ばつ等、これはある程度、数か月前から予測が可能なものでございますけれども、こういった干ばつが発生をして、このまま推移をすれば重要な食料の供給が大幅に不足するおそれがあること等により、その段階で食料の安定供給の確保のための措置を図らなければ食料供給困難事態の発生を防止することが困難となると、そういう事態を想定しております。
○紙智子君 食料の供給が困難になる兆候ということなんだけど、この判断基準というのはどういうことなんですか。
○政府参考人(農林水産省官房総括審議官 杉中淳君) 食料供給困難事態を判断するに当たって、まず、その供給困難になる要因ではなくて、食料供給不足を引き起こす兆候がそのまま推移をすれば特定食料等の供給の大幅な不足が発生するおそれが大きい、また、不足する懸念が生じることによって価格高騰など実体的な影響が発生する可能性があるかどうか、そういったことが基準になるというふうに考えております。
基本的な考えにつきましては、法律が制定をすれば、基本方針の中の食料供給困難兆候又は食料供給困難事態に該当するかどうかに関する基準に関する事項によって具体的に定めるということとしておりまして、今後必要な検討を行ってまいります。
○紙智子君 今後必要な検討をするということなんですけれども、兆候があると、この兆候の発生について認定するのは誰が認定するんですか。
○政府参考人(農林水産省官房総括審議官 杉中淳君) まず、農林水産大臣は、平時におきまして、特定食料等に関する国内外の需給や価格動向の予測、また食料供給に影響を与える国際物流に関する情報などを収集をしておりまして、今後更にそれを強化していきたいというふうに考えています。
こうした情報収集におきまして、例えば主要な産地において深刻な不足が発生するなど、我が国にとっての食料供給が大幅に不足するリスクが非常に高いと判断をしたときに、農林水産大臣が食料供給困難兆候が発生をしたと認めることになります。そして、農林水産大臣の報告に基づきまして、食料供給確保を行うための対策を行う必要があるかどうか、この判断は内閣総理大臣が行うことになります。
○紙智子君 今、兆候があるというふうに判断した段階、するのは農水大臣なんだけれども、その段階で食料事態法が発動されるということになるんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省官房総括審議官 杉中淳君) 食料供給困難事態への対応につきましては、できるだけ早期にその兆候を把握し、その段階から供給確保対策を講じることで事態の深刻化を防ぐことが重要であると考えております。そのため、委員御指摘の観点でいえば、食料供給困難事態対策につきましては、御指摘のように兆候の段階で、内閣総理大臣が対策が必要と認めた段階から発動されます。
しかしながら、本法におきましては、即時に適切に対応するために、平時においても特定食料等の需給状況の把握、一定量の在庫があるかどうかの確保など、平時からの対策も重要でございますので、本法案におきましては、第四条の報告徴収など、平時から行う対策も含まれているところでございます。
○紙智子君 政府は、兆候の事例として六つ挙げられていますよね。一つは異常気象、それから家畜伝染病、それから感染症、地政学的リスク、穀物のバイオマス利用の増加、それから輸入競争の激化などなんですけれども、このうち感染症と地政学的リスクというのは、これ農水省だけで認定する、判断できるんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省官房総括審議官 杉中淳君) 議員御指摘のように、食料供給を不安定化させる要因というのは多様化しておりますので、議員御指摘の地政学的リスク、また感染症リスクにつきましては、それがどのような影響を与えるかにつきましては関係省庁と連携をして対応していくことが重要でございます。
また、ただ、兆候の判断におきましては、先ほど答弁しましたように、こういったリスクの存在によって食料供給が大幅に不足する可能性があるかどうか、また、そのおそれによって価格高騰などの影響が出るかどうかというところに着目して判断をすることになりますので、農水大臣が中心となって、関係省庁とも連携をして、必要な情報を得ながら判断をしていくことになるというふうに考えています。
○紙智子君 この地政学的リスクというのは、政治情勢に起因した食料などの制限や規制等というふうに説明されているんですけれども、なかなかちょっと分かりづらくて、ロシアのウクライナ侵略はこの地政学的リスクに入るんでしょうか。麦とか大豆とか、この特定食料の供給量が二割減少、まだしておりませんけれども、一方で国民生活だとか国民経済への影響はあったというふうに思うんですよね。そういう意味では、この地政学的リスク、これを判断する基準というのはどういうことなんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省官房総括審議官 杉中淳君) まず、ロシアによるウクライナ侵攻につきましても、こういった国、地域間の競争の激化は地政学的リスクとして認識をしております。ロシアのウクライナ侵攻につきましては、小麦やトウモロコシ、また特定資材として考えている肥料などの国際価格の高騰などを通じて我が国も間接的にその影響を受けたということでございますので、様々な地政学的リスク、その中に我が国が直接関与しないものもありますけれども、こういったものは食料供給を不安定化させる要因になるというふうに考えております。
地政学的リスクによる食料供給困難兆候の判断、これ繰り返しになりますけれども、こういった地政学的リスクに伴って、この場合は大体サプライチェーンの混乱というのが大きなリスクになると思うんですけれども、その混乱によって食料供給確保のための措置を講じなければ特定食料の供給の大幅な不足、例えば輸入の大幅な減少等によって実体的な影響が生じるかどうかと、そういったことが基準になって考えていくことになるというふうに考えております。
○紙智子君 何か、そうすると、いろいろ、いろいろだなというふうに思うんですけど、例えば小麦という一品だけが大きく影響したからということではまだそういう対象にならないのかなと。何か、今、サプライチェーンのことなんかも含めて入るということなんですけど、ちょっとなかなかその辺も含めてイメージがよくつかめないんですけど、この地政学的リスクの判断基準というのは何なのかということでは、是非、過去の事例も含めて、今日これ以上はちょっと続けませんけど、次回ぐらいまでに提出をしていただきたいというふうに思います。よろしいでしょうか。
○政府参考人(農林水産省官房総括審議官 杉中淳君) 提出をさせていただきたいと思います。
○紙智子君 兆候の次に来るのが、食料供給困難事態に移っていくということになるんですけれども、この困難事態を判断するのは誰なのか、また兆候が事態に移行するには数週間あるいは数か月、時間が空くのかどうか、それとも連動していくのかということについてはどうでしょうか。
○政府参考人(農林水産省官房総括審議官 杉中淳君) 食料供給困難事態につきましては、兆候の時点で内閣総理大臣の判断に基づいて食料供給困難事態対策本部が設置されますけれども、この本部長である内閣総理大臣が判断をして、その旨の公示を行って、国会に報告をすることとしております。
また、兆候から困難事態までの期間については、個々の事態の進行状況により変わってくる。場合によっては、兆候段階の措置によって食料供給不足解消されたということもありますし、場合によっては、突如として食料供給大幅な不足が実現をして、非常に短い期間で困難事態に移管するということもあり得ますので、一概にお答えするということは困難であるというふうに考えています。
○紙智子君 判断は総理大臣がやると。
それで、ちょっと連動するというふうに最初レクチャー聞いていたんですけれども、連動でない場合もあるということなんですかね。
○政府参考人(農林水産省官房総括審議官 杉中淳君) 基本的には連動しますけれども、ただ実際に食料供給困難事態の公示をするかどうかというのは、食料供給困難兆候からの進展によって食料供給不足による国民経済、国民生活への影響が実際に発現したかどうかと、そういう観点から判断することになりますので、どれぐらいの期間でとか、絶対発動するのかということについてはその時々の状況において判断されるということになると思います。
○紙智子君 次、ちょっと聞くんですけれども、兆候の段階では、出荷とか販売対策や生産対策は民間の自主的な取組を要請するという、要請ということで説明されているわけです。それが困難事態になったときには要請から指示に変わると。計画を出さなければ担保措置として罰則まで規定しているわけですよね。
法令用語辞典で調べてみますと、指示というのは、これ指揮又は命令に準ずるものと説明をされています。指示というのは強制力を伴う措置ではありませんか。
○政府参考人(農林水産省官房総括審議官 杉中淳君) 指示につきましては、議員御指摘のように強制力を伴うものでございます。
○紙智子君 要請から指示に変わるとこれ罰金が科せられると。かなり強い強制力が働くんだと思うんです。しかし、命を守る法律、ほかに例えば新型インフルエンザなんかの対策措置法がありますけれども、そういうふうになっていないですよね、インフルエンザの場合は。
逐条解説を見てみると、指示とは、一定の行為について方針、基準、手順等を示してそれを実施させることをいい、法的に当該指示に従う義務が生じると。ただし、指示を受けた医療関係者が当該指示に従わなかった場合であっても罰則規定は置いていないというふうに説明されているんですよね。ですから、これ、食料事態法の規定の強制力というのは非常に強いんじゃないのかなというふうに思うんです。
要請ということについては第十五条で書いていますよね。で、指示というのは第十五条の二のところで書いています。第十五条の二で、主務大臣が要請してもなお困難事態を解消することが困難であるときは、業者、生産者に対して、主務省令で定めるところにより計画を作成し、主務大臣に届け出るべきということを指示することができるというふうに書いてあるんですが、この主務省令というのはどういうものなんでしょうか。
○政府参考人(農林水産省官房総括審議官 杉中淳君) まず一点、御指摘あった新型インフルの関係ですけれども、新型インフルエンザ対策というのは複数の法律によって対策を行いましたので、その中の一つである感染症法におきましては、対策に必要な医薬品等についての生産計画、輸入計画というのの規定がございまして、その内容については基本的に今回の食料供給困難事態対策法と同じ制度を取っておりまして、生産計画の作成及び届出の指示、また届出を行わなかったときの二十万円以下の罰金という同じ仕組みを取っております。
引き続きまして、主務省令の内容でございますけれども、委員御指摘のように、十五条第二項におきまして、主務大臣は、事業者に対して出荷、販売の要請をしてもなお食料供給困難事態を解消することが困難なときは、出荷、販売を行う事業者に対して供給計画の届出を指示することができることとしております。
同項に基づき定める主務省令においては、当該計画に係る記載事項について定めるということを予定をしております。具体的には、記載事項は、今後事業者や事業者の関係の団体等の意見も聞いて決定をすることとしたいと考えておりますけれども、例えば十五条第二項、これは、出荷、販売の調整の関係では、事業者が有している在庫の量を含む事業者の経営実態に関する情報、また在庫の放出を事業者はどういうふうに行っていくのか、また在庫の供給に当たっての仕向け先をどうしていくのかというような供給確保の具体的な取組内容等について記載していくべく、主務省令で定めるということを想定をしております。
○紙智子君 これから具体的には検討していくということで、事業者とかいろいろ意見を聞くということなんですけど、ちょっとこれも次回までに今考えている中身について分かるように出していただくように求めたいと思います。
さて、ここでちょっと話題を変えるんですけれども、子供食堂についてお聞きします。
それで、改正基本法は、国民一人一人がこれを入手できる状態というふうに規定していまして、食料を届ける子供食堂の活動というのはそういう意味では非常に重要になってくるんだと思うんです。食料供給困難事態になったときに、この子供食堂というのはどういうことになるんでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) 経済的な理由で健康的な食生活に必要な食料を入手できない方々の増加、これは、その問題は平時から対応すべき課題であるというふうに考えております。
このため、改正基本法では、国民一人一人の食料安全保障の確保を図るため、基本的施策として、食料の円滑な入手の確保に向けて、フードバンクや子供食堂等の取組について、食料の寄附が円滑に行われるための環境整備を位置付けているところであります。
一方で、食料供給困難事態におきましては、供給確保のための措置を実施することによって特定食料の総量を確保することとしております。食料の供給が大幅に不足する事態におきましては、経済的に困窮している方々の食料確保はより深刻になるというふうに考えられます。そのため、本法におきまして、食料の総量を確保するとともに、平時から実施する食料の円滑な入手対策を組み合わせて実施することにより、食料が経済的に困窮している方々を含めた国民の皆さん方にあまねく行き渡るような対策を講じてまいります。
○紙智子君 総量をとにかく確保するということを前提にしているということなんですよね。
それで、今日、実は防衛省に来ていただきました。防衛省の方いらっしゃると思います。
それで、この食料アクセスに位置付けられている子供食堂で自衛隊が勧誘とも受け取られる活動を行っていたんですね。
それで、ちょっとお配りしている資料を見ていただきたいんですけれども、これ、昨年九月に自衛隊札幌地方本部が子供食堂に送ったメールなんです。その線を引いたところを見てほしいんですけれども、中学生以上の子供さん又は保護者様に対して、自衛隊で勤務するための紹介パンフレットなどをお渡しさせてもらえないかどうかの相談ですというように書かれているんですね。この渡すという表現になっているわけです。
それで、防衛省にお聞きするんですけれども、中学生に、自衛隊で勤務するパンフレット、これ渡してもいいんでしょうか。
○政府参考人(防衛省政策立案総括審議官 青木健至君) お答え申し上げます。
昨年九月、自衛隊札幌地方協力本部の広報官が札幌市内の子供食堂に対し、事前にメールでやり取りをした上で自衛隊に関するパンフレットやペーパークラフト等のグッズをお渡ししたというふうに承知をしております。
これらにつきましては、事前に子供食堂の関係者に御相談をさせていただいた上で行ったものであり、問題があるというふうには認識をいたしておりません。
○紙智子君 渡したって言われたんですけど、事前に了解取っているから渡したのでいいという認識なんですか。
○政府参考人(防衛省政策立案総括審議官 青木健至君) この御指摘のパンフレットでございますけれども、自衛隊の仕事であるとかあるいは自衛官の処遇等につきまして具体的に記載されているものでございます。
御指摘の件は、自衛隊や自衛官について幅広く知っていただくと、それを目的といたしまして、子供食堂の運営に携わっている方々や来訪される方々など、すなわち広く一般に対して行ったものであるというふうに認識をしております。
○紙智子君 パンフレットを配ったって言うけど、三種類配っているわけですよね。知ってもらうというだけじゃなくて、実際にどういうふうな、試験するためのことなんかも含めて書いたパンフレットを配っていると思うんですよ。
それで、もう一つ資料ありますけれども、防衛省事務次官通達、二枚目、三枚目になりますけれども、見ていただきたいんですけど、これも線を引いたところですが、中学生に対する募集広報については、当該中学生の保護者又は当該中学生が就学する中学校の進路指導担当者を通じて行う場合に限るって書かれているんですよね。
メールの方は、子供に渡してもらえないかというタッチなわけですよ。通達の方は、子供に渡す場合は保護者か学校の進路指導担当者を通じて渡すということになっているんですよ。これ明らかに事務次官通達違反じゃないかと思うんですけど、いかがですか。
○政府参考人(防衛省政策立案総括審議官 青木健至君) お答え申し上げます。
まさに御指摘の件は、自衛隊や自衛官について幅広く知っていただくことを目的に、子供食堂の運営に携わっている方々や来訪される方々、広く一般に対して行ったというものでございまして、特定の中学生本人に対する直接の募集に当たるものではないというふうに認識しておりまして、事務次官通達に違反するというふうには考えておりません。
また、その御指摘のメールでございますけれども、広報官が中学生に直接パンフレットを渡すことを目的として記載をしてお願いをしたというものではなくて、子供食堂の運営に携わっている方、来訪される方々のうち、関心のある方が持って帰っていくことができるようにパンフレットを置かせていただきたいとの考えを伝える趣旨で記載をしたというふうに認識しておりまして、いずれにしても事務次官通達に違反をするというふうには考えておりません。
○紙智子君 いやいや、全然何かそれは理解できません。
だって、メールに書いてある文章見てください。実際には、中学生以上の子供さん又は保護者様に対してこのパンフレットを渡したいということですから、見てもらえばいいという話じゃないじゃないですか。おかしいと思うんですよね。
そして、これ子供に渡す行為というのは子どもの権利条約にも違反しているんですよね。権利条約の第三十八条、締約国は十五歳未満の者を自国の軍隊に採用することを差し控えるというふうに書いているわけです。この子どもの権利条約に違反する行為にもなるわけですよ。その辺は、外務省さん、いかがなんですか。
○政府参考人(外務省官房審議官 熊谷直樹君) お答え申し上げます。
お尋ねの児童の権利に関する条約でございますが、御指摘のとおり、軍隊に採用することを差し控える年齢等についての規定がございます。子供食堂に自衛官の募集パンフレットを置くこと、これをもって同条約上の義務に違反するとは考えておりません。
○紙智子君 義務に反するというふうに思わないというのが外務省さんの正式な見解なんですか。
○政府参考人(外務省官房審議官 熊谷直樹君) お答えを申し上げます。
児童の権利条約第三十八条の三でございますが、十五歳未満の者を自国の軍隊に採用することを差し控えるものとし、また、十五歳以上十八歳未満の者の中から採用するに当たっては、最年長者を優先させるよう努めると、こういう規定でございます。
したがいまして、子供食堂に自衛官の募集パンフレットを置くこと、これをもってこのような同条約上の義務に違反すると考えておりません。
○紙智子君 全然納得できないですよ。だって、実際にそこに来る子供たちというのは中学生以下だっているんですよ。子供だっているんですよ。そういうところに渡してほしいということでやっているということ自体は、これおかしいと思いますよ。
それで、このパンフレットを見て親の方が不安に思っているという話も聞いているわけですよ。それだけじゃなくて、このメールをきっかけにして基地見学や体験学習にもつながっていて、これ子供たちが参加しているわけですよ、その後。
これ、日時や場所や参加人数どうなっているか教えてください、防衛省。
○政府参考人(防衛省政策立案総括審議官 青木健至君) お答え申し上げます。
令和六年一月十一日、子供食堂の職員を含む六名が東千歳駐屯地において資料館の見学、施設の見学、車両の体験搭乗等を行ったという報告を受けております。
○紙智子君 農水大臣にお聞きするんですけれども、こういうやり取りというか、防衛省事務次官通達で禁じていて、子どもの権利条約でもそういう、まだ年が至らない子供たちに対してこういうことをやっているということに対して禁じているのに、子供食堂でこういう自衛隊への事実上の勧誘が行われて、実際、基地での体験学習まで行われていると。
本来、子供食堂が違う目的であるにもかかわらず、こうやって自衛隊の勧誘の場に使われるということは子供食堂の目的に合わないんじゃないですか。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) まず、自衛官の募集をどのような場所や機会において行うかにつきましては、防衛省が法令等にのっとりまして適切に判断すべきものでありまして、私の立場でお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
その上で申し上げますと、子供食堂は地域の皆さんの自主的な活動として各地で様々な取組が拡大をしておりまして、令和五年度は九千百三十二か所まで増加をしているところであります。
子供食堂は、様々な困難を抱える子供が安心して過ごせる居場所であると同時に、高齢者も含めまして様々な世代の共食やコミュニケーションの場ともなっており、さらには食品アクセスの確保にも貢献するなど、地域で様々な役割を果たしているものというふうに認識しております。
農林水産省では、こうした子供食堂の活動を支援するため、こども家庭庁を始めとした関係省庁とも連携をして、地域の取組を後押ししてまいりたいと考えております。
○紙智子君 子供食堂が果たしている役割の今話があったと思いますよ。ですから、無料でとかあるいは安価で栄養のあるものを子供たちが食べられるようにすると、あるいは親たちがそこで交流するとか、そういう場として自主的にやられているところもあるわけで、今広がっているわけですね。非常にそういう意味では役割大きいと思うんですよ。
そういうところを使って自衛隊への勧誘やるということは、やっぱりおかしいと思うんですよね。ちゃんとやっぱり農水大臣も物申すべきだと思いますよ。防衛省に対して、やっぱりそれやり過ぎじゃないのかということはちゃんと言うべきだと思いますよ。
是非、そのことを主張していただきたいと思いますし、それから防衛省に対しても、こういうことは今後ちょっと考え直していただきたいんですよ。やめてほしいと思うんですけれども、いかがですか。
○委員長(滝波宏文君) 時間ですので、簡潔にお願いします。
○政府参考人(防衛省政策立案総括審議官 青木健至君) お答え申し上げます。
今般行った子供食堂への自衛隊に関するパンフレットやグッズの配布につきましては、規則に違反するようなものではなかったというように考えております。
その上で、防衛省といたしましては、様々な御意見を踏まえながら、適切な広報活動を通じて防衛省・自衛隊の活動について国民の皆様から御理解いただけるよう、今後とも引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。
○委員長(滝波宏文君) 時間ですので、おまとめください。
○紙智子君 ちょっとね、今の発言というのも本当に許されないなと思っていて、最初ちょっとやり取りしたときには、誤解を与えるような行為だったと言っていたんですよ。ですから、真摯にちゃんと反省して、そういうことでよかったのかどうかということを反省しなきゃいけないと思いますよ。
やっぱり、本当にこの自主性に任せているということなんだけど、事務次官通達もあるのにそれも徹底されていない、子どもの権利条約があるのに知らされていない、研修もされていない可能性もあるということで、逆に開き直るような答弁というのは絶対納得できないし、これからも問題になっていくと思います。
そのことを強く申し上げまして、今日の質問は終わらせていただきます。