◇「アイヌ施策推進法」(アイヌ新法)の見直しに向けて、アイヌ民族や同団体の要望を幅広く聞く仕組み作りを求めるとともに、国連自由権規約委員会の勧告(22年)を踏まえた見直しを
機能性表示食品は、2013年、安倍晋三首相が「世界で一番企業が活躍しやすい国の実現」するために、米国や財界の要求を受け入れた解禁したと告発。安全性が軽んじられて健康被害が多発している機能性食品の廃止を要求
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
まず初めに、アイヌ施策推進法の見直しについてお聞きをいたします。
今年五月以降には施行状況を検討する時期を迎えます。現在の検討状況を報告をしていただきたいことがまず一つ。
そして、また、アイヌ民族は、北海道以外にも、関東や関西を含めて日本の各地に住まわれています。団体も、北海道アイヌ協会に参加している団体もあれば、独自に活動している団体もあります。この見直しの進め方についても、広く意見を募集するとか窓口をつくったりしながら反映させていくという必要があるんじゃないかと思うんですけれども、どうだろうかということで、担当大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(内閣府特命担当大臣(アイヌ施策) 自見はなこ君) お答えいたします。
アイヌ施策推進法の附則第九条におきましては、政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされてございます。
この法案は、令和元年の五月に施行されておりまして、そこから五年の経過後に当たる本年五月以降になりますが、法の施行状況について検討を行う考えでございます。その具体的な進め方については現在検討中でございます。
○紙智子君 現在検討中と言うだけで全然ちょっと分からないんですけど、もうちょっと何か、検討の仕方とかね。
○国務大臣(内閣府特命担当大臣(アイヌ施策) 自見はなこ君) お答えをいたします。
具体的な検討自体は本年五月以降を予定してございますが、現時点では、まず、法に規定をされてございますアイヌ施策の推進交付金、また民族共生象徴空間、ウポポイの利用状況や運営状況などについて把握、点検することを考えてございます。
いずれにいたしましても、本年五月以降にしかるべく検討を進めていくことができるように対応してまいりたいと考えてございます。
○紙智子君 私が知っているいろんな声が聞こえてきているんですけど、それだけ聞いても、もっといろいろ幅広く、ウポポイのことだけじゃなくてですね、要望していることというのはたくさんありますので、アイヌの人たちの、まあ団体もありますけれども、広く参加できる、意見をちゃんと取り寄せることができる、そういう仕組みが必要だというふうに思いますので、是非検討をもっと深く突っ込んでやっていただきたいというふうに思うんです。
それで、アイヌ施策の推進法に対する参議院の国土交通委員会の附帯決議に、国連人権条約監視機関による勧告を踏まえ、施策の更なる検討に努めるというふうにあります。
附帯決議以降、どのような勧告があったのか、そして勧告ではアイヌについてどのように書いているのかを説明いただきたい。これ、外務省にお聞きします。
○政府参考人(外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官 松尾裕敬君) お答え申し上げます。
二〇二二年十一月、自由権規約委員会が我が国の第七回政府報告審査を踏まえた総括所見を公表いたしました。
その総括所見の中では、アイヌの方々に関連して三点の勧告が示されております。
具体的には、一、アイヌの伝統的土地及び天然資源に対する権利を完全に保障する更なる措置をとること、二、アイヌに影響を与えるあらゆる政策に関する意思決定に自由に参加する権利の尊重を確保すること、三、可能な限りアイヌの子供たちへの自分たちの言葉による教育を推進することが勧告されております。
この総括所見は法的拘束力を有するものではございませんけれども、同委員会の勧告については関係府省庁において内容を十分に検討していくものと承知しております。
○紙智子君 ありがとうございます。
締約国は、伝統的土地や天然資源政策への自由な参加という問題、それから、今お話あった母国語での教育を受ける権利を完全に保障するために更なる措置を講じるべきであるという勧告だと思うんですね。
それで、参議院の附帯決議は、勧告を踏まえて施策の更なる検討に努めるというようにあるわけですよ。
この勧告を踏まえて施策を見直すということでよろしいのか、自見大臣にお聞きします。
○国務大臣(内閣府特命担当大臣(アイヌ施策) 自見はなこ君) お答えいたします。
アイヌ施策推進法の施行状況の具体的な検討の進め方については現在検討中でございますが、委員御指摘の附帯決議にも十分留意してまいりたいと考えてございます。
○紙智子君 十分留意していくということだったと思います。
次に、教育についてお聞きします。
アイヌ施策推進法の第五条の三のところで、国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動その他の活動を通じて、アイヌに対し、国民の理解を深めるよう努めなければならないというふうになっているわけですね。
この法律ができる前でしたけれども、学習指導要領の改訂が行われて、人権教育開発事業などが行われているわけですけれども、この五条の三を受けて新たな発展というのはあるんでしょうか。
○政府参考人(文部科学省大臣官房審議官 森孝之君) お答え申し上げます。
今御指摘のございましたアイヌ施策推進法の成立に先立ちまして、平成二十九年、三十年に改訂をしました学習指導要領におきまして、アイヌに関する内容の充実を図ったところでございまして、この新たな学習指導要領等に基づく教育が令和二年度以降順次実施をされているところでございます。
具体的には、小学校社会科ですとか高等学校の必履修科目でございます歴史総合等におきまして新たにアイヌの文化を扱うということとするとともに、中学校の社会科では、従前より、北方の交易をしていたアイヌについて取り扱うと、扱うということとしてございましたけれども、これに加えましてアイヌの文化についても触れるということと明記されたところでございまして、これらに基づく教育が各学校で実施をされているところでございます。
また、人権教育に関する指導方法の改善充実に資することを目的といたしました実践研究事業におきまして、令和三年度より、アイヌの人々を重点課題と位置付けて優先的に採択を実施しているという状況となってございます。
○紙智子君 今いろいろ紹介ありましたとおり、やっぱりもっともっと広げていくというか、発展させなきゃいけないということだと思います。
今年四月から北海道の平取高校が独自にアイヌ文化を科目に取り入れました。これ、大臣、御存じでしょうか。
○国務大臣(内閣府特命担当大臣(アイヌ施策) 自見はなこ君) 知っております。大変すばらしい取組だと思ってございます。
○紙智子君 すばらしい取組だというふうに感想をいただいたわけですけれども、高校で科目を設定したということなんですけど、これ、アイヌの文化やアイヌ語を教える人材の養成というところが今やっぱり必要じゃないかというように思うんですね。
ですから、見直しに当たって、これ、是非要望をしておきたいと思うんです。やっぱり人材が育っていくことによって、そこからまた広げて教えていけるということでもありますし、そういう要望も多分寄せられてくると思いますので、是非検討していただきたいと思います。
それから、昨年、二〇二三年の五月に北海道浦幌町で、ラポロアイヌネイション、旧浦幌アイヌ協会は、アメリカ、カナダ、台湾、フィンランドなど五つの国と地域から七つの先住民族が参加をして各国の先住民族政策の取組を交流する国際シンポジウム開いているんですね。その中で、「先住権としての川でサケを獲る権利」というのを開いていて、交流をしていると、各国で取り組んでいるわけなんですけれども、その先住権についてこういう自主的な取組が行われたことについて、大臣、どのように思われるでしょうか。
○国務大臣(内閣府特命担当大臣(アイヌ施策) 自見はなこ君) お答えいたします。
本シンポジウムにつきましては、報道で承知してございますが、必ずしも詳細について存じ上げているわけではございませんので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思ってございます。
○紙智子君 この先住権という問題は、非常に強い要求でもあるんだけれども、それを実際に進めようと思うとしっかり議論していかなきゃいけない大事な問題だというふうに思っていまして、今後、是非こうしたことについても把握しながら、五月から見直しが始まっていくわけですけれども、検討されていくということなんですけれども、この先住権や、それからアイヌに対する差別の問題や、あるいは社会保障、教育、こういった課題についても是非検討するように、これは要望ですけれども、要望しておきたいと思います。
さて、次なんですけれども、機能性表示食品について質問します。
小林製薬の紅こうじサプリで亡くなられたり健康被害が広がって、紅こうじそのものへの不安や風評被害が広がりました。政府は、この小林製薬が製造した紅こうじ原料と他社が製造したベニコウジ色素は異なるもので、ベニコウジ色素は食品添加物として食品衛生法の基準に適合したものが販売されているということで、QアンドAが出されました。
そこで、問題になっているこの機能性食品表示について質問いたします。
食品安全基本法は、国の責務として、食品の安全性の確保に関する施策を総合的に策定し、実施する責務があるというのを第六条で定めています。そして、食品の安全性を確保する施策に当たっては、人の健康に及ぼす影響についての評価は施策ごとに行わなければならない、これ第十一条で定めています。
それなのに、この機能性表示食品は、事業者が安全性や科学的な根拠とされるものを国に届出すれば商品化できると。国は確認も拒否もできないわけなんですね、届出されたら。なぜこんな制度ができたのか。私が調べたところ、食品の機能性表示の解禁を求める動きというのがアメリカや財界から相次いでいるわけです。
アメリカの企業を中心とする在日米国商工会議所は、一九九五年に、健康食品、いわゆるサプリメントの有用性や摂取方法等の表示を可能にするようにということで日本政府に求めているわけなんです。それから、二〇〇三年には、健康食品に対する新たな包括的法制度の新設を要求していると。それから、経団連は、二〇〇五年ですけれども、規制緩和要望の中で食品の機能性表示制約の見直しを新規に要望しています。
この食品の機能性表示要望に対して、当時の政府の見解について説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全) 自見はなこ君) 機能性表示食品制度でございますが、平成二十五年の六月十四日に閣議決定をされました規制改革実施計画等におきまして、機能性表示をすることについての新たな方策を検討し結論を得ることとされたことを踏まえまして、平成二十五年十二月から計八回にわたる有識者による食品の新たな機能性表示制度に関する検討会での検討を経て創設されたものであります。
本制度は、安全面、機能面やあるいは製品管理体制に関する情報を消費者に開示させることを前提に、平成二十七年に、届出制により機能性関与成分の保健機能の表示ができる制度として創設をされました。
お尋ねの件でございますが、我々が把握できた範囲におきまして、米国から本制度の創設に関する要望を受けた事実は確認できませんでした。
また、もう一点のお尋ねでございますが、経団連等につきましては、平成二十五年十月の規制改革ホットラインへの要望の中に食品の機能性表示に係る要望がございまして、いわゆる健康食品等の加工食品及び農林水産品に対し、企業等の責任において科学的根拠を基に機能性を表示できる新たな方策について検討する旨を回答していると認識をしてございます。
いずれにいたしましても、機能性表示食品は、規制改革実施計画等を受けて、有識者による精力的かつ充実した議論、検討を踏まえて創設されたものでございます。
○紙智子君 米国からの要望は確認できませんでしたとおっしゃったんですけど、実際上は在日米商工会からの要望というのは出されている議事録はあるんですよね。だから、ちょっとその把握できていないというのはよく分からないんですよ。
それで、機能性表示食品は、二〇一九年、あっ、一二年に自民党が政権に復帰してから半年で実現しているんですね。安倍晋三当時の首相は、二〇一三年の六月五日に成長戦略第三弾スピーチという中で次のように述べています。
企業経営者に求められているのは、スピード感、リスクを恐れず、決断し、行動する力です。健康食品の機能性表示を解禁いたします。アメリカでは事後に届出をするだけでよいのです。今回の解禁は世界の制度にそろえるものにとどまりません。世界で一番企業が活躍しやすい国の実現、それが安倍内閣の基本方針ですというふうに宣言をしているんですね。
それで、政権復帰後半年間でこれどうしてこんなに早く解禁できたのかということをちょっと内閣府にお聞きしたいんですけど。
○政府参考人(内閣府規制改革推進室次長 渡辺公徳君) お答え申し上げます。
規制関連のその検討の過程についての御質問でありますけれども、平成二十五年一月の日本経済再生本部におきまして、雇用関連、エネルギー・環境関連、健康・医療関連を重点分野とした上で、大胆な改革を推進するよう総理指示がなされたものと承知しております。
この総理指示を踏まえまして、同年二月の規制改革会議においては、規制改革全般について議論、検討の成果は、可能なものは随時取りまとめるとともに、同年半ばを目途に取りまとめられる成長戦略に盛り込むことを目指すとされたものです。
その上で、健康・医療分野について申し上げますと、先ほど申し上げたように重点分野の一つとして盛り込まれておりましたことから、その後、同年四月から五月にかけて健康・医療ワーキンググループにおける複数回の集中的な議論を経て、同年六月に閣議決定された規制改革実施計画において、機能性の表示を容認する新たな方策の具体的方策について、米国の制度も参考としながら、安全の確保も含めた運用が可能な仕組みとなることを念頭に検討を行うこととされたものです。
その後、同計画、同実施計画を受けまして、消費者庁において有識者における検討、よる検討、消費者委員会などの一年以上の議論を経て、安全性の確保を前提とした具体的な制度化が行われ、平成二十七年四月に本制度が開始されたものと承知しております。
○紙智子君 今一通りその経過について話をされて、安全性に確認したものということで進めてきたという話もあるんですけれども、これヘルスライフビジネスという業界紙が二〇二二年に緊急特別座談会というのをやっていて、安倍元総理と機能性表示食品制度ができた経過を報じているんですね。ヘルスライフビジネスという業界紙です。
この座談会で、内閣府の規制改革委員として機能性表示食品制度の創設に携わった森下竜一氏は次のように語っておられます。
私が安倍さんと関わったのは、小泉政権のときです。その後、お互いにゴルフが好きなので、御一緒にゴルフをしたという方なんですね。
機能性表示食品についてこう言っておられます。
今だから言えますが、安倍さんは消費者庁が大分嫌いだったんですよ。健康食品の業界は大変大きな業界だと、参議院でいうと二人通る規模なんです。もう一つ重要なのは、健康・医療戦略は従来は福祉です。安倍政権で初めて成長戦略に、経済成長戦略に変わったんです。消費者庁は抵抗しましたが、最後は厚生労働省が味方になって一緒に説得してくれたこともありました。官邸の意向は強いですと語られているんですよね。
業界と官邸がタッグを組んでこれ行政をねじ曲げていったということなんじゃないんでしょうか。いかがですか、大臣。
○国務大臣(内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)自見はなこ君) 当時様々な御意見等があったとございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げたとおり、八回にわたります検討会、あるいはパブリックコメント等などを経て創立をされた制度であるというふうに認識してございます。
○紙智子君 緊急座談会は、この森下氏が、機能性表示食品制度ができた経緯を記録として残したいという願いから企画されたというふうに書かれているものなんですね。
この森下氏は、大阪府、大阪市の特別顧問で、二〇二五年の大阪・関西万博では、府と市でつくる大阪ヘルスケアパビリオンの総合プロデューサーとして紹介されています。万博で機能性表示食品を展示する予定と言われています。
もう一人、消費者庁の食品の新たな機能性表示に関する検討会の委員を務めた日本通信販売協会会長、ファンケル相談役の宮島和美さんは、ファンケルの創設者の池森さんは創業者の会で安倍さんや菅さんと定期的に会食をいただいていましたと、機能性表示の食品の要望は池森さんから安倍さんに渡してもらいました、菅さんには官邸でお話を聞いていただいたと、この業界と官邸の関係をリアルに語っておられるんですね。この官邸の強い意向による規制緩和であったことがそこからは読み取れるわけなんです。
そこで、ちょっと委員長にお願いですけれども、アメリカや財界、さらには自治体から、栄養補給剤や機能性表示食品に関する規制改革要望が出されているわけですけど、いつ、どんな要望が出されたのか、日本政府の対応はどうだったのかということを資料として提出するように求めたいと思います。御検討ください。
○委員長(佐藤信秋君) 後刻理事会で協議します。
○紙智子君 二〇一三年の日本再興戦略で健康食品を容認する閣議決定がなされて、二〇二三年の市場規模は六千八百六十五億円に膨らみました。
食品安全基本法は食品の安全性を確保するために国民の意見を十分配慮するというふうになっているのに、反対した当時、消費者団体や日弁連の意見というのはまともに聞かれなかったんですね。
今回、小林製薬のサプリで死者が出るという重大な事態、問題が発生しました。消費者庁は十二日に、機能性食品の健康被害が百十七件あったと公表しました。利益を優先をすると、安全性が軽んじられて健康被害が多発していると。
こういう機能性表示食品制度は、これ創設する過程を含めて問題があったんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)自見はなこ君) お答え申し上げます。
この度、官房長官からも指示を受けまして、五月末までにこの食品、機能性表示食品、失礼いたしました、機能性表示食品制度の在り方について検討するようにということで御指示を賜ってございます。今週にも、専門家の皆様を構成要員といたします機能性表示食品を巡る検討会を開始をさせていただきます。その中におきましては、今までの総括も含めましてでございますが、様々な関係の皆様、消費者団体を始めとした皆様から御意見をしっかりと聞いてまいりたいと考えてございます。
○紙智子君 非常に重大な、死者を出すという事故を起こしたこの機能性表示食品制度というのは是非廃止するべきだということを求めておきたいと思います。
そして、ちょっともう時間もなくなりましたから、原因の究明の問題ですよね。この間いろいろ取り沙汰されてきたわけですけれども、例えば紅こうじの一部の菌株にシトリニンという毒性を持つ株があるということが指摘されたんだけれども、小林製薬は、シトリニンはなかったと、ないというふうに言っていたんですけれども、これ立入検査で確認できたのかどうかという問題ですとか、それから、青カビの一種でプベルル酸が原因だということも言われているんだけれども、それが原因だとしても、製造過程のどの段階でこれが混入したのかということも含めてやっぱりちゃんと解明していくということが求められていると思うので、やっぱり原因の解明というところも引き続いて探求していただきたい、求めていただきたい、現地にも直接立入りもしていただきたいということを最後に求めて、質問を終わりたいと思います。