<第204回国会 農林水産委員会 2021年3月22日>


◇鶏卵業者アキタフーズと政界、業界の癒着、贈収賄事件について

○令和三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、令和三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、令和三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について(農林水産省所管)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 養鶏業者アキタフーズと政界、業界の癒着、贈収賄事件について、先日の所信質疑のときに聞きましたけれども、時間がなくなってしまって、その続きを今日やります。
 まず、国家公務員の倫理報告書です。
 二〇一九年九月十八日の会食に参加したのは十名ということだったんだけれども、一方、アキタフーズのコーポレートで支払われたのは十一名で、一名多いということになりました。そこで、水田生産局長に参加人数を確認したところ、十一名ではなくて十名だというふうに言われたんですよね。そうすると、誰かが当日キャンセルしたのかなと思うわけです。キャンセルしたのは一体誰なのかというのは、これは主催者に聞かなければいけないと思います。
 次に、二〇一八年の十月四日の会食なんですけど、アキタフーズ関係者の聴取によると、参加者は十名で、二十二万三百三十四円となっています。参加者は、農水省の職員が四名、吉川元農水大臣と河井議員、秋田元代表の七名というふうにあるんですね。ところが、アキタフーズのコーポレートカードの支払の記録というのは十名なんですね。
 それで、今日、伏見審議官に来ていただいていますけれども、この三名、ずれがあるんですけれども、三名というのは誰なんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省大臣官房審議官 伏見啓二君) お答え申し上げます。
 私が会食に参加したのはそのとおりでございますけれども、七名ということが当日席にいた人間でございます。理由については分かりません。

○紙智子君 七名という、参加者は七名だったということですね。

○政府参考人(農林水産省大臣官房審議官 伏見啓二君) お答え申し上げます。
 会の席上に着いていた人間は七名でございました。

○紙智子君 会の席上にいたのが七名だったと。ほかにもいた可能性はあるという。

○政府参考人(農林水産省大臣官房審議官 伏見啓二君) 繰り返しで申し訳ありませんが、七名というのは私が確認した人でございまして、ほかの人間までは私は分かりません。

○紙智子君 要するに、支払が十名になっているから、つまり十名分払われているということなんですよ。だから、考えられるのは、そのほかにもいた可能性もあるし、もしいなかったとしたら、当日キャンセルということもあるのかなというふうに思うわけですよね。それで、それだったら、例えば主催者にそれ改めて確認する必要があるんだと思うんですよ。
 報告書の各人共通事項というのが出されています。その中には、九月十八日の会食については書かれているんですね。水田、渡邊両氏は、日程調整時に費用は吉川元大臣が負担すると聞いていたと言っている。渡邊氏は、会食の冒頭で吉川元大臣が負担するとの話があったと。そして、犬飼氏は、秋田代表が今日はお招きいただきありがとうというふうに挨拶をしたというふうに証言をしている。一方、二〇一八年十月四日の会食には触れていないんですね。
 そこで、また参加をされていた伏見審議官にお聞きするんですけれども、十月四日の会食というのは誰から誘われたのか、そして費用は誰が負担するというふうに誰から聞いていたのかということについて、いかがですか。

○政府参考人(農林水産省大臣官房審議官 伏見啓二君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の平成三十年十月四日の会合でございますけれども、私は吉川大臣から誘われたという認識でございます。
 それと、誰が出席したというのは七名でございまして、当日、それ以上詳しいことを聞いておりませんで、それ以上のことは、私の方からは以上でございます。

○紙智子君 今、誘われたのは吉川元大臣に誘われたということですよね。
 それで、続けて聞くんですけれども、吉川元大臣、そして河井議員、秋田元代表がそのときどういう挨拶、発言をされたのか、これが一つです。もう一つは、養鶏行政で何か話題になっていたのかどうかということを教えてください。

○政府参考人(農林水産省大臣官房審議官 伏見啓二君) お答え申し上げます。
 当日、正式というかきちっとした挨拶はなかったと思っております。
 それで、これは事実をちゃんと述べますけれども、養鶏行政について何か話があったということは全くなかったと記憶しております。

○紙智子君 全くその場では養鶏の話はなかったと。確認します、間違いないですか。

○政府参考人(農林水産省大臣官房審議官 伏見啓二君) 全くなかったということでございます。

○紙智子君 報告書によりますと、伏見審議官は、聴取の際、会食に関する自らの事実関係の認識を包み隠さず申述するなど、調査に協力的であったというふうに記されています。
 それで、このことについて、やっぱりきちっとその疑惑を解明するために、吉川元農水大臣、あるいは河井議員、秋田元代表がどういうことを話をされたのかということは誠実に答えるべきだと思うんですけれども、どうですか。

○政府参考人(農林水産省大臣官房審議官 伏見啓二君) お答え申し上げます。
 誠実にお答えるということですけれども、当日、本当に会合の席ではそういう先ほどの養鶏行政についてのお話等がございませんでしたので、懇親会の場だと思って私はそこにおりました。

○紙智子君 懇親会の場ということなんですけれども、これ以上聞いても同じ答弁になるんだと思います。
 次に、西川公也元内閣官房参与についてもお聞きしたいと思います。元大臣ですね。
 西川公也氏が内閣官房参与に就任した理由と期間と業務内容と給与について教えてください。

○政府参考人(内閣官房内閣参事官 日向彰君) お答え申し上げます。
 西川公也氏は、農林水産分野に関する知識や経験を有しておられたことを踏まえ、平成二十九年十一月八日から令和二年九月十六日までと、令和二年九月二十五日から十二月八日までの間、農林水産業の振興に関して、内閣総理大臣の諮問に答え、意見を述べることを職務とされている内閣官房参与に任命されてございました。
 具体的な業務内容といたしましては、例えば農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議、あるいは農林水産業・地域の活力創造本部など、農林水産業に関する会議への出席や、農林水産分野についての必要な情報収集などを行っていたと承知してございます。
 また、西川元内閣官房参与には、勤務一日につき二万六千四百円が支給されていたと承知してございます。

○紙智子君 言ってみれば、当時、安倍内閣の下での総理のアドバイザーですよね。それで、重要政策課題について迅速果敢に取り組むんだと、で、農林水産業の振興に取り組むということです。そしてまた、給与のトータル、これ日にちもいろいろ計算させていただきましたけど、トータルすると約千三百万円ということになります。
 それで、西川参与の業務は、農林水産業の振興ということですから、農林水産省から養鶏行政など必要な情報を入手することができる立場にあったということですよね。確認します。

○政府参考人(内閣官房内閣参事官 日向彰君) 農林水産業の振興に関してアドバイスをするという役割から、常日頃から農林水産政策分野についての情報収集をしていたということを伺っております。

○紙智子君 常日頃から情報収集をしていたと、それに関するですね、そういう立場にあったと。つまり、情報の収集が仕事であるということですよね。

○政府参考人(内閣官房内閣参事官 日向彰君) きちんとした意見を答申するといったことから、正確な農林水産分野の行政に、農林水産行政の情報について正確な勉強をする必要があるということでございます。

○紙智子君 収集する立場にあったということだと思うんです。
 それで、内閣官房参与には守秘義務、それから職務専念義務というのはあるのでしょうか。また、兼職、兼業規定、政治的な行為というのはどうなっているでしょうか。

○政府参考人(内閣官房内閣参事官 日向彰君) お答え申し上げます。
 内閣官房参与は非常勤の一般職国家公務員の扱いを受けてございます。国家公務員法に基づきまして、守秘義務あるいは執務中の職務専念義務といった義務を負っているものと承知をしております。
 また、内閣官房参与は、一般職国家公務員であるものの非常勤でございますので、営利企業などの役員などとの兼職、兼業禁止や政治的行為の禁止などの適用はなく、また国家公務員倫理法の適用も除外されていたものと承知してございます。

○紙智子君 つまり、今の答弁からいうと、守秘義務はあると、そして、職務専念義務についてはこれもあると、そして、兼職、兼業、これは認められていると、禁止の適用除外ということだったわけですよね。それから、政治的行為についてもこれ認められているということですよね。守秘義務はあるけれども、兼業は認められているということになるわけです。
 そうなると一体どういうことなのかなということですけれども、農水省から養鶏行政の情報を取得して、養鶏協会の顧問として西川氏本人が養鶏協会の活動にこれ生かすことができるということだと思うんですね。ですから、日鶏協のニュースが出ていますけれども、このニュースには、アニマルウエルフェアについて、西川公也日本養鶏協会顧問から生産者等を対象にした署名活動遂行の指導がありましたというふうに報じているわけです。
 一方で、養鶏協会の意向に沿って農水省に橋渡しをすることもできるということですよね。政治的行為は禁止されていませんから、これ政治家として動くこともできるということなんですよね。
 西川公也氏の業務内容、それから出張日時並びに報告書、経費について提出をしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(内閣官房内閣参事官 日向彰君) お答え申し上げます。
 西川参与は、先ほど申し上げたとおり、総理への意見具申をするということを、職務を担っていたということで、先ほど申し上げたような会議への出席だとか日々の農林水産分野への情報についての必要な情報収集を行っていたと承知をしてございます。
 出張についても、西川参与が在任中に出張したということは承知してございますけれども、アキタフーズ元代表と吉川元農林水産大臣に関する公判が控えている状況にございましては、これに関連し得る西川元参与の出張に関する記録というのは今後のアキタフーズ事案の公判等に影響を与えかねないということから、それらを提出することについては慎重に考える必要があると考えてございます。

○紙智子君 アキタフーズに関わる贈収賄事件で、西川元農水大臣は、報道によれば立件せずと報道されているんですよ。だから、なぜそれ提出できないんでしょうか。

○政府参考人(内閣官房内閣参事官 日向彰君) お答え申し上げます。
 捜査機関の活動内容に関わることにつきましては、私どもとして承知をしてございませんし、お答えする立場にもございません。
 なぜその公判の影響があるかということでございますけれども、一連のアキタフーズの事案については、今後、公判において事実の解明図られるということに鑑みましては、当該司法手続を尊重し、公判等に影響を与えるおそれを回避する必要があると考えてございますので、公判に関係し得ることについては申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じ上げます。
 その上で、一般論として申し上げますと、政府の立場といたしましては、従来より申し上げてきましたとおり、個別事件の捜査、公判に関連し得る事実関係を法廷外でつまびらかにすれば、関係者の名誉、プライバシーの保護の観点から問題があるといったこと、あるいは罪証隠滅活動を招くだとか関係者の協力を得ることが困難になるおそれがある、あるいは裁判所に予断を与えるおそれがあるといった弊害があるため、これまでも控えてきたものと承知をしてございます。

○紙智子君 捜査中ということでいえば、これ河井元法相、河井案里元参議員夫妻の大規模な買収事件が捜査中だということとの関わりなんだと思うんです。
 実際上は、しかし、西川氏については立件せずというふうになっている以上、これは是非とも出す必要があるというふうに思いますけれども、しかし、今の主張でいいますと、関係があるから出せないということであります。そこのところは私は納得できません。
 アキタフーズは、アニマルウエルフェアを検討する連絡協議会の臨時委員になりました。臨時委員というのは業界団体から推薦できることになっています。農林水産省に確認したところ、養鶏の団体と言えるのは日本養鶏協会しかないということです。ですから、自分で手を挙げれば、これは自動的に臨時委員になることができて発言することができると。西川氏はその橋渡しをしたんじゃありませんか。

○政府参考人(内閣官房内閣参事官 日向彰君) 申し訳ございません。聞き取れませんでした。

○政府参考人(農林水産省大臣官房長 横山紳君) 今の御質問、西川元参与がアキタフーズの方の意向を踏まえていろんな当方に対する働きかけをしたのではないかという御質問だと思います。
 そうした点につきまして、我々、今第三者の検証委員会立ち上げておりまして、養鶏・鶏卵行政がゆがめられていないかということの検証をお願いしております。そうした中では、まさにアキタフーズの意向を踏まえた第三者の方を介しての働きかけなりといったものについても検証されるものと、このように理解をしておるところでございます。

○紙智子君 西川氏は二〇一七年十月二十二日の総選挙で落選しています。で、西川氏は落選した直後の十一月八日に内閣官房参与に就任しています。なぜ安倍総理はわざわざこの政治任用したのか。
 実質的に落選議員の就職あっせんを安倍総理がしたことになるわけですが、西川氏は、行政と業界と政界と、この三つの肩書を使い分けているんですね。二〇一八年十一月十二日に日本養鶏協会がアニマルウエルフェアの基準について吉川農水相に要請したことを、西川氏は、私は内閣官房参与として要望の場に立ち会ったということを御自分でブログで語っているわけです。参与として参加したわけですから、安倍前首相にそれを報告して新たな指示を受けていた可能性もあると。
 で、西川氏は政界と業界と行政を自由に渡り歩くことができました。ですから、西川氏も秋田元代表も河井元参議院議員の選挙に関わっていたと、そういう疑いが強いと思います。だから、選挙買収事件をきっかけにアキタフーズ疑惑が発覚したんじゃないんですか。
 なぜ安倍総理がこの政治任用したのかと。これ、業界に顔が利く西川氏を政治任用することが必要だったからなんじゃないですか、いかがですか。

○内閣官房副長官(岡田直樹君) お答えを申し上げます。
 先ほどから内閣参事官も一部お答えを申し上げておりますが、西川公也元内閣官房参与につきましては、農林水産分野に関する知識、経験を有していて、農林水産業の振興について総理大臣に情報提供や助言を行っていただくため任命されていたものでありますが、昨年十二月に御本人の一身上の都合により退任されたものと承知しております。

○紙智子君 余り関係ない答弁だと思うんです。
 それで、西川氏は三つの肩書を使って養鶏行政に関与した疑いが強いと思うんですよ。そして、安倍前総理の指示があった可能性もあると。ここは直接本人から話を聞く必要があると思います。
 検証委員会についても聞くんですけど、農林水産省に鶏卵行政等の検証委員会をつくるということなんですが、既に養鶏疑惑などの証拠は捜査機関に押収されていると。それで、証拠がないのに接待やお金で行政がゆがめられたかどうかを検証できるんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 吉川大臣及び秋田元代表が贈収賄容疑で起訴されたことを受けて、農林水産省としては、養鶏・鶏卵行政の公正性について検証いただくために、養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会で今幅広く検証を進めていただいているところであります。
 具体的には、養鶏・鶏卵行政の公正性に関しまして、アニマルウエルフェアの国際基準策定プロセス、日本政策金融公庫の養鶏業者への融資方針の決定プロセス、鶏卵生産者経営安定対策事業、その他養鶏・鶏卵事業に関し必要な事項について検証を行っていただいているところでございます。
 捜査内容について、関することはコメントは控えさせていただきますが、職員の聴取などによりまして政策の決定プロセスなどの検証を行うことができることから、今検証を、十分な検証を行っていただいていくことは可能だと考えております。

○委員長(上月良祐君) 時間が参っておりますので、おまとめください。

○紙智子君 検証委員会として、吉川元農相、そして西川元農相の聞き取りをするべきだと思うし、私はやっぱりこのお二方を、アキタフーズの癒着によって農政がゆがめられた可能性のある疑惑ということでは、そこをしっかり解明するためにも、委員長にお願いしますけれども、二人の元農相の参考人の招致を求めます。

○委員長(上月良祐君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。

○紙智子君 じゃ、終わりますけれども、やっぱり農政に関わる疑惑ですから、この本委員会が行政監視機能を発揮して真相究明に力を尽くすということが大事だと思いますので、そのことを改めて強調して質問を終わります。