<第203回国会 農林水産委員会 2020年12月1日>


◇農研機構の許諾料について/登録品種と自家増殖との関係について/有機農業への影響について/海外流出による被害について/

○種苗法の一部を改正する法律案(第二百一回国会内閣提出、第二百三回国会衆議院送付)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 二回目の質疑となります。一回目の質疑のときには、種苗法が育成者と農業者の利益のバランス論に立って立法化されたことを踏まえて、この改正案はバランス論を崩すものになることを指摘しました。また、育成者権のみを強化すれば生産者の負担が増えることになると、その事例を経営コストに占める種苗費の比率がこの十年間だけでも増えていることも示しました。その際、種苗代、許諾料は、地方の農業試験場が開発した種苗よりも農研機構で十倍から二十倍程度、民間では百倍近く高いことを指摘しました。そこで、農研機構の許諾料の利率は独立行政法人になって以降高くなっているんじゃないかというふうに聞いたところ、明確な答弁がありませんでした。
 改めて確認しますけれども、これ高くなっているんですよね。

○政府参考人(農林水産省農林水産技術会議事務局長 菱沼義久君)
お答えいたします。
 許諾料を含む独立行政法人の自己収入に関しましては、政府全体の方針などにおきまして、知的財産の活用などを通じて自己収入の拡大を図る旨が位置付けられています。ただし、国民生活への影響に配慮しつつ見直しを行うことについても記載されているところであります。
 農研機構においてもこの方針に従いまして適正な許諾料に見直してきており、具体的な数値は許諾先との契約上公表することはできませんが、独立行政法人となる前、すなわち平成十三年より前ではございますけれども、比較しますと、農業者の過度な負担にはならない範囲で許諾料は上がっています。ただし、ここ数年は値上げをしておりません。
 許諾料の設定に当たっては、都道府県の許諾料の水準や農業者などの外部からの意見、これは高いのか安いのかといった御意見も踏まえつつ農業者の過度な負担にならないよう配慮しており、農研機構の許諾料が営農の支障になっていることはないと認識しておりますが、我々は、農林水産省といたしましては、法律改正を契機に許諾料を原則として上げることのないようということを指導していきたいと思っています。

○紙智子君 余分なことをいろいろしゃべらなくていいですよ。
 実際には、国の研究所は独立行政法人化に伴って自己資金を自ら稼がなきゃいけないので、許諾料の利率も上昇しているということですよね。率、今言わなかったですよね。消費税だって八%から一〇%に上げるときに多くの国民は反対しました。で、利率を明らかにしなければ高いのかどうかというのは判断しようがないんですよ。種苗代が増えるということは通常ないとか考えにくいんだということは、これ主観的には言いますけれども、判断するのは生産者なんですよ。説明責任を欠いているというふうに思います。
 次に、登録品種と自家増殖の関係について聞きます。
 農林水産省の説明では、登録品種の割合はお米で一七%、ほとんど一般品種だから登録品種を許諾制にしても影響はないというふうに言いました。一方、衆議院で参考人として出席された印鑰さんが米の全国登録品種の割合を調査されていますけれども、生産量に占める登録品種の割合は全国三三%、新潟、富山のコシヒカリBLを入れると四割になります。北海道は八八%です。品種数に占める、これ品種数ですね、品種数に占める割合は全国六四%、北海道で七三%です。
 米穀機構の一七%と何でこんなに違いが出るのか米穀安定供給確保支援機構に聞きました。機構は各県に主食、酒米、モチ米の品種ごとの作付面積割合の情報の提供を求めているんだけれども、作付面積と品種の割合を提供してくる県もあれば、品種の割合のみ、上位の情報を提供しない県もあると、各県で対応はまちまちだというふうに言っているわけです。
 つまり、米穀機構の調査というのは、水稲のうちどれだけ登録品種が使われているか全面的に調査したものではありません。しかも二十品種だけです。一方で、印鑰さんのデータというのは、生産者が自ら食べる自家用を除いて、品種検査をされている二百七十三品種を農林水産省のデータを基に算出したものです。これ、どちらが生産実態に近いと思いますか。

○政府参考人(農林水産省食料産業局長 太田豊彦君) お答えをいたします。
 十一月十二日、衆議院農林水産委員会の参考人質疑におきまして参考人として出席されました方が示した資料というのは、二〇一八年に品種検査された稲に占める登録品種の割合を生産量別、品種別、品種数別に整理されたものでございます。
 農林水産省においてこのデータ、二〇一八年産米の銘柄別農産物検査数量からウルチ米の検査における登録品種の検査数量の割合を計算をいたしますと、産地品種銘柄数で登録品種三一%、一般品種六九%となりまして、参考人が主張するデータの詳細な根拠は不明ではないかというふうに考えております。
 なお、参考人御自身も当日発言をされておりましたけれども、米穀の農産物検査につきましては、検査を受けずに品種名が不明なまま流通する米穀の状況を把握できないために、登録品種の割合を把握する際のデータとしては利用をしていないところでございます。
 農林水産省では、作付面積の八割以上把握可能な米穀安定供給安定支援機構が公表する水稲の作付け品種の資料から登録品種割合を作付面積ベースで把握してお示ししたところでございます。
 ちょっと訂正をさせていただきます。

○委員長(上月良祐君) 簡潔にお願いします。(発言する者あり)
 速記を止めてください。

   〔速記中止〕

○委員長(上月良祐君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(農林水産省食料産業局長 太田豊彦君) 先ほど、産地銘柄、産地品種銘柄数と申しましたけれども、産地品種銘柄数量の誤りでございます。訂正をいたします。

○紙智子君 もう長いだけ言っているけど、全然聞いたことに答えていないんですよ。生産実態にどちらが近いかって聞いたんですよ。
 印鑰さんは、農林水産省のデータを活用して算出しています。登録品種が一七%しかないということを言うのであれば、米穀機構のデータではなくて自らのデータで公表すべきですよ。米穀機構の一部のデータを使って影響がないと都合のいい説明をしていて、これ、ごまかしじゃないかと思われても仕方がないんじゃないでしょうか。
 二〇一五年の自家増殖に関するアンケートについても聞きます。これは、さっき森さんもちょっとやりましたけれども。
 自家増殖を行っていると答えた生産者は全体の五二%。自家増殖を行っている理由として、生産に必要な種苗の量を確保するためと答えたのが三五%、種苗購入費を削減するためというのが三〇%もあります。生産者に新たな負担を強いるんじゃないかと。さっきのちょっとやり取り聞いていて、五二%といったら多いと思うわけだけど、いや、それは決して多いわけでなくて、それはいろいろ指示してやった、サンプルが、母数が違うからみたいなことを後付けで言っていたみたいですけれども、ちょっとそういうことを聞くと、そもそもこれってどういうデータの下に、正確なんだろうかということ自身も非常に疑ってしまうわけですけど、取りあえず今日私が聞こうと思ったのは、実際にはこれ新たに生産者に負担が増えることになるんじゃないですか。

○委員長(上月良祐君) 速記を止めてください。

   〔速記中止〕

○委員長(上月良祐君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(農林水産省食料産業局長 太田豊彦君) 御指摘の自家増殖に関する生産者アンケート調査につきましては、先ほども申しましたけれども、自家増殖を行っていると見られる生産者を調査対象として……(発言する者あり)はい。
 では、お答えをいたします。
 農研機構や都道府県はこれを普及することを目的として品種を開発しておりますので、農業者から営農の支障となるような高額の許諾料を徴収するということは通常ないというふうに考えております。また、民間の種苗会社につきましても、こういった許諾料の水準を見ておりますので、著しく高額な許諾料となることは考えにくいというふうに考えております。

○紙智子君 全然分からないですよね。
 私が聞いている生産者も、種苗代がかさむので二〇%とか三〇%、何割かは自家増殖をやっているんだというふうに言っているわけですよ。新たな負担になるというのは、これ明らかだと思うんですね。しかも、米の直接支払がなくなってしまって、生産費を賄うために自家採種をしているという人もいるわけですよ。
 改正案は、自家増殖を定めた第二十一条二項、三項、これを削除して自家増殖を原則禁止にするものですから、育成者権が強化されます。生産者は、農業機械なんかもそうなんですけれども、生産資材の購入をするときに、機械メーカーなどの力が強いので弱い立場に置かれています。種苗も農機具同様、生産機材ですから、価格が上昇したらこれ経営に影響を与えるわけです。育成者が強化されれば、その権力が濫用されたり種苗費が上昇したり許諾料が上昇するという可能性があります。
 この歯止めを掛ける規定というのは、改正案にあるんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省食料産業局長 太田豊彦君) お答えをいたします。
 一般的に、育成者権者が農業者の経営に支障を来すような許諾料の設定を行う場合につきましては、登録品種以外の品種も多くある中で、そのような品種、そのような登録品種は農業者から選択されないため、委員御指摘のような弊害が起こるということは考えにくいというふうに考えております。
 その上で、仕組みでございますけれども、現行の種苗法二十八条におきまして、登録品種の利用が公共の利益のため特に必要であるときは、この登録品種を利用しようとする者は育成者権者に通常利用権を許諾するように協議を求めることができ、また、この協議が成立しない場合には農林水産大臣の裁定を申請することができる、こういった仕組みがございます。
 我が国の農業生産上必要な場合には、育成者権者の意思にかかわらず農業者が許諾を得られることができる、こういった仕組みが既に存在しているところでございます。

○紙智子君 今、第二十八条に裁定条項があるんだという説明なんです。この裁定規定というのは、逐条解説種苗法によると、ある種苗について農業者の需要があるにもかかわらず種苗会社がそれに見合う供給を行わない、つまり種を売らない場合の規定なわけですよ。ですから、意図的に種苗を高くする行為の歯止めというふうにはならないんじゃないかと。
 育成者権のみが強化されることで種苗会社の力が強くなれば、これ企業による種苗の支配につながるんじゃないか、当然これ生まれる懸念だと思うんですね。生産者は生産資材を買うときに大手から圧力を受けます。農産物を売るときにも量販店などから値下げの圧力を受けます。しかも、農産物の自由化で外圧も受けていると。権力の濫用を防ぐ実効ある規定がなければ、これは種苗会社の支配が強まることになると思うんです。
 次、有機農業について聞きます。
 知り合いの有機農家は登録品種を使っていますけれども、その中から種取りを行って、五年程度掛けると地域に合った種に固定してくるというふうに言っていました。有機農家も毎年許諾料を払わざるを得なくなりますから、新たな負担が生まれると。これで有機農業というのは本当に広がっていくんだろうかと。
 有機農業の生産者が優良品種を確保して、自家採種や保存、さらに地域に合った育種を育てるということでいうと、その幅が狭まっていくことになるんじゃありませんか。

○政府参考人(農林水産省食料産業局長 太田豊彦君) お答えをいたします。
 有機農業に取り組む農業者につきましては、従来から栽培されている一般品種の利用が多いために、通常の農業者よりも影響は小さいというふうに考えております。
 その上で、農家による品種開発、これは農業の発展にとって大切であるというふうに考えておりますが、種苗法上も、新たな品種の開発を目的とした品種の利用、これについては育成者権の効力が及ばないというふうにされております。今回の法改正は、新品種の保護、これを充実させることで、個人の育種家も含めて品種開発のインセンティブを高め、品種の開発を促すものでございまして、農業の発展に資するというふうに考えております。

○紙智子君 有機農家の農業をやっている人は一般品種が多いからほぼその影響ないということをよく言われるんだけど、私の知っている有機農業の人で、今実際に登録品種なんだけど知らないで使っている人もいるわけですよ。そういう人は新たにまた負担をしなきゃいけなくなるということがあるわけで、新たな負担を求めれば、どうしたってこれ有機農業の育種の幅を狭めるものになると思うんです。改正案は、有機農業を含めて農業の在り方を大きく変えることになると。農業者を種苗のこれは単なる利用者、消費者にするものじゃないかと言わざるを得ません。
 さて、改正案は海外流出を防止するためだというふうに言います。具体的に聞くんですけれども、日本の種苗が海外に流出をして日本農業に被害が出たと、さっきもちょっとありましたけど、認定できる事実というのはあるのでしょうか。

○政府参考人(農林水産省食料産業局長 太田豊彦君) お答えをいたします。
 我が国で開発されました優良な品種が海外に流出して問題となっておりますけれども、現在の種苗法では海外への持ち出しは合法でございますので、また海外で禁止されている品種も少ないために、育成者権者侵害という観点、育成者権者の侵害という観点からいえば、確認された被害というのは大きなものとは言えません。
 ただ一方で、中国や韓国で生産されたシャインマスカットが東南アジア諸国などに輸出をされております。我が国からの輸出促進の支障となっているということもありますので、我が国の農業者が本来得られるべき利益が失われているということは大きな問題だというふうに考えております。

○紙智子君 今の答弁でも、被害が出たと認定できる事実があるかないかと聞いたら、それはないということだと思うんですね。日本の種苗が海外に流出をして日本農業に被害が出たと認定できる、そういう事実はないと。
 種苗法の第二十一条には、新品種の育成その他試験又は研究のために品種を利用できるという規定がありますよね。つまり、試験や研究目的に海外に持ち出すことは可能だと。海外で日本の品種を掛け合わせてイチゴなどの新品種を開発をし、販売することもできると。だから、農水省自身が、これまで海外流出を防ぐ手だては海外において品種登録を行うことが唯一の対策だというふうに言ってきたんだと思うんですね。それなのに、育成者権を強化するために生産者の自家採種まで事実上禁止するということになるから、生産者からは、悪者にされているというふうに怒りが出てくるんだと思います。
 育成者権を強化することと、これ自家採種を禁止するということを分けて考えるべきじゃないかと。そこのところが、幾ら説明されても、衆議院もそうです、参議院でもそうですけど、その質疑をネットで見ている人が、そこがどうしても腑に落ちないというふうに言っているんですよ。分けて考えるべきじゃないんですか。

○政府参考人(農林水産省食料産業局長 太田豊彦君) お答えをいたします。
 登録品種につきまして、これが海外に流出するというこのルートとしては、市中に流通している種苗と、それから農業者が増殖している種苗、これを持ち出す場合の二通りが考えられます。今回の改正法案は、このうち市中に流通している登録品種の海外への持ち出しを制限できるようにすることとしております。一方で、育成者権者が海外持ち出しを制限した場合に、正規に販売される種苗の持ち出しができなくなりますので、今度は農業者個人の増殖種苗が狙われるということが懸念をされることになります。
 このため、法制度上海外流出を防ぐためのできる限りの措置をするという観点から、自家増殖を許諾制とし、自家増殖を起点とする海外への流出につきましても防ぐ必要があるというふうに考えて、今般の改正をお願いしているところでございます。

○紙智子君 やっぱり、自家増殖の農家を結局は悪者にしているというふうに感じてしまうものですから、怒りが止まらないと思うんですね。
 改正案は、自家増殖をする生産者から種苗が海外に流出するんじゃないかと、だから、すごいびくびくして、自由な農家の増殖を認めないと、生産者を管理していこうという発想なわけですよ。
 これは、やっぱり成長戦略、輸出戦略を進めるために事実上自家増殖を禁止して生産者を管理下に置くということになるわけで、これって農業の多様化につながるんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省食料産業局長 太田豊彦君) お答えをいたします。
 今般の法改正は、育成者権に、海外、国内限定であるとか、それから特定の地域限定であるとか、そういった制限を課することによりまして産地の形成、それから種苗の開発、こういったものを進めるというものでございます。
 これによりまして、これまでいろんな面で支障がありました産地づくり、それから輸出、こういったことを幅広く進めることができる効果があるというふうに考えておりまして、農業の多様性につながるものであるというふうに考えております。

○紙智子君 多様性につながると言いましたけど、私は逆だと思いますよ。
 やっぱり、参考人の、この間お聞きして、村上真平さんが、農民は種を取って自分たちで育種し、ずっと続けてきたと、何で種を取っちゃいけないのかという発言がありました。
 種取りというのは、農業改良普及所などからの技術指導で発展してきました。育種者と生産者の共助、それで発展させることが大事なんだと思うんです。それを、成長戦略だ、輸出戦略だということを強調する余り、その共助を壊していくんじゃないかと、そのことが問われていると思うんです。そもそも、やっぱり命を育んでいく産業である農業、そして種、この多様性、生産者の意欲や創意性を後退させてはならないんだと私は思います。
 日本の育種力が今後どうなるのかということでは、農林水産省は知的財産戦略二〇二〇に農林水産研究イノベーション戦略二〇二〇と発表しています、公表しています。ここでは、ゲノム編集等による新規遺伝子型の創出を進めて、民間企業等が実用化を図るとあります。米についても、農研機構や大学などがゲノム編集技術を開発して実用化を図ると書いてあります。
 国民的な議論がまだこれ進んでいないのにゲノム作物を実用化していいのかと。ゲノム種苗、ゲノム作物、ゲノム食品というのは、製造過程のこれ表示義務はあるんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省食料産業局長 太田豊彦君) そのような義務はございません。

○紙智子君 表示義務はないんですよね。表示がなければ食の安全や安心への不安は高まるばかりだと思います。
 世界では、育種、育苗の在り方が大きく変わろうとしていると思うんですね。
 農林水産省の元種苗課長の松延洋平さんは、新型コロナを受けて、やっぱり行き過ぎたグローバル化の是正を求める動きが広がっているんだと。開発者の権利を優先するUPOVの路線も変更する必要があるんだと言われているんですよ。
 種の権利、農民の権利を求める動きというのは、今世紀に広がりつつあります。二〇〇一年に採択をされた国際条約、食料・農業植物遺伝資源条約において、締約国は農民の植物遺伝資源の権利を保護する責任があるということを明記しています。そして、二〇一八年に採択された小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言は、種子の権利が規定され、農家の農業採種の種苗を保存、利用、交換、販売する権利ということがうたわれています。
 今回の改正は、こういう流れに逆行するものになるんじゃありませんか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 農業者が自家増殖を行う権利につきましては、ITPGR上、明示的に位置付けられていないと認識をしております。また、小農の権利宣言についても、国連加盟国を法的に拘束するものではありません。
 今回の改正では、登録品種の自家増殖に育成者権者の許諾を必要とすると考えておりますが、一方で、一般品種については、これは許諾も許諾料も必要ない自由な利用が可能であります。また、登録品種についても、この育成者権者の存続期間が満了すれば一般品種となりますので、これは誰でも自由に利用できるようになっております。
 このように、種苗法の枠組みの下では、農業者による自由な種苗の利用と新品種の保護の双方についての配慮がなされていると考えております。
 今回の改正は、育成者権者の保護を通じて、植物新品種の知的財産を守る、そして産地形成を後押しをして地域の農業活性化に資するものになる。やはり、毀損するような利益があってはいけない、本来の日本のしっかりとした、新品種を守って、そしてそれで得られる農業者をしっかり守っていくということが必要だというふうに思っております。

○委員長(上月良祐君) 時間が参っておりますので、おまとめください。

○紙智子君 はい。
 やっぱり流れに反していると思いますよ、世界の流れに。日本の種子を守る会の八木岡努会長は、これまで開発者の権利を重視するUPOVと、その権利を守りつつ遺伝資源の保全や利用を定めた食料・農業植物遺伝子条約、この理念の間でバランスを取ってきたんだと。やっぱりこのバランスを崩すような種苗法の改正は廃案にすべきだと。私も全く賛成であります。
 そのことを申し述べて、私の質問を終わります。