<第210回国会 農林水産委員会 2022年11月1日>


◇酪農家の経営危機について/農水省予算と旧統一協会関連企業について

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 大臣、先日は畜産農家の皆さんの本当に大変な窮状を聞いていただきました。ありがとうございます。
 それで、今日はまず酪農、畜産についてお聞きしたいと思います。
 酪農の生産者から話を聞きますと、飼料価格の高騰で先が見えないという窮状を聞きます。ある酪農家は、二年前と比べると、一頭の餌代が一日五百円上がったと言われます。一か月だと一万五千円、百頭飼っていると百五十万円です。
 ホクレンが十一月から飲用向けの乳価を一キロ当たり十円上げることを決めました。しかし、酪農家が受け取る平均価格というのは、諸経費がかさみますが、二円程度なんですね。北海道は加工原料乳が多いわけなんですけど、二円程度だと。だから当座をしのぐことさえできない。年が越えられないというのではなくて、今月どうするかということが大変だというふうに言われます。
 壊滅的だという声も幾つかの地域で出されているわけですけど、大臣はこういう声が出ている酪農の状況についてどのように認識されているでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野村哲郎君) 先ほども酪農の件がありましたときに申し上げたように、今畜産の皆さん方たちは大変困窮されておるというのは認識いたしておりますが、中でも酪農家が畜種の中でも一番厳しい状況だろうということは理解をいたしております。
 酪農経営についてやっぱり難しいのが、難しいというか、やっぱりそういうふうにほかの畜種に比べて特殊な要素を持っている。一つは生乳需給の緩和、これが非常にやっぱり生産量が多かったということが、生乳が多いですから。それから飼料価格の高騰によるコストの上昇、それからもう一つはぬれ子の価格が低下していたという、こういう厳しい状況にあるということは十分認識をいたしております。

○紙智子君 倒産した農家もいるというふうに聞いているんですよね。
 それで、今酪農経営が危機的な状況になっていることについて大臣が幾つか言われました。コロナ禍による需要の低迷と、それから生乳が余っているのを受けて全道的な生産抑制が進められたということと、それから、言われたように、ぬれ子のこの副産物の収入が激減したんだと。加えて、私言いたいのは、円安で輸入価格、飼料価格などの生産資材が高騰したことと、それから五つ目に、億単位と言われるこの畜産クラスター事業の借金の返済が、償還が始まるんですね。これでもって、もういよいよ返すことになったらギブアップだという声が出されているわけです。
 つまり、収入は減っているのに支出が膨らんでくると。そうすると借金の返済の見通しが立たなくなるというのが今の酪農経営の現状ではないかというふうに思うんですけど、この辺のところも含めて、もう一度ちょっと御回答お願いします。

○国務大臣(農林水産大臣 野村哲郎君) 餌の問題だとかほかのものは、いろいろ全体的な問題としてやって国としても対応してきたんですが、今委員からの、紙委員からの御質問で、いわゆるクラスター等の融資の返済ができないと、こういうことでありますので、これは役所の方からも、返済猶予については、各金融機関、特に公庫資金なんかをお借りになっている方についてはそういうことで公庫の方とも話をしておりますので、是非、繰り返し返済猶予の対応を要請しておりますが、ただ、やっぱり金融機関によってはそこの金融機関の事情もあって難しいところもありますが、できるだけ農家の資金繰り対策に万全を期すようにこれからも指導してまいりたいと思います。

○紙智子君 これからちょっと聞こうと思っていたやつまで答えているんですけど。
 それで、生産者から言われるのは、牛を増やして増産せよってずっと号令掛かっていたわけですよ。で、国の目標というのはやっぱり増産だということで、増産計画に向けて、国の支援も受けながらクラスター事業で規模拡大のための投資をしてきた。なのに、今は生産抑制だと迫られていて、だから、生産者にしてみると、アクセルとブレーキを同時に踏む状態だというふうに言われるんですね。
 現在の危機的な窮状を打開する緊急対策がやっぱり必要じゃないかと。生産資材、特に高騰した餌代、今もちょっと話ありましたけども、輸入牧草の対策なんかも必要なんじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野村哲郎君) 今、紙委員が本当に本質的なところを御質問いただきました。
 私は、よく言うんですが、例えば増産というのは、増産というのが、その牛を増やしていくというのが、どんどんどんどん国内の中でも、北海道は増えていたんですけども、こちらの本土の方は減っておりました。
 それで、どうしてもやっぱり全体を賄うためには、増産をしながら、いわゆる増頭しながらですね、増頭しながら、そしてこの日本人のミルクを、牛乳を十分確保できるようにということでやってきたんですが、余りにも今度は規模拡大が進み過ぎて、おっしゃるように、北海道ではそういうことはないんだろうと思っておりましたが、輸入乾牧、いわゆる乾燥牧草を輸入してそれでやっていた。
 その当時は三十五円ぐらいだったと思うんですが、今はもう七十円、八十円になって、倍以上の粗飼料代になってしまったということで、にっちもさっちもいかなくなったぞ、粗飼料代を何とか支援しろと、我が鹿児島でも藤木政務官の熊本でもそういったような声が出てきて、これじゃ、これはもう本末転倒といいますか、やっぱり自分の身の丈に合った経営をしていただきたいなということを私は地元の酪農家の人たちには言っているんです。でなきゃ、増頭増頭して、クラスターで畜舎を造って、そして国の補助事業で増頭して、さあもう何とかしてくれと、餌代がもう足らなくなったという話になるものですから、どうもこれはおかしい回転になっているというか、仕組みになり過ぎたなと。ですから、ここで何とかやっぱり何か止める方法をつくっていかないと、需給のバランスが取れないというふうに思います。
 ですから、そういったことを今後是非検討をさせていただきたいと思っております。

○紙智子君 それは、今、急場をしのぐということで出ているのに対して何か検討するというお話でよろしいんでしょうか。
 それで、実際にその頭数増やして増産しようというのは、農家がやりたくてやってきたというよりは、国の指令というか、で増やしてほしいというふうに言われて、それに基づいてやってきたということですから、これ国も責任がある話なんですよ。だから、今大変になっているときに、いや、ブレーキとアクセルを一緒に踏ませるような状況をいつまでもやっていいのかということで、これきちっとした対応を取らなきゃいけないということだと思うんですね。
 それで、よく外国の輸入してきている牧草の話すると、これは国産に切り替えるからって話よくするんですけど、切り替えるのは結構なんだけども、緊急時の支援が今必要なんですよ、今大変なんだから。
 一方で、収入減っているわけです。酪農家にとって副産物の収入になるぬれ子、これ牛乳から、ああ、乳牛から生まれた雄の子牛ですよね。この価格が暴落していて、この間も聞いてみると、一頭で平均すると三千円から四千円、これ何万となっていたやつが今三千円から四千円、百十円だというときもあったって聞いています。値が付かないで持って帰ったという農家もいるんですね。
 この収入減に追い打ちを掛けているのが、言わばクラスターの債務の返済なんですよ。増産のためにロボットを何台も買ったと。それで、規模拡大した生産者が今のこの収入では返済できないという状態なんです。この経営破綻を防ぐための債務返済の猶予などの支援策が必要だということで、そこでちょっとさっきの詳しい話を、どういうふうな返済の、融資、繰り延べるとかということになっているのかというのをちょっとお答えいただきたいんです。

○政府参考人(農林水産省畜産局長 渡邉洋一君) お答えをいたします。
 委員御指摘のとおり、平成二十六年度、バター不足騒動があった中で、畜産クラスター事業などで生産基盤の強化をしてきたということがございます。生乳はやはり増産、減産に約三年の時間を要して、なかなか需要の変化に機動的に対応ができないというような特質性がございます。そういった中で増産している中で、令和二年になりまして新型コロナということで、生乳の需要がインバウンドも含めてぐっと減りまして、需給が緩和をしたという事情があるというふうに認識をしてございます。
 そういった中で、債務の返済が、生産者、特に酪農家で、酪農家の皆さん、投資を拡大した酪農家の皆さんが、借金して拡大された方が債務の返済というものに不安を抱えているということは十分に承知をしております。
 酪農家の資金繰りにつきましては、公庫資金などの金融支援というのは、これ、新規のやつもちろんやっておりますし、既往債務につきましては、先ほど大臣からも答弁ありましたとおり、農林水産省から金融機関などに対しまして繰り返し返済猶予などの対応を要請をしてきてございます。
 各金融機関におきましても、実情を踏まえて可能な前向きな対応もしているというようなことも聞いておりまして、引き続き、農家の資金繰りの関係の対策、しっかり対応していきたいというふうに考えてございます。

○紙智子君 これ五月ですかね、通知も出しているというんだけど、なかなか出していても思いどおりにならないところもあるわけで、そういうところに対しても再度しっかり徹底して、ちゃんと借りれるようにしていただきたいというふうに、借りるとか先送りするとかということでできるようにしてほしいと思います。クラスター事業の償還が始まらなくても、これコストが高くなって厳しい中で償還が始まったらもうギブアップなんだと、これがもう生産者の声です。今をしのぐ支援策が必要だというふうに思うんですね。
 そこで、提案したいんですけども、まずは、この高騰した飼料価格、今を乗り切るために高騰前の価格との差額をやっぱり農家に直接補填する緊急支援が必要だと、これまず一つです。
 それからもう一つは、飼料は国産を活用している人も輸入を活用している人もいると。それから、クラスターを活用している人もいるけども、していない人もいると。経営は酪農家によって違うわけですよね。だから、一番効果的な対策何かというと、これ乳価を上げることなんですよ。やっぱり乳価が上がるといろんな問題が解消されていくわけなんですけど、北海道でいうと、加工原料乳の補給金をですから年末の対策を待たずに上げることだというふうに思うんですよ。
 酪農家のモチベーションを今上げるためには、価格高騰分の差額の補填と加工原料乳の引上げ、この二つを是非、直ちに実施するように提案したいと思いますけども、いかがでしょうか。

○政府参考人(農林水産省畜産局長 渡邉洋一君) お答えをいたします。
 まず一点目の飼料の高騰の関係でございますけれども、昨年度から六百六十五億円で配合飼料価格安定制度の異常補填基金の積み増しをいたしましたし、先ほど委員のおっしゃいましたとおり、今年九月の予備費で配合飼料の高止まりに対応する緊急対策と、それから購入粗飼料などの価格高騰で影響を受ける酪農経営への緊急対策、合わせて五百四億円を措置をしたところでございます。
 引き続き、トウモロコシなどの飼料原料価格の上昇に対応するための配合飼料価格の対策というのをしっかりやっていきたいと思いますし、また、酪農経営を取り巻く状況は厳しい状況だということで、これ持続的な取引関係の維持のためには、生産コストの上昇分は販売価格に適切に反映する、乳価に反映することが基本であるというふうに考えてございます。そのためには、生乳の需給ギャップを解消することが重要でありまして、現在、業界におきましてこの需給ギャップ解消に向けた取組を行っているところでございますので、我が省としても、引き続きどのような対応、支援が可能かということを検討していきたいというふうに考えてございます。
 また、二点目の加工原料乳生産者補給金の単価の見直しということでございますけれども、これは、そういった声ございますのは、やはり厳しい、酪農をめぐる厳しい経営環境の中での支援を求めるものであるというふうに受け止めてございます。まさに、これを踏まえまして、先ほど申し上げましたような予備費を措置をいたしまして、本年四月から乳価改定が行われる十一月の前までの急激な輸入購入粗飼料のコスト上昇を緩和する対策を講じたところでございます。
 業界における需給ギャップの解消、それが適正な、生産コストの適正な価格への反映につながるように、どういう対応が可能か検討したいと考えてございます。

○紙智子君 何というかな、通常の状態の話でなくて、やっぱりいろんな要因で、相まって今の事態というのは緊急事態なわけですよね。だから、生産者の有事に対応してほしいというんだけど、緊急事態に対しての考え方ということでいうと、やっぱりそれにふさわしい何らかの緊急対策というものは是非必要だと思います。やっぱり、今をしのぐ緊急対策ということを実施してほしいと思います。
 それから、肉牛についても聞きたいんですけども、繁殖農家の経営も大変なんですね。脱脂粉乳の在庫は増えているんだけど、餌代の中で子牛用のミルク代が高騰しているんです。価格は二年前の一・八倍、約二倍になっているんですね。業者から来月から上がりますと言われても、子牛のミルク代なので代用が利かない、断れないというんです。これも支援策が必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(農林水産省畜産局長 渡邉洋一君) お答えをいたします。
 委員御指摘の子牛のミルク代、特に繁殖経営ということだと思いますが、これは代用乳でございますけれども、基本、海外産の脱脂粉乳やホエー等を使ってございまして、その現地価格の上昇、それに加えまして円安の進行、あるいは海上運賃の動向といったことから、その代用乳の価格がかなり上がっているという状況にあると認識をしてございます。
 農水省といたしましては、これ代用乳の給与をすることで早期に母牛から離れて、早期離乳して、母牛が一年一産を目指して取れるようにするといったことですとか、あるいは代用乳をうまく与えることで子牛が発育が良くなって出荷が早期化できるといったような生産性の向上に資する哺乳の技術が一部の農家において導入されていると承知をしてございます。(発言する者あり)はい。これを踏まえまして、そういったその哺乳強化による出荷への支援についても検討していきたいというふうに考えてございます。

○紙智子君 是非検討してほしいと思います。
 大変な状況で、来年になったら、これの今の大変な状況が来年になったら楽になるわけじゃないんですよね。牛は生き物ですから、一旦生産抑制すると、そのダメージというのは何年も続くわけです。今、壊滅的と言われる酪農の危機を脱するための緊急支援を強く求めたいと思います。
 次に、海外需要創出支援対策事業の資料を配付いたしましたので、御覧いただきたいと思います。
 配布資料 平成30年度海外需要創出等支援対策事業
 これは平成三十年度、二〇一八年度の予算の流れなんですけど、ここで二つお聞きします。この事業はどういう事業なのかということと、それから、農林水産省は株式会社テー・オー・ダブリューと委託契約を結んで、テー・オー・ダブリューがトゥルー・ワールド・フーズに再委託の契約をしています。それぞれの契約金額を確認したいと思います。それから、委託契約、再委託契約というのはどういうふうに決めるのかということについてお答え願います。

○政府参考人(農林水産省輸出・国際局長 水野政義君) お答えいたします。
 御指摘の事業は、平成三十年度に日本産食材サポーター店の認定店舗拡大のためのプロモーション事業を実施したものでございます。具体的には、アメリカにおいて飲食店向けにメニュー開発や食材の調達、提供等を通じて日本食材を利用する飲食店の拡大を図ったものでございます。
 本事業は、企画競争を経てイベントやプロモーションを企画運営する株式会社テー・オー・ダブリューに約千五百万円で委託しました。
 東京に本社を置く上場企業であるこの株式会社テー・オー・ダブリューは、アメリカにおいて日本産食材の調達や提供等の業務を実施する事業者として、アメリカ法人のトゥルー・ワールド・フーズへの再委託を含む企画提案書を提出しました。
 農林水産省としては、アメリカ・ニュージャージー州に本社を置くトゥルー・ワールド・フーズが水産物を始めとする日本産食材の卸売業者、貿易業者として現地の有力な事業者であったことを踏まえ、当該提案書を認めたところです。
 株式会社テー・オー・ダブリューからトゥルー・ワールド・フーズに対しては、再委託費として二百万円、食材調達費として百万円が支払われております。

○紙智子君 今の説明でも、トゥルー・ワールド・フーズに税金が使われたということが確認をできました。
 株式会社テー・オー・ダブリューとトゥルー・ワールド・フーズは、今ちょっとどういう会社かの説明があったんですけども、このトゥルー・ワールド・フーズ、これは所在はどこですか。本社はどこですか。

○政府参考人(農林水産省輸出・国際局長 水野政義君) トゥルー・ワールド・フーズについては、本社をアメリカのニュージャージーに置く会社と存じ上げております。

○紙智子君 旧統一協会の実情に詳しい韓国の大学教授である卓志一氏は、毎日新聞の取材に応じてこう言っています。この卓氏は、統一協会は、米国と日本、韓国で役割分担をしてきた、日本は韓国のための経済的かつ人材的な支援をしなければならない場所と位置付けられて、韓国に集まったお金を事業のために投じて増やす場所がアメリカだ、例えば、アメリカとカナダで八千軒以上のレストランに魚を卸しているトゥルー・ワールド・フーズも旧統一協会系だというように答えているわけです。
 トゥルー・ワールド・フーズというのは、これ統一協会の関係企業ではないんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省輸出・国際局長 水野政義君) 委員御指摘の報道については承知しておりますが、平成三十年の時点において農林水産省が実施した事業の再委託先につきましては、旧統一教会の関連企業であるかは確認しておりません。これは、再委託先について、事業の目的に照らして事業を的確に執行できるか否かの観点から判断したものであり、旧統一教会との関連いかんによる判断を行っていないためでございます。

○紙智子君 今、確認されていないということなんですけど、統一協会というのは、正体を隠して伝道活動をやり、不安や恐怖をあおって霊感商法を行ってきた団体なわけです。こういう団体の関連企業が農林水産省の事業を活用していたということになるわけです。
 この企業に農林水産予算が使われているということになると、これ審査が甘くないのかというふうに思うんですね。テー・オー・ダブリューの契約額が約一千五百万円ですけども、二百万円を超えて再委託したのはトゥルー・ワールド・フーズだけなんですよね。
 このテー・オー・ダブリューが再委託した会社がどういう会社なのかということを農林水産省は把握できないということになるんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省輸出・国際局長 水野政義君) お答えいたします。
 企画競争を経て本事業を受託した事業者が農林水産省に提出した企画提案書にはトゥルー・ワールド・フーズへの再委託が含まれており、この企画提案書を認めることにより当該トゥルー・ワールド・フーズを再委託先として認めたものでございます。
 本事業は、アメリカにおける飲食店向けの日本産食材の調達、提供等を含んでいたところ、日本産食材の卸売業、貿易業を行うアメリカ内の有力企業、トゥルー・ワールド・フーズがこれらの事業を的確に執行できると判断したものでございます。

○紙智子君 やっぱり審査甘いと思うんですよね。
 トゥルー・ワールド・フーズの親会社というのは、トゥルー・ワールド・グループなわけです。トゥルー・ワールド・ジャパンの社長というのは、ホームページの中で、当社はアメリカのトゥルー・ワールド・グループ、トゥルー・ワールド・フーズの日本支社として設立されたというふうに書いています。そのトゥルー・ワールド・グループの社長を務めていたのが古田元男氏と言われています。
 この人物はどういう人なのかというと、昭和六十二年の三月に我が党の寺前巌議員が霊感商法に関する質問主意書を出しているんですけども、霊感商法で問題になったつぼや多宝の塔などの輸入元である株式会社ハッピーワールドの代表取締役が古田元男氏であるとして、取締りの強化などを求めているわけです。このときの政府の答弁というのは、訪問販売については通商産業省産業政策局内に設けられた訪問販売等研究会において実態把握と分析、対応策を検討すると答えていたわけです。
 それから、二〇二二年の十月八日付けの週刊東洋経済で、ハッピーワールドというのは統一協会系の企業の代表格だとして、一九九四年の霊感商法被害をめぐる福岡地裁裁判でも、民事裁判の判決文に、被告ハッピーワールドは、被告統一協会の資金集めのために、同被告により、商品の販売組織、集金組織、人員の供給組織構築を目的に設立された会社だと認定しているんです。
 このトゥルー・ワールド・グループの古田元男氏とハッピーワールドの古田氏が同一人物だったら、これ重大な問題だと思うんですけども、どうですか。

○政府参考人(農林水産省輸出・国際局長 水野政義君) お答えいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、本事業の再委託につきましては、この事業を的確に実施できる能力をその再委託先が有しているかどうかという観点から判断しておりますので、それ以外の要素について、含めて確認をしているというものではございません。

○紙智子君 だから、結局、これからだってもしかしたらあるかもしれないけど、素通りしちゃうということになりませんか。
 二〇〇八年の三月十二日付けのサピオという雑誌の中でも、当時、トゥルー・ワールド・フーズを含めて六つの会社を傘下に置くトゥルー・ワールド・グループの代表取締役が、自社ホームページで、それは渋谷区の神宮前にあった統一協会の商社ハッピーワールドの元社長だというふうに記されている。調べようと思ったら、これ分からなくはないと思うんですよ。
 今のこの委託契約や再委託では、こういうことを見抜くことできないということになるんじゃないですか。

○政府参考人(農林水産省輸出・国際局長 水野政義君) お答えいたします。
 現在の委託事業の方法につきましては、この委託、再委託先の欠格事由として、役員等が暴力団又は暴力団員である法人等であることなどを、ものにつきましてはこれを契約しないということをあらかじめ確約するということになっておりますし、さらに、契約後にそうしたことが、事実が判明したときには直ちに委託事業者は再委託解除を、再委託契約を解除しなければならないとされていますけれども、委員御指摘の内容については、このような契約における欠格事由には該当しないと考えているところでございます。

○紙智子君 暴力団関係だけじゃないですよね。反社会的なことをやったところもそういう対象になっていると思うんですよ。
 それで、卓氏が言っているように、統一協会というのは日本で霊感商法を行って、それで集めたお金を使ってアメリカで事業を展開したのが古田氏ではないかと疑われているわけです。
 大臣、やっぱりちゃんとしたチェックがもう不十分な中で税金がもし使われているとしたら、これ大問題じゃないかと思うんですけども、大臣の認識を伺います。

○国務大臣(農林水産大臣 野村哲郎君) 先ほど局長が答えましたように、最初、ここの契約をしたのはテー・オー・ダブリューというところでございまして、ここが食材等を調達するために再委託をしたのがこのトゥルー・ワールド・フードというところでありますけれども、ただ、いろいろ聞いておりますと、この日本のレストランの十一店舗のうちの七店舗だったかな、はここをほとんど使っている、食材を、魚を中心ですけれども。そのぐらい、活躍と言っちゃおかしいんですけども、活動しているトゥルー・ワールド・フードというところだそうでして、当然といえば当然で、このテー・オー・ダブリューもここを目付けて取引を開始したんだろうというふうに思います。
 ただ、農水省の方では、この再委託等の中身を具体的に検討していくということは物理的にもやっぱり難しいところも、先ほど紙委員からありましたように、いろいろ疑って掛かれば、結果としてはそうだったのかな、ここが足らなかったなというのはあるんですけれど、ただもう、三年前にもうこれは契約が終わっておりますので、もうこれ以上のことにはならないというふうには思いますけれど、これからはやっぱり念を入れなきゃいけないなと、こういうことは感じております。

○紙智子君 やっぱり、これがたとえ過去一回だとしても、やっぱりそういう形でもしつながっていったら大変なわけだし、ほかの分野ももしかしたらあるかもしれないということを考えれば、農水省がお墨付きを与えて予算付けているところだということになると、それが、何というの、安心材料になってしまうわけですから、そこは是非、このテー・オー・ダブリューという会社を結局くぐって、トンネルになってトゥルー・ワールド・フーズに流れているんだとすれば、しかも統一協会関係の企業に食い込んでそれを許しているということになるんであれば大変ですから、過去、やっぱり実態把握をして、調査を行って、国会に報告するように求めたいと思いますけども、いかがでしょうか。

○政府参考人(農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官 前島明成君) お答えいたします。
 過去におけるトゥルー・ワールド・フーズ社との関係につきましては、旧統一教会に関する状況を見ながら、調査の必要性などを慎重に検討していきたいと考えておるところでございます。

○紙智子君 ちょっと時間になりましたので、統一協会企業がもう行政に踏み込んでいれば大変問題だと思いますので、重ねて調査と報告を求めたいと思います。
 この後、ちょっと水活もあったんですけど、それは次回に回しまして、これで終わります。