<第204回国会 農林水産委員会 2021年3月16日>


◇東日本大震災から10年、被災地支援の継続に向け、大臣の見解を求めた/被災3県(岩手県、宮城県、福島県)の漁業の現状について/漁業、水産加工業の支援について/福島第一原発事故による汚染水処理の問題について/大雪により倒壊した農業用ハウスの再建支援について/新型コロナウイルスによるコメの需要減少と価格下落問題について/アキタフーズによる養鶏疑惑について

○農林水産に関する調査(令和三年度の農林水産行政の基本施策に関する件)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日、四テーマで質問したいと思います。
 まずは、震災復興の問題です。
 東日本大震災、原発事故から十年、お亡くなりになられた皆さんや被災された皆さんに哀悼とお見舞いを申し上げるとともに、日夜復興を目指して頑張っておられる皆さんに心から敬意を表します。
 二〇一一年の三月十一日というのは、国会にいましたけれども、議員会館自身がもうぎしぎしと揺れました。翌日の十二日の早朝に、私は車で被災地に向かいました。初めに向かったのが福島県のいわき市で、沿岸部に行きましたけど、本当に壊滅的な被害を目の当たりにして大きな衝撃を受けました。福島に向かう途中のラジオの放送で、水素爆発、そして原発事故ということを知りました。
 福島県庁に我が党の県議団と、それから県委員会の皆さんと一緒に緊急の要請に行って、そこに同席をし、その後、宮城県に向かいました。仙台市の荒浜から南に広がる仙台東部田園地帯も、もう津波で惨たんたる状況になっていました。本当に、この行方不明になった方々の御遺体を捜すというような情景があって、そうしたことがもう本当に鮮明に目に焼き付いております。
 十年たちましたけれども、まだまだ復興には至っていないという実感です。十年目に当たって被災地の実情をしっかりと把握をし、支援を継続、強化するということが必要だと思いますけれども、大臣の見解をお聞きいたします。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 東日本大震災から十年がたったわけであります。この十年間の間、本当に大きな御労苦をされてこられた皆様方に、まず心からお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。
 私自身も就任後すぐに一市三町訪ねさせていただきまして、現場の皆様のお声を拝聴させていただきましたが、やはり感じましたのは、農林水産関係のインフラの復旧は相当程度進展はしているんですが、しかし、原子力災害地域においては、営農の再開ですとか、あるいは風評払拭、森林・林業の再生、漁業の本格的な操業再開等、いまだに様々な課題を抱えておるというふうに思います。まだまだなりわいの再開に至っていない厳しい地域があることを実感をいたしました。
 この復興に向けまして、農林水産省では、県や市町村との連携をしながら様々な施策を進めております。農業では、例えば昨年改正されました福島特措法による農業集積の特例措置の活用ですとか、あるいは営農再開の加速化等々に取り組んでおります。林業、水産業もそれぞれ取組を進めております。
 長くなりますので全ては申し上げませんが、それぞれの分野で引き続き現場の声に耳を傾けながら、しっかりと全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○紙智子君 被災地の漁業は震災前から回復していないというふうに思うんですね。
 岩手、宮城、福島の漁業センサスの震災前の二〇〇八年と十年後の二〇一八年を比較してみたんですけれども、海面漁業就業者は東北三県で二万千四百四十四人から一万三千六百三十一人に減少しています。経営体の数では一万六十二から六千百九まで、十年間で四〇%減少しています。県別で言うと、岩手県は五千三百十三から三千四百六、約三六%減少、宮城県は四千六から二千三百二十六ということで約四二%減少、福島は七百四十三から三百七十七ということで約四九%減少しています。多くが沿岸漁業ということです。
 なぜこういう差が出ているんだと思いますか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 今、この漁業センサスの数字、お話のあったとおりでございます。被災三県合計で二〇〇八年の一万六十二経営体から二〇一八年には六千百九経営体、約三九%減と。全国の減少率は三一%でありますので、八%の差があります。また、就業者数も、被災三県で二〇〇八年の二千百四十四人が二〇一八年には一万三千六百三十一人、約三六%減となっておりますが、全国の減少率は三二%で、四%の差があるわけであります。これ、いずれも被災三県、減少幅が大きくなっているわけであります。
 その理由としましては、全国と同様に高齢漁業者のリタイアが背景にはありますが、やはり被災三県では被災後の操業再開を断念した者がいるということが考えられます。特に福島の経営体数の減少幅が大きいのは、原発の事故によりまして当初操業を自粛して、その後、試験操業として操業区域や漁業対象魚種を拡大してきたものの、いまだ本格操業に至っていない状況にあり、経営体数の回復が遅れているということであります。
 引き続き、この操業再開や水揚げ量の拡大の支援をしっかりと行ってまいらなければならないと考えております。

○紙智子君 被災地の実情を把握するという上でしっかり分析していただきたいというふうに思うんですね。
 福島県、今言われましたけど、やっぱり原発事故に伴う操業停止がこれ直接影響しているというふうに思います。宮城と岩手の差ということで言うと、私、創造的復興ということで大上段に掲げたところと、地域に目を向けて地域から復興を進めてきたというところの違いもあるんじゃないのかなというふうに思います。実情に応じた対策が必要だというふうに思います。
 それから、水産加工業者における東日本大震災からの復興状況アンケートってありますよね。それによると、売上げが戻っていない理由として、販路の不足・喪失・風評被害というのが一つ、それから原材料不足という、この二項目で回答の八割を占めています。
 水産業、水産加工業者はグループ補助金などを活用して何とか工場を再開し、復興を目指して頑張ってこられました。今その返済が始まっているところなんですよね。それから、水産資源が減少していますけれども、サケ、サンマが減少していると。マイワシとかサバ、ブリが増えているということで、魚種が変わってきています。それに対する対応も必要になっていると。そこにコロナ禍ということですから、この需要の減少ということで、漁業、水産加工業は、震災に、この大不漁に、コロナという三重苦ということになっています。既に借りている返済資金の一時棚上げとか返済期限の延長、あるいは魚種転換への支援が必要だと思います。
 それから、漁業資源が減少していますから、これ、水産業の多面的機能発揮対策事業、これを拡充するということなどを含めて、漁業者や被災地域の収入につながるような対策が必要ではないんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 済みません、ちょっと答弁の前に。
 先ほど、被災三県の二〇〇八年の漁業就業者数、二万一千百四十四人と申し上げなければいけないところを二千百四十四人と言い間違えましたので、訂正をさせていただきます。
 被災地の今お話のありました水産加工業につきましては、再開を希望する水産加工施設の九割以上が業務を再開する一方で、やはり売上げの回復の遅れですとか不漁に伴う加工原料の不足、さらにはコロナの感染に伴う外食需要の減退等々で厳しい状況下にあるというふうに承知をいたしております。
 政府としましては、被災地の水産加工業者が活用しましたグループ補助金に関して、償還困難な利用者に対して償還猶予等の柔軟な対応を行うとともに、コロナ感染拡大に対する支援としましては、第三次補正で、販路多様化ですとか、あるいは売上げが減少した事業者に対する実質無利子無担保融資などによる支援を講じているところであります。
 今の御指摘のありました主要魚種の不漁による加工原料不足、これも起こっておりまして、これの対応につきましては、やはり近年、漁獲が増えている魚種に原料を転換するために必要な機器整備等に対して支援を行っているところであります。
 加えまして、地震等自然災害により発生した漁場等の堆積、漂着した流木等への対応につきましては、漁業者等により構成される活動組織が回収、処理を行います。今先生から御指摘のありました水産多面的機能発揮対策事業により日当や用船料などを支援をしているところでございます。
 このコロナの感染症に対しても、休業を余儀なくされる沿岸漁業者等に対しても同様の支援を行っているところでありますが、引き続き、今のお話も踏まえながら、他省庁とも連携をして、復興地域の漁業者、水産加工者が経営を維持できるように支援をしてまいりたいと考えております。

○紙智子君 よく把握をして、本当に実情に応じた支援が必要だというふうに思います。
 それから、福島原発事故で、福島県、これは福島だけではないんですよね、近隣、全部海がつながっていますから。しかし、とりわけ福島県の漁業というのは大きな打撃を受けました。こういうさなかで政府は汚染水を海洋放出しようとしています。
 私は、原発事故の後、福島県の県漁連、それからいわき漁連などを訪問しました。漁は一切そのときはできていませんでした。試験操業ということで始まっていて、放射性物質が検出されない、当時はミズダコ、ヤナギダコ、シライトマキバイ、言ってみれば軟体動物というか骨のないものですね、こういうのが検出されないということで、三種のみだったと。その後、魚種を徐々に増やしていきました。
 この間どれだけ努力したかという話を聞いたんですね。築地の市場に出かけていって産地表示をして売るとしたら消費者は買ってくれるだろうかと、ちゃんと検査をしていてもね、そういうことはどうなんだろうということの意見を聞くとか、それから、熊本の水俣まで行ったそうです。水銀が海に流されたことで大きな実害と風評被害も続いたと、どうやって乗り越えてきたんだということで勉強しに行ったという話もされていました。何よりもやっぱり消費者や国民に安心感と信頼してもらえる努力が必要なんだと、自ら進んで検査を行って安全性を証明する努力をとにかくやっていこうということで努力されてきたという話なんですね。
 それで、いよいよ試験操業から本格操業ができるところに今来たと。そのやさきに汚染水が海洋放出されたら、せっかくこの間取り組んできた信頼が壊れてしまうと、水の泡だという話をされています。
 大臣、こういう訴え、どのように思いますか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 福島第一原発事故以来、本当に復興に向け懸命に取り組まれている農林漁業者の皆様、本当に御労苦と御心配をお掛けしているところであります。
 私自身も、昨年参りました際に地元の漁協の皆様と話もさせていただきました。本格操業に向けての思いも聞かせていただいたところでございます。
 ALPS処理水の取扱いにつきましては、これまで、昨年二月にALPS小委員会が報告書をまとめたことも踏まえて、様々な方々との意見交換を重ねるとともに、福島の農林水産関係者を始め、広く国民の皆様から貴重な意見をいただきつつ議論を積み上げてきていると考えております。
 こうした議論を踏まえて、廃炉・汚染水対策チームの梶山チーム長から各省庁に対して、風評による影響を最大限抑制する処分、あるいは処分方法やモニタリング、経済対策を含めた具体的な風評対策、国内外への丁寧な情報発信といった論点について検討を深めるようにと要請があって、農林水産省でも従来から行っている風評対策の効果を見極めつつ検討を今深めているところでありますが、何よりも、農林水産省としては、復興に向けた農林漁業者の努力、これを妨げないということを最優先にして、できる限り安心いただけるような処理水の方法、処分方法ですとか周辺環境のモニタリング強化などの風評被害対策、これを検討していくべきだと考えております。

○紙智子君 政府は三月三日に新しい復興の基本方針を決めたんですけれども、先送りできない課題というふうに書いているんですけれども、関係者の理解を得るという言葉がないんですよね。理解も得ずに、これ原発汚染水の海洋放出はやめるべきだということを強く申し上げておきたいと思います。
 次に、大雪被害についてです。
 昨年から今年にかけて、東北地方それから北陸地方を始め、記録的な豪雪によって被害に見舞われました。昨年の十二月だけでも新潟県、群馬県、東北地方では降雪量が二メートルを超えて、平年の二倍から四倍の雪が降りました。三月には北海道の富良野地域などでも三百六十棟以上の農業用ハウスが倒壊しています。
 野上大臣は、豪雪による農業の被害の現場を視察されましたけれども、認識を伺います。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 令和二年から三年までの冬期の大雪によりましてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申しますとともに、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
 令和二年からこの三年の冬期の大雪被害額、現時点で約百二十八億円となっておりますが、農業用ハウスですとか畜舎等の倒壊、果樹の枝折れ、倒伏など、大きな被害が発生をいたしております。
 私自身も、発災後、新潟県の上越市、また南魚沼市に参りまして、現場の方々とお話を聞かせていただいたわけでありますが、やはり今回は雪国、雪に慣れている雪国においても本当に一気に集中的に雪が降ったものですから、そういう地域であっても除雪が間に合わなかったり、あるいは現場にたどり着けない状況の中で今申し上げたような被害が発生をしていったということでございました。
 この農林漁業者の皆様の不安に応えて、経営の永続、一日も早い経営再開が図れるようにという思いで二月二日には支援策を決定をさせていただいたわけでありますが、これまた雪が解けてからの被害というものもあるわけでありますので、現場に寄り添いながら、できるだけきめ細かい支援策を進めてまいりたいと考えております。

○紙智子君 私たち日本共産党国会議員団としては、一月二十日に小此木防災担当大臣に対して豪雪対策に関する申入れをやりました。その中で、農業用ハウスなどの被害に対する支援については、二〇一四年の二月に関東を襲った大雪被害に対して行った被災農業者の負担を最小化する支援、被災農業者向け経営体育成支援事業、これと同様の支援を行うように要請をしました。
 三月十二日時点の被害状況を見ても、この農業用ハウスの被害だけでも一万七千五百七十七件で百億円を超えていると。今回、被災農業者支援型をなぜ発動しなかったんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) この支援策、二月二日に公表させていただいたわけでありますが、その中で、農業用ハウスの被害に対しては、今回の被害の状況ですとかこれまでの災害における対応状況を勘案して、強い農業、強農の総合支援交付金の地域担い手育成支援タイプの優先採択により支援することといたしました。これは北陸を中心とした平成二十九年から三十年までの大雪による被害の対策と同様の支援内容となっております。
 また同時に、この事業のほかに、持続的生産強化対策事業の産地緊急支援対策によりまして、農業用ハウスの再建等も支援をするということとしたわけでございます。

○紙智子君 被災農業者支援型を発動する基準というのはどうなっているんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) この強農の総合交付金の被災農業者支援型につきましては、これは、過去に例のないような甚大な気象災害等によりまして担い手の農業経営の安定化に支障を来す事態が発生しており、特に緊急に対応する必要がある場合に限って発動することといたしております。

○紙智子君 被害額とか、結局、定義なんかを決めているわけではないわけですよね。
 昨年の七月の豪雨のときには被災者型が発動されているんですけど、今回の大雪被害では発動していません。被災した農家の皆さんは、実はこの被災農業者支援型を期待をしていたということなんですね。
 大臣の御地元であります富山県で被災した農家の方から、こういうふうに言っています。三八豪雪以来の大雪によって農業用ハウスが被害を受け、今年の野菜や水稲の育苗に大変困っています、農水省は被害農家を支援すると政策を出していますが、内容は中核農家や営農集団が対象のようです、これでは多くの個人農家は何の支援も受けることができず、営農を継続するには自己資金での再建しかありません、個人農家も食料生産に頑張っているんです、営農継続に意欲のある生産農家全てが支援を受けられますようにお願いする次第ですと、こういうふうに要望を寄せています。
 大臣の御地元であります富山県の農家のこの切実な声をどのように受け止められるでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 今回の雪害に対しましては、強農のいわゆる担い手育成タイプの優先採択を行いまして、被災した地域の担い手に対しまして、農業経営の改善に必要な農業ハウスの再建、修繕を支援することといたしましたが、この事業では、人・農地プランの中心経営体を支援対象としておりますが、これは認定農業者のみならず、認定新規就農者や集落営農組織など、人・農地プランに位置付けられた中心経営体のほか、農地中間管理機構を活用している農業者が含まれます。
 また、この中心経営体、これは地域の話合いによって決めていただくものでありますので、市町村が策定する本事業の支援計画の国への提出までに中心経営体となっていれば支援を受けることが可能でありますが、一方で、この事業のほかにも、農業ハウスの復旧に対しては、被災した産地に対しまして、例えば作物転換とか規模拡大等に必要なパイプ等の生産資材の購入等を支援します持続的生産強化対策事業の緊急支援対策を講じているところであります。
 こういう点も周知をしながら、被災された農家の方々、取り残されることなく、一日も早い経営再開ができるように、地方自治体とも連携をして取り組んでまいりたいと考えております。

○紙智子君 被災農業者支援型は、営農再開を希望する被災農家の全てが対象となって、補助の上限額が撤廃されるなどの手厚い支援となっています。その一方で、今回の地域担い手育成支援タイプというのは支援対象が限定されていて、補助の上限額も六百万円となっています。中心的な担い手だけでなく、小規模農家も食料生産を担っているわけで、やはり営農を継続できる支援が必要だというふうに思うんです。
 岩手からも悲鳴が上がっています。あるトマト農家の方は、七棟のハウス全部が倒壊したと。農水省の支援策では支援対象にならないため、今回七棟のうち四棟のハウスの再建にとどめて、あとは牛の頭数を増やすために、三棟あった土地や休耕田を牧草地にするなど苦労して、人・農地プランの中心経営体になれるようにしようということでそれをやって、地域担い手育成支援タイプを申請したんだそうです。被災して、もうそれだけでも心が折れそうなときに、支援を受けようと思うと規模を拡大しないといけないと、こういう現実があるわけです。
 被害を受けた農家が離農することなく営農を継続できるようにするためには、小規模農家を含めて全部の被災農家が支援対象となる被災農業者支援型を発動すべきではないんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 今お話のありました中心経営体の話でございますが、今お話のあったような対応とともに、この事業のほかにも、持続的生産強化対策事業の産地緊急支援対策等を講じているところでございますので、これは三戸以上の組織、三戸以上で組織されれば、その資材費を補助するということになります。
 こういう事業も活用いただきながら、取り残されることなくこの支援策を届けてまいりたいというふうに考えております。

○紙智子君 気候変動によって毎年のように今自然災害が発生しています。被害も範囲、広範囲に及んでいて、かつ甚大なものになってきているわけで、被災した農家が離農することがないように万全の対策を求めておきたいと思います。
 あと、時間がちょっと迫ってきましたので、米の政策についてお聞きします。
 新型コロナ感染症の影響で、米需要が減少し、米価が下落しています。民間在庫は四か月連続で三百万トンを上回り、生産者は卸業者が米を買ってくれないと言っています。
 コロナ禍で今年一年の業者の動向をお聞きしますけれども、対前年比で巣ごもり需要であるスーパーなどの小売向けが何%なのか、外食向けは何%なのか、トータルで何%なのか、御説明をお願いします。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) まず、小売事業者向けでありますが、二年の一月から十二月の計で対前年比一〇五%、それから中食・外食事業者向けにつきましては八八%、この販売数量の合計として九八%となっております。(発言する者あり)

○委員長(上月良祐君) もう一度お願いします。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 済みません。三年一月の数字ということでございます。この小売事業者向けは一〇七%、それから中食・外食向けは八七%、合計で九七%ということでございます。

○紙智子君 前年比でいうと九七だから、三%ということですよね。年間の需要量を約七百万トンとすると、三%ということは、計算すると二十一万トンの需要減になるということになるんですね。通年の減少幅を十万トンとすると、コロナの下でこれ十一万トンが需要が減少したことになるわけです。
 二月二十六日の食糧部会で米の基本指針の最新版が示されたんですが、今年一月から再度緊急事態宣言が出されているのに、この緊急事態宣言に伴う需要減、一月は対前年比でマイナス三%見込んだ指針にはしなかったんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 御指摘のとおり、一月に発令されました二度目の緊急事態宣言の発令の延長ですとか、その後の一部解除など、現在公表しています米の需要量を見通しを公表した昨年十一月から様々な状況の変化が生じております。
 このような中で、その需要量見通しを見直したとしてもそれで確定するわけではなくて、更なる状況の変化によって、関係者はもとより国民の皆様を混乱させるおそれがあるのみならず、結果として誤ったメッセージを発することになりかねないため、現時点で需要量見通しを見直すことは適当でないと考えております。
 現に、昨年十二月は、先ほどちょっと申し上げましたが、米穀販売事業者の販売状況は前年同月比で一〇〇%まで回復をしている、また消費量が中食、外食の約二倍となります家庭向けの精米を含む小売向けの販売量、これ前年同月比で一〇八%となっております。
 また、一月から十都道府県に緊急事態宣言が出されましたが、首都圏においては二度の期限延長、あるいは一部解除が行われるなど様々な状況の変化が生じていること等から、農林水産省としましては、年明け以降の販売動向の見極めですとかデータ収集に努めて、節目のタイミングでコロナの影響を含めてお示しできるように、引き続きこの需給動向を注視してまいりたいと考えております。

○紙智子君 在庫が積み上げれば米価の下落というのは当然心配になるわけで、中食・外食事業者の米の仕入れの状況のアンケートというのもありますけれども、前年同月比の仕入れ額と比べて下落したという事業者が五割です。コロナ禍で需要が減少して在庫が積み上がっていくと米価の下落につながると。既に備蓄米の落札価格というのは前年比で二千円も下がっているというふうに報道されていますけれども、生産者に聞いてみると、卸が引き取る価格というのは千円以上下がっているんだというんですね。だから赤字だと言っています。
 米の根詰まりをなくすためには、一旦市場からこれ隔離すべきじゃありませんか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 政府備蓄米につきましては、これ、不作等による主食用米の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備えまして、必要な数量の国産米を保有するということを目的といたしております。需給状況に応じて買入れ数量を増減させるなど、国による需給操作や価格の下支えにつながるような運用というのはこの政府備蓄米制度の趣旨に沿わず、また、自らの経営判断による需給に応じた生産、販売を進めるという米政策の考え方に沿って対応する必要があると考えております。

○紙智子君 対策を取っても、米卸は買わない、売れないと言い、農家は米が売れないと、売れても買いたたかれると、米を作っても我々飯食えないというふうに言っています。今進んでいる米余り、この米価下落を止めて、生産者の生活と経営を守る対策を強く求めるものであります。
 あとちょっと残り二分ぐらいなので、アキタフーズに関わる養鶏疑惑について聞きます。
 農林水産省は、二月二十五日に、利害関係者から供応接待を受けていたことが判明したとして職員の処分を発表しました。
 調査結果の報告書について聞きます。
 調査結果の報告書には、二〇一九年九月十八日の会食に参加したのは十名とあります。農水省の職員が五名で、吉川貴盛元農水相、それから西川公也元内閣官房参与、そして河井克行衆議員、秋田善祺アキタフーズ社長、アキタフーズ社員の十名です。一方で、支払の方は、アキタフーズのコーポレートカードで支払われたのが二十五万五千九百六十四円で、十一名となっているんですね。十名ではなくて十一名分払っていると。
 あと一名は一体誰なのかということで、そこに参加をされていた水田さんにお聞きしたいと思います。

○政府参考人(農林水産省生産局長 水田正和君) お尋ねの件でございますけれども、私参加いたしました令和元年、二〇一九年の九月十八日の会合でございますけれども、十名でございます。十一名ではなく十名だったと私は……(発言する者あり)十名です。十名だったというふうに思いますというか、そうでした。

○紙智子君 じゃ、カードで支払われた分が十一名分となっているのは何でしょうね。

○委員長(上月良祐君) 簡潔に願います。

○政府参考人(農林水産省生産局長 水田正和君) 済みません。正直言って分かりません。

○委員長(上月良祐君) おまとめください。

○紙智子君 ちょっと時間になりましたので、やっぱり不明な点が多々あるんですよね。なので、委員長、真相を究明するために、農林水産省の関係者の参考人招致を求めたいと思います。

○委員長(上月良祐君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。

○紙智子君 それじゃ、あとは、残りは次に回したいと思います。よろしくお願いします。