<第213回国会 政府開発援助等および沖縄・北方問題に関する特別委員会 2024年3月21日>


◇UNRWA 資金再開を

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。沖縄のPFAS等について、沖縄県の要請に対しての御認識について両大臣にお尋ねをいたします。
 二〇二〇年、普天間基地の泡消火剤の施設外流出事故では、県と国と米軍の三者で水質調査及び土壌調査を実施しましたが、この結果が出そろって発表されたのは今年の一月十一日と、四年も掛かっているんですよね。で、この結果では、PFASによる水質汚染が確認をされました。県の専門家会議では、河川の下流の側で濃度が高く残存している可能性も指摘しています。
 今年一月に玉城デニー沖縄県知事が要請した内容、七項目ありますけれども、その一項目めでは、県や市町村が実施するPFAS等対策に関わる費用を国が負担してほしいと、で、二項目めでは、原因究明や立入調査等の実施を求めているわけなんですけれども、この要請に、まず自見沖縄北方大臣からお聞きしたいと思います。

○内閣府特命大臣(沖縄及び北方対策)(自見はなこ君) お答えいたします。今年一月の二十四日になりますが、沖縄県知事からの要請につきましては、関係各省へPFAS対策の実施を求めるものでありまして、沖縄担当大臣でもございます私に対しても関係省庁へ働きかけを行うよう要請をいただいたところであります。PFAS対策につきましては、関係省庁、外務省、厚生労働省、環境省、防衛省、内閣府におきまして連携をしながらということではございますが、国内外の最新の科学的知見等を収集し、PFASに係る水質の目標値の検討等を行っているところだと承知をしてございます。
 また、私が担当いたします内閣府食品安全委員会におきましても、PFASの摂取によります人の健康への影響につきまして、PFASワーキンググループが評価書案を取りまとめる際には適切なリスク管理を速やかに行っていただきますように、本年一月に私から直接関係大臣にお願いをしているところでございます。引き続き、沖縄県の取組をしっかりと後押ししてまいりたいと存じます。

○外務大臣(上川陽子君) 沖縄県から嘉手納飛行場、普天間飛行場、キャンプ・ハンセンにつきまして、周辺の水、水環境等からのPFAS等の高い値が検出されているということを踏まえまして、米軍由来のPFOS等を含む等、汚染の疑いがあるとして、水、土壌のサンプリングも含みます立入りの申請がなされているところであります。日本政府として、様々な機会を捉えまして米側に伝達をしているところであります。この現に漏出が発生していない場合の立入り、これに際しましては、国内において法的基準、これが定められること、及びPFAS等の検出と在日米軍の活動との因果関係が明らかになることが重要と考えております。この点、日本国内の水道水、水環境、土壌の目標値等につきまして、基準の策定に係る今後の議論の進展、これが重要と考えております。
 また、日本国内におきましては、PFOS等はこれまで様々な用途に使用されておりまして、現時点で在日米軍施設・区域周辺におきますPFOS等の検出と在日米軍の活動との因果関係につきまして確たることを申し上げることにつきましてはなかなか困難である状況であります。日本政府といたしましては、以上申し上げた点も含めまして、現行の日米地位協定、そして環境補足協定及び関連する諸合意の下、在日米軍施設・区域内外の環境対策が実効的なものとなるよう、環境省を始めとする関係省庁で連携をして取り組んでいく考えでございます。外務省といたしましても、様々なレベルでアメリカ側とやり取りをしてきているところでありまして、まさに住民の皆様方の不安払拭ができるように、引き続きアメリカ側と連携をしてまいりたいと考えております。

○紙智子君 命や健康に関わる問題なのに、非常に時間が掛かり過ぎているのは本当に問題だと思っています。
 次に、防衛省にお聞きします。PFAS対策に追われている沖縄県の企業局資料では、二〇一六年から二〇二二年まで、PFAS除去のための活性炭事業等ですね、これ、総額で約二十五億五千万円、うち企業局で十二億円と。県の環境部の資料では、土壌調査の事業等に約一億四千万円と、大変重い負担が掛かっているんですよね。一方、北谷の浄水場の設備改良費として、防衛省は、二〇一九年度から二〇二三年度は、この実施計画額ということで合わせて約十億円を補助しています。この事業は、防衛施設周辺民生安定施設整備事業ということでの浄水場の補助、これ全国で初めてということですけれども、事業目的について簡潔にお話しください。

○防衛省地方協力局次長(山野徹君) お答え申し上げます。防衛省は、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に基づきまして、防衛施設の設置又は運用により周辺地域に障害が生じる場合に、その緩和に資するために地方公共団体が行う施設整備に対して補助を行っているところでございます。同法に基づきまして、令和元年度から令和五年度までの間、沖縄県が行う北谷浄水場の設備改良事業に補助を行っております。
 この事業は、嘉手納飛行場等への水の供給による北谷浄水場への負荷を措置するとともに、嘉手納飛行場等への水の供給を継続的かつ安定的に行うことを目的として補助金を交付しているものでございます。

○紙智子君 つまり、この事業を自治体が申請した場合に、補助を決定する条件というのは米軍基地への飲料水を供給している場合ということで間違いないですか。

○防衛省地方協力局次長(山野徹君) お答え申し上げます。防衛省の補助は、地方公共団体からの御要望や具体的な計画をお伺いした上で、障害の実態等を踏まえ、関係法令等に基づき個別に判断をすることになります。
 北谷浄水場への補助につきましては、補助事業者である沖縄県からの御要望を踏まえ、防衛省として、嘉手納飛行場等への水の供給による北谷浄水場への負荷を措置するとともに、嘉手納飛行場等への水の供給を継続的かつ安定的に行うことが適当であると判断し、令和元年度から令和五年度の間補助を行っているものでございます。

○紙智子君 県からも要望もあるという話されたんだけれども、結局、米軍基地の水の供給の事業には補助金を出すという、これはやっぱり命の差別につながる政策だというふうに思うんですよ。やっぱりこれを、実際に周辺地域の住民の命を守るために、米軍への供給を前提としない制度に拡充をしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
 それから、次に沖縄北方大臣にお聞きします。県は、本年度十月から、水道料金をやむなく段階的に値上げするというふうに発表したんですよ。これは、消費税除いては一九九三年以来だそうなんですけど、最大で一立米当たり三十三・四六円と、このうちの約一一%に当たる三・八円がPFAS等の対策費ということで、値上げの理由の一つになっているんですね。PFASの、これが検出された飲料水を飲むというのは県民なわけですから、被害者になるわけです。発生源が米軍基地の可能性があるにもかかわらず、何で沖縄県がここまで負担しないといけないのかということなんです。除去の負担をさせ続けること、これは沖縄の振興の立場からいえば妨げになるんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣の認識を一言でお願いします。

○内閣府特命大臣(沖縄及び北方対策)(自見はなこ君) 御指摘の水道料金の改定におきましては値上げが行われており、その主要な原因でございますが、今後老朽化した水道施設の更新等を行うための原資として確保すべき額を新たに計上したこと、またポンプなど水道施設を稼働するための電気料金が上昇したことなどが挙げられているとも承知をしております。沖縄県から、この値上げの要因の中にPFAS対策も含まれていると伺っております。先ほど申し上げた今年一月の沖縄県知事からの要請の中でも、関係省庁への要請事項の一つとして、PFOS等対策に係る費用を国が負担することが盛り込まれてございます。沖縄振興を進める立場に当たりましては、住民の方々の健康や安全な生活を確保することが大前提でございまして、水道事業もその根幹を支えるものだと考えてございます。PFASについては、私からも直接関係大臣に対し適切かつ迅速なリスク管理をお願いしているところでございまして、引き続き沖縄県に寄り添いながら対応してまいりたいと存じます。

○紙智子君 是非強く働きかけていきたいと、いっていただきたいと思います。この汚染源特定のための立入検査、極めて困難にしているというのは、これ地位協定の問題があると思うんですね。PFAS汚染の発生源が米軍基地由来であれば、汚染者負担の原則にのっとって、これ米軍及び米国が負担すべきことだというふうに思うんですよ。県民の健康を守るために毅然とした態度で対応していただきたいということを求めておきたいと思います。
 次に、ODAのUNRWA支援拠出とイスラエルによる支援施設の破壊についてなんですけど、外務大臣にお聞きします。イスラエルによるガザ侵攻は五か月を過ぎました。国連のパレスチナ難民救済事業機関のUNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は、今月十二日に、パレスチナ自治区、ガザ地区でのイスラエルとハマスの武力衝突で死亡した子供の数は、過去四年間に世界各地の紛争で犠牲になった子供の総数一万二千百九十三人を上回っていると指摘しているんです。十月の侵攻開始から二月末までの五か月間余りで、この子供の死者が一万二千三百人を超えているというんですね。既に女性や子供が餓死する事態に陥っていて、大変心が痛むわけです。上川大臣は、ガザから避難されてきた方々の声、直接聞いておられると思うんですね。十五日に、オーストラリアがUNRWAへの一時停止措置を解いて、六百万豪ドル拠出再開を発表しました。理由は、国連が職員の中立性確保のために調査や内部統制の強化の対策を行ったことを踏まえて再開を決めたとしているわけです。カナダ、スウェーデン、EUも既に再開をしています。上川大臣は記者会見をされて、スピード感を持って迅速にとおっしゃっているわけですから、であれば、WFPやユニセフなどあらゆる支援と同じように、これ早期に拠出再開をすべきじゃありませんか。

○外務大臣(上川陽子君) ガザ地区の人道的な情勢について、非常に厳しい状況にあるということについては深刻に受け止めている状況でございます。このパレスチナの難民支援におきましては、この間、UNRWAが不可欠な役割を果たしていると、このことにつきましては国際社会でも広く認識をされているところであります。一日も早くUNRWAが信頼を取り戻し、その役割を果たすことができるような取組、これをUNRWA自身が進めるということが必要であると考えております。我が国はこれまで、国連、そしてUNRWA、また関係国との間で、様々なチャネルを使いまして関係者との意思疎通を続けてまいりました。そして、国連におきまして今まさに調査をしている状況でありますし、また、第三者の検証、これも行われている状況でございます。UNRWA自身の取組、これにつきましても注視をし、積極的にこのプロセスそのものにも協力をしてまいりました。私自身、先週は、この第三者検証グループ、これのコロンナ議長と電話会談を行ったところであります。また、一昨日は、国連におりまして、おきましてグテーレス国連事務総長と会談をいたしました。そして、UNRWA自身のガバナンス強化の必要性等、日本の立場、これを改めて伝達をしたところであります。まさに来週、ラザリーニUNRWA事務局長が訪日する方向で調整中でありまして、説明をしっかり受けたいというふうに思っております。今後、第三者検証によるこの中間報告、またU NRWA自身のガバナンス強化に係る取組等に対しまして、我が国の対応、これにつきましての検討、これをスピード感を持ってしっかりと進めてまいりたいと考えております。

○委員長(藤川政人君) 時間が参っております。

○紙智子君 とにかく命懸かっているので、もう一刻も早く再開してほしいんですよ。いつまで待たせるのかというふうに思うんですね。もうちょっと時間なくなりましたけれども、このほかにも実は質問したかったんだけれども、要するに、ODAの支援を実施していて、日本から支援しているのが、パレスチナへですね、爆撃さ__れているということがネット上でも明らかになっている中で、そういうことをめぐっても、イスラエルに対しても、直接物を説明させるということもやるべきだし、抗議もすべきだと思いますし、とにかくこのUNRWAに対する拠出を……

○委員長(藤川政人君) おまとめください。

○紙智子君 即時に再開するということと、イスラエルに対して即時恒久的停戦を求めてほしいということを申し上げまして、質問を終わります