<第201回国会 予算委員会 2020年3月25日>


◇新型コロナ 北海道経済の影響について/宿泊業の営業損失への支援について/北海道の雇用調整助成金の助成率について/貸し切りバスへの影響とバス業界の支援について/日本の農業と食糧への影響と生産現場への支援について/農林漁業の経営支援について/食料自給率について/学校給食のパンから検出されているグリホサートについて

○令和二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○令和二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○令和二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 最初に、新型コロナウイルスの国内感染確認について質問いたします。
 北海道では、二月末に知事の緊急事態宣言が出されました。それによる北海道経済への影響は大きく、北海道経済部観光局、札幌市経済観光局は、新型コロナウイルス感染症による観光への影響試算を出しました。
 その内容について、観光庁はどのように把握されていますでしょうか。説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(観光庁長官 田端浩君) 新型コロナウイルス感染症によります北海道の観光関連産業への影響につきましては、御指摘ありました三月十六日の北海道庁の発表によりますと、二月の宿泊者数が昨年同月と比べ二六%減少、三月の予約数が昨年同月比と比べて六六%減少しているものと承知をしております。
 また、北海道庁発表しました試算によりますと、三月の予約数の減少率が四月から六月まで継続していくと、こう仮定をいたしますと、一月から六月までの延べ宿泊者数が、前年に比べ、北海道全体で約九百万人減少し、うち札幌市では約三百五十万人泊減少するということ、また観光消費額につきまして、一月から六月、これについても、前年に比べて北海道全域で三千億円減少し、うち札幌市では一千二百億円減少と試算をされていると承知をしております。

○紙智子君 非常に深刻なわけですね。
 札幌市にある定山渓温泉ってあるんですが、ここで営業されているホテルの影響をお聞きしました。新型コロナウイルスによる中国の団体旅行禁止で海外のお客さんが完全に消え、最後に北海道による緊急事態宣言で二日間で千五百件のキャンセルが出たと。国内のお客さんも途絶えたと。売上げは三月だけでもうマイナス一億円に上ると話しています。
 この営業損失について支援策を打ち出すべきではありませんか。国土交通大臣に伺います。

○国務大臣(国土交通大臣 赤羽一嘉君) 今般の新型コロナウイルスの観光業に対する影響って大変深刻だというふうに承知をしております。私の選挙区の地元にも有馬温泉ございますし、城崎温泉等々ありまして、現地の皆さんからもお話をいただいておるところでございます。
 今先生言われた一億円というのは、多分逸失利益だと思います。そうしたことは、有馬の各温泉もキャンセルが、消えた、前年と比べて億円単位ということは何軒かあるところでございます。
 加えて、観光産業は、旅行業や宿泊業のみならず、貸切りバスですとかハイヤー、タクシー、フェリー、また地元の飲食業、お土産物屋の物品小売業と大変裾野が広くて、地域によっては地域経済そのもの、大変大きなダメージを受けているということでございます。
 今、それぞれヒアリングも受けておりまして、政府としても、先日も観光関係、運輸関係のヒアリングをいただいているところでございまして、近々経済対策のパッケージが発表されるというふうに承知をしておりますが、当面、私が思っているのは、最大の支援策は一日も早い感染拡大の終息、これをしないとどうしてもなかなか応援のするツールが非常に限られていると、これがまず一つ。
 同時に、資金繰りが難しい、また雇用を確保するのが大変だということで、これも政府部内でいろいろお願いしておりますが、貸付け、セーフティーネット保証の拡大ですとか雇用調整助成金の要件緩和ですとか、様々ございます。ただ、中小企業が多いものですから、貸付けも、無担保、無利息、無保証か、そうしたものも現実には審査をされるのでなかなか難しいとか、こうした期間が延びると、返済しなければいけないので、債務の返済猶予とか公租公課の猶予とか免除としたものを求めている声もたくさん聞いております。そうしたことも踏まえながら、現場の皆さんに意味のある支援策を打たなければいけないと思っております。
 加えて、なかなか逸失利益について算定も難しくてですね、応援、その辺ちょっと技術的に検討もしているところでございますが、なかなか簡単じゃないなと思いながらも、環境が落ち着き次第、やはり反転攻勢が出て、全員、国中の皆さんが観光ができるような需要喚起政策、相当大型のものを打っていただけるように今政府部内でも検討しているところでございますので、いずれにしても観光産業は地域、地域経済のそのものだと思っておりますので、しっかりと取り組んでいきたいと、こう考えております。

○紙智子君 現在も、この今紹介したところは、ランチをストップさせて、それでとにかく必要最小限で営業を回すということで耐え忍んでいる状況なんですね。観光業や宿泊業への経営支援というのは待ったなしで急がれる課題だと、急速な支援を重ねて求めたいと思います。
 今大臣のお話にもありましたけれども、この間、政府としての各業界のヒアリングをしているというふうにお聞きしました。観光業、宿泊業、そして運輸関係、そういうところからのヒアリングで、要望としては、まあいろいろあると思うんですけれども、共通してどういう要望が出されていますでしょうか。

○国務大臣(国土交通大臣 赤羽一嘉君) 先ほどの答弁にも重なりますけれども、雇用助成金の助成率を北海道並みに上げてもらいたいとか、あと支給限度の日数を延長してほしいとか、また、既往債務の返済猶予、これは先ほど申し上げたとおりでございます。また、雇用調整助成金についても、なかなか手続が煩雑なので簡便化するとか決定まで迅速化していただきたいと、そうしたことでございます。あと、NHKの受信料、旅館関係は多いですから、この支払猶予や減免を行っていただきたいと。
 いずれにしても、大規模な需要喚起策をしっかり打っていただきたいというのが共通したところでございます。

○紙智子君 これも本当に深刻だと思うんですよ、それぞれ大事なんですけれども。
 先ほど紹介したホテルの専務さんは、目下の最大の課題として雇用の維持ということを挙げています。雇用調整助成金は、北海道の場合は、緊急特定地域ということで助成率が五分の四ということで、一日当たり上限が八千三百三十円だと。しかし、従業員全体が休業しているわけではありません。だからといって、これ休みをお願いしている職員だけ雇調金の上限に合わせて減給するわけにはいかないと。ですから、持ち出しで十割の給付を出しているんですね。経営者としては雇用を守るのが一番の責任だと、行政には何より従業員の給与を減らさないために支援に動いてほしいというふうに言っているんです。
 経営者が必死に努力をされている状況で、緊急宣言解除ということで、だからといって、四月に入ったら助成金を、この助成率を三分の二に戻すなんというのはあり得ないと思うんですよ。我が党は十分の十を求めていますけれども、少なくとも五分の四はこれ続けるべきだし、今お話あったように影響は全国に広がっている中で、是非これ国としては全国でやるべきではありませんか。

○国務大臣(厚生労働大臣 加藤勝信君) 今の北海道の件は、まさに知事の宣言を踏まえて全国に比べて特例的な対応をさせていただき、しかも、本来であれば二十時間以上の正規、いわゆる雇用保険に入っている方だけではなくて、二十時間未満のいわゆる非正規の方も含めた対応を取らせていただきました。ただ、知事の宣言が終わりましたので、今委員お話しのように、三週間の宣言があり、二週間は様子を見ようということで、一応四月の二日までということにしているところであります。
 全国の状況でありますけれども、私も、観光、宿泊、旅館、旅行業の皆さんからもお話を聞かせていただきまして、相当な収入減になっているという声も聞きました。そういった意味で、特にその三業種、いろいろ私どもの雇用の窓口に来ている中でも非常に相談が多いところでもございます。
 そうした状況を見ながら、まず、北海道と同じようなことが起きれば当然でありますけれども、それ以外についても、経済・雇用情勢の現状の足下、また今後の動向、これをしっかりと見極めながら、状況に応じた必要な対応は講じていきたいというふうに思います。

○紙智子君 声も聞かれているし、状況を見ながらという話なんですけれども、これ、議論されているのであれば、是非この切迫した状況を受け止めていただいて拡充を求めたいというふうに思います。
 それから、旅行客の減少による影響が大きい、とりわけ、いろいろあるんですけれども、とりわけ貸切りバス、ここの影響が大きいんですけれども、国土交通省としては現状をどのように把握されていますか。

○政府参考人(国土交通省自動車局長 一見勝之君) お答え申し上げます。
 新型コロナウイルス発生によります貸切りバス事業者への影響につきましては、各地方運輸局に設置しております相談窓口に寄せられている相談や問合せ、それに加えまして、私ども国交省によりますプッシュ型の調査、これは貸切りバス全四千三百二十四社に対して大臣の指示を受けましてやっております。
 現時点で把握をしております影響につきましては、インバウンドの減少、あるいはイベント中止の影響、スクールバスの運休や遠足、修学旅行などの中止、こういった影響が大きくなっているものと承知をしているところでございます。

○紙智子君 これも北海道バス協会から営業への影響と要望をお聞きしたわけです。
 それで、二月以降、空港アクセスバス、都市間バス、定期観光バスなど、路線バスの利用者が減少していると。さらに、学校の休校に伴ってスクールバスは休止、路線バスは通学利用がなくなり、ダイヤ変更などによって減便せざるを得ない状況にあると。緊急事態宣言によるイベントや外出の自粛によって、三月は大幅な減収が見込まれるとしているんですね。貸切りバスの事業は、当初は中国を中心としたインバウンド、その後、国内旅行がキャンセルということで加わって、三月はもう壊滅的な影響が出ているわけです。
 北海道バス協会の要望では、まず自動車税などの固定経費の減免を要望していると、さらに、感染拡大がこの先収まった時点ですけれども、緊急対策として、バスを利用した団体旅行が促進されるような優遇措置の政策、これを求めているんですけれども、赤羽大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(国土交通大臣 赤羽一嘉君) 貸切りバスの事業者、四千三百二十四社ありますが、大半が小規模事業者と言ってもいいような状況だと思いますので、なかなか融資といっても返済のことを考えるとできないということもありますので、いずれの税かということは別にして、公租公課ですとか、先ほど申し上げましたNHK、あっ、NHKじゃない、そういう、公益料金、そうしたものの猶予とか免除というものを政府部内で求めていかなければいけないと思っております。
 また、加えて、反転攻勢のときには、できるだけ、これも文科大臣と相談しながら、修学旅行がキャンセルにならないように延期で時期をずらしてやっていただいて、なるべく貸切りバス事業者に仕事が行くような配慮も取っていかなければいけないと思っております。

○紙智子君 やっぱり従業員のこの解雇しないで頑張っている業者に是非とも対処していただきたいし、検討していただきたいと思います。
 政府は、TPPや日米貿易協定などで農産物の自由化をこれまで進めてきました。担い手も、規模拡大、効率化を優先する余り、技能実習生頼みにならざるを得ない状況もあると。そういう中で、今回、新型コロナウイルスの感染症が世界に広がって日本の食料や農業にも影響が出るんじゃありませんか。これ、農水大臣に伺います。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 歴史を振り返れば、牛肉・オレンジ自由化交渉の時代は私のおやじの時代ですけれども、常に日本という国が貿易立国として成り立っていくために農林水産業が負の側面を負ってきたということは否定できない事実だろうというふうに思います。
 しかし、先生がおっしゃった規模拡大とかそういうものは、悪だとは私は思っておりません。やはり分散錯圃している農地については整理をしなければなりませんし、中間管理機構については、いろいろ御意見があるかもしれませんが、畦畔を取って一つの面積を広くして生産性向上を図ることによって一農家当たりの収益率を上げていく、生産性の向上を図っていくこと自体は間違っていないと思います。
 ですから、いろんな要素があって農業は今の状態になっておりますけれども、全てが貿易自由化、それに起因するものだというふうには思っておりません。

○紙智子君 私の質問した趣旨というのは、やっぱり実習生頼みになっている労働力が一気になくなっているということもあったので、そういうことも含めてどうかというふうにお聞きしたんですが。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 今、北海道でも、大規模にかかわらず、酪農家の方々は、中国の方々、ベトナムやマレーシアの方々の技能実習生の方々に営農を手伝っていただかなければいけない。私のところでも、施設園芸の方々は多分に中国からの労働力に頼っているということはあります。
 ですから、先生がおっしゃるように、貿易自由化をやってきたから農業に従事する基幹的農業従事者の数自体が減ってしまったという御批判はあるかもしれませんが、それは、宮崎に住む人間も地方に住む人間も、私の同級生もそうですけれども、やはり一度は東京に出てみたい、大阪に出てみたい、一番近いところでは福岡に出てみたいという方もいて、それは個人の職業選択の自由にも帰属するところでありますから、いろんな事情で今の状態になっているということでございます。

○紙智子君 私が質問している趣旨をちゃんと受け止めて、それから答弁してほしいと思うんですよ。
 農繁期をこれから迎えるわけですよね。技能実習生など働く人が不足して、現場は大変だということになっているわけですよ。農業、漁業、そうですけれども、生産基盤を維持するために、これ緊急の雇用対策が必要なんじゃないですか。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 緊急の雇用対策をやってほしいという御要望はいただいております。ただ、現場の経験が全くない方をいきなり生産現場に入れてもなかなか営農に付いていけない、最初から技能を教えているうちに、もしかしたらこのコロナという今の災難が去って終わってしまうかもしれないということはありますから、基本的には、十三日の日に全農の会長に会って、全国で二十四万人いる農協の職員の方々、これらの方々のお父さん、お母さんは農業を営んでいる方が多うございますので、そういった営農経験が子供の頃でも少しでもあるような方に是非この際現場に入ってほしいということで要望いたしました。全農の方からは協力したいということで、今、組織内でも、現場に含めて今作業が進んでおります。
 それに含めて、あと、農業大学校で、秋になると大体現場に出て農業研修をいたします、農業大学校を卒業する前にですね。そういった人たちも学校でいろんな技能を身に付けてきておりますから、農業大学校の生徒を生かすこともできないか、いろんな角度で人間を確保する努力をいたしております。

○紙智子君 働く人が少ないために規模を縮小せざるを得ない場合、これ、農林漁業の経営を維持するために経営支援策も検討すべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) まず、その規模縮小にならないようにまずは最初に努力をしたいと思っております。
 しかし、経済対策については、それぞれ、例えば漁業でいえば、カニとかノドグロとかウニとか、そういう高級食材の値下がり、マグロもそうですけれども、そういうものが大きい。例えば大衆魚はそんなに下がっていない。物によって、水産業といっても物によって状況が違いますから。畜産業においても、牛肉においては一番影響が激しく出ております。特に高級部位についてはですね、A4とかA5については。
 ですから、このものについては、先ほども若干答弁させていただいたんですけれども、お肉チケットとかそういういろんなアイデアを各党からはいただいておりますけれども、しかし、それを出すということになると、換金性のあるというものでもあるということであれば、しっかりしたもの出さなければなりません。となると時間が掛かりますので、まだ三月で、四月、五月ということになると、その時間の間に営農が立ち行かない、経営が立ち行かないということもあり得ますから、人間の手当てと、それから、無利子無担保の融資資金もあります、セーフティーネット資金ですね、これありますけれども、これも窓口なかなか大変ですので、その短いスパンでの支援策も今検討しているところでございます。

○紙智子君 それで、食料問題も本当に心配なわけですよね。カロリーベースの食料自給率は今三七%です。お配りした資料のとおり、過去最低になっているわけです。

配布資料(1) 食料自給率の国際比較

 二十年前に農業・農村基本法を作ったときに、なぜカロリーベースを重視したのかと。食料・農業・農村基本問題調査会、ここが一九九八年に答申を出しました。カロリーベースの食料自給率について触れていますけれども、ここのところ読み上げてください。参考人。

○政府参考人(農林水産省大臣官房総括審議官 浅川京子君) お答え申し上げます。
 食料・農業・農村基本問題調査会の答申においては、国内農業生産を基本とする総合食料安全保障政策を確立していくに当たって、具体的な指針として食料自給率の目標を掲げるべきであるという強い要請があるとしつつ、供給熱量ベースの食料自給率は、国内で生産される食料が国内消費をどの程度充足しているかを示す指標であり、国民の食生活が国産の食料でどの程度賄われているか、また国内農業生産を基本とした食料の安定供給がどの程度確保されているかを検証する上で分かりやすい指標であると記載されております。

○紙智子君 今紹介あったように、答申では、カロリーベースは分かりやすい指標だと、食料政策の方向や内容を明示するものとして意義があると指摘をしているんです。ちょうどこれ、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意があって輸入が増えて、生産者や消費者が食料供給に対する不安から、国内農業生産の増大を図ることを基本にするということを決めたわけです。
 食料自給率は今三七%で戦後最低になった。これは、関税削減やあるいは輸入枠の増大など、国境措置を緩めてこれ自由化してきたためじゃありませんか、大臣。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 自由化の影響が全くないと強弁するつもりはもちろんありません。それは影響はあります。それは認めた上で申し上げますが、例えば、お米についても日本人自体が余り食べなくなった、米食からパン食になったり、パスタになったりしているという変化がありますが、その例えばパスタについては小麦でありますけれども、国産、国内の自給率が一二%しかない。大豆に至っては六%しかない。
 そういう状況の下で、例えば米について言えば、半膳ぐらい食べていただければ、国民全員が、一日余計に、食料自給率は大体一%上がると言われています。しかし、なかなかそれが実現できない。そういった食生活の変化というものもあると思っております。小麦については国家貿易ですからマークアップを取ってやっているわけでありますけれども、このマークアップのお金は御存じのようにゲタ対策に今使わせていただいて国内対策にも寄与しているということも、ある側面ではあるということも御存じいただきたいと思っております。
 ですから、貿易の自由化の流れがこの食料自給率の低下に影響がないのかと言われれば、ないというふうに言うつもりはありませんが、しかし、それだけではないということも申し上げておきたいと思います。

○紙智子君 自由化が影響がないわけではないということを言われたわけですよね。
 それで、二枚目の資料を御覧いただきたいと思うんですが、日本の農業は生産基盤が弱体化をし、自前で生産する力が弱まっているために国内生産量を維持することさえできない状況になっていると。

配布資料(2) 生産基盤の推移

まさに、いざというときの備えがなくなりつつあると。
 食料は海外に依存するのではなくて、これやっぱり本気になって国内生産を高めて自給率を上げる努力をすべきではありませんか。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 自分もそのように思っております。今回の食料・農業・農村基本計画の中にも、食料自給率ということはこれまで以上に強く書かせていただいております。まだ、今日答申をいただいたばっかりで、私の預かりになっておって閣議決定されておりませんから、本物にはなっておりませんけれども。
 やっぱり、四百四十万ヘクタール、これ、今いただきましたけれども、切ってしまいました。この後ろには、九万二千ヘクタールの今すぐにでも農地に戻すことが可能な荒廃農地がこの後ろには控えております。この農地も含めた上で芋を植えたときには国民を飢えさせることがないということで国民には今説明をしているわけでありますけれども、それはなかなか説得力として厳しいと思います。
 やはり、荒廃農地をこれ以上出さない、そして荒廃農地が今の耕作可能な農地に戻る、そして国民自体ももうちょっと国産を食べようという努力、そして国民の意識の醸成ということもこの食料自給率のアップには欠かせないのではないかと思っております。

○紙智子君 今カロリーベースで過去最低になっているのに、今回の基本計画のところでは、新指標といって飼料自給率を外した自給率に変更するとしているわけですね。
 確かに、それをやると、数字だけ見ると、カロリーベースの食料自給率は三七%から四五%か六%まで上がるということですけれども、私はこれ数字だけ変わっても意味ないと思うんですよ。これ、なぜ変えるんですかね。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) これまでどおり、熱供給ベースの食料自給率を中心で書かせていただきます。これが国民に対して説明する一番のメーンイシューであることはこれからも変わりません。
 しかし、その他の指標も、いろんな国民の方々が多角的に分析していただく上で、また、農業関係に従事している方々が現在を把握し、これからの課題を考える上で役に立つものではないかということで、今回は検討させていただいております。

○紙智子君 今、大臣は、カロリーベースの食料自給率はこれまでとも何ら変わらないんだと、この間の議論でいうと大黒柱なんだと、変わることはないんだというふうに言われましたけれども、それであれば変える必要はないんじゃないかと思うわけですよ。
 それで、今話の中でも、要するに飼料自給率を外すわけじゃないですか、別にするわけじゃないですか。これも飼料の自給率もちゃんと目標を持って、それで上げていくために努力すると言うんだけれども、それだったら変える必要ないんですよ。
 生産者のために変えなきゃいけないようなことを言うんだけれども、私は、身近な生産者の方々がそんなことを考えている人、余りいないなというふうに感じているわけでありまして、飼料の自給率も今の輸入依存からやっぱり国産で高める努力すべきなんですよ。だから、両方ちゃんと進めていくということを今までどおりやるべきだというのが、これ私の考えですけれども、そのことを申し上げておきたいと思います。
 それから、安全な食料は日本の大地からというのは、生産者、消費者の共通の思いです。そういう需要に応えるためにも、カロリーベースの食料自給率を高めることが重要だと思うんですね。
 今、輸入の遺伝子組換え大豆や、国際がん研究機関が恐らく発がん性があるというふうに指摘している、小麦に使われているグリホサート、これに対する不安が広がっています。とりわけ学校では国産を求める願いが非常に強まっていると。
 三枚目の資料を見てください。

配布資料(3) 学校給食パンのグリホサート残留調査結果

これ、全国農民連の食品分析センターが学校給食のパンの残留農薬の検査を行いました。国産の小麦を使ったパンからグリホサートは検出されていないのに、輸入小麦からは検出されていると。
 文科省にお聞きしたいんですけれども、これ学校給食衛生管理基準、ここに学校給食用食品の購入を定めていますけれども、読み上げてください。

○政府参考人(文部科学省初等中等教育局長 丸山洋司君) お答え申し上げます。
 御指摘の学校給食衛生管理基準におきます学校給食用食品の購入に係る共通事項のまず一については、学校給食用食品の購入に当たっては、食品選定のための委員会などを設けるなどにより、栄養教諭等、保護者その他の関係者の意見を尊重すること。また、必要に応じて衛生管理に関する専門家の助言及び協力を受けられるような仕組みを整えることとなっています。
 また、同基準における学校給食用食品の購入に係る食品の選定の一については、食品は過度に加工したものは避け、鮮度のいい衛生的なものを選定するよう配慮すること、また、有害なもの又はその疑いのあるものは避けることとなっております。

○紙智子君 関係者の意見を尊重する、有害なもの又は疑いのあるものは避けるとなっています。
 学校給食に使われているパンのグリホサートの検査はしていますか。

○政府参考人(文部科学省初等中等教育局長 丸山洋司君) お答え申し上げます。
 学校給食の実施に際し、使用する食品の安全性を確保し、安心、安全な食事を提供することが重要であるというふうに考えております。御指摘の農薬グリホサートを含めた食品中の農薬については、厚生労働省が所管をする食品衛生法に基づき、人の健康を損なうおそれがないようにその残留基準値が設定をされていると承知をいたしております。
 文部科学省においては、教育委員会等の学校設置者が学校給食の適切な衛生管理を図る上で維持されることが望ましい基準として学校給食衛生管理基準を定めており、同基準において原材料及び加工食品の定期的な検査についても規定をしているところであり、本検査の検査項目の一つとして残留農薬に係る検査も考えられます。
 いずれにしても、先ほど御答弁申し上げましたとおり、学校給食用食品の購入に当たっては、食品選定のための委員会などを設けることによりまして栄養教諭や保護者などの意見を尊重するよう示しているところでありまして、学校の設置者において、関係者との連携の下、適切に学校給食用食品の購入が行われていると考えております。

○紙智子君 検査していますかと聞いたんですよ。

○政府参考人(文部科学省初等中等教育局長 丸山洋司君) 先ほど申し上げましたように、学校給食衛生管理基準というのを定めておりまして、その基準の中で、残留農薬に係る検査という、いわゆる理化学の検査でございますが、そういったものについても文部科学省の方でその基準の解説というものを示しておりますけれども、そういったものに基づいて各設置者の方で行われているということでございます。

○紙智子君 つまり、設置者でやっていると、国はそれを分かっていないわけですよね。
 それで、先日、江藤大臣に、日米貿易協定のときの連合審査のときに、学校給食のパンからグリホサートが出ていると、これ対策が必要じゃないかというふうに質問をしたら、子供の学校給食はステージが違うと思うので考えてみたいと言われました。その後、検討されましたか。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 今、若干、答弁修正をさせていただきます。先ほどの、全農と申しましたが、全中の会長に御相談をしたということでございます。全農ではなくて全中でございますので、答弁を修正させていただきます。
 この間、連合審査でお話をいただいたときに、あのときは通告がいただけていなかった段階だったので、私も、グリホサートのことは知ってはおりましたけれども、そんなに詳しく勉強したことがなかったので正直ちょっと答えに窮して、しかし、子供の安心、安全、お子様の気持ちを考えると、親御さんの気持ちを考えるとこれ大事なことだと思ったので、これしっかり考えさせていただきたいということを申し上げたわけであります。
 その後、すぐに役所に戻って、グリホサートについて、海外での規制の状況、それから米国での裁判の状況、それから基準値の変更の経緯、それから、その際には子供の健康への影響は十分考慮されているのか、これは二〇一七年の基準の変更ですけれども、すぐに調査をさせていただきました。
 その結果、海外につきましては、我が国と同様に、農薬としての使用方法を遵守すればグリホサートに人の健康上の問題はないと評価をしているところでございます。こうした評価はある一方で、幾つかの国においてグリホサートの禁止に向けた動きがあることは私も承知いたしております。しかし、二〇二〇年の一月段階で、欧米諸国を中心に、有効成分としてのグリホサートの使用を禁止している国は今の段階ではまだないということを報告を受けました。
 裁判の話は、はしょります。御存じだと思いますので。
 そして、二〇一七年に行われた残留基準値の変更につきましては、内閣府の食品衛生委員会において出生児を含む全ての人の影響を考慮した上でリスク評価、食品健康評価を行って、厚生労働省では、こうした評価を基に、幼小児の摂取量も勘案して、子供の健康にも配慮して、人の健康を損なうおそれがないように残留基準値を設定しているというふうな報告をいただいております。
 やはりここで、私たち、私は政治家ですけれども、こういうことを議論するときにやっぱり基本になるのは科学的見地になるんだろうというふうに思います。とはいいながら、とはいいながらですよ、とはいいながら、いろいろ、委員会でもいろいろ先生とやらせていただいたので、改正農薬取締法で新たに導入する再評価制度の対象として、初年度、これは二〇二一年でありますけれども、ここで取り上げさせていただこうと思います。評価をさせていただこうと思っております。
 内閣府の食品安全委員会、それから厚生労働省、それから環境省などとしっかり連携をして、この二一年、まあ一年先にはなりますけれども、ここで再評価をさせていただきたいというふうに考えております。

○紙智子君 ちょっと、ちょっと残念なんですけどね。
 やっぱり、食品安全委員会は少量だから大丈夫だということを言っているわけですよ。だけど、やっぱり発がん性が指摘されているグリホサートが少量であっても入っているということは間違いないわけですから、入っていない国産小麦のパンを使うことがいいわけじゃないですか。
 私は、小麦というのは、政府としても小麦、大豆は戦略作物だといって、ところが自給率は小麦で一二%、大豆は六%で、余りにも低過ぎると。だから、もっとこれを上げて、増産して輸入を国産に置き換えるべきだと、それが食の安全にとってもいいことだというふうに思うわけですけれども、そうすべきじゃありませんか。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) そのようにしたいと思っております。
 米粉につきましては、輸出の引きも大変強いものがあります。それから、今、グルテンフリーというものがありますけれども、グルテンゼロというものにも取り組んでいこうと思っています。全くゼロにはなりませんけれども、もう限りなくゼロに近い米粉も生産して、そして、我々は、飼料米、水田フル活用の中で、飼料用米も作るようなことで水田フル活用を行っておりますが、米粉に回して、そして国内でも、若干食味は違いますけれども、学校給食等でも提供できる機会が増えればいいということで我々も努力をしていきたいと考えております。

○紙智子君 やっぱり輸入から本格的に国産に置き換えるべきだと思います。
 攻めの農政というのは、生産基盤の弱体化、食料自給率の低下、食の安全、安心からいっても行き詰まっていると思うんですよ。世界が困難に直面しているときに、攻めの農政では対応できないんですね。攻めの農政ではなくて、人と環境に優しい農政に切り替えるべきだということを申し上げて、私の方は終わります。