<第203回国会 農林水産委員会 2020年11月17日>


◇コロナ禍での日米貿易協定による輸入牛肉の増加について/コロナ禍での米政策について/大和堆での日本漁船の操業について/改正漁業法について

○農林水産に関する調査

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 通常国会が終わった六月以来の農林水産委員会ということです。コロナ対策で閉会中審査を七月、九月にやる方向で調整していたんですけど、九月に安倍総理が辞任したこともあって、これができなかったんです。
 九月になりますと、菅政権が誕生しました。菅総理は、目指す社会像は自助、共助、公助だと言われました。農政で言えば公助、菅総理が言う政府のセーフティーネットが機能しているかどうかということが問われていると思います。今日はこのことについて各方面から議論したいと思います。
 まず、日米関係ですけれども、アメリカの大統領選挙が行われて、民主党のバイデン氏が当選をし、政権が替わることが確実になりました。
 二〇一六年の大統領選挙のときにトランプ大統領が当選したとき、安倍総理はその十日後にアメリカに飛んでトランプ大統領と会談を行って、信頼関係を築いていけるという確信を持てる会談だったと言いました。ところが、その直後にトランプ大統領はTPPから離脱しました。そして、昨年はトランプ大統領の圧力に屈して日米貿易協定を締結をし、発効しました。
 今年は、新型コロナ感染拡大で、これは外食産業なども閉じてしまうというようなことがあって、日本の和牛の需要の減少と、肥育農家は窮地に陥っています。それなのに、TPP諸国やアメリカからの牛肉輸入というのは増加していると。日本農業新聞が、日米貿易協定によって二〇二〇年度の米国産牛肉が十月の中旬で十四万九千二百二十六トンになっているということを報じています。農林水産省の輸出入の情報でも、今年一月から、米国産牛肉の輸入数量ですけれども、約十九万トンとなっていると。
 大臣は、これ、コロナ禍、和牛農家が苦境に陥っているときに輸入が増加している実態をどのように認識されているでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 今年度、四月から十月までの米国産牛肉の輸入量は十五万六千トンと、前年同期に比べて一〇四%となっております。一方、我が国の主要な牛肉輸入先国である豪州を含むTPP11からの輸入量が二十万二千トンと、対前年同月比でこれは八七%に減少しており、この結果、我が国との経済連携協定が発効している国、すなわち米国、TPP11及びEUからの牛肉輸入量の合計は三十六万四千トンと、前年同月比で九五%に減少しております。
 牛肉の輸入量は国内外の需給動向や為替等様々な要因に左右されておりますが、農林水産省としては、引き続きこの牛肉の需要動向等を注視してまいります。

○紙智子君 この問題をめぐっては、国としてはいろいろ、マルキン制度とかなんとかということなんだけれども、やっぱりコロナという状況の中で、従来の対策を活用している範囲ではなくて、新型コロナに対応した対策、そういう意味では公助というのがこういうところで求められていると思うんですけれども、これ十分に果たされていないというふうに思うんですね。
 農業新聞は、米国産の牛肉の十月の中旬時点で十四万九千二百二十六トンになった、セーフガードの発動基準数量の六割を超えたんだ、現状のまま増え続ければ来年二月にも発動基準に達するというふうに報道しました。日米貿易協定、ここには、セーフガードが発動されれば、直ちに発動水準を一層高いものに調整するため、協議を開始するというふうに取決めがされているわけですよね。だから、発動基準がもし高くなったら、肥育農家の経営というのは更に窮地に立たされることになるんです。
 来年二月といってもそんなに遠い先の話ではないわけで、何らかの対策というのは検討しておくべきではありませんか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 今申し上げましたとおり、四月から十月末までの米国からの牛肉の輸入量は対前年比一〇四%の水準となっておりますが、輸入量は時々の国内外の需給状況等によって左右されるものでありますので、今後の輸入動向を予断することは困難だと考えております。
 したがって、現時点でセーフガードの発動やセーフガード発動基準の引上げを前提とした対策の検討などにつきましては、仮定の話であり、お答えすることは差し控えたいというふうに考えております。

○紙智子君 そういうところが本当にいいかげんだなというふうに言わざるを得ないんですよね。二月、来年二月の段階になって、そうしたら判断するんですか。
 日本政府はアメリカがTPPに戻ることを期待しているというふうに思うんですけれども、現行のTPP協定には戻る可能性は低いと言われていますから、日米貿易協定が固定化する可能性もあります。そうすると、このセーフガードの再協議規定というのがあったわけですよ。それから、アメリカは、将来の交渉において農産品に関する特恵的な待遇を追求するという、アメリカだけに言わば認められている特恵的な待遇を、この権利を使って日本に圧力を掛けてくる可能性もあるわけです。
 こういう不平等の条約について、大臣はどのように思われますか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 例えば、今お話のありました再協議に関する規定等々を置くということにつきましては、これはTPPなどの協定において一般的に行われているものであります。
 その上で、日米貿易協定では、日米両国が再協議を行うという規定ではなくて、米国側の意図として、将来の交渉において農産品に関する特恵的な待遇を追求すると規定しているものでありますが、これは日本に対して義務を課すものではないと理解をしております。

○紙智子君 義務を課すものではないと言うけど、実際、文章にははっきり、特恵的な待遇を追求するというふうに、アメリカ側が日本に対してそういうことができるということが書いてあるわけですから、これ、やっぱり私は、そのままにしておくということ自体問題だと思うんですよ。
 日米貿易協定は、これ参議院選挙が終わるのを待って、九月に合意したんですね。トランプ大統領はあのとき、選挙が、日本の選挙が終わったらいいことがあると言っていて、そして終わって、九月に合意したわけですよ。安倍総理はTPPの枠内に収めたと言いましたけど、短い国会審議の中でもその問題点が明らかになりました。アメリカで政権交代が起こったわけで、こういう不平等の協定というのは破棄すべきだと思います。
 続いて、米の政策についてお聞きします。
 今年産の米価が下落をしていると。北海道のななつぼしは対前年度比でマイナス三百円、宮城のササニシキは七百円、新潟の一般コシヒカリは九百円、今度、新之助というのがありますけど、千八百円、概算金が下がったと。
 北海道では専業農家が多いんですけれども、ある生産者の方、こう言いました。政府は国産米を主食用から餌米に回せと言う。しかし、ミニマムアクセス米、輸入米の一部は食用に回っている。国産は餌へ、輸入は食用へ、これは生産者のプライドをずたずたにするものだと言われたんです。
 大臣、この指摘ってどういうふうに思われますか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 今お話のありました米のミニマムアクセスにつきましては、これ、平成五年に合意したガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の中で、全体のパッケージの一つとして、従来輸入がほとんどなかった品目につきまして最低限度の市場参入機会を与える観点から、WTOの全ての加盟国の合意の下に設定をされたものであります。このような経緯の下に導入されたものでありますので、米のミニマムアクセス、輸入数量の削減、廃止につきましては極めて困難であると考えております。
 一方で、MA米の大部分につきましては、国が一元的に輸入をして、加工用や飼料用等の主食用以外の用途に限定をして販売するなど、MA米によって国産米の需給に影響を及ぼすことのないよう運営をしておりますが、主食用米の国内需給が減少していく中で、生産者の皆様には、先ほど来申し上げているとおり、需要に応じた生産に取り組んでいただけるように対応してまいりたいと考えております。

○紙智子君 あのね、農家の人の発している声をどう思うかと聞いたんですけどね、気持ちは分かるぐらいは言ってほしいんですよね。
 ミニマムアクセス米、輸入米は、七十七万トンもあるわけですよ。国内のどの都道府県よりも多い数量なんですね。しかも、アメリカからの輸入というのは約三十六万トン、固定化しています。これって、どう考えてもおかしいんです。前から言っているんですけどね。
 ミニマムアクセス米は輸入機会の提供なんだと、輸入の義務ではないわけです。国内で米が過剰になっていて、主食用米ではなくて餌を作れと言う前に、輸入米を国産に置き換えるという対策が必要になっているんじゃないですか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 済みません、もう一回ちょっと。

○紙智子君 餌を作れというふうに農家の人に言う前に、輸入米を国産に置き換えるという、そういう対策が必要なんじゃないですかと聞いたんです。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) そのMA米の大部分につきましては、国が一元的に輸入をして、加工用米や飼料用米等の主食用米以外の用途に限定して販売するなど、国産米の需給に影響を及ぼすことのないように運営を行っておりますので、それを前提として、主食用米の国内需要が減少していく中で、生産者の皆様に需要に応じた生産に取り組んでいただけるように対応してまいりたいと考えております。

○紙智子君 ちょっと、それ、次の質問の答えになっちゃっていて、今聞いたのは、要するに、農家の人に餌米を作れと言って、そうしておきながら、義務でもないミニマムアクセス米はもう三十六万トンでちゃんちゃんと入ってきているわけですから、そこを国の裁量で、今余るということを言っているわけだから、それだったらそこを切り替えたらいいんじゃないかということですよ。それについてどうですか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君)MA米の位置付けにつきましては、今ほど来答弁をしているとおりでありますので、その位置付けであると認識をしておりますが、それとその需給緩和に対応する政策というのはまた別だというふうに思っております。

○紙智子君 コロナで、コロナ禍で過剰になっている中で、農家も農協も努力をしているわけですね。それで、このときに公助、政府の役割が試されているんだと思うんですよ。輸入米に本気になって向き合って対応するということは、これは生産者のプライドを傷つける政策を変える、これが政府の役割なんじゃないかと思うんですね。
 今の米政策というのは、生産数量目標の配分を国は行わないと、それで全国農業再生協議会が、実需者と産地のマッチング支援、それから関係先との情報を共有して需要に応じた生産に取り組むことを求めていると。地域の再生協議会は国の情報を基にして地域で作物の種類や生産量を決定して、生産者はその情報を基に営農計画を決定するという仕組みなわけですよね。つまり、需要に応じた生産に取り組むように、生産者と農協などに自助と共助を求める政策になっていると思うんですよ。
 JAからは、そうは言うけど、農協の集荷というのは大体五割ぐらいなんだと。まあ、七百万前後あるとしたら三百万トンぐらい集荷されているだけだから、農協を通さない流通が多いんだと。だから、価格下落というのを止められないと。米の直接支払がなくなったことも打撃だけれども、数多くの中小の農家が米作りをやめるというふうになってきているという深刻な声が上がっているわけですよ。
 生産量が増えれば価格が下がる、生産量が減れば価格が上がるというのは当たり前の話で、生産調整を農協や再生協議会に求めて、需要頼み、市場頼みの政策では限界があるんじゃないでしょうか。そのことをよく考えてほしいんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君)系統外の話も今いただいたところでございますが、米政策につきましては、主食用米の需要が毎年減少していくと見込まれる中で、先ほど来申し上げますとおり、需給と価格の安定を図っていくためには、消費拡大ですとか輸出拡大等の取組を進めつつ、自らの経営判断による需要に応じた生産、販売を進めていくことが重要と考えておりますが、他方で、食糧部会におきまして主食用米の生産量、これ六百九十三万トンとする見通しを示すなど厳しい状況にありますので、この状況を乗り越えるためには、国、地方公共団体、それからJA系統以外も含めた産地、生産者が一体となって取り組んでいく必要があると考えております。
 このため、各県の県庁のほか、JA系統だけではなくて非JAの大規模生産者等も構成員とする地域再生協議会等を集めた全国会議につきまして、節目節目で小まめに開催をして、各県の生産の目安の設定状況ですとか直近の需給状況等の情報提供を行ってまいりたいと思いますし、各県におきましても、この各地域の再生協議会や系統外の大規模生産者等に対してより小まめに情報提供していただくことで、オールジャパンで需要に応じた生産、販売の更なる推進に取り組んでまいりたいと考えております。

○紙智子君 だから、それがもう限界に来ているんじゃないですかということを言っていて、自助、共助、公助と言うんだけど、結局公助がないんですよ。米価が下落しているときに政府のセーフティーネットが機能しているかどうかということが問われているわけです。
 生産者はこのままでは米作って飯食えない、生活できないという危機感が非常にあるわけで、政府は、私、やっぱりコロナの下ですよ、今、予想していなかったコロナの状態の下で緊急に備蓄米として買い入れたらどうかと。これ前にも大臣に対して申し入れましたけど、そういうコロナの対策として買い入れたらどうなのかと、今、緊急に。どうですか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 政府備蓄米は、不作等による主食用米の生産量の減少によりましてその供給が不足する事態に備えて、必要な数量の国産米を在庫として保有するものでありますので、需給操作ですとか価格の下支えを目的として主食用米を国が買い上げて市場隔離することはこの趣旨に沿わず、また、自らの経営判断による需給に応じた生産、販売を進める米政策にそぐわないものと考えております。
 しかし一方で、農林水産省としましては、新型コロナウイルス感染症の影響等によりまして中食、外食向けの需要が落ち込んでいる状況を踏まえまして、米穀周年供給・需要拡大支援事業による保管経費の支援対象期間を拡充、これ五か月前倒しをして十一月から支援するということにしたわけですが、また、本支援を活用して全農等において二十万トン程度の調整保管に取り組むものと承知をいたしております。
 また、一次補正の国産農林水産物等販売促進緊急対策の対象品目としまして、需要が大きく減少しております中食、外食向けの米を新たに追加をして販売取組の実施をしていく。これ、例えばインターネット販売の送料支援ですとか、中食、外食の販促キャンペーンで使用する米の費用支援等々でありますが、このような対策を進めてまいりたいと考えております。

○紙智子君 もうとにかく口が裂けても絶対備蓄米買うと言いたくないという感じなんですよね。だから、自助、共助は求めるけれども、菅総理が言っている政府のセーフティーネットというのは、結局、その機能を発動しないと言っていることと一緒なんですよね。これ、さっきも話、議論ありましたけど、来年も米価が下がったら稲作経営は深刻な打撃を受けることになると思いますよ。やっぱりそういう状況を今本当に変えなきゃいけないというふうに思います。
 そこで、十一月五日に二〇年産の水稲の予想収穫量が発表されたわけですよね。九月十五日の生産量の見込みよりも十二万トン少ない七百二十三万トンだと。それでも、来年の作付面積は六万ヘクタール減反することになるわけです。六万ヘクタールというと福島県の作付面積に匹敵する広さで、大体三十万トンに近い数量を主食用から非主食用に転換するということになるわけですね。
 来年度に向けた対策としては、この非主食用米や麦や大豆などに転換するために、水田活用交付金、それから産地交付金、これを大幅に増やすべきだというふうに思いますけれども、大臣の答弁をお願いします。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 水田活用の直接支払交付金につきましては、戦略作物助成におきまして、米粉用米ですとか加工用米、飼料用米、麦、大豆等の作付けに対して全国一律の単価で支援をするとともに、地域の裁量で支援内容を設定可能な産地交付金において、令和二年度から加工用米、輸出用米や高収益作物等に転換した場合の加算、拡大加算の単価を引き上げる等、主食用米からの転換のインセンティブを高めているところであります。
 令和三年度予算概算要求では、これらの基本的な仕組みを維持した上で、前年度と同額の三千五十億円を要求をしております。加えまして、国産の麦、大豆の需要を捉えた生産拡大と安定供給の実現に向けまして、麦・大豆増産プロジェクトの推進のための予算を今新規要求しているほか、本年度と同様に、水田における野菜や果樹などの導入を支援する予算を要求しているところでありますが、これらも含めて更に必要な対応に対して必要な予算が確保できるように、今財政当局とも議論して検討しているところでございます。

○紙智子君 思い切ってしっかりやってほしいと思うんですよね。
 それで、二〇一四年の一月に安倍前総理は世界経済フォーラムのダボス会議に出席して、民間企業が障害なく農業に参入し、作りたい作物を需給の人為的なコントロールなしで作れる時代が来ると、私は岩盤規制を打ち破るドリルになると言ったんですね。それから、国内外で四十年以上続いてきた米の生産調整を見直し、減反を廃止するというふうに言ったわけですよ。
 今の米政策というのは、この路線の具体的なところを走ってきているということだと思うんですね。だけど、安倍政権になってどうだったのかというと、食料自給率は低迷を続けて、生産基盤の弱体化が続いているわけです。そして、今コロナ禍で生産者は、主食である米生産を続けるかどうか、大きな選択に迫られているわけです。
 こういう政策を続けて、本当に日本の農業、農村が元気になるのか、若い人たちが希望を持ってやれるというふうに思えますか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 先ほど来申し上げておるとおり、水田の農業の基本的な考え方につきましては、これは需給に応じた生産、販売をしっかり進めていくということが基本だというふうに思っておりますし、それがしっかり達成できるように、どういうインセンティブ措置が必要になるか等々検討しているところでございますが、こういうことを進めることによって、やはりこれからも若い世代がしっかりと農業に取り組んでいこうと思ってもらえるような制度にしてまいりたいと考えています。

○紙智子君 私は、やっぱり岩盤を壊すとか言って自己責任を押し付けてくる、攻めの農政と言ってきましたけど、こういう農政から転換しなきゃいけないと、やっぱり人と環境に優しい農政に転換していく必要があると思います。農村に元気をもたらして、若い人が希望を持ってやれるようにするためにも、家族農業を大事にする、あるいは中山間地域の支援をもっと強化するとか、そういう公助の部分というのが決定的に足りないわけで、そういう農政に転換するべきだということを言っておきたいと思います。
 次、漁業についてもお聞きします。
 日本海大和堆の周辺水域で、中国漁船がイカ釣りの違法操業をやっています。日本の排他的経済水域で何でこの中国漁船が漁をやっているんでしょうか。漁業でも国の役割が問われていると思うんです。以前は、小笠原諸島の周辺で、排他的経済水域で中国の漁船が違法にもアカサンゴを捕ったことがありましたけれども、そのときは中国人の船長を逮捕しているんですよね。大和堆では、政府は日本の漁船に漁業自粛、操業自粛を、日本の船にですよ、操業自粛を求めたようです、まあ危ないということなんでしょうけど。アカサンゴのときに比べれば余りにもこれ手ぬるいんじゃないかと。
 大和堆で安心して日本の漁船が漁をできるように、そういう対策を取るべきではないんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 大和堆周辺水域におきます外国漁船等による違法操業を取り締まるために、本年十一月十六日で延べ四千百七十八隻の外国漁船に退去警告を実施しておりまして、そのほとんどが中国漁船ということであります。
 我が国の排他的経済水域における外国漁船等の違法操業につきましては、状況に応じて立入検査ですとか拿捕などの厳しい対応を行うこともあると考えておりますが、大和堆周辺水域における多数の外国漁船等の違法操業に対しましては、放水等により厳しく退去措置を行っていくことが最も有効な手段であると考えております。
 水産庁としては、本年三月に大型漁業取締り船二隻を就航させまして、イカ釣り漁業の漁期が始まる前の五月から、これら二隻を含めて大和堆周辺水域に重点配備をしております。漁業取締り船と巡視船の配置の見直しなどを行って、海保とも連携強化を図っているところであります。
 また、令和三年度中には新たに二隻の大型漁業取締り船を就航させて、取締り能力を強化するとともに、海保との一層の連携強化も図ってまいりたいと思います。
 それで、中国、サンゴのときとの、サンゴの違法操業のときとの対応が違うじゃないかという話もございましたが、大和堆周辺では、今申し上げましたとおり、昨年一年間で五千隻以上の外国漁船の数ということで大変多いことから、取締り船の数が限られている中で一隻ずつに立入検査や拿捕を行いますと、その隙に他の漁船の侵入を許してしまうということになりますので、先ほど申し上げたとおり、放水等といった厳しい措置によって退去させることが最も効果的であると考えているところであります。

○紙智子君 やっぱり外交を、ちゃんとこの窓口あるわけですから、外交交渉もしっかりやってもらえるように是非取り組んでいただきたいというふうに思います。
 それから、漁業法が十二月に施行されるわけですけど、水産庁は漁業の資源管理を強化するために資源管理の方法とロードマップを公表しました。これは非常に不評です。
 水産庁は、漁業法の改正のときに、北海道への影響は余りないですよということで漁協に説明していたようです。しかし、漁協からは、いや、そう言われて、余り関係ないんだろうと思っていたら、蓋を開けたら全く違うじゃないかと。ロードマップはいかがなものかといって怒っているんですね。漁協も、漁師はスケソウダラを始め既に資源管理に取り組んでいるわけです。既にTACに従ってこれまで漁をしているのに、資源が回復していないと。資源管理の計算方式を幾ら説明されても、これ当たったためしがないと言っているんですね。資源管理が一律に強化されたら、これ、孫子の世代に資源が増やすためというのは分かると、だけど、孫子の資源が増える前に今の漁師が潰れてしまうよと、そういうふうに言われるんです。
 大臣、こういう意見が出ているのに、これ進めていいんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 九月三十日に策定、公表した資源ロードマップでありますが、科学的な資源調査・評価の充実、またTACによる管理の推進などによって、新たな資源管理システムの構築のための道筋を示すものでありますが、具体的には、令和五年までに資源評価対象魚種を二百種、あるいはTAC魚種を漁獲量の八割とすることを目指すとともに、令和十二年には漁獲量を十年前と同程度まで回復させることと、目標としております。
 実施に当たりましては、今先生からお話ありましたとおり様々な現場の御意見がございますので、漁業者を始めとする関係者の理解とこれは協力を得るために、今年度中に主要な漁業地域、漁業種類をカバーする現地説明会を実施をすることといたしております。この地域ごとの漁業の実態を踏まえつつ、関係者の理解を得ながら工程を一つ一つ実行してまいりたいと考えております。

○紙智子君 国が一方的に押し付ける方法というのは公助とは言わないと思うんですね。
 私、昨年と今年、改正漁業法の説明状況と議事録を提出するように求めていました。水産庁は、説明会に参加した団体は網羅的には把握していないと、議事録は作成していないというふうに回答したんですね。
 それで、どういう説明会しているんだろうというふうに思って、聞いてみました。そうしたら、説明会に出席したある参加者は、いろいろ、いろいろ説明聞いた後に質問しようと思ったら、いや、もう帰る飛行機の時間だから終わりですと言われたということでね。これじゃ、水産庁信頼してくださいと言われても、理解得られないというふうに思うんですよ。
 本当に説明会で出た意見を踏まえて検討するということが、その気持ちがあるんであればやっぱり議事録やメモというのはあるはずで、現場の理解と合意なしに進めてはいけないと思うんですね。現場の声聞くという話ありましたけど、やっぱり一律ではなくて、ちゃんと意見を踏まえて一度立ち止まるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょう。

○国務大臣(農林水産大臣 野上浩太郎君) 今申し上げましたとおり、しっかりと現場のお話に耳を傾けて、説明会も何度となく充実をさせてやってまいりたい、現場の理解を得ながら進めるということで進めてまいりたいと思います。

○紙智子君 一律にやったら本当に大変だと思います。私、北海道だけじゃないですから、東北の三陸だとか石川だとかいろいろ回って、漁業の、富山、いろいろ回って意見聞いているわけですけど、やっぱりみんな口をそろえて言うんですよ。意味は分かると、資源は管理しなきゃいけないと、誰も否定しないだろうと。だけど、今やっている沿岸の人にしてみたら、もう捕るなと言われていると同じなんだと、そういう声が出ている中では、やっぱりちゃんと立ち止まって、よく声を聞いてやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 ちょっと時間来ましたので、あと種苗法のところをちょっと入口だけやろうと思ったんですけど、お呼びしていましたけど、それはちょっと時間切れになりましたので、この次にまたやりたいと思います。
 ありがとうございました。