<第208回国会 農林水産委員会 2022年3月8日>


◇水田活用直接支払い交付金の見直しについて/ロシアからの農林水産物の輸入状況について/日ロ漁業交渉について/北海道東地域の赤潮発生による被害について

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 転作助成金、いわゆる水田活用直接支払交付金についてお聞きをいたします。
 三月四日の予算委員会のときに、私、大臣に質問をいたしまして、多年草の牧草地について聞きました。これ、五年先じゃなくて、この四月から十アール当たり三万五千円から一万円に削減されると。
 私が伺ったある地域では、地域の話合いによって、この地域は和牛の産地にしようということで取り組んできたわけです。そのために水田活用交付金を使って牧草を作ってきたんですね。今回の見直しで削減されることになると、借りて作っている土地の地代が払えなくなる、あるいは土地改良区の賦課金が払えなくなる、あるいは牛の餌を作って耕畜連携の形をつくってきたのに、この形が崩れてしまったらどうしたらいいのかと、そういう困惑をしているということでお聞きしたときに、大臣は、今年四月から削減するけれども、産地交付金で手当てできるって答えたんですね。これ、どういう仕組みになるのか説明いただきたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 金子原二郎君) 水田活用の直接支払交付金につきまして、産地交付金につきましては、国から都道府県に配分する資金枠の範囲内で都道府県や地域ごとに助成対象作物や助成単価等を設定できる仕組みでありまして、国が設定する戦略作物助成に追加して支払うことも可能であります。地域の特性、特色を生かした産地づくり支援、産地づくりを支援するものであります。
 助成対象作物につきましては、主食用米等を除き制限は設けておらず、牧草に対する助成を設定することも可能となっています。

○紙智子君 つまり、牧草は農畜連携を進める上では必要なので、これ産地交付金で上乗せできるということですか、ちょっと確認します。

○政府参考人(農林水産省農産局長 平形雄策君) おっしゃるとおりです。

○紙智子君 産地交付金で上乗せできるという答弁なんですね。
 ただ、これ、元々の要綱を白紙に戻すということではないので、残ったままということです。産地交付金の総枠の中でやるということですよね。ですから、やりくりすると、これ限りが出てくると。現に、金額言いませんけれども、北海道辺りも上乗せする金額決めているけれども、全然足りないと、これでは、という現状があるんですね。そういうやっぱり問題点あるんだということを言っておきたいと思います。
 それから、もう一つ言いたいのは、北海道の水田地帯、これ畑作に変えてきている、転作率で六〇%近くなっている空知地域、ここでお聞きした農家というのは今三十代なんですけれども、父親から経営を引き継いで、経営規模が今七十ヘクタールちょっとあるんですね。交付金で三万五千円部分を削られたら、年間で約二千万円減収になるという話なんですよ。二千万円ってなると、種代とか肥料とか機械とか、一年間分の経費に相当する分なんですね。それがなくなってしまうと。
 現地でみんなが言うのは、いや、そのブロックローテーションをやれって言うけども、本当にどれだけ現場のこと分かっているのかねと。今まで畑作って、次、水田って、そこで出てくる稲というのは、米というのは、質、品質が下がると。たんぱくが増えて味が悪くなるというんですね。そういうことを分かって言っているのかねという声が出ています。
 これ削られたら、五年先は家族で食べていくのが大変になると。今の農地の拡大はもとより、農機具の更新すらままならない状況になる。子供がまだ小さくてこれからというふうに思っていたのに、非常に不安だというふうに言われました。
 地域では、やっぱりせっかく若い担い手ができて、みんなが応援しながらそういう担い手をつくってきたのに、そういう若い人たちの希望をくじくことになるんじゃないんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省農産局長 平形雄策君) お答えいたします。
 水田活用の直接支払交付金につきましては、これまでも生産者の経営判断による需要に応じた生産、販売、これを進めるというふうに考えておりまして、その中でやってきたわけであります。毎年の作付け転換の実施状況を踏まえながら、毎年度見直しを行ってきたと。
 その中で、品目ごとの支援水準を再検討して、牧草については、収穫のみを行う土地は生産に要するコストが低いために、国の定める戦略作物助成の単価は三万五千円を一万円にするというふうに決めたところであります。(発言する者あり)ええ、そういうつもりで今答弁しているんですけれども。
 これは何か、牧草ではなくて、あれでしょうか、水田の中で転換作物を作成してということでしょうか。(発言する者あり)いや、聞いているわけなんですけれども、今おっしゃられた、はい、牧草についてのことだと思いますので。

○委員長(長谷川岳君) 速記を止めてください。

   〔速記中止〕

○委員長(長谷川岳君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(農林水産省農産局長 平形雄策君) 今回の水田活用の直接支払交付金の見直しによる様々な影響については、水田の機能を有しているところについては、今後五年間でブロックローテーション、これも進めていただくということで、それができない現地の課題、現場の課題を丁寧に把握をして、それに対して、本当に水田活用でやらなきゃいけない話なのかどうか、いろんな課題があると思います。そういったことを整理して、それぞれどんなことが可能かどうか、どんなことをやればいいかどうかということについても検討していきたいというふうに考えております。

○紙智子君 大臣に所信ということで伺っていますので、手挙げて立たないようにしてください。
 それで、転作助成金の見直し、削減というのは、昨年の十二月の三日の財政制度審議会の建議がきっかけになっています。建議では、水田における転作作物への作付け助成によって、継続的に食用、主食用米の生産抑制を実施してきたが、近年の主食用米国内取引価格の下落と相まって、転作助成金の膨張を招き財政的持続性へのリスクさえはらんでいるというふうにして、今後、転作助成金の抑制を通じて、その財政上の持続性を高めていくとしているわけですよね。
 この建議は、言ってみれば、転作助成金にお金を掛け過ぎているから見直しを求めるものだというふうに言っているように思うんですけれども、これ大臣の見解をお聞きします。

○国務大臣(農林水産大臣 金子原二郎君) 今回の見直しにつきましては、農林水産省として交付金の目的に即した適正な執行が必要であると判断して行うものであり、財務省からの求めや財政制度審議会の建議を受けて行うものではありません。
 令和三年十二月の財政制度審議会による建議においては、大規模な農業経営体が収益性が低く補助金交付の多い転作作物を作付けする傾向を強めていることや、転作面積の拡大、転作助成金の膨張を招き財政的持続性へのリスクさえはらんでいることなどの指摘があったものと承知しております。
 農林水産省といたしましては、主食用米の需要の減少が続く中、需要のある品目への転換を進める必要があると考えており、今後とも、財政制度審議会による指摘も含め、納税者の理解が得られるよう適時適切に必要な見直しを行いながら、需要のある作物の生産に取り組む生産者が前向きに農業を続けていけるように支援していく考えであります。

○紙智子君 やっぱり、これは農水省として判断したんだと、建議はそんなに関係ないと言いながら、やっぱりそれに促されていると思うんですよ。やっぱり財務省的発想ではなくて、農水省なんですから、土地利用型農業の在り方とか水田農業の在り方をしっかり議論することが必要だと思うんです。

資料(1)水田作経営の時間当たりの農業所得と水田の利用状況の推移

 ちょっと資料お配りしたのを見てほしいんですけれども、その上の方の表です。経営統計調査の営農類型別経営統計から作りました。水田作の経営収入には水稲の収入や転作助成金や共済金も含まれています。一経営体当たりの水田、水田作の経営の、時間当たりですね、これ時間当たりの農業所得ですけれども、一時間当たりの農業所得は二〇二〇年百八十一円となっているんですね。その前の年までは五百円台、五百九十二円とかですね。それで、余りにもちょっと下がっているのでどうしてなんだと言ったら、統計の取り方を変えたというんですよね。
 それで、二〇二〇年、それにしても百八十一円って余りにも少ないんじゃないかと思うんですけれども、大臣、これいかがですか。

○国務大臣(農林水産大臣 金子原二郎君) 営農類型別統計、経営統計調査については、令和元年に、調査対象者の負担軽減等を目的として確定申告資料を用いた調査法、手法へ見直したことから、平成二十七年と二〇二〇年の結果についてはその点に留意する必要があります。
 二〇二〇年の結果は〇・五ヘクタール未満などの赤字経営となっている個人経営体を含む全農業経営体の平均値であり、例えば農業から所得を主とする主業経営体で見ると、二〇二〇年では一時間当たり農業所得は九百八十一円となっております。米は作付け規模の拡大によって生産コストが低減する作物であり、引き続き農地の集積、集約化や作付けの団地化、省力栽培技術の導入等によりまして、生産コストの低減による農業所得の向上を図ってまいります。

○紙智子君 ちょっと今の説明聞いていてもよく分からないなというのがあり、それで、要するに統計の取り方がどんどん変わっていって継続的に見れない問題があるんですよね。それでも、これ、いろいろやっていくと五百円程度なのかなと思うんですけれども。
 二〇一三年に農林水産業・地域活力創造プランというのを決めましたよね。そこの中で、農業、農村全体の所得を今後十年間で倍増させるというふうに、さっきもちょっと出ましたけど、あります。二〇一三年の農業所得が五百九十二円で二〇二〇年に百八十一円ということは、四百十一円も減ってしまうと。
 政府は所得倍増というふうに言うんだけれども、一体これ何で確認をするんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省農産局長 平形雄策君) そうですね、所得倍増と言った場合に、農業生産だけではなくて六次産業化だとかいろんな指標ございまして、それをそのKPIとしておりまして、毎年毎年それについては確認をしているところであります。

○紙智子君 所得倍増というふうに看板を掲げたわけで、それやりながら検証する手だてがないというのはおかしいと思うんですよね。しかも、今回の転作助成の見直し、削除、削減というのは、土地利用型農業だとか水田農業の所得をどう引き上げるかという、こういう議論が抜きになっていて、財務省的な発想で進められていると思うんですよ。私は、やっぱり農地は農地として本当にこれ維持されていくし、農業生産の発展と食料自給率を向上させていくというところをしっかり据えていくということが大事だというふうに思うんですね。
 今は特に世界的にも穀物の需要が非常に不安定になっている中で、本気になって麦や大豆の作付けも増やすべきだというふうに思うんですよ。それで、資料、お配りした資料の下の方の表を見てほしいんですけれども、水田利用の推移です。大豆は二〇〇九年は十二万ヘクタールなんですけれども、これずっと変わっていないんですよね。それから、麦は十七万ヘクタールなんですけれども、二〇二一年が十八万ヘクタールということで、僅かしか変わっていないんですけど、なぜこれ大豆、麦の転作が進まないんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省農産局長 平形雄策君) お答えいたします。
 麦、大豆につきましては、需要量の大半を輸入に頼っているという状態でございます。国産につきましては、実需者に求められる数量、品質の確保が、委員御指摘のとおり、ままならない状況にございます。需要に応じた生産の推進と安定供給の確立、これが必要でございます。
 一方で、麦、大豆の作付けの拡大に向けた課題としましては、一つは作付けの分散で作業効率がなかなか実は上がっていないということ、それから豊凶変動がやっぱり米よりも相当大きくて収入が不安定であると、営農技術の導入ですとか機械への積極的な投資が十分行われていない、こういったところが要因になっているというふうに考えております。
 このため、令和二年度の補正予算から麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクト、これを措置しております。一つは作付けの団地化、それから営農技術の導入を推進することで省力化だとか収量の安定を図るということと、もう一つは作付けの拡大に必要な施設ですとか機械の導入、これをより強力に支援しようというふうにしております。
 こうした取組によりまして、実は令和四年産、今年産につきましては、麦、大豆の、特に水田においてなんですけれども、作付けの意向というのが例年よりもかなり増えているところでございまして、作付面積の拡大というのが一つ期待できるのではないかなというふうに考えております。
 これに加えまして、水田活用の直接支払交付金のほか、実需側との結び付き、これを求めております水田リノベーション事業等を通じて、国産の麦、大豆の需要に応じた生産の推進と安定供給の確立、これを進めていきたいというふうに考えております。

○紙智子君 今いろんなことを言われたんですけど、いや、結構前から麦、大豆はもっと作ろうと、増やそうと言ってきたと思うんですよね。それで、ずうっとそう言っていたのに、どうして大豆や麦の転作が進まないのかなというのは本当疑問でありまして、それで、これ、麦、大豆の本作化って強調されたの過去にもありましたけれども、これ過去に助成金が最高単価になった年と、どれぐらいの単価だったのかというのを教えてほしいんですよね、一つはね。それから、その際に、麦、大豆の作付面積というのは増えたのかどうかというのも教えてください。

○政府参考人(農林水産省農産局長 平形雄策君) お答えいたします。
 平成十二年度から十五年度まで実施をしました水田農業経営確立対策において、麦、大豆に対する支援が、一つは、これは作付けするだけなんですけれども、作付面積に応じて十アール当たり二万三千円、これは共補償による支払でございます。プラス、四ヘクタール以上の団地化、あるいは担い手への集積をした場合、プラス、排水対策等の技術対策を実施した場合には十アール当たり四万円更に追加と。さらに、二毛作等、一年二作等で、麦の場合はできますので、そういった水田の高度利用を要件として十アール当たり一万円を追加と。これを合計いたしますと十アール当たり七万三千円という交付が可能となっており、これが近年最も高かったところでございます。
 現在の水田活用の直接支払交付金とは単純に比較できませんが、一つは、当時はゲタ対策というのがない時代でございまして、今そのゲタ対策というのをやりますと、まあ大体麦でありますと大体十アール当たり三万円ぐらい目の子になります。また、営農技術の導入に支援する、先ほど申し上げました麦、大豆の収益性、生産性プロジェクト、これも当時なかったんですが、この麦、大豆の生産性向上プロジェクトは大体一万五千円ぐらいを上限にしております。
 そうなりますと、水田活用の三万五千円と三万円と一万五千円を足すというふうになりますと、実は当時よりも単価が高いぐらいの今支援水準になっているというところでございます。

○紙智子君 全部足すとその当時よりも増えていると言うんだけど、本当ですかね、それね。そして、しかも、ゲタとか言うんだけど、全ての人が対象じゃないでしょう。対象者は限定されるということもあるし、その一番出てたとき七万三千円と言いましたけれども、今のこの出ている三万五千円というところから見たら倍ですよね。これ、どうしてやめちゃったんですかね。

○政府参考人(農林水産省農産局長 平形雄策君) 当時、この七万三千円をやったときに、それまでの団地化の要件が三ヘクタールでありました。で、団地化の要件を四ヘクタールに引き上げまして、かなりハードルが高いということ、それから、営農技術を入れなきゃいけないというのでかなり要件をかなり課しまして、それで、全員が全員もらえたような、これ実は七万三千円の水準じゃございませんでした。
 現在、そのゲタ対策は全員が入れないといって、舟山先生の資料の中にもあったんですけれども、実はお米の方は主業農家の方が少ないのでそのぐらいの加入率になるんですが、麦、大豆の方はほとんどの方が主業農家になりますので、目の子で申し訳ない、ませんけれども、麦の場合は大体九割ぐらいの方がゲタの対策の対象になっているというふうに考えております。

○紙智子君 非常にやっぱり複雑にしてきていると思うんですよ。やっぱりもっと分かりやすく、今ずっと話聞いているわけですけれども、実際に進まない原因としては、やっぱりそういう今まで出ていたものが減らされてきているということがあると思うんですよ。
 転作助成金の見直しや削減、今言う前に、どうして麦、そして大豆の本作化が進まなかったのかということをちゃんと検証して明らかにするべきではないんでしょうか。大臣、いかがですか。

○国務大臣(農林水産大臣 金子原二郎君) いろいろな御意見があるようでございまして、委員の御意見等ももっともなところもありますので、よく検討させていただきたいと思っております。

○紙智子君 是非検討してほしいんです。それ先ですよ、やっぱり。土地利用型の農業、水田農業の方向性を出して議論することが、これ農業にとっても地域にとっても必要なんだと。その議論をすることなく、一方的に転作助成金の見直し、削減というのは、もう一旦撤退して、撤回してほしいというふうに申し上げておきたいと思います。
 次に、北海道の太平洋岸沿いの赤潮被害についてお聞きしたいんですけれども、その前に日ロ関係についてちょっとお聞きしたいと思います。
 今回のロシアのウクライナへの侵略というのは本当に許せませんし、侵略を中止すべしと、撤退すべしというふうに求めたいわけですけれども、先日、農林水産委員会の理事懇談会で、ロシアとの漁業交渉や輸出入にどのような影響出るかということで現状の報告をお願いしたら、早速週末に農水省から来ていただいて報告をいただきました。迅速に対応いただいたことに感謝したいと思います。
 そこで、ロシアからの農林水産物の輸入状況と日ロ漁業交渉の状況について端的に説明いただきたいと思います。

○政府参考人(農林水産省輸出・国際局長 渡邉洋一君) ロシアからの我が国への農林水産物の輸入状況についてお尋ねがございました。
 二〇二一年の貿易統計のデータを見ますと、我が国の農林水産物の総輸入額のうちロシアの割合は約二%、金額で約二千億円でありまして、主に製材、カニ、サケ・マスなどを輸入をしております。また、小麦についての輸入実績はありませんで、トウモロコシについては約八千トンの輸入で、我が国の総輸入量の約〇・〇五%ということになっております。

○紙智子君 どちらかというと、やっぱり水産物が関係があるというふうに思うんですね。
 今、非常に緊迫した状態にありますよね。それで、ロシアに対して欧米が、世界の銀行決済取引網、SWIFTなどから排除する制裁を科すというふうに言われていて、日本も参加するというふうに聞いているわけですけど、そうなると、ロシアとの貿易というのがこれどうなるのかなと。さっきもちょっと三月、四月、漁業交渉という話があるんですけど、その辺についてはどうなるんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省輸出・国際局長 渡邉洋一君) 我が国は、G7を始めとする国際社会と連携をして、本日までに、ロシアの複数の銀行との取引制限ですとかロシア向けの輸出の規制強化などを実施したところであります。
 今回の制裁措置の貿易取引への影響について現時点で予測することは難しいと思いますけれども、関係企業等からも情報収集しながら、引き続き農林水産省としても注視していくとともに、本日設けました相談窓口も活用して情報提供に努めていきたいと考えております。

○紙智子君 北海道の漁業、そして水産加工業は、昨年の赤潮被害に続いて今回の事態でも大きな影響を受ける可能性があるわけです。燃油高騰の問題もあります。機敏に情報を出すと同時に、この漁業、水産加工への影響を把握して、是非国内的な万全の対策を求めたいと思います。
 大臣、一言お願いします。

○国務大臣(農林水産大臣 金子原二郎君) 今回の対ロ制裁に伴う漁業者や水産加工業者への影響について、現時点で把握しておりません。仮に我が国の漁業者及び水産加工業者への影響が生じる場合には、その状況を丁寧に把握し、しっかりと対応してまいる所存であります。

○紙智子君 よろしくお願いしたいと思います。
 赤潮被害についてお聞きします。
 昨年九月に北海道道東地域の太平洋岸沿いで赤潮被害が発生しました。昨年の十一月の二十六日に、私ども日本共産党の北海道と、それから北海道道議団で金子大臣に要請に参りました。そのとき快く要請を受けていただいたことに感謝をしたいと思います。
 さて、赤潮被害なんですけれども、被害報告があった直後に、釧路市、浜中町、厚岸町に私行きました。昆布はお湯を掛けたような緑色に変色をして、乾燥させても黒くならず、まともに売れるかどうか分からないというふうに当時言われたんですね。北海道を主産地とするエゾバフンウニってあるんですけど、これが八割から九割がへい死していると。十月一日が解禁日だったんですけれども、普通、解禁日というと本当にわくわくしながら希望に胸を躍らせるという中で被害に遭ったということでは、本当にその落胆は激しくて、大きな衝撃が走りました。
 十勝の太平洋岸の沿岸にも行きましたけど、サケの被害が深刻で、町長は、近年漁業者や漁協というのはサケの不漁に苦しんで耐え忍んできたと、そこに今年は赤潮被害に大雨による流木被害もあり、燃油高騰も重なって二重苦、三重苦だと、今後も続くようであればもう本当に漁業の経営の崩壊を招く、町づくりの根幹揺るがすことになるという話をされて、やっぱりこの赤潮被害というのはもう激甚災害なんだというふうに言っていました。
 このやっぱり災害級という認識は大臣おありでしょうか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 金子原二郎君) かつて北海道がこれほどの赤潮で被害を被ったということはないわけでございまして、どういう状況の中で、原因等を今後追求していかなきゃいけない。北海道庁ともお互いに連携を取りながら、いろいろな問題点について調査をしながら対応していきたい、このように考えておる次第でございます。

○紙智子君 災害級だというふうに、そういう御認識はというふうに聞いたんですけど。

○国務大臣(農林水産大臣 金子原二郎君) なかなか発言難しいことでですね。被害状況について重く受け止めています。

○紙智子君 重大な被害を受けているというふうに受け止めているということですよね。
 国は、二〇二一年の補正予算で、北海道赤潮対策緊急支援事業ということで十五億円を計上しました。この事業というのは、漁業者などが行う漁場の再生の活動を支援する環境・生態系保全緊急対策事業、これ十四億二千万ですね、それから赤潮被害の防止、軽減を図るための技術開発や調査を行う漁場環境改善対策事業七千六百万円と、この二本柱から成っているわけですけど、現在、この予算を使って対策が進められているんですけれども、昨年来、現地に行くと、これ、なぜこの寒冷な地域である北海道で赤潮被害が発生したんだろうかと、対策はなかったのかというふうに聞かれるんですよね。北海道で赤潮被害をもたらしたプランクトンがカレニア・セリフォルミスということが分かったわけです。このプランクトンは、一昨年に、二〇二〇年九月から十月にカムチャツカ半島の沿岸で赤潮を発生させたプランクトンなわけですね。
 そこで、海水モニタリング調査について聞くんですけれども、北海道の道東地域の太平洋岸、それから根室の納沙布岬周辺、根室海峡、オホーツク海峡の調査というのは、これ水産庁やられたんでしょうか。

○政府参考人(水産庁長官 神谷崇君) お答えいたします。
 一般的には、赤潮の発生に関しましては、都道府県が自県の海域の赤潮モニタリング調査を実施しており、水産庁では、都道府県による赤潮のモニタリング調査の結果、赤潮が発生した場合には速やかに報告を受け、必要に応じて研究機関も含めた関係者と情報共有する体制を構築しております。したがいまして、水産庁においては直接赤潮のモニタリング調査というのを実施はしておりません。

○紙智子君 だから、水産庁はやっていないんだけれども、北海道は沿岸のところはやったようですけれども、従来の体制のままだったわけですよね。
 国の水産研究・教育機構が二〇二〇年の十月十六日に北海道の道立総合研究機構に出した情報では、ロシアの赤潮の発生水温は摂氏十一度Cと、海洋生物への被害が魚類だけではなくてウニやヒトデ、カニ、アザラシなど広範囲に及んでいて、赤潮監視の標的種として把握するようにということ、内容を出しているんですよね。なのに、観測体制というのは従来どおりで、これ国がリーダーシップを発揮した形跡もなかったんです。初動対応が弱かったんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

○国務大臣(農林水産大臣 金子原二郎君) 二〇二〇年の十月の赤潮発生の報道を受けまして、同月十四日から十六日にかけて、水産研究・教育機構から北海道立総合研究機構に対し、カムチャツカ半島沿岸で発生した赤潮の原因と考えられる種の、及び北海道沿岸海域を対象とした観察手法に関する情報提供や注意喚起を行いました。それに対しまして、北海道立総合研究機構からは注視してモニターするとの返答を受け取ったところであり、水産庁及び水産研究・教育機構は速やかな行動を、速やかな初動を行ったと考えています。

○紙智子君 かみ合わないんだけれども、時間なので、とにかく今年のことも心配されているので、今年どうなるか、だからモニタリングと情報発信をしっかりやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。