◇特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
特定農産加工業経営改善臨時措置法案(輸入価格の高騰や為替などの影響を受ける食品加工業への支援を延長、国産の麦・大豆の利用拡大支援を
小林製薬の紅麹を使った機能性食品表示食品で健康被害が発覚、安倍政権がわすか半年で作った事業者任せの制度は廃止を
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
まず、特定農産加工業経営改善臨時措置法についてお聞きします。
今回で七回目の改定ということになります。CPTPPや日EU・EPAなどによる関税の引下げ、あるいはウクライナ侵攻による輸入価格の高騰など、農産加工業への影響を緩和するということであり、必要とされていると思います。
それで、農水大臣にお聞きしますけれども、調達安定化措置が今回追加をされました。この制度を利用する事業者が国産農産物の利用に切り替えて、頑張って、その後ですね、輸入価格が安定してきたことでまたこの輸入に切り替えてしまうということがあると、これ法案の目的である農業の健全な発展に資することができなくなってしまうと思うんですけど、これにどう対応されるでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) 今般新たに規定いたします調達安定化措置につきましては、国産農産物の利用促進等を通じまして国内の農業の健全な発展に資する取組を後押しするものであります。
このような観点から、調達安定化に関する計画の承認に当たりましては、原材料たる農産物の国内の生産地との連携の強化、そして調達方法が適切かを考慮することとしておりまして、品質や量、一次加工の有無等も踏まえ、国内の生産地から国産原材料がしっかり加工できる体制を構築していただくとともに、農産加工業者による国産利用の促進等によりまして、国内の生産地にも安定取引のメリットが享受されるような関係構築がなされているか等も確認をしてまいります。
今回の法改正によりまして、輸入原材料の価格の乱高下に影響されることなく、国内の農業の健全な発展に資する取組が定着するように推進してまいりたいと思っております。
○紙智子君 本改正案は農産加工業者の取組を支援するものなわけですけれども、同時に、国産利用の推進を図る上でも、まずこの生産者が安心して生産できる環境が必要だと思います。
地域の農林水産物を活用したビジネスを推進するローカルフードプロジェクトの取組のほかに、麦や大豆などの国産農産物の生産を拡大していくためにも、これ生産者の支援ということをどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) 我が国の食料安全保障の強化のためには、輸入依存度の高い小麦、大豆の生産拡大など、国内の農業生産の増大を図っていくことが不可欠であります。
このため、農林水産省では、国産小麦や大豆につきまして、基盤整備による汎用化、畑地化の推進と併せまして、作付けの団地化やブロックローテーション、スマート技術等の営農技術、新たな品種の開発、導入を支援するとともに、豊作、凶作変動のリスクがある中、安心して生産を拡大していただけるよう、ストックセンターの整備など民間による調整保管機能の拡充も行っているところでございます。
また、今般新たに追加いたします調達安定化措置は、農産加工事業者における国産小麦、大豆の利用等を促進するものでありまして、国産小麦につきましてはクッキー、ビスケット等の菓子や中華麺向けなど、そして国産大豆につきましては豆腐、納豆、みそ、豆乳向けなどで需要の増加が期待をされております。
さらに、原材料調達の計画承認に当たりましても、農産加工業者における国内生産地との連携の強化等を確認した上で、国産利用等の取組を金融措置等で支援することとしております。
これらの措置によりまして、今後、小麦、大豆の安定供給や品質向上が進めば、国産への転換が一層進むことが見込まれますので、生産者の皆さんたちが安心して生産できるよう尽力してまいります。
○紙智子君 地産地消ですね、国産の農林水産物の利用の促進のためにも是非、今お述べになりましたけど、生産者にとっても安心できる環境を整えていただきたいと思います。
今回の改正で、小麦と大豆の加工業者への支援が新たに追加されました。かつて、国産の小麦や大豆というのは品質が劣っていると、それで増量剤的な用途でしか使えなくて、品種改良が大幅に遅れていました。
北海道農業研究センターでは、育種の研究が一九六九年から一九八二年まで中止されていたんですね、これちょっと理由は分からないんですけど。その後、育種を再開をして、今では小麦の一大産地の北海道で、中力粉に使う小麦、これ、二〇〇九年度から二〇一一年度にかけて、きたほなみということで全面転換をし、それから、強力粉に使う小麦についてはゆめちからということで導入して市場シェアを拡大してきました。やっぱり遅れた品種改良を全国で取り戻せるように支援すべきではないかと思いますけども、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) 従来から、品種につきましては、品種に勝る技術なしと言われております。
国産小麦につきましても、輸入品と置き換えていくためには、高品質で生産性が高い品種の開発を進めていく必要があります。国産小麦の品種開発につきましては、農研機構を中心として産学官が連携して取り組んでおりまして、実需者による品質評価を経まして優秀な品種が開発をされております。
具体的には、今委員の方も言われましたけども、北海道では、これまで日本麺用の品種きたほなみの生産が大半でありましたけども、製粉業界からの国産のパン用原料の需要に応えるため、高品質で耐病性に優れるパン用の品種ゆめちからを農研機構が開発いたしまして、現在二万ヘクタールを超える面積で栽培をされております。また、優れた製パン特性を持つ等、高品質な小麦品種を開発するプロジェクト研究を実施もしているところであります。
今後とも、国産小麦の生産を拡大するため、実需者や消費者のニーズを的確に踏まえた高品質な品種の開発に取り組んでまいります。
○紙智子君 よろしくお願いしたいと思います。
それで、この法律を今回、七回ということなんですけど、改正しなくてはいけなくなったのは、やっぱり歯止めなき輸入自由化を進めてきた農政が原因で、国産利用を促して関税あるいは為替に影響されないで自給率向上を目指す農政であるべきだということを指摘をいたしまして、次の質問に行きたいと思います。
次、紅こうじについてなんですね。それで、今、連日報道されています機能性表示食品として届出された紅こうじを使用したサプリメントによる重大な健康被害についてお尋ねしたいと思います。
先ほど、午前中に舟山議員が、色素ですか、紅こうじの色素の問題と、実際今回の問題になっているものとの違い、それをはっきりさせるということで、それ徹底していくということは非常に大事だなということを改めて私も思います。
今の時点で亡くなられた方が五人いらっしゃるということで、これはもう決して許されない事態だというふうに思うんですね。本当にこの亡くなられた方に心から哀悼の意を表したいと思いますし、入院されている方にもお見舞いを申し上げたいと思うんです。四月二日時点で、厚生労働省の発表では、入院されている方は延べで百七十七人と、健康被害による小林製薬の問合せが今三万六千件を超えているというふうに報道されています。
消費者庁にお聞きするんですけれども、これ、一月に医師からの通報があってから小林製薬が国に報告するまでに二か月掛かりました。機能性表示食品は、問題が発生してもこれ報告義務が課されていないわけです。二〇一四年の衆議院の消費者問題特別委員会のときに、我が党の穀田恵二議員がこれ命に関わる問題が起こってからでは遅いんだと指摘をした際に、当時、森まさこ消費者担当大臣だったんですが、健康被害が拡大することがないように効果的に防止、救済できるような制度とするというふうに答弁しているんですね。健康被害は起こらないというふうには答えていない、起こらないというふうには答えていないんですよ。起こらないとは言っていないんです。つまり、当時から、届出だけで販売できるこの機能性表示食品は健康被害が起こり得るということを分かっていたんじゃないかと思うんですけど、いかがですか。
○政府参考人(消費者庁審議官 依田学君) お答え申し上げます。
一般論と申し上げまして、食品自体に基本的に危害、リスクがあるという前提は、これは否めない事実だと思います。その上で、この機能性表示食品につきましては、届出事項としまして、健康被害が起きた場合の連絡体制、収集体制というものを届出事項としております。
その表示事項が有効なのかどうかを届出後においても担保するために、届出ガイドラインにおきまして、健康被害情報を収集し、収集した情報に基づき健康被害の評価を実施し、健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合には保健所あるいは消費者庁の方に報告するようにというふうに指導しております。
今回の事案におきましては、委員御指摘のとおり、一月十五日の時点で医師からの一報があったということが結果的に小林製薬の方から公表されました。その上で、健康被害の評価結果を当方に報告したのは二か月掛かっているということを消費者庁としても重く受け止めまして、三月二十八日付けで全ての届出食品、これ七千件ほどございますけれども、小林製薬も含めて、健康被害の情報の有無や経過報告状況などの確認を行った上で回答を求めております。
こういった調査結果も踏まえながら、先週、官房長官の方から、今事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方について五月末を目途に取りまとめるように指示いただいておりまして、五月までに本制度の在り方の方向性を取りまとめるべく、スピード感を持って取り組んでいるところでございます。
○紙智子君 今、最初の方に答弁されたように、リスクというのはだからあるということを思っていたということですよね。このときのやり取りで穀田議員は、問題が起こってからでは遅いと指摘したわけですけれども、その時点でまともな対応もしなかったというのは非常に不誠実ではないかというふうに思うんですよ。
今回の健康被害を受けて、摂取したことがある方を含めて今非常に健康不安が広がっていると思うんです。小林製薬では三商品をロット番号で指定しているんですけれども、飲み終わった袋というのは廃棄して番号の確認が困難ですよね。大体私たち薬飲んだら捨てちゃいますから、確認するのは困難な状況が多くあると思うんですよ。それから、他社の製品や機能性食品そのものに対する不安も広がっているんじゃないかと思います。
当時、森大臣は、国として効果的に防止、救済できるような制度とするというふうに答弁しているわけですから、当然、国はこれちゃんと応えなきゃいけないと。相談窓口設けているというんだけれども、具体的にこの皆さんの健康被害や不安にどういうふうに応えるのか。いかがですか。
○政府参考人(消費者庁審議官 依田学君) 機能性表示食品制度のことについて申し上げますと、この安全性面も含めまして、事業者がきちっと科学的根拠に基づいてそれを、その説明責任を消費者の方に果たしていただくということが前提でございます。
その上で、そういった今回の被害につきましての補償等の話でございますが、一義的にはこの事実関係あるいは因果関係を踏まえて当事者間において話し合われるべき必要があると考えておりまして、現に小林製薬におきましても今回被害を受けた方への補償についての対応を検討していると承知しております。
○紙智子君 効果的に防止、救済するというふうに言っていたわけだけど、その程度のことなんですか。問題が起こったら事業者任せで、これ消費者の自己責任ということになるということでは余りにも無責任だと思うんですね。まさに、入院、治療されている方たちも日常生活に不安を抱えている方もいるわけですから、是非真摯に対応していただきたいというように思います。
それから、厚生労働省にお聞きしますけれども、紅こうじについては、以前からシトリニンというんですかね、シトリニンという毒性を持つ株、菌株があるということが指摘されてきました。紅こうじのサプリメントが原因と疑われる健康被害がヨーロッパで報告をされ、EUでは二〇一四年には紅こうじ由来のサプリメントの中の基準値を規制していました。
一方、今言われているプベルル酸というのが、青カビ由来というように報道されていますけれども、もしもこの青カビが製造過程で混入したとなれば、そもそも食品安全の観点からも許されないというふうに思います。原因究明には国として責任を持って取り組むべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官 鳥井陽一君) お答えいたします。
まず、プベルル酸についてでございますけれども、三月二十八日の薬事・食品衛生審議会の調査会におきまして、小林製薬から、健康被害があった製品のロットに予定しない物質のピークを認めたこと、HPLC、すなわち高速液体クロマトグラフによる分析を行ったところ、プベルル酸と同定されたことについて説明がなされたところでございます。
その上でございますが、今回の事案の原因究明については、厚生労働省といたしましては、今後、国立医薬品食品衛生研究所におきまして、保存されているサンプルについて、ロットを限定せずにHPLCなどの理化学検査を行い、プベルル酸を含めて原因となり得る物質を網羅的に検索し、ピークが出た場合は化学物の同定を行い、当該分析結果を踏まえ、物質の発生機構について、あらゆる可能性について検討することといたしております。
○紙智子君 原因究明、しっかり責任持ってやってほしいと思います。
それで、ちょっと時間がなくなったので一つ飛ばして、消費者庁が抜き打ち調査もすると言っていたんだけれども、実際には年間八十件ぐらいしかやっていなくて、機能性表示食品に登録されている七千件の商品についてはそもそも間に合っていないという状況で、やっぱりこれ自体もやって、考えていかなきゃいけないと思います。
それで、次の質問なんですけれども、内閣官房にお聞きします。
二〇一三年に第二次安倍政権が発足、直後の規制改革会議での検討課題にいわゆる健康食品等の規制緩和要求が取り上げられて、六月には日本再興戦略として閣議決定されました。政権交代から僅か半年、何でこんなに早く決定されたんでしょうか。
○政府参考人(内閣府規制改革推進室次長 渡辺公徳君) 内閣府ですが、お答え申し上げます。
平成二十五年一月の日本経済再生本部におきまして、雇用関連、エネルギー・環境関連、健康・医療関連を重点分野とした上で、大胆な改革を推進するよう総理指示がなされたものと承知しております。この総理指示を踏まえまして、同年二月の規制改革会議におきましては、規制改革全般について、議論、検討の成果は、可能なものは随時取りまとめるとともに、同年半ばを目途に取りまとめられる成長戦略に盛り込むことを目指すとされたものでございます。
その上で、御指摘のありました健康・医療関連について申し上げますと、こちらは重点分野の一つとして盛り込まれましたことから、その後、同年四月から五月にかけて健康・医療ワーキング・グループにおいて複数回の集中的な議論を経て、同年六月に閣議決定された規制改革実施計画におきまして、機能性の表示を容認する新たな方策の具体的方策について、米国の制度も参考としながら、安全性の確保も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に検討を行うこととされたものでございます。
さらに、その後、同実施計画を受けて、消費者庁において有識者による検討会、消費者委員会などの一年以上の議論を経て安全性の確保を前提とした具体的な制度化が行われ、平成二十七年四月に本制度が、当該制度が開始されたものと承知しております。
○紙智子君 物すごく速いスピードでこれ決められたなと思うんですよ。
今話あったように、再興戦略、で、今、規制改革実施計画の中にも書かれていて、機能性表示食品は米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にしているわけですね。この制度というのは、二〇〇八年に重篤な被害が届出が出されたんですけれども、それで義務化したところ、被害報告が増加して、因果関係不明も含めて八十人以上が亡くなっているというのがあるわけですよ。しかも、米国では二〇一二年に百二十七商品を、保健福祉省ですね、ここで調査をしたんですけれども、事業提出資料の中で、五百五十七件のうち、アメリカのこの医薬品局ですね、FDAが、ガイドラインに合致したものって一つもなかったと。
そもそも、なぜこういう米国の制度を参考にしたんでしょうか。
○政府参考人(消費者庁審議官 依田学君) お答え申し上げます。
先ほど内閣官房からございましたように、この閣議決定を受けまして、消費者庁において食品の新たな機能性表示制度に関する検討会が行われました。その際に、安全性、有効性の科学的根拠のレベルを適切に設定する、あるいは健康被害の情報収集体制をしっかりすると、こういった議論を踏まえまして、この制度が平成二十七年度から開始されたわけでございます。
確かに、委員御指摘のとおり、この閣議決定に従いまして、米国の制度ということでサプリメント法を参考にするということが閣議決定に書かれておりましたので、こちらの方を参考にしたわけでございますが、特に安全性の部分については、この透明性高く、事業者の責任において、食経験があるのかとか、そういったその科学的根拠に基づいて立証するということを前提にしております。また、米国の制度を参考にすると言いつつ、我が国の制度におきましては、食品全般に広げるという意味で、現在届け出られている半分はサプリメント形状以外の通常の農産品と加工食品ということになっております。
いずれにしましても、このサプリメント形状のこの制度の在り方も含めて、先ほど申し上げたとおり官房長官の方から御指示いただいておりますので、本事案を受けた形でのこの制度の在り方につきましては、五月末までに在り方の方向性を取りまとめるべく現在検討中ということでございます。
○紙智子君 ちょっと時間が来て……(発言する者あり)はい。
時間が来てしまって、最後に農水大臣にちょっとリスク管理ということでもあるのでお聞きしたいので、最後一言答えてほしいんですけれども、その前に、要求ですけれども、アメリカからこういう栄養補給剤に関する規制緩和要望がいつから出されていたのか、日本政府の対応はどうだったのかということを資料として提出するようにお諮りください。
○委員長(滝波宏文君) 後刻理事会で協議いたします。
坂本大臣、時間が来ておりますので、答弁簡潔にお願いいたします。
○国務大臣(農林水産大臣 坂本哲志君) 食品におきましては、安全の確保が第一です。改めてこのことをしっかりと認識し、そして農林水産省といたしましても、リスク管理機関の一つとして、関係省庁とともに今後とも食の安全確保に万全を期してまいりたいというふうに思っております。
○紙智子君 終わります。
―――
○委員長(滝波宏文君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(滝波宏文君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、横沢君から発言を求められておりますので、これを許します。横沢高徳君。
○横沢高徳君 私は、ただいま可決されました特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会・教育無償化を実現する会、国民民主党・新緑風会及び日本共産党の各派並びに各派に属しない議員須藤元気君及び寺田静君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
特定農産加工業経営改善臨時措置法は、昭和六十三年の牛肉・かんきつに係る日米合意等により影響を受ける特定農産加工業に対する措置として制定されたものである。以降、本制度は、特定農産加工業に対する重要な支援措置として活用されてきたものの、経済連携協定の締結等により農産加工品等の輸入に係る事情の著しい変化による影響が継続していることや輸入原材料の価格水準の高騰によりその調達が困難となっていることなどにより、農産加工業は厳しい経営環境に置かれている。
よって、政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
一 農産加工業の厳しい経営環境に対処し、その経営体質の強化を図るため、農産加工業の振興に努めること。その際、原材料の安定供給が不可欠である中、輸入原材料については価格高騰に加え安定調達リスクが増大していることに鑑み、これまで以上に国内農業の振興を通じた国産原材料の安定供給と国産農産物の使用の拡大により、食料安全保障の強化に資するよう、必要な措置を講ずること。
二 農業及び農産加工業の健全な発展に資するという本制度の目的が十分発揮されるよう、本制度と農産物に係る支援制度等の関連施策との有機的連携に配意しながら、不断に制度の評価・検証を実施し、その結果を踏まえ、適時適切に制度の拡充その他の必要な措置を講ずること。
三 今後の経済連携協定の締結等が我が国の農産加工業に与える影響に即応して対象業種及び関連業種を定めるなど本制度の適切かつ弾力的な運用に努めるとともに、世界的規模の需給のひっ迫により価格が高騰している農産物又はこれを使用して生産された農産加工品を原材料として使用している農産加工業については、輸入価格水準の上昇・高止まりの影響の程度を踏まえ、的確に対象業種を定めること。
四 小麦、大豆等の世界的規模の需給のひっ迫による価格高騰などの輸入に係る事情の著しい変化により事業活動に支障を生じ、又はそのおそれがある事業者に対し、本法施行までの間に、本法に基づく原材料の調達の安定化を図るための新たな支援措置の内容を周知すること。
五 東日本大震災や令和六年能登半島地震を始めとする大規模災害の被災地において農産加工業の振興を図ることにより、地域農業の復興や雇用の維持・拡大に努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(滝波宏文君) ただいま横沢君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(滝波宏文君) 全会一致と認めます。よって、横沢君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。