<第208回国会 決算委員会 2022年5月9日>


◇知床遊覧船KAZUTの海難事故 安全管理規定と通信設備としての携帯電話について/北海道新幹線の札幌延伸の総事業費に関する報道について/財政審議会の指摘への国交省の見解について/赤字経営の北海道新幹線について/札幌延伸と赤字経営の責任について/札幌市アクセス道路について/アイヌ新法と周知について/アイヌ施策推進法に関するアイヌ政策検討市民会議のアンケート結果について/アイヌ新法の周知とアイヌ民族の参加の必要性について

○令和二年度一般会計歳入歳出決算、令和二年度特別会計歳入歳出決算、令和二年度国税収納金整理資金受払計算書、令和二年度政府関係機関決算書(第二百七回国会内閣提出)(継続案件)
○令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書(第二百七回国会内閣提出)(継続案件)
○令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書(第二百七回国会内閣提出)(継続案件)(文部科学省、農林水産省及び国土交通省の部)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 北海道の知床半島沖で遭難をされた観光船KAZUTについてお聞きします。
 亡くなられた乗客や乗務員の皆さんに哀悼の意をささげるとともに、御家族の皆様にお悔やみを申し上げます。そして、いまだ行方不明の方々の一日も早い救助を心から願っております。
 海難事故を起こした知床遊覧船は、五月二日に業務上過失致死容疑で家宅捜査を受けました。同社の運航管理責任は厳しく問われなければなりません。
 一方で、国の対応がどうだったかということも問われると思います。
 二点お聞きします。
 一つは安全管理規程です。波の高さや風速など、出航条件などが書かれていますけれども、これ届出制ですね。それで、出航は届出どおりであるかどうかのチェックをしているかどうか。
 二つ目は携帯電話の件です。この件について国土交通省から説明を受けました。知床遊覧船は、四月二十日に中間検査を受けた際に、船長から携帯電話に変更したいと申請があったと。そのときに、日本小型船舶検査機構、JCIは、携帯電話がつながる範囲外であってもつながることがあるので認めたというんですね。で、つながることがあるということは、つながらないこともあるということですよ。JCIに内規があると言いますけれども、こんないいかげんな内規なんでしょうか。
 以上二点、お聞きします。

○国務大臣(国土交通大臣 斉藤鉄夫君) まず最初に、安全管理規程についての御質問についてお答えさせていただきます。
 海上運送法においては、運航事業者は、輸送の安全を確保するために遵守すべき内容を定めた安全管理規程を作成し、国土交通大臣に届け出ることとなっております。国土交通省では、届出された安全管理規程について、海上運送法等の関係法令に適合し、安全確保の観点で適切な内容であるかを確認しており、適合していないと認めるときはこの規程を変更すべきことを命ずることができることとなっております。
 国土交通省は、定期的に実施する監査や事故時に実施する特別監査において運航事業者が安全管理規程を遵守していない等が確認された場合、必要な指導や行政処分を行う、こういう仕組みになっております。
 次に、携帯電話についてでございます。
 通信設備については、KAZUTの検査を行った日本小型船舶検査機構によれば、四月二十日の中間検査において事業者から無線設備を携帯電話に変更したい旨申出があった際、陸上との間で常時通信できるとの申告を受けたこと等から、同機構の検査方法に従い変更を認めたと聞いております。国土交通省はこの機構による検査方法について認可や届出により把握しておりますが、この携帯電話の扱いのように、この機構が内規で定める特例的な検査方法については提出されることとなっておりません。
 国土交通省としましては、今般立ち上げた知床遊覧船事故対策検討委員会において、安全管理規程の実効性の確保や日本小型船舶検査機構による検査方法、また国のこの機構に対する監督の在り方等についても議論し、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

○紙智子君 私がお聞きしたのは、届出どおりに出航したことがチェックできているかどうかということと、それから内規についてですね、確認しているのかどうかと聞いているんですけど、まあしていないということだと思うんですね。
 それで、ちょっと委員長にお願いなんですけども、知床遊覧船の安全管理規程、それからJCIが携帯電話を認めた内規の提出を求めたいと思います。

○委員長(松村祥史君) 後刻理事会で協議をいたします。

○紙智子君 で、遊覧船の安全管理規程を届ければ事実上は事業者任せと。JCIは、携帯電話の電波がつながらないエリアがあっても認めるというんですね。安全運航する行政の責任を果たされていないということなんですよね。KAZUTの事業者責任は非常に大きいと思うんですよ、これは。しかし、行政の運用ルールが甘いのではないかと思うんです。これ、今後のためにも見直すことを求めておきたいと思います。
 次に、北海道新幹線についてお聞きします。
 北海道新幹線は、現在、青森から道南の函館北斗まで開通しています。二〇三〇年には札幌まで延伸する計画です。北海道新聞が、財務省が四月二十日に開いた財政制度等審議会の分科会で、北海道新幹線について、札幌延伸の総事業費は二〇一一年に国が見積もった一兆六千七百億円から参考値として三千億から七千億円程度膨らむ可能性があるとの試算を示したと報道したんですけど、これ事実でしょうか。

○政府参考人(財務省主計局次長 奥達雄君) お答え申し上げます。
 本年四月二十日の財政制度等審議会歳出改革部会におきまして、現在事業実施中の北海道新幹線新函館北斗―札幌間につきまして、今年度に鉄道建設・運輸施設整備支援機構による事業再評価が予定されてございますが、物価上昇により工事費が増嵩した金沢―敦賀間よりも工期が長く、物価上昇の影響が懸念されること、また、工期ありきの無理な工程、事業費管理に陥りやすいとの指摘があった金沢―敦賀間の経験も踏まえ、工期や事業費の見通しにつきまして速やかに現状を踏まえた分析を行うとともに、必要に応じ今後の工期の柔軟化の検討も行うべきことなどにつきまして財務省の事務方より御説明をしたところでございます。
 その際、同事業区間の事業費の増嵩の可能性につきまして、直近で工事費増嵩が生じた事例である金沢―敦賀間と同程度の工事費増加率となると仮定した場合には〇・七兆円程度、工事単価が本年秋に開業予定の九州新幹線武雄温泉―長崎間並みのキロ当たり単価になると仮定をした場合には〇・三兆円程度との機械的な試算も参考としてお示しをしたところでございます。

○紙智子君 報道のとおりということだと思うんですね。
 それで、財政審は、工期ありきの無理な工程や事業費管理に陥りやすいということを指摘をして、今後の工期の柔軟化を検討するように求めているわけですけれども、この完成時期を遅らせることで工事費を抑えることができれば一つの選択肢という意見もあったようなんですね。
 そこで、国土交通大臣にお聞きするんですけれども、国土交通省として完成時期を含めてこれ検討するのでしょうか。

○国務大臣(国土交通大臣 斉藤鉄夫君) ただいま財務省から答弁もありましたとおり、四月二十日に財務省で開催された財政制度等審議会の分科会において、北海道新幹線の札幌延伸工事に関して、工期や事業費の見通しについて速やかに現状を踏まえた分析を行うとともに、必要に応じ今後の工期の柔軟化の検討も行うべきとの認識が示されたと承知しております。
 北海道新幹線については約八割がトンネルであり、現在、建設主体である鉄道・運輸機構においてトンネルを中心に工事が進められているところです。特に、札幌と小樽を結ぶ札樽トンネルでは、発生土の受入れ地確保の難航等により、掘削開始に当初計画から約三年の遅延が生じています。また、その他のトンネルにおいても巨大な岩塊の出現により工事が一時停止するなどの状況にあると承知しております。こうした点を踏まえ、鉄道・運輸機構において全体の工程や事業費の精査を行っていると承知しており、まずはこれらの作業を速やかに進める必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、北海道新幹線建設工事の適切な工程、事業費管理が重要と考えており、国土交通省としても鉄道・運輸機構とともにしっかりと取り組んでまいります。

○紙智子君 今のお答えは、完成ありきということではなくて、必要なことをやるということだと思うんですね。
 それで、新函館北斗から札幌間の地方負担分が約三千五百億円というふうに言われているんですね。工事費が膨らむと、これ更に地方負担に跳ね返ることになるわけです。新青森から新函館間の工事費も当初の見込みから約一千百億円も増加しているんですね。工期先にありきの無理な建設はすべきではないというふうに思っております。
 次に、北海道新幹線は、新函館北斗まで開通しているんですけれども、現在赤字経営が続いています。JR北海道の決算で見ると、二〇一六年度約五十四億円の赤字、二〇一七年度は約九十八億円、二〇一八年度約九十五億円、二〇一九年度は約九十三億円、二〇二〇年度は約百四十四億円、二〇二一年度は昨年の十二月までで約九十九億円、六年間でトータルすると五百五十六億円の赤字なんですね。
 二〇三〇年の完成を目指しているんだけれども、今後赤字がどこまで膨らむのか、で、この赤字分というのは一体誰が負担するんでしょうか。

○政府参考人(国土交通省鉄道局長 上原淳君) お答えいたします。
 北海道新幹線新青森―新函館北斗間は、平成二十八年三月の開業以来、利用者の伸び悩み等から年間約百億円程度の赤字が続き、最近は長期化するコロナ禍の影響により赤字幅が拡大している状況でございます。国土交通省といたしましては、まず北海道新幹線を札幌まで開業することが新青森―新函館北斗間の輸送需要の増加にも資すると考えておりまして、現在、新函館北斗―札幌間の新幹線建設工事を進めているところでございます。
 また、青函トンネルでは、新幹線と貨物列車の擦れ違い時の安全を確保するため新幹線の走行速度を落として運行いたしておりますが、令和二年より、年末年始、ゴールデンウイーク、お盆時期におきまして、始発から十五時半頃にかけて、時間帯区分方式により時速二百十キロメートルの高速走行を実施しているところでございます。さらに、JR北海道としても地元自治体やJR東日本等と協力した利用促進策を講じるなどして利用の回復に努め、北海道新幹線の収益を改善させていくことといたしております。
 国土交通省といたしましても、こうしたJR北海道の経営の自立に向けた取組が着実に行われていくように適切に指導監督を行うとともに、昨年三月に成立させていただきました改正債務等処理法等に基づき、まずは二〇二三年度までの三年間で約千三百億円の支援措置を着実に実行してまいります。

○紙智子君 赤字は一体誰が負担するのかということは言われなかったんですよね。
 それで、なぜ赤字が膨らんでいるのかという、需要見通しがこれ甘いからだと思うんです。新青森から新函館間の輸送密度というのは、二〇〇四年の当時、一日当たり六千五百人というふうに見込んでいたようなんですけれども、鉄道・運輸機構は二〇一一年度に再評価を行って一日七千二百人に引き上げました。ところが、現実はどうなったかというと、開業翌年からは五千人を切っているわけです。コロナ禍の下で一千人台ですよ。七千二百人どころか六千五百人も届いていない。全く甘い需要見通しだと思うんですね。
 それからまた、札幌延伸も当初一日当たり一万四千八百人と見込んでいましたけど、事業再評価で一万七千八百人と三千人上積みをしました。JR北海道は、札幌延伸しても初期は赤字になるけれども黒字に改善していくんだと、赤字になったとしても不動産でカバーすると言っているんですけど、いや、こんな気楽な見通しでいいんでしょうか。孫子の代に赤字を押し付けるようなこういう計画でよろしいんでしょうかね。

○政府参考人(国土交通省鉄道局長 上原淳君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、北海道新幹線新函館北斗―札幌間の需要予測につきましては、平成二十九年の再評価時には一日一キロ当たり一万七千八百人キロとされ、平成二十四年度の着工時の予測値でございます一日一キロ当たり一万四千八百人キロ、これに比べて増加をいたしております。再評価時の需要予測では、現況を再現するためにモデルをこの時点の最新のデータを用いて見直したことにより鉄道の競争力が高いモデルとなったことから、新幹線が整備された場合の需要予測を行った結果、予測値は着工時よりも大きくなったものでございます。
 加えて、需要予測の際の人口推計に関しましては、国立社会保障・人口問題研究所の日本の地域別将来人口を用いておりますが、この再評価時に用いた同研究所の将来人口、これが着工時に比べて僅かに大きかったことも一つの要因と考えられます。
 いずれにいたしましても、こうした需要予測につきましては一般的な手法を用いて算定を行っておりまして、さらに活用し得る最新の調査結果や交通ネットワーク等に係るデータを用いて現況を再現できるようなモデルを構築して行ってきております。

○紙智子君 まあいろいろ計算方法とかと言うんですけど、現実やっぱり本当に厳しいですよね。
 JR北海道は、十路線十三線区が赤字を理由にして単独では維持困難な線区というように言っていますけれども、一番大きな赤字を出している区間が実は新幹線なんですね。新幹線の札幌延伸は多くの問題抱えています。
 まず、長万部から小樽までの並行在来線の廃止を押し付けて、地方の切捨てが進んでいます。それから、新幹線建設のトンネル工事から出るヒ素などの有害物質の受入れを、これも自治体に押し付けています。環境汚染、健康被害が問題になっています。住民に痛みを押し付けたまま、この建設先にありきと、こういう姿勢そのものがやっぱり問題だと思うし、私は立ち止まって一旦検討するべきだというように思います。
 ちょっと次に行きます、時間ありますので。
 札幌市の国道五号、創成川の道路、いわゆる都心アクセス道路についても聞きます。
 この事業は、令和三年、二〇二一年に事業化されました。二〇二一年度の予算は一億円です。二〇二〇年度の予算は七億円で、測量や地質調査、設計費だと聞いています。このアクセス道は何年までの完成を目指しているんでしょうか。

○政府参考人(国土交通省道路局長 村山一弥君) お答えいたします。
 この国道五号創成川通でございますけれども、札幌都心部と札樽自動車道を地下構造でつなぐ延長四・八キロメートルの事業でございます。令和三年度に新規事業化、着手してございます。この事業の進捗につきましては、今年度、測量、地質の調査を行う予定でございまして、その後、これらの調査結果を踏まえまして、道路や構造物の設計を実施することとなります。現時点で事業の完成時期は決まってございません。

○紙智子君 時期決めていないということですね。
 それで、アクセス道は、昨年、二〇二一年の一月に行われた札幌市の都市計画審議会で紛糾したんですね。二十二名の委員がいるうち、賛成が十五名のみだと。アクセス道ができても短縮される時間というのは僅か八分だけだと、そこに一千二百億円もの巨額の税金を使うのか、暮らしや子育てを優先してほしいという意見です。
 それだけではなくて、北海道開発局が作成した豊平川氾濫シミュレーション、ここでは、想定し得る最大総雨量が七十二時間で四百六ミリの豪雨の場合、豊平川が決壊した場合に氾濫水は約一時間半で創成トンネルに到達し、約三時間後にはJR札幌駅に到達するなど、浸水被害は市街地に広がるとしているんです。地下トンネルが安全と言えるのか、これについてはどうでしょうか。

○政府参考人(国土交通省道路局長 村山一弥君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、平成三十年六月に北海道開発局が作成をしました豊平川の氾濫シミュレーションにおきまして、想定し得る最大規模となります七十二時間総雨量四百六ミリメートルの降雨に伴う洪水で豊平川が氾濫した場合、氾濫した水が百分後に札幌市内の豊水すすきの駅周辺の既設の創成トンネルに到達をし、二百分後にはJR札幌駅に到達するとされております。
 現在事業中の国道五号創成川通につきましては、今後、一点目として、河川管理者とともに周辺の治水対策と整合した国道五号創成川通の詳細な構造について検討してまいります。二点目としまして、豊平川が氾濫した場合、直ちに通行止めを行うなど的確な事前通告規制、すなわちソフト対策についても併せて検討していくということとなってございます。

○紙智子君 いろいろ対策を取ると言っているんですけれども、非常に不安ですね。
 札幌市は、新幹線の札幌延伸、アクセス道路の建設、それからバスターミナルの事業など、オリンピックの誘致を目指した大型開発を進めています。しかし、東京オリンピックが行われたんですけれども、あのときの国民負担だとか都民負担がどうなったのか、その検証もまだできていないわけですよ。それなのに、今度、札幌冬季オリンピックを目指して建設先にありきという姿勢でいいのかということは一言ちょっと指摘しておきたいと思います。
 続きまして、アイヌ問題についてお聞きします。
 アイヌ施策推進法ができて三年です。このアイヌ新法がアイヌの皆さんにどの程度周知され浸透したのか、アイヌ新法ができて以降の状況について大臣はどのように受け止めておられるでしょうか。

○国務大臣(国土交通大臣 斉藤鉄夫君) 委員御指摘のとおり、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図ることなどを目的とするアイヌ施策推進法が令和元年五月二十四日に施行されてから、間もなく三年を迎えます。
 国土交通省としては、アイヌの人々が民族としての名誉と尊厳を保持し、これを次世代に継承していくことは、多様な価値観が共生し、活力ある共生社会を実現するために重要と考えており、令和二年七月の民族共生象徴空間ウポポイの開業を始め、アイヌ施策推進法に基づく施策を着実に進めてきたところでございます。
 アイヌ文化の復興、創造等の拠点であるウポポイは、これまで、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底している中、多くの方々に御来場いただいており、引き続きコンテンツの充実、誘客促進に向けた広報活動等に取り組んでまいります。
 国土交通省としては、今後とも、ウポポイの適切な運営等を通じてアイヌの伝統や文化に関する国民の理解を深めるよう普及啓発に努め、内閣官房を始めとする関係省庁と連携しながらアイヌ政策の推進にしっかり取り組んでまいります。

○紙智子君 アイヌ施策推進法に基づいて市町村がアイヌ施策推進地域計画を作るに当たって、このアイヌ政策検討市民会議というのがアンケートをやっているんですね。
 それで、そのアンケートの中で、貴団体の自発的な意思は尊重されているかという問いに対して、そう思わないという人が六五・八%、答えているわけなんですね。これ、アイヌ政策室長、どのように受け止めますか。

○政府参考人(内閣官房アイヌ総合政策室長 小原昇君) 市町村が作成をなさいますアイヌ施策推進地域計画につきましては、アイヌ施策推進法の基本方針におきまして、まず、アイヌ施策の推進に資する事業を行おうとする者が市町村に対して計画を作成することを提案することができるとしておりまして、また、市町村が計画を作成する際にはアイヌの方々の要望等を反映するように努めるというふうにされておるところでございます。
 政府といたしましては、北海道内の各地における説明会の開催などによりましてアイヌの方々の御意見を十分に伺って、市町村の計画策定が適切に進められるよう支援をしてまいっているところでございます。
 今後も引き続きアイヌの方々の御意見を伺い、これらを踏まえて着実にアイヌ政策を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○紙智子君 このアンケートの中で、アイヌ新法は、施行後五年を経過したら法律の施行状況について検討し、所要の措置を講ずるというふうに書いてあるわけですよね。このアンケートの中で、その改正に際してアイヌ民族諸団体の直接参加できる仕組みが必要だと思いますかという質問もあるんですけれども、これに対して八一%の方がそう思うと答えています。記入欄の中を見ていくと、アイヌ施策推進法はアイヌ協会の会員だけのものではないと、全てのアイヌの法律であると、多くの意見が反映される仕組みが必要だ、団体であれ個人であれ法律に生かしてほしいという回答があります。
 そこで参考になるのが北欧の取組なんですけれども、ノルウェーやフィンランドには先住民族サーミというのがあって、代表するサーミ協議会があるんですけれども、先住民族の政策については政府とよく議論しているんですよね。
 それで、新法を周知する上でも今後の見通しを進める上でも、これ多くのアイヌ民族が直接参加する仕組みが必要じゃないかと。まあいろいろ説明したと言うんだけど、関東アイヌ協会があったり、それからいろいろ地域によってもたくさんありますから、そこをもっとやっぱり参加する仕組みが必要じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(内閣官房アイヌ総合政策室長 小原昇君) 御答弁申し上げます。
 これまでも、アイヌ政策の在り方に関しましての有識者懇談会あるいはアイヌ政策推進会議、道内各地における説明会など、様々な場を通じましてアイヌの方々からの御意見を伺って、これらを踏まえてアイヌ政策を進めてまいったところでございます。
 アイヌ施策推進法の見直しについておっしゃっておられましたが、これにつきましてどのように検討していくのかにつきまして現段階でまだ決まっておるところではございませんが、これまでもアイヌ政策の立案に当たりましては必要に応じてアイヌの方々の御意見を伺ってきたところであり、今後も、今後とも同様に適切に対応をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○紙智子君 時間になりましたので、また改めてこの問題は取り上げさせていただきたいと思います。ありがとうございました。