<第204回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 2021年3月23日>


◇北方四島の交流事業について/北方領土隣接地域振興等基金の取り崩しについて/沖縄振興予算について/離島医療の支援について/辺野古の埋立てに関する土砂問題について

○令和三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、令和三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、令和三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について(内閣府所管(内閣本府(沖縄関係経費)、北方対策本部、沖縄総合事務局)及び沖縄振興開発金融公庫)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず、北方対策について質問いたします。
 昨年、新型コロナ感染症のために四島交流事業が中止になりました。元島民の方にしてみたら本当に無念だったと思うんです。歯舞群島は、無人なのに行けないと。PCR検査を受けても行けるようにと思っていたけれども、そもそもそういう考えもなかったということなんですね。
 今、歯舞群島がどうなっているのか、千島連盟の方から聞きました。七十五年過ぎるともう太平洋側は浸食が進んでいて、以前目印となっていた岩が沈んで船が着けられないと。自分の家があったところも浜は半分ぐらい浸食されているというんですね。それから、国後の方の方も、海岸が浸食されていて、倉庫があったところも海に沈んでいるところがあると。ふるさとがどうなっているのかということについて調査をしてもらえないだろうかと、あるいはこの元島民の方自身が見たいということを言っておられます。是非、ヘリコプターに乗せて調査するとかですね、何らかの形でそういう声に応えていただけないかと、御検討いただけないかということなんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)河野太郎君) 戦後七十五年たちまして、北方領土の自然環境も少しずつ変わってきている。千島連盟の方々が墓地の所在地の特定などのための調査というのは行われてきているというふうに承知をしておりますが、今後も墓参などの円滑な事業を行っていくためにはやはり現状把握というのは大事だろうと思いますので、外務省と連携しながら、何ができるか考えていきたいと思います。

○紙智子君 ちょっと、連携が必要なこと、まあ交渉もしなきゃいけないということだと思うんですけれども、この間、航空墓参なんかもやられていて、その仕組みを少し変えてできないかななんというふうに思います。
 それから次に、後継者対策なんですけれども、今年の二月七日の北方領土返還要求大会はリモートで行われました。元島民の二世、三世、四世、今五世までなっているというふうに言われていました。今、自由訪問は三世は行けないというふうになっていまして、元島民で御高齢になっていて一人では行けないので二世、三世と一緒に、さらに四世まで行けるようにしてほしいということなんですね。やっぱり、どこにお墓があったのかとか、どこに家があったのかということも知らせたいということでした。この要望は是非かなえていただきたい、まあ、かなえていただけることなんじゃないだろうかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)河野太郎君) かつてこの自由訪問の枠組みで訪問できるのは島民と配偶者及びそのお子さんまでということになっておりましたが、今、島民の子の配偶者、孫と孫の配偶者、それからお医者さんと看護師さんというところまでは同行ができるということになっております。まあ、これは同行ができるということですから、どなたか行かないと同行にならないという状況でございます。
 何というんでしょうか、次の世代にしっかりとその様々な記憶を受け継いでいただくためには、おっしゃるように、その次の世代が訪問できるような枠組みというのをしっかりとつくっていかなければならぬと思いますので、これも外務省と連携しながら取り組んでまいりたいと思います。

○紙智子君 今もう八十代というか、御高齢になっているので、いつどうなるかというのもあって、自分が行けない場合でもその三世なんかも行かせていただければという趣旨でおっしゃっていますので、是非御検討いただきたいと思います。
 それから、北特法の改正による基金の取崩しについて質問します。
 基金取崩しが認められたことによって、従来事業の予算の不足分に充てることができたのはよかったというふうに言っています。しかし一方で、単年度でいいますと、補助額が一市四町で大体四億円程度ということで、事実上のこれ縛りがある中で新規の事業ができないという課題があるんですけれども、こういう現状については御存じ、つかんでおられたでしょうか。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)河野太郎君) 交付要綱の中に初年度の額を上回らないというのがございますので、様々制約はございますけれども、取崩しが可能となりまして、平成三十年八千万円だったものに比べて、令和元年は三億九千万と拠出額を五倍近くに増やすことができましたので、令和三年度についても、今北海道庁と協議を行っているところではございますけれども、同じような規模の補助を見込んでいるところでございますので、地元の要望を踏まえた事業にしっかり活用していただきたいというふうに思っております。

○紙智子君 私はやっぱり、差し迫って取崩しできるようにという要望があったんだけど、そもそも、原資、基金の原資を取り崩すという話なので、いずれなくなってしまうということなわけですから、そこがやっぱり不安なんですよね。北海道も不安だと思います。
 それで、改正北特法の附則に、北方領土隣接地域の振興及び住民の生活の安定を図るために、交付金に関する制度の整備その他必要な財政上の措置をするというふうにあるわけで、この取り崩した後の対応策や附則について、その趣旨に基づいて、先の展望をやっぱり早く地元に見える形で示していただきたいということなんです。そのことを是非早く検討してほしいということを申し上げておきたいと思います。これは答弁は要りません、要望です。
 それから、次に、沖縄振興についてなんですけれども、昨年十一月、玉城デニー県知事から沖縄振興予算について国に要望されています。そこでは、総額で三千億円は確保されたんですけれども、沖縄振興一括交付金が大幅に減らされたことから、あらゆる分野で計画的な事業展開に影響が出ていると。一括交付金の増額は、県及び市町村の切実な要望です。ところが、七年連続でこの間減額になっていて、初めて今年一千億円を割り込んで九百八十一億円と、制度創設以来でいうと最低になったわけですね。
 一括交付金というのは一体何だったのかと。先ほども石橋議員の話がありましたけれども、二〇一二年の沖縄振興法が改正されたときに、沖縄の実情に即してより的確かつ効果的な施策を展開するもので、沖縄の自立的な発展を促進するもので、この法改正の目玉だったわけですよね。来年度は沖振法、沖縄の振興計画の最終年度ということで、この一番目玉となる政策が過去最低の九百八十一億円ということであって、これ、沖振法改定の目的を軽視していないかというふうに思うんですよ。
 一括交付金には、それを補完するという形で、平成三十年の概算要求には含まれなかった特定事業推進費、これが突然閣議決定されて項目に盛り込まれたと。県を横に置いてこれ市町村に直接配分するというものなわけで、市町村は元々は一括交付金の増額を要求していたのに、そっちの方は減らす一方で、この特定事業推進費は増え続けるというのはこれおかしいんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)河野太郎君) 令和三年度の一括交付金は、継続事業分、新規事業分について、それぞれ令和二年度の事業費の水準を基に過去の事業費の推移を勘案して推計して、予算額を算出しております。
 沖縄振興特定事業推進費は、これは行政需要に機動的に対応することを目的としておりますから厳密な積み上げにはなじまないと思いますけれども、今年度からの継続が見込まれる事業分五十五億円と来年度の新規事業分としてこれまでと同額の三十億円の合計八十五億円を計上したところでございます。
 いずれについても、国として必要と考える額を確保した結果であるというふうに認識をしております。

○紙智子君 そういうふうにお答えになるんですけれども、やっぱり現場の方はなかなか納得できない話になっています。機動性と言うんだけれども、結局のところは県の裁量の幅を狭めることになるんじゃないのかというふうに思うわけです。
 それで、来年度は今の振興計画の最終年度ということで、検証を、上からするんじゃなくて、やっぱり県民の声をちゃんと聞いてほしいし、沖縄県の検証をよく踏まえてやっていただきたいということを求めておきたいと思います。
 それから、ちょっと戻るんですけれども、沖縄振興交付金の減額がこれ離島の医療にも影響を与えていると思うんですね。例えば、那覇から四百キロ以上離れた石垣島に住む看護師の方ががんを患って、術後も放射線治療などで五年間、本島に通院が必要だと。しかし、通院のための宿泊や交通費の負担が大変で、そういう離島に住む患者さんたちの移動費の支援も沖縄振興予算に盛り込まれているということなんですけれども、この一括交付金の減額が支援を更に上乗せできないという状況をつくっているんじゃないかと思うんです。
 この点、どうでしょうか。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)河野太郎君) 地理的に不利性を有する離島の住民の皆様に適切な医療を受ける機会を確保することは重要だというふうに思っております。
 地元の自治体から、ソフト一括交付金など沖縄振興予算の活用について、この件で御相談があれば丁寧に事情を伺って適切に対応してまいりたいと思います。

○紙智子君 相談があれば適切にという話なんですけど、県も市町村も支援の枠は実は独自のものつくっているんですね。だけど足りてないと。だから、県の裁量で使えるこの一括交付金が減額されるとそういう予算に充てられないということがあるわけで、やっぱり治療のための渡航関連費用というのは本当に患者さんにとっては切実なものなんですね。
 ですから、是非、これ支援の増額、そして、この後はやっぱり協議もよくしていただきたいということを求めておきたいと思います。
 最後になりますけれども、辺野古の埋立てに関する土砂問題について聞きます。
 今、沖縄県民の感情を逆なでし、冒涜する重大な問題が起こっていると思うんですね。それは、名護市辺野古の米軍の基地建設において、沖縄戦の戦没者の遺骨が含まれている可能性がある沖縄本島南部の土砂を埋立てに使用する計画が上がっていると。
 これ、遺骨とサンゴの見分け方というのも非常に大変困難を極めるということは衆議院の予算委員会で我が党の赤嶺議員が明らかにしましたけれども、政府はまだ決まっていないとは言うんだけれども、しかし、これは沖縄の皆さんにとっては本当にもうつらい話なわけで、やっぱり沖縄の振興に心を砕く大臣として、これは私は計画自体にのせること自体も問題で、やめるべきだと思うんですけれども、大臣としての見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)河野太郎君) 辺野古の移設については、防衛大臣にお尋ねをいただきたいと思います。

○紙智子君 もちろん防衛の問題ではあるけれども、やっぱり振興の大臣として思いを、あるお言葉をいただきたいというふうに思ったわけです。
 今まさにこの時間も総理官邸のところではハンガーストライキをやっている方がいるんですよ、沖縄出身の方で。そして、戦没者の遺骨収集に関わっている方のこの思いというのは、一日も早く遺族の元にこの遺骨をDNA鑑定して戻してやりたいという思いなわけですよ。国がやるべきことは、それを本当に応援して、一日も早く家族の元に戻すために全力を尽くすということが役割じゃないかと思うんですね。
 やっぱり人道的にもこれ許されない問題だという中で、この計画の発想自体が許されないと思いますし、この南部の土の採取計画は中止するように大臣の方からも是非求めていただきたいと、最後にどうですか。おありになりますか。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)河野太郎君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、この件については防衛大臣にお尋ねをいただきたいと思います。(発言する者あり)

○委員長(鈴木宗男君) ちょっと速記を止めてください。

   〔速記中止〕

○委員長(鈴木宗男君) 速記を起こしてください。
 ただいまの紙智子さんのお話は一回引き取らせていただきまして、また後日協議させていただきたいと、こう思います。

○紙智子君 質問を終わります。