<第201回国会 農林水産委員会 2020年5月14日>


◇新型コロナ 持続化給付金の災害特例について/森林組合法改定案について/樹木の伐採後の造林未済地の調査について/大規模伐採が、自然災害において山の崩壊を招いていることに対する認識について/森林組合の事業の目的から非営利規定を削除することについて/森林組合の経営について/山村の雇用について/自伐型林業への支援について

○森林組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず初めに、新型コロナ対策の持続化給付金についてお聞きします。
 コロナ感染防止のために、飲食店の休業などによって今いろんな分野が影響を受けているんですけれども、例えば木炭の出荷も大きく減少していると。北海道のある木炭の製造業を営む方からのお話なんですけれども、飲食店の休業によって需要が一気になくなり、在庫が過剰ぎみだと、札幌や苫小牧などの道内の飲食店だけでなく本州の焼き鳥チェーン店にも卸していて、毎月発送してきた、現在は半減だと、外出自粛でイベント中止が続出して需要がなくなっているという話です。
 この方は、実は胆振東部地震でもって、四つの炭焼きの窯があったんだけど、全部崩壊しちゃったと。その後、十か月ほど営業ができずに、昨年六月に窯が復活をして、木炭の製造がようやっと軌道に乗ったやさきということです。事業所が被災したことによって二〇一九年に休業を余儀なくされていた事業者は持続化給付金の対象にならないんじゃないかと思っていたんですけれども、これ、なるのかならないのかをちょっとお聞きします。中小企業庁、お願いします。

○政府参考人(中小企業庁次長 鎌田篤君) お答えいたします。
 持続化給付金におきましては前年同月比での事業収入の減少を要件の一つとしているところでございますけれども、幅広い事業者の皆様に申請をしていただけるよう、様々な特例を設けているところでございます。
 この特例の一つとしまして、御指摘のように、罹災が原因により一定期間の休業を余儀なくされていた場合などにつきましては、前年同月との事業収入の比較による申請が難しい事業者に御利用を検討いただけるものも用意しているところでございます。具体的には、二〇一九年又は二〇一八年に発行された罹災証明書などを提出することで、証拠書類として罹災前年分の確定申告書類を用いることができることとしております。
 罹災によりまして本来よりも前年の事業収入が下がっている場合には、こうした特例の活用も御検討いただきたいと考えております。
 以上でございます。

○紙智子君 つまり、前年と比較する場合、前年がゼロなので比較するものがないということだったんだけれども、もっとその前から比較することができるということで、対象になるということだと思います。
 余り知られていないのがあって、対象となる方が申請から漏れることのないように、やっぱり引き続いて周知徹底をしていただきたいと思います。
 それで、給付対象の要件の売上げが五〇%以上減というのがあって、これが支援対象を狭めていると思うんですね。持続化給付金が幅広い農林漁業者が活用できるように、大臣、是非ともこれ要件を緩和すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 今経産の方から説明がありましたように、罹災証明等の手続は必要ですけれども、そういった胆振の対応もできるということでありますから、そういった周知についても、農林省としても努力をさせていただきたいと思います。
 私どもとして一つ引っかかっていたのは、所得の把握ができなきゃいけない、申告をしていなきゃ駄目だと、青申か白申じゃなきゃ駄目だよという話が最初は経産あったんですけれども、その後経産さんもいろいろ考えていただいて、住民税の申告をしていればいいということになりましたので、農業所得を、基本的には農林水産業に係る所得を申告していれば対象になるということでありますから、そういうことであればほぼほぼ全てというレベルに近い範囲で網羅ができると思います。
 ただ、この五〇%というものについては、農業は一年中平準的に収入があるわけではなくて、ある月とない月ありますので、昨年一年分を前年同月比ということではなくて、十二で割っていただいてその平均値と、来年の一月十五日までがこれ締切りでありますから、なかなかそこまで持続化給付金を待つだけの体力がないという事情があることは重々承知をしておりますけれども、五〇%を切る月を是非選定していただいてやっていただくと、例えばハウスなんかでも、全く消毒の期間なんというのは収穫がないわけでありますから、極めてこの持続化給付金を受給する要件としては、農林水産業はハードルがほかの業種に比べては低くなるのではないかというふうに考えておりますけれども。
 まだ足らざる点があれば、また関係省庁としっかり協議をさせていただきたいと思います。

○紙智子君 コロナの影響で相当大変な思いしている人がたくさんいらっしゃると思いますので、是非受け取れるように、閣僚の一員としてそのことを強く求めていただきたいと思います。
 それから、森林組合法の改定案についてお聞きします。
 先ほど森議員も質問されていましたけれども、未来投資会議がこの森林組合について指摘している箇所があります。未来投資戦略の二〇一八年とか昨年六月二十一日の成長戦略フォローアップとか、ここのところで触れているんですけれども、どういうふうに触れているのかというところをちょっと紹介をいただきたいと思います。

○政府参考人(内閣官房日本経済再生総合事務局次長 佐藤正之君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘のございました未来投資戦略の記述でございますけれども、まず、令和元年六月に閣議決定をされました成長戦略フォローアップにおきまして、森林組合について、製材工場等の大規模化等に対応し、組合間の連携手法の多様化に向けた検討を行うという旨の記述がされております。
 加えまして、平成三十年六月に閣議決定されました未来投資戦略二〇一八におきましては、製材工場等の大規模化等に関連しまして、大規模製材事業者を中心としたバリューチェーンの全国での展開に向けて、ロット、品質共に安定した供給ができるよう、関連事業者との連携や製材工場、合板工場等の大規模化を進める旨の記述がされております。

○紙智子君 今回の法案は未来投資戦略の具体化というふうにも言えると思うんですね。
 そこで、国産材の年間消費量が五万立方メートルから十五万立方メートル規模の大規模な製材工場なんですけど、これ、二〇〇八年のときは十六か所だったんです。それが二〇一七年には五十か所と、三倍以上になっているわけですね。
 なぜ、これ、森林組合が今こうやってどんどん増えている大規模製材工場に対応しなければならないのか。大規模製材工場などに国産材を安定供給するために、これ森林組合に大規模伐採を求めるんでしょうか。

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) お答え申し上げます。
 森林組合が地域の林業の担い手として役割を果たしていくためには、地域の森林整備にしっかり取り組みながら販売事業を拡大して、山元への利益の還元を進めていくことが必要となっております。こうしたことを実現していく上で、製材工場が大規模化している状況に対応し、原木の供給の規模拡大を図り、安定供給することで供給サイドの価格交渉力を強化していくことは非常に重要なことだというふうに考えております。現に、現場の動きとしても、森林組合連合会や森林組合が連携して川下の大規模工場と価格交渉を行う、海外輸出に取り組むといった事例も出てきているところでございます。
 このような森林組合の連携強化を促進する今回の法改正により、安定供給体制の構築、川上側等の価格交渉力の向上、こういうものを踏まえて山元への利益の還元ということに取り組んでまいりたいと思っております。

○紙智子君 大規模製材工場や輸出に向けて素材生産量を増加させるために言わば森林組合を巻き込む、担わせていくということになるわけですけれども、そうなると、山づくり、山村地域はどうなるのかなということなんですね。
 山づくりについてお聞きしますけれども、安倍政権は、森林所有者は経営意欲がないとして、集約化や大規模化を進める森林経営者を育てる森林経営管理法を作りました。国有林も、それでもって開放していきます。
 安倍政権は皆伐施業を推進しています。林野庁は伐採後の造林未済地の調査をしていると思うんですけれども、これについて説明をしていただきたいと思います。

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) お答えを申し上げます。
 伐採後に造林されていない造林未済地の面積、これにつきましては、平成二十六年度末の八千九百十六ヘクタールから、平成二十九年度末には一万一千四百四十四ヘクタールに増えているところでございます。
 林業採算性の長期低迷や経営意欲の低下等によりこうした造林未済地が発生しており、この解消を図ることが重要と考えております。

○紙智子君 お配りしている一枚物の資料ですけれども、これ見てほしいんですけれども、今おっしゃったことですね。安倍政権になって三年間で、この造林未済地、つまり木を切った後造林されていない山林が二千五百二十八ヘクタールも増えているわけですよね。
 なぜ再造林されないのかということを、林野庁としては原因を分析していますか。

配布資料 造林未済地面積(平成29年度末時点)

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) 造林未済地が増えているということにつきましては、林業採算性の長期低迷とか経営意欲の低下ということでございますけれども、特に、山元に、森林所有者にきちっとお金が返っていないということで、再造林を見込まない、計画しないという森林所有者が出ているということだと思っておりますし、また、後継者が、先ほどもお話ございましたけれども、自分の代で収穫できるものではないということで、後継者が山に関心がない、あるいは都会に行ってしまって戻ってこないと、そういうような方々が再造林をすることをためらっていらっしゃるということだというふうに感じております。

○紙智子君 感じておりますという最後なんですけど。
 私これ最初に聞いたときに把握していなかったんですよ、何でそういうことになっているのかということを。いや、数字は集めているけれども、なぜそうなっているかというところまでは分析されていないんですよ、もう驚いたことに。それなのに皆伐を進めるんでしょうか。
 二〇二五年の国産材の供給目標というのは、これ四千万立方メートルですよね。そこに向けて大規模伐採を進めれば、これ、造林未済地が更に増えることになるんじゃありませんか。

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) そのような造林未済地が発生しないように、森林所有者等に関しては再造林に対する助成を行っているところでございます。
 また、伐採、造林を一貫に行う一貫作業の導入、路網整備等による造林のコストの低減、先ほどございましたが、成長の早いエリートツリーや早生樹の植栽というようなことで育林コストを低減させる、こういうことを踏まえて森林所有者の造林意欲を向上させるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 また、これに加え、経営管理法では、林業の採算ベースに乗らないものについては市町村に委託をして、市町村として森林整備を実施していただくというようなことも考えていきたいというふうに考えております。

○紙智子君 説得力がないんですよね。
 森林組合の方にお話を聞いたんですけど、皆伐した場合は、五十年から六十年の人工林で一ヘクタール当たり三百万から四百万の売上げがあるが、現在、三割程度の還元があって初めて植栽の費用がペイできると、しかし一割しかないというんですね。つまり、現在の市場経済においては林業所得の増大や山元への利益も還元できないと、だから山に植えるお金が出てこないということなんです。
 採算が合わない皆伐を進めれば山はどうなるのかということですけれども、近年、台風や豪雨災害、地震などの自然災害が多発する中で、森林が有する土砂災害防止機能あるいは洪水を緩和する水源涵養機能が損なわれています。二〇一一年の紀伊半島の豪雨、二〇一七年の九州北部豪雨、二〇一六年の台風十号では岩手県の岩泉町の水害でも多くの崩壊が起こりました。中下流域に甚大な被害をもたらしています。昨年の台風十九号も、河川の氾濫や決壊を引き起こして甚大な被害を及ぼしました。
 大型林業機械を使うために造った幅広い道が川になってしまって、大規模に伐採した山が崩壊を招いているという状況もあります。森林崩壊によって谷に土砂が流れて、河川の川下の河床を押し上げて、それで氾濫リスクが高まっているという指摘もあります。これについて林野庁はどのように認識されていますか。

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) お答え申し上げます。
 近年、記録的な豪雨による山地災害が多発しており、このような災害を防ぐためには、森林の立地条件に応じた多様な森づくりを進める必要があると考えております。
 このため、森林法に基づき市町村が策定する市町村森林整備計画において、森林が求められる機能に応じたゾーニングを行っており、例えば、傾斜が急なところなどには山地災害防止機能の発揮が求められており、長伐期の施業であるとか複層林といった施業を進めているところでございます。また、皆伐を行うに当たっても、伐採区域の形状や面積規模の配慮を求めるなど、地域の実情に応じた伐採方法の規範を定めているところでございます。
 一方で、林業採算性の長期低迷、経営意欲の低下により手入れ不足の森林、造林未済地が発生したところでございまして、昨年度スタートした経営管理制度によって、意欲の低下した所有者から意欲と能力のある者や市町村への経営委託を進めることにより、手入れ不足の森林における間伐等の実施や伐採後の再造林の確保を推進しているところでございます。
 また、平成二十九年の九州北部豪雨や昨年の台風十九号などの記録的な豪雨による災害の発生メカニズムの専門家による検証では、森林の機能を大きく超える自然の力が働いた結果発生したものとの報告がされております。
 このような災害に備えるため、治山施設の設置等により山腹崩壊の防止を図る治山対策も併せ推進することによって災害に強い森づくりを進めてまいりたいと考えております。

○紙智子君 川下の大型木材産業のために皆伐を優先した林業の成長産業化路線では、森林の荒廃に歯止めを掛けることにはならないと思います。
 次に、森林組合が一体この先どうなるのかということですけれども、現行法の第四条について聞きます。
 森林組合の事業の目的から非営利規定を削除しますけれども、なぜ削除するんでしょうか。

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) 森林組合については、改正後も森林組合員への直接の奉仕が求められることには変わりがございません。さらに、今後は、森林経営管理制度の創設を受けて、意欲と能力のある林業経営者として山元への一層の利益還元に向けてますます大きな役割を果たすことが期待されているところと考えております。
 このような中で、営利を目的としてその事業を行ってはならないとの規定を今後とも残したままとすると、あたかも組合が組合員の利益増進のためであっても利益を得てはならないというような誤解を与えかねませんし、現実に、組合員が組合の利益増進のためでも利益を得てはならないと発言する森林組合の役員もいたりすることから、このような規定を削除した上で、組合員への利益の還元、組合の事業に従事する者の処遇の改善を促すため、林業所得の増大に最大限の配慮をしなければならないということを公益的機能の維持増進を図ることと併せて規定に追加したところでございます。

○紙智子君 誤解があると言ったんですけど、誤解があるんだったら周知すればいいんですよ。法律から非営利規定を削除する理由にはならないと思うんですね。非営利規定を削除するのは、要は、森林組合が本来の地域を越えて大規模伐採を進めるには四条の非営利規定が邪魔になるからなんじゃないんですか。
 続けてちょっと言いますけれども、非営利規定を削除して四条二項を新設をし、森林所得の増大に最大限の配慮をしなくてはならないという文言を追加しています。
 ある森林組合の役員さんは、こん包材とか製材などを行っている加工部門が赤字だけれども、地元の雇用を守るために事業を継続していると。それでもって、公共土木で使ってもらえるように営業活動をしたり、黒字化するために単価を改善させるなど努力をしていると。だから、首切らないために精いっぱいそうやって、赤字なんだけれども努力していると。
 森林所得を最大限に配慮するというふうに言われたら、これ、赤字部門を切り捨てる森林組合が出てくるんじゃないんですか。

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) 森林組合につきましては、地域の森林・林業の担い手として重要な役割を果たしてきてもらっているところでございますし、今後もその位置付けは変わらないというふうに考えております。
 林業所得の増大に最大限の配慮でございまして、今委員が申し上げられましたような、地域の雇用を守る、地域の森林を守るということも森林組合の、特に組合員の利益を守っていくためにも必要なことだというふうに思っております。

○紙智子君 ちょっと時間が押してきたので。
 第四十四条の十項において、販売事業や法人経営に関する実践的な能力を有する者を理事に置くことを義務付けていると、素材生産者と競争させることになるんじゃないのかと。四千万立方のこの供給目標を達成するのが今の目標だと思うんですけれども、そうなると、山村の雇用というのは一体どうなるんだろうかと。
 法案では、会社法の手法である事業譲渡、吸収分割、新設分割を可能とするものになっています。第八十八条の七項で、吸収分割による労働契約の継承については、事業を分割する組合と承継する組合で協議した後に分割する事業に従事する労働者と協議することになっているんですけれども、この労働者の労働条件というのが維持される保障はあるんでしょうか。

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) お答えを申し上げます。
 まず、法の四十四条第十項の関係でございますけれども、例えば、交渉力を高め、高く販売することで川上へ利益を還元することは周囲の、川上側の民間の個人事業者にも収益性の向上というメリットをもたらすものと考えており、民間の素材生産事業者と競合するということではなく、共に生きていくという取組にしてまいる考えでございます。
 また、分割によって労働者が組織を移る場合には、森林組合法第八十八条の七第二項の規定により読み替えて準用する会社分割に伴う労働契約の承継に関する法律第三条の規定に基づき、既存の労働契約が承継されることとなっております。
 また、森林組合が分割を行う場合には行政庁の認可を要することとしており、法令に違反する分割の認可が行われ、森林組合に雇用される方が不利益を受けるような分割が行われることのないよう、しっかりと監視、指導を行う考えでございます。

○紙智子君 不利益を受けないように監視しなきゃいけないという話なんだけど、実際に担保できるかどうかというのは分からないですよね。
 事業は移ったと、あなたは今まで外で木切ってきたけれども今度は事務になりますよと言われて、いや、自分は事務はできないと、やっぱり引き続き外でやりたいということになって、そこに行かないということだって出てくるわけですよね。そのときにその人どうするのかとなったら、やっぱり経営的に大変だったらそのまま雇用できないということになりかねないという事態はあると思うので、そこのところは担保できないんじゃないかということを非常に懸念として思います。経営基盤を強化したけれども人がいなくなってしまったというような、そういう山村づくりとか山づくりではやっぱり良くないと思うんですよね。
 それでもう一つ、今、大きな投資が必要な大規模集約型の林業じゃなくて、山を大事にして山を育てる自伐型の林業というところにも注目が集まっています。
 自伐型の林業というのは、皆伐などの過度な伐採はせずに、必要最小限の間伐で良い木を残すことで山全体の価値を上げていくと、そして、作業道も幅広いのを造らないで、小道を山林に整備をして、いつでも車両で入れるような山をつくって、そして大雨にも耐える壊れない道造り、余計な山崩れを予防することにもつながると、こういう自伐型の林業の研修参加者が今全国で四千五百人を超えているというんですね。山に入って木を切って出荷、販売している人が約千七百人ということなんですけれども、こういう自伐の林業の取組が広がっているのはなぜだと思いますか。

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) いわゆる自伐型林業については、各地に取組が広がっていると認識しております。
 その主な理由としては、地域の活性化のための支援措置が充実することにより自伐型林業に必要な小型機械の装備が容易になっていること、自伐型林業は労働者を雇うことなく自ら施業を行うことでコストを抑えることによって収益を上げることができることなどから、U・Iターンなどで山村に移住し、自伐型林業を始める方が増えているということが挙げられると考えております。

○紙智子君 一昨年、私、高知県の佐川町というところに調査に行ったんですね。そのときに、町長さん自身が、この町はもう山しかないのでこれで食っていかなきゃならないということで自伐林業に取り組んでいて、地域おこし協力隊の制度を活用しながら若い人を呼び込んで、何組も研修をやって、そして実際に定着させていると。皆伐じゃなく間伐を繰り返して、持続可能な林業をやっているんですね。こういう自伐型林業で長期多間伐施業を行うことで持続可能な環境保全型の林業を実践しているということなんです。
 最後にちょっと聞きたかったのは、政府としてはこういう長期的な視野に立った山づくりの取組を応援していくことも大事じゃないのかと、どういう支援があるんですかということを最後にお聞きしたいと思います。

○委員長(江島潔君) 簡潔にお願いします。

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) はい。
 自伐林業については、地域林業の活性化や山村振興を担う重要な活動の一つと考えておりまして、自伐型林業を行う者を里山林等の保全利用のための共同活動として支援しているということ、地域における自伐林業グループ等による林業経営の集約化等の取組に関して支援しているところでございます。また、自伐型林業を行う者による森林整備についても、要件を満たせば森林整備事業の支援の対象になっているものでございます。
 今後とも、こうした施策により自伐型林業への支援を行ってまいりたいと考えております。

○紙智子君 時間になりましたので、終わります。