<第210回国会 行政監視委員会 2022年11月14日>


◇お風呂の無い公営住宅について/北海道内でおこなわれた日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン22」について/寺田総務大臣の政治資金問題について

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず、お風呂のない公営住宅についてお聞きします。
 北海道の函館市の市営住宅の三割はお風呂がありません。公営住宅等整備基準に浴室の設置義務が規定されたのは一九九八年ですから、それ以前、特に一九六〇年代の高度成長時代に建てられた公営住宅には風呂のないケースが多くあります。
 多くの公営住宅の周辺には銭湯があったんですね。ところが、近年閉鎖するところが多くて、函館市では、一九八〇年頃には八十三か所あった銭湯が今十八軒になっているんです。公営住宅に住む高齢者は、銭湯がなくなって、市電に乗って遠くの銭湯まで行ったり、回数を減らしたり、中には銭湯に行くのを諦めたという人もいます。まさに風呂難民と言われる状況が生まれているんです。
 風呂がない公営住宅は、ちょっと調べただけでも、北海道内各地、愛知県でも、京都でも、香川県でも課題になっています。
 国土交通省にお聞きしますが、風呂のない公営住宅の調査というのはしているんでしょうか。

○政府参考人(国土交通省住宅局官房審議官 楠田幹人君) お答えをいたします。
 築年数の古い公営住宅については浴室が設置されていないものもあるということは承知をいたしております。このため、公営住宅への浴室等の設置について社会資本整備総合交付金等により支援をしているところでございますけれども、事業主体の管理戸数、膨大であるということもございまして、これまで浴室の設置状況について具体的な調査を行ったことはございません。

○紙智子君 調査していないということなんですね。
 それで、寺田総務大臣にお聞きするんですけれども、憲法二十五条は、健康で文化的な生活を営む権利と、国は、社会福祉、公衆衛生の向上、増進に努めなければならないというように定めています。公営住宅法は、憲法にのっとり、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、社会福祉の増進に寄与するために国と地方公共団体が協力すると定めています。そして、地方自治法も、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ると規定されています。住民の福祉を増進するために国は地方公共団体と協力することを求められているというふうに思うんですね。
 そこで、総務大臣にお聞きするんですけれども、お風呂に入れない状況というのは、これ憲法で言う健康で文化的な生活と言えるんでしょうか、御認識を伺います。

○国務大臣(総務大臣 寺田稔君) 地方自治法の規定、委員御指摘のとおりでございます。
 で、この公営住宅につきましては、国交省の公営住宅基準において、公営住宅の各戸には、台所、水洗便所、洗面設備及び浴室、並びにテレビジョン受信の設備等設けなければならない、これは国交省の基準でこういうふうに定められておりますので、まずは所管の国交省において適切な対応をいただくべきものでございます。
 で、御指摘の地方自治法の規定、おっしゃるとおりでございますので、今、総務省としては、公営住宅の整備について、地方負担に対してですね、いわゆる起債措置、地方債による支援を講じております。
 総務省としても、引き続き、この公営住宅建設事業債という支援を持っております。これは、あくまで国交省がまず社会資本整備交付金等で支援を行った上でのいわゆる地方負担の方でございますが、適切にこのサポートしてまいりたいと思います。

○紙智子君 いろいろサポートするとかという話があったんですけど、私聞いたのは認識で、お聞きしたのは、健康で文化的な生活と言えるかというその認識を、大臣の認識を聞いたんです。

○国務大臣(総務大臣 寺田稔君) この憲法二十五条のこの生存権の規定、並びに地方自治法第一条第二において、住民の福祉の増進を図るということでございます。
 で、この下に国交省の方で先ほど言った公営住宅基準を定めておりますので、私としても、国交省が定めております公営住宅基準、すなわち台所等々、また浴室等を設けられなければならないというふうに私も思っているところであります。

○紙智子君 なかなか御本人の認識を答えていないんですけれども、お風呂に入れないという状況は、これやっぱり憲法二十五条に言う生存権に関わる問題だと思いますよ。
 そこで国土交通省にお聞きするんですけれども、公営住宅において、風呂難民とも言われる状況を解消するための施策を説明してください。できるだけ簡潔にお願いします。

○政府参考人(国土交通省住宅局官房審議官 楠田幹人君) お答えをいたします。
 浴室につきまして、公営住宅等整備基準九条二項の中で、公営住宅の各住戸において、浴室等については設置を、設けられていなければいけないというようなことを規定をされておりまして、今新規に整備をされる公営住宅については基本的に浴室が整備をされているものというふうに考えてございます。
 一方で、御指摘いただきましたところ、当該基準が設けられる前に整備をされた築年数の古い公営住宅につきましては、浴室が設置されていないものがあるというのも事実でございます。こういった浴室のない既存の公営住宅については、社会資本整備総合交付金等によりまして、当該公営住宅の建て替え、さらには浴室等の設置を支援をしているところでございます。
 国交省といたしましては、浴室はやっぱり生活をする上でも大事な機能の一つであるというふうに思っておりまして、地方公共団体に対しまして国の支援策をより一層周知をするなど、公営住宅の浴室の設置を促進してまいりたいというふうに考えてございます。

○紙智子君 それで、もう一回総務大臣にお聞きするんですけれども、大臣は、地方行政も行政評価も担当されているわけですね。
 今、国土交通省から、風呂がない状況を解決するための施策を紹介いただいたんですけれども、これやるには予算も掛かるし時間も掛かるんですね。人口減少地域で、銭湯が減ってお風呂に入れない公営住宅というのは各地にあるわけです。この状態が行政の在り方としていいのかどうか。それから、財政力が弱い自治体において、このお風呂問題を解消するための財政的な裏付けが必要になるわけです。お風呂がない公営住宅の実情を調査し、把握し、打開策を示すというのは、行政評価を担当する大臣として役割があるんじゃありませんか。

○国務大臣(総務大臣 寺田稔君) 今、国交省からの答弁にあったとおり、この古い公営住宅について浴室が備えられていないものがあるという実態があり、それは順次、社会資本整備交付金などにより建て替えていくというふうなこの国交省の取組でございます。したがって、総務省としては、こうした国交省の取組なども踏まえ、どのような対応をすべきかについては検討してまいります。

○紙智子君 しっかり検討していただきたいんですよね。それで、高度成長時代に建てられた公営住宅というのは各地にあって、お風呂難民の解消をやっぱり自治体任せにするんじゃなくて、国がしっかりと打開策を示すように強く求めておきたいと思います。
 次に、十月一日から北海道内に行われた日米共同訓練についてお聞きします。
 日米共同訓練、レゾリュート・ドラゴン二二は、米海兵隊と陸上自衛隊との連携強化を目的に三千五百人が参加しました。このレゾリュート・ドラゴンは、昨年に続いて二年連続で行われています。二〇一五年の安保法制の成立以来、日米共同の戦争体制づくりと軍事一体化が進められていると思うんです。今回は島嶼防衛訓練として、実弾射撃も含めて実戦的な訓練が行われました。
 それで、防衛省にお聞きするんですけれども、具体的にこれどこかの島を念頭に置いているんでしょうか。

○政府参考人(防衛政策局次長 安藤敦史君) お答え申し上げます。
 本訓練は、陸上自衛隊の戦術技量の向上及び米軍との連携強化を図ることを目的としており、特定の国や地域を想定したものではありません。

○紙智子君 特定なところは想定していないと言うんですけれども、北海道新聞によりますと、南西諸島の防衛を念頭に置いた訓練が実戦さながらに行われたと。今回の訓練は、南西諸島周辺で活動を活発化させる中国を念頭にしているというふうに報道しているんですね。こうした訓練は、近隣諸国の緊張を高めるだけだと思うんです。
 訓練の中で、米軍が持つ高機動ロケット砲、HIMARS、この実弾射撃訓練が陸上自衛隊矢臼別演習場で行われました。このHIMARSの射程距離というのは数十キロ以上に及ぶというふうに言われているんですね。
 日本国内でこのHIMARSの訓練を行える場所というのは、矢臼別演習場以外にあるんでしょうか。

○政府参考人(防衛政策局次長 安藤敦史君) お答え申し上げます。
 日本国内におきましてHIMARSの実弾射撃訓練を実施できる演習場は、矢臼別演習場のみとなります。

○紙智子君 のみと言いました。北海道の矢臼別演習場しかないということですよね。
 北海道新聞には、陸上自衛隊幹部のコメントとして、道内での共同訓練は今後増える可能性があるというふうに紹介しているわけです。米軍によるHIMARSの訓練というのは、矢臼別演習場で常態化するんじゃないんですか。

○政府参考人(防衛政策局次長 安藤敦史君) お答え申し上げます。
 自衛隊と米軍との間においては、今後も日米間の連携強化及び共同対処能力の向上を図るため、共同で訓練を実施することが必要と考えておりますが、矢臼別演習場における今後の訓練の計画につきましては、現時点において具体的に決まっておりません。
 防衛省・自衛隊といたしましては、実際に訓練を実施することとなった場合には、関係自治体に対して丁寧に説明しつつ、安全面に最大限配慮した上で実施したいと考えております。

○紙智子君 訓練の初日に、報道陣の取材に応じて、米海兵隊第十二海兵連隊司令官のジョナサン・シムス大佐が北海道の軍事訓練の環境について、沖縄は狭くて訓練も縮小が必要なのに対し、北海道では分散しての訓練も可能だと述べていると、今後も訓練を広げる可能性を示唆したというふうに報道されているんですね。
 それで、自治体や住民に危険や不安を与えるような北海道での軍事共同演習が常態化したり広域化するということは、もう絶対許されないというふうに言いたいと思うんです。
 今回の訓練では、初めて陸上自衛隊丘珠駐屯地がオスプレイの拠点になりました。私は、オスプレイの低空飛行を目撃した方から話を聞いたんですけれども、訓練初日の十月一日十二時頃、札幌北区の百合が原小学校のグラウンドの上空を百五十フィート、四十五メートルの高さで飛行したといいます。飛行したオスプレイの真下、小学校のグラウンドでは子供たちのスポーツが行われていたんですね。
 二〇一二年の日米合同委員会の合意では、低空飛行訓練を実施する際は地上から五百フィート以上の高度で飛行するんだということを言っているわけですけども、これ、日米合同委員会の合意違反じゃないんですか。

○大臣政務官(防衛大臣政務官 小野田紀美君) 御指摘の日米合同委員会合意は、二〇一二年九月に米海兵隊MV22の我が国における運用に係る措置について日米間で合意したものでございます。
 米側からは、オスプレイの日本国内での運用に際し、地域住民に十分配慮し、最大限の安全対策を講じること、及び、二〇一二年九月の合意を含め、既存の全ての日米間の合意を遵守する旨の説明を受けております。
 防衛省としましては、米側に対し、オスプレイの飛行運用に際しては安全面に最大限に配慮し、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう引き続き求めてまいります。

○紙智子君 いや、求めてまいりますって言うんだけどね、実際上こういうことが起こっているわけですよ。もう本当にこれ、住民にとったら大変な不安なことなんですよね。
 で、オスプレイが北海道内を広域に移動した訓練というのは初めてなんですよ。今回、七か所ですから。そして、自治体や住民にはオスプレイの飛行予定時間だとか飛行ルートなどの情報は知らされないんです。だから、余計不安の声が上がっているんですね。
 札幌市は何と言っているかというと、丘珠駐屯地は市街地に隣接している、市民の不安解消のために国に対してオスプレイの飛行ルートなどの説明を求めていくというように言っているんですよ。それから、道東の方の別海町では、複数の職員を演習場に配置して飛行状況を目視したといいます、情報がないものですから。それから、浜中町は、住民の不安を払拭するために飛来時刻などを教えてほしいんだと、こう言っているわけですね。このオスプレイの飛行に関する情報が自治体や住民に知らされてないと、自治体や住民からは不安の声が出されているんですね。
 それで、総務大臣、これ行政評価の対象にすべきじゃありませんか。

○国務大臣(総務大臣 寺田稔君) 住民生活の安心、安全の確保、これは大変大事なことでございまして、防衛省においても可能な限りできるだけ丁寧な対応をしていただきたいと思っております。所管の防衛省においてこれは適切に対応すべき問題だと思います。

○紙智子君 まあ防衛省が所管って言うかもしれないんだけれども、もちろんそうなんですけれども、やっぱり住民がこれだけ声を上げて、不安でいろいろ情報を欲しいと言っても教えないと、それは米側によるんですという話で終わってしまうわけで、これではやっぱりよくなくて、総務省としてちゃんと評価の対象にしてやるべきではないのかというふうに思うんです。
 それで、安全性に問題があるオスプレイが、人口百九十万人を超す札幌やその周辺でもし事故が起こったら、これ大惨事招きかねないんですよ。飛行ルートが非公表のために、オスプレイが突然上空に現れて産業活動や日常活動を脅かしていると。道民の不安を置き去りにして今回も訓練を強行した。これ、私たち申し入れていましたからね、再三にわたって。なのに強行したということには強く抗議をしたいと思います。
 国民に負担、不安や期待を与えて、近隣諸国にも緊張感を走らせる日米共同訓練は中止すべきだということを申し上げたいと思います。
 最後に、寺田総務大臣の政治資金問題についてお聞きします。
 領収書の偽装疑惑についても、先日九日の参議院の倫選特で、我が党の山下芳生議員が質問の中で、例の竹原事務所の寺田稔という宛名の十一枚の同じ筆跡の領収書の問題で質問をしました。で、そのとき、寺田大臣は、政治資金規正法のQアンドAにあるとおり、この支払を受けた者の同意があれば、そうした行為も正当な領収書として許されるという答弁だったんですよね。寺田大臣は竹原後援会について、今まで、私が直接管理すべき団体ではないということを繰り返し答弁してきたと思うんですよ。
 ところが、そうやって書かれた宛名というのは寺田稔ってなっているわけですよ。つまり、寺田稔議員のための政治資金の使い方そのものじゃないんですか。私は、改めてその山下議員の答弁見たときに、このQアンドAの書き方から見ても、支払を受けた者の同意があればそういう行為は正当なんだと言うんだけど、つまりは、竹原後援会と寺田事務所というのが一体だったということを自らの答弁で認めたことになるんじゃないですか。

○国務大臣(総務大臣 寺田稔君) これは、関係政治団体の領収書において国会、国会議員名を記載をすること、これは認められております。
 で、この宛名の追記についても、追記の要請がある場合については正当に認められていることは政治資金監査に関するQアンドAに記載のとおりでございます。

○紙智子君 全然納得できないですよ、そういう答弁されても。
 それで、QアンドA改めて見てみたんですよね。領収書等に宛名が記載されていなかった場合は政治団体側で追記してもよいかというQなんです。で、これに対して答弁は、追記してはいけませんってなっていて、領収書の宛名は原則として発行者が記載すべきであり、発行者側からの委任を受けた場合など特別な場合を除き、政治団体側が記載することは適当ではありませんって。
 だから、特別な場合というふうに掛けて言ったと思うんだけど、そのことを通じて、つまりは、寺田事務所と竹原事務所との間でそういうやり取りがあったということは、今までは自分たちは所管はしないんだと言っていたけれども、関係があったということを自ら答えて述べたことになるじゃないですか。違いますか。

○国務大臣(総務大臣 寺田稔君) このQアンドAで認められているこの発行者から追記の要請、これ、私と竹原後援会の関係ではございません。支払を受けたお店と竹原後援会の関係について記載したものでございます。

○紙智子君 言い逃ればっかりなんじゃないですかね。
 いや、本当に、寺田大臣に対してのこの間の政治と金をめぐる疑惑というのは後を絶たないわけですよ。政治資金やそれから選挙制度を所管する大臣ですから、本来は厳しく対応しなきゃならない。その所管の大臣として、私は、やっぱり資格はないと言わざるを得ません。
 寺田大臣の辞任を求めて、質問を終わります。