<第210回国会 農林水産委員会 2022年11月10日>


◇JRA(日本中央競馬会)の労働者の処遇改善について/競馬法改正案について

○競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 法案に入る前に、まずJRAで働く労働者の処遇改善についてお聞きします。
 二〇二〇年に発生した新型コロナウイルス感染症は、競馬界にも大きな影響を及ぼしました。騎手や調教師始め、競馬関係者はレースを継続するために感染症に万全の対策を講じてきたと思います。しかし、国内での感染拡大の影響を受けて、約七か月半、無観客競馬を実施せざるを得ない状態になったと。無観客競馬の間は、勝馬投票券、いわゆる馬券の窓口での販売業務は休止となって、馬券売場で働く従事員は自宅待機とされ、休業を余儀なくされました。
 従事員は、土日の業務がなくなると収入が絶たれます。そこで、労働組合が労使交渉を行って、JRAから雇用の継続とともに賃金の六割の保障を勝ち取るなど、労働組合の果たした役割は大きいというふうに思うんですね。インターネット販売などが普及しても、JRAで働く従事員がいることによって、この競馬場や場外馬券売場、ウインズでお客さんが困ったときなんかは丁寧に対応できるということだと思うんです。
 従事員は競馬ファンと競馬をつなぐ重要な役割を果たしているというふうに思うんですけれども、まず最初にJRAの後藤理事長に御認識を伺いたいと思います。

○参考人(日本中央競馬会理事長 後藤正幸君) お答えいたします。
 私どもJRAは、競馬場やウインズに御来場いただいたお客様に、より快適かつ安全に競馬をお楽しみいただくため、ホスピタリティーの向上に努めているところであります。
 お客様に満足していただける競馬を提供するために従事員の皆様は必要不可欠な存在であり、雇用の確保を行いつつ、引き続き、JRAは従事員の皆様とともに競馬の開催に取り組んでまいりたいと考えているところであります。
 以上です。

○紙智子君 ありがとうございます。
 JRAの昨年度の事業収益が二年連続して三兆円を超えていると。国庫への納付金は三千四百六十四億円に達しています。これは、JRAで働く労働者や従事員の皆さんの苦労なくしてはなし得ないということだと思います。JRAの売上げは十年連続して増加しているんですけども、これベースアップは十年以上行われていないと聞きました。
 今は物価が高騰して、一方で賃金が上がらないことが問題になっております。賃金などの処遇改善を考えるべきではないかと思いますけども、いかがでしょうか。もう一度。

○参考人(日本中央競馬会理事長 後藤正幸君) お答え申し上げます。
 従事員の皆様の賃金や労働条件などにつきましては、毎年、JRAと従事員の労働組合との間で労使交渉を行っており、良好な関係を維持していると理解しております。
 労使交渉に当たりましては、JRAの売得金や社会情勢に鑑みて誠実に行っており、今後も十分に意見交換をしながら真摯に対応してまいりたいと考えているところであります。
 以上です。

○紙智子君 十分に意見交換をしながら真摯に対応するというお答えでした。
 JRAの馬券売場で働く皆さんからは、競馬というのは人と馬、そして騎手、調教師、厩務員、厩舎関係者の皆さん、そして馬主と馬産地で働く皆さん、それから運営に関わるJRAの関係者の仲間、人と人とのつながりがあるからこそ感動があるんだというふうに言われます。競馬界もやっぱり様々な人に支えられて今日に至っていると思います。現場で働く人を大切にする経営をしてこそ今後にもつながるものだというふうに思います。
 次に、ギャンブル依存症対策についてお聞きします。
 前回、二〇一七年の競馬法の改正案の質疑の際に、私は、競馬場や場外馬券場にあるATMクレジットカードを使って借金までして現金化できるサービスというのはこれ速やかにやめるべきじゃないかと求めました。当時の齋藤健農水大臣は、キャッシング機能のある全てのATMを二〇一七年の年度内に廃止するというふうに答弁しました。その後、二〇一八年三月にはクレジットカードによる現金化はできなくなりました。次の課題として、現金を引き出せるATMの撤去が残ったわけです。
 ギャンブル等依存症対策推進基本計画では来年度までに全てのATMを撤去するとしているんですけれども、現状はどこまで進んでいるのか、進捗状況をお聞きします。これ大臣にお願いします。

○国務大臣(農林水産大臣 野村哲郎君) お答え申し上げます。
 紙委員から今お話がありました二十九年の十二月九日のこの当委員会で紙委員の質問に対して当時の齋藤大臣が答弁いたしておりまして、そのとおり今行われておりました。
 ただ、そのときには、競馬場で七か所、そして場外馬券で四か所、計十一か所だったと思うんですが、これらにつきましては廃止されまして、ただATMが大井競馬場にまだ二台設置されております。このATMについても、計画どおり令和五年度中に全て撤去することといたしております。

○紙智子君 ありがとうございます。二〇二三年の三月末には全て撤去されるということですよね。是非、ギャンブル依存症対策というのを着実に進めていただきたいと思います。
 次に、競馬法の改正案についてお聞きします。
 日本共産党はこれまで、競馬法の改正においては、ギャンブル性を拡大し射幸心をあおるような改正については反対をし、競走馬を育てる馬産地への支援を始め公営競技としての競馬の振興については賛成をしています。
 地方競馬はこれまで、売上げの低迷などによって経営難の時代が長く続きました。二〇〇五年の競馬活性化計画に基づいて、各主催者において単年度の収支の改善を図ってきたと思います。その中で十の地方競馬が、赤字経営の長期化や、構成団体から借入れを行ったんだけれども経営改善が見通せずに撤退をしたんですよね。
 現在、地方競馬主催者は十四あるわけですけれども、前回改正時の二〇一七年から各主催者の決算状況というのは改善されたんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省畜産局長 渡邉洋一君) お答えをいたします。
 現在の競馬活性化計画ですけれども、これは五年間の計画期間で収支の黒字化を目指す、収支の改善を目的といたしまして、各主催者さん、様々な取組を進めてまいりました。
 その結果、収益金を分配している主催者、平成二十八年度には五主催者しかなかったんですけれども、令和三年度には八主催者が収益金を分配できるようになりまして収支の改善が進んできていると、そういう状況でございます。

○紙智子君 赤字が二主催者あるんですよね、まだね。ですよね。赤字のところまだ二つあるんですよね。

○政府参考人(農林水産省畜産局長 渡邉洋一君) 累積赤字を持つところが二ございます。

○紙智子君 それで、二〇〇四年の競馬法の改正を受けて事業収支改善計画に取り組んできたと思うんです。それによって各主催者は繰入れができる水準まで一応来てはいるということだと思うんですね。
 北海道の帯広のばんえい競馬について、地元の関係者から話を伺いました。ばんえい競馬は、帯広、旭川、岩見沢、北見、この四市の共同開催で行っていたんですけれども、二〇〇六年に累積債務が増大したことから、これ廃止をされたんですね、一旦。それで、その後、二〇〇七年から、やっぱり必要だということで帯広単独開催で復活をして、二〇二一年度は二億七十四万円をばんえい競馬の財政調整基金に積み立てて、帯広市には二千四百五十二万円の分配金が出せるまで収支が改善されてきました。ただ、全十四主催者のうち六主催者は、構成団体である自治体に分配金を出すまでには至っていません。
 競馬は、地方財政の改善を図ることを目的にしています。改正案は、競馬活性化計画の目的に合った収支の改善という言葉がこれ今回法文上から消えるわけなんですけど、収支の改善消えるんですけども、今後、経営基盤の強化を図る計画においてこの収支の改善というのはどのように位置付けるのか、大臣の方からお答え願いたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 野村哲郎君) 今回のこの改正の中で、収支改善から経営改善に変わっているじゃないかと、収支改善本当に図られるのかと、まあこういった御指摘だと思うんですけれども、当然この経営改善の中には収支改善というのは包含されておりますので、当然に黒字化を目指していくものであると、こういう認識をいたしております。
 したがいまして、何回も申し上げておりますが、老朽化した施設の改善等によって、それだけお客さんにもたくさん入っていただいて、そしてそこでまた収支が改善していくという、いい形での循環になっていくように支援をしていきたいと、こんなふうに思っております。

○紙智子君 あれですよね、競馬活性化計画の中に引き続いてこの収支の改善を図ることは明記されるんですよね、計画の中には。

○政府参考人(農林水産省畜産局長 渡邉洋一君) 競馬活性化計画でございますけれども、これ、事業の経営基盤の強化ということになりますけれども、もちろん事業収支の改善もその中に盛り込まれるということになろうと考えてございます。

○紙智子君 再び赤字経営にしないために事業収支の改善を図ることは必要だと思いますので、そこはしっかりやっていただきたいと。
 それから、事業収支の改善に続いて、老朽化した厩舎や厩務員の宿舎の改修が課題になっています。先ほども紹介をした帯広競馬場は、厩舎の改修に今手を着けているんですけどもなかなか進んでいないと。北海道の道営競馬の門別競馬場は施設の改修が競馬法で定める期限内には終わらないというふうに言われているんですよね。
 それで、改修費用の支援ということと厩舎や厩務員の宿舎の改修による調教師や厩務員の労働環境の改善というのが急がれていると思うんですけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 野村哲郎君) お答え申し上げます。
 今、紙委員からの御質問でありますけれども、厩舎だけではなくて厩舎関係者の住宅なり施設整備についてもやってほしいと、こういうお話だと思うんですが、当然、今回、畜産振興勘定から競馬活性化勘定への資金繰入れ措置を恒久化するということで法案をお願いをしているわけでありますが、それによりまして厩舎関係者の労働環境や住環境の改善が図られますように促してまいりたいと思っております。

○紙智子君 畜産業界全体が抱える大きな課題の一つに産業獣医師の確保が挙げられているんですよね。それで、競馬界でも、競走馬の健康維持ということや故障への治療を行うために獣医師の確保というのは重要だと思うんです。
 JRAにおける産業獣医師を確保するための取組について簡潔に説明いただきたいんですけど、これ、JRAの理事長さんにお願いしたいと思います。

○参考人(日本中央競馬会理事長 後藤正幸君) お答えいたします。
 私どもJRAを始めといたしまして、生産地などの競馬産業に携わる獣医師不足は認識しているところであります。
 毎年、獣医学生向けのインターンシッププログラムとして、JRA競走馬総合研究所とJRA日高育成牧場で滞在型の研修を行っているところであります。今年、二二年につきましては、総合研究所の方で二十四名、日高育成牧場の方で十二名が参加しているところです。
 馬の獣医師を目指す学生に対しましては、二〇一九年から、日本国際教育支援協会を通じて給付型奨学金を支給しているところであります。また、奨学金受給者には、JRA施設での実習やJRA研究発表会への参加とレポートの提出を課すことで馬への認知度も高めているところであります。今年、二二年につきましては、十三大学から三十四名が受給しているところです。全ての獣医大学におきまして、また本会の業務内容や各種研修を紹介する企業セミナーなども行っているところであります。
 以上です。

○紙智子君 ありがとうございます。
 競走馬に対する産業獣医師の確保は、今お話ありましたけど、JRAの特別振興資金で行われているということだと思うんです。それで、改正案では、地方競馬全国協会の畜産振興勘定から競馬活性化勘定への繰入れが可能な期間を恒久化ということで、さっきもちょっと議論ありまして、議論、私も聞きながら、そこはちょっと同じ気持ちというか、本当に恒久化ということでいいのかというのは思ったわけですけれども。
 農水大臣が、この法案上、畜産振興の業務の遂行に支障がない場合に承認するというふうに書いています。畜産振興勘定は原則この畜産の振興を図るために使途が限定されてきたというふうに思うんですけれども、二〇二一年の決算額を見ても、畜産振興事業に十五・五億円で、競馬活性化勘定への繰入額が二十二・四億円って、こっちの方が多くなっていて、七億円多いんですよね。それで、畜産振興勘定から七億円も繰入れするというのであれば、その前に、今、畜産振興勘定を産業獣医師の確保に活用するということもできるんじゃないかというか、そうすべきなんじゃないかというふうに思うんですけども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野村哲郎君) 今御指摘がございました畜産振興事業では、現在、獣医師を確保するための支援は行っておりませんが、地方競馬場では支援は行っておりませんが、国やJRAの産業獣医師確保に向けた事業との重複を避けつつ、現場のニーズを踏まえて対応を検討したいと思います。

○紙智子君 対応を検討したいというふうに考えているということでよろしいんですよね。
 それで、地全協、地方競馬全国協会の理事長さんにもお聞きしたいんですけども、畜産業の全体でこの産業獣医師を増やすというために、畜産振興事業に獣医師確保に向けた支援策を追加してはいかがでしょうか。

○参考人(地方競馬全国協会理事長 斉藤弘君) お答えいたします。
 当協会では、畜産振興事業として、これまで、馬の関係の獣医師の対象として、技術検討会とか臨床実習に対する補助という形で獣医師の育成というものを図ってきているところでございます。産業獣医師確保の対策については現在実施していないというのが現状でございます。
 先ほどもありましたように、国の施策、JRAの施策というものが何なのかということをしっかり把握しまして、地方競馬としてできるものをこれから現場のニーズを踏まえて検討していきたいというふうに考えております。

○紙智子君 よろしく検討してください。
 それで、産業獣医師の確保というのは国も畜産業界も挙げて取り組む差し迫った課題だというふうに思うんです。競馬を行う目的に、畜産の振興に寄与することが挙げられているわけですね。現場の課題である産業獣医師の確保策を強化するように求めておきたいと思います。
 最後になりますけども、岐阜県の笠松競馬、二年前に発生した調教師と騎手による馬券の不正購入によって、競馬開催を八か月もの間自粛をしたと。それに関わった騎手や調教師は、免許の停止とか罰金ということになったわけですけれども、繰り返されてきているんですよね、研修やっているけれども。なぜこれ繰り返されているのか、地全協の方にお聞きします。

○参考人(地方競馬全国協会理事長 斉藤弘君) お答えいたします。
 確かに、帯広、笠松競馬におきまして馬券の不正購入等の不正事案というものが発生しております。その背景には、一つとしては、地方競馬全体での公正確保の質の低下というところと、厩舎関係者のモラル、コンプライアンスの意識が低かったというところが挙げられるというふうに思っています。またさらに、笠松の不適切事案に関する報告書という中にも触れられておりますように、厩舎関係者の所得が低い水準だったというところも要因の一つではないかというところが挙げられているというふうに考えてございます。
 このため、協会としては、今後、主催者の公正確保に関する取組の支援というものをしっかりしていくというところで、先ほどもありましたけれども、研修の指導だとか、さらには勉強会だとかというところはありますけど、具体的には、例えば調整ルームにおける金属探知器だとか電波遮断装置の設置などハードに対する助成というものを行いながら、有効な取組に関する情報というものを全国主催者で共有するという活動、さらには課題に対する技術的な専門的な助言、研修会の開催というものをやりまして、再発防止というものに努めてまいりたいというふうに思ってございます。
 また、競馬活性化計画に基づいて各主催者の経営基盤の改善というものの取組を行うことによりまして、賞金、諸手当の向上を図ることで厩舎関係者の処遇の改善というものにも取り組んでいければというふうに思ってございます。
 今回の法改正によりまして、当協会、地全協が、公正確保に関する業務の拡大というものが挙げておりますけれども、それがなされたときには、全国の地方競馬主催者における公正確保の取組を、高位の平準化というものをしっかりと図っていきたいというふうに思っています。

○紙智子君 ちょっと時間になりましたので。
 こういうことを繰り返さないということと、それから、やっぱり言われていた、第三者の報告の中にもあったように、騎手だとか競馬関係者の待遇がやっぱりもっと改善されなきゃいけないということもあると思います。是非、競馬を通じて畜産振興に寄与をして、地方財政の改善を図れるように、またこのギャンブル依存の対策もちゃんと進めるということを最後に繰り返し申し上げまして、私の質問を終わります。

───────────────(略)──────────────────

○委員長(山下雄平君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 競馬法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(山下雄平君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、徳永君から発言を求められておりますので、これを許します。徳永エリ君。

○徳永エリ君 私は、ただいま可決されました競馬法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及び日本共産党の各派並びに各派に属しない議員須藤元気さん及び寺田静さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。

    競馬法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  我が国は古くより農耕や神事・祭事において馬に関わる文化を育み、現在も乗馬、在来種の保存、ホースセラピーなどが行われており、競馬が健全に発展することで、こうした馬事文化の継承・発展に寄与することが期待される。
  インターネット投票が普及し、地方競馬においては、競馬活性化計画に基づき、主催者が収支改善のための取組を実施してきた結果、中央競馬は令和三事業年度に売得金が三兆円を超え、地方競馬でも令和二年度に二十九年ぶりに売得金が九千億円を超えるなど、その売上は堅調な状況にある。引き続き堅調な売上を維持するためには、地方競馬の魅力の更なる向上、施設の老朽化への対応、馬産地の生産基盤の強化等が必要である。
  一方、競馬関係者による不適切事案の発生は、競馬に対する国民の信頼が揺らぎかねない状況を生じさせた。
  こうした状況を踏まえ、地方競馬がこれまで畜産振興や地域経済等に重要な役割を果たしてきたことに鑑み、更に地方競馬の振興を図るとともに、競馬に対する国民の信頼を確保していく必要がある。
  よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。

 一 地方競馬への支援措置の拡充に当たっては、長期にわたり計画的に競馬活性化事業を実施することにより地方競馬の経営基盤の強化が図られ、地方競馬が畜産振興及び地方財政の改善に一層貢献できるよう指導すること。また、畜産振興勘定から競馬活性化勘定への繰入れはあくまで必要最小限とすべきものであり、繰入れの趣旨、目標を明確化した上で毎年の繰入れ状況を公開すること。併せて、繰入れに当たっては、法律の趣旨である畜産振興への寄与が阻害されないよう十分配慮すること。さらに、目標達成状況を常に点検・検証し、繰入れ措置の見直しも含めて検討すること。
 二 馬産地への支援の恒久化に当たっては、長期にわたり計画的に競走馬生産振興事業を実施することにより馬産地の生産基盤の強化や新たな発想をいかした就農の促進が図られ、競走馬の安定供給と強い馬づくりが推進されるよう指導すること。
 三 競馬の売上げの一部が畜産振興、社会福祉事業等への貢献及び地方財政の改善に活用されていることについて、国民一般の理解が一層深まるよう努めること。また、ギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に推進すること。
 四 日本中央競馬会のレース映像提供施設に関しては、地方公共団体や広く地域の理解を得て設置するよう指導すること。
 五 売得金に占めるインターネット投票等の割合が年々増加する中にあって、競馬場の入場者数の増加は、競馬関連事業の継続発展や雇用を創出するなど地域経済へ寄与することが見込まれるため、家族連れで入場しやすい親しみのある競馬場づくり、ファンサービスの向上、競馬場周辺の観光との連携等来場促進の取組がなされるよう指導すること。
 六 競馬における職場環境の整備や人材の確保が競馬の魅力の更なる向上に果たす役割に鑑み、警備員や厩舎で雇用される厩務員なども含めた全ての競馬事業に従事する者の社会保険の加入や競馬主催者間の賃金格差の縮小といった処遇や職場環境が改善するよう、また、研修の充実や技術の継承等による人材の育成・確保が図られるよう努めること。
 七 本法に基づく地方競馬全国協会の資金確保措置による地方競馬の経営基盤の強化の状況を常に分析・検証し、その結果を公開するとともに、これに基づき、地方競馬の振興の在り方について必要な措置の検討を進めること。
 八 競馬関係団体間の密接な協力連携体制を構築し、競馬関係者に対する研修指導を強化すること等を通じて不適切事案の未然防止を図り、競馬に対する国民の信頼を確保すること。
 九 引退した競走馬の多様な利活用による社会貢献等の観点からも命ある馬が可能な限り充実したセカンドキャリアを送ることができるようにすることの重要性に鑑み、こうした取組に対する競馬関係者による支援の拡充を促し、取組内容の充実が図られるよう指導すること。

   右決議する。

 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

○委員長(山下雄平君) ただいま徳永君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(山下雄平君) 全会一致と認めます。よって、徳永君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。