<第201回国会 農林水産委員会 2020年3月18日>


◇新型コロナ対策 学校給食納入業者への支援について(納入品のキャンセル・資金繰り・提出資料の事務手続きの簡素化について)/宮城県丸森町の台風19号被害について(山林被害・河川の復旧)

○令和二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、令和二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、令和二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について(農林水産省所管)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日、二十分ということですので、答弁はできるだけ簡潔にお願いをしておきたいと思います。
 まず、新型コロナウイルス対策についてです。
 我が党として、昨日、政府に対して、全国一律休校要請による子供、国民の混乱と被害に対する責任ある対応と補償を求めるということでの申入れを行いました。その中にもあるんですけれども、そこで、給食の食材についてお聞きいたします。
 学校給食の食材を専門に扱っている納入業者は、給食材料がキャンセルをされて、このままでは三月の売上げがほぼゼロになると。公立学校の一か月の食材費は、通常でいうと約四百億円ということなんですよね。三月は春休みがありますから、その分を除いても二百から三百億円ぐらいの取引がなくなるということになるわけです。それで、納入業者は、三月二日から突如のこの一斉休校ですので、既に納入した食材費は支払われるのか、春休みまで契約していた食材のキャンセル分の支払がされるのか、これ不安を持っているわけです。
 最初に文科省にお聞きしますけれども、この納入業者への支援策について説明をしてください。

○政府参考人(文部科学省大臣官房審議官 矢野和彦君) お答え申し上げます。
 三月十日に決定されました新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策第二弾におきまして学校給食休止への対応が盛り込まれておりまして、これに基づき、新たに学校臨時休業対策費補助金を予備費で創設することといたしました。具体的には、学校設置者がキャンセルせずに事業者から購入した食材に係る経費及びその処分に要した経費や、既に発注していた食材に係る違約金等が含まれております。
 学校設置者におかれては、事業者への違約金等の支払についても、丁寧に本経費を活用いただきながら対応いただきたいと考えているところでございます。

○紙智子君 補助率もありますよね。

○政府参考人(文部科学省大臣官房審議官 矢野和彦君) 補助率につきましては、公立学校が国庫補助率四分の三、設置者負担四分の一、ただし、設置者負担のうち八割は特別交付税を措置しております。
 また、私立につきましては国庫補助四分の三で、国立につきましては全額国庫負担となっております。

○紙智子君 事務所で聞き取りをしたところ、食材のキャンセル分の支払を決めていない自治体もあれば断ったところもあると。それで、補助金があるといっても、財政力が小さい自治体では四分の一でも大変だと。国庫補助があっても、私立学校については、今お話があったように、四分の一は自らが払うかあるいは保護者が負担することになると。
 安倍首相は政治判断で一斉休校を要請をし、前例にとらわれない対策を取るようにと言っておりますから、四分の一負担は一般財源で措置するとか、あるいは食材の納入業者への支援に万全を期すように、前例にとらわれない新たな対策をつくるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(文部科学省大臣官房審議官 矢野和彦君) お答え申し上げます。
 今般の学校給食休止に伴う保護者の負担軽減については、新型コロナウイルス感染症の発生による政府からの休業要請に伴って生じた経費に対する支援であるということを踏まえて、補助割合は四分の三としつつ、今委員御指摘の私立学校におきましては、各学校の教育方針に基づいて、国公立に比べるとかなり多様さがございます。そういったことも踏まえて、一定の上限額、補助率を設けたものでございます。

○紙智子君 ちょっと私立とか公立で差が出てくるというのはいかがなものかなというふうに思いますので、是非検討していただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
 それから、学校給食の納入業者は、減農薬の農産物を扱ったり、地産地消に取り組んで地域で雇用をつくっている業者も結構いるんですよね。それで、今、当面の経営をどう維持するか、資金繰りをどうするか、苦労をされております。中には、融資を受けようとしても渋るケースもあると。
 それで、安心して経営を維持するための資金繰りの支援をすべきではないかと思うんですけれども、これ、中小企業庁、どうでしょうか。

○政府参考人(中小企業庁次長 鎌田篤君) お答え申し上げます。
 中小企業につきましては、全国千五十か所に設置した経営相談窓口において情報収集をしているところでございますけれども、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けまして、例えば、御指摘のように、給食事業者から学校の臨時休校により予定した収入が得られないといった相談が寄せられているところでございます。
 経済産業省といたしましては、資金繰りの確保は何よりも重要だと認識をしておりまして、二月十三日に取りまとめた第一弾、三月十日に取りまとめました第二弾の緊急対応策におきまして強力な資金繰り支援を盛り込んだところでございます。
 これに加えまして、現場の審査につきましても、特に、年度末につきましては一年で最も資金繰りが急用になってくるということも踏まえまして、三月六日に経済産業大臣から政府系金融機関と各信用保証協会に対しまして、融資審査に際しては、融資先の赤字や債務超過、貸出条件の変更といった形式的な事象のみで判断するのではなく、事業者の実情に応じて最大限の配慮を行うことという要請を行ったところでございます。また、三月十六日、一昨日でございますけれども、経済産業大臣が政府系金融機関及び信用保証協会連合会のトップと面談をいたしまして、融資現場の実態把握を行うとともに、直接、最大限の対応を要請したところでございます。
 これらの施策によりまして、事業者の資金繰りに支障が生じることがないよう、所管する政府系金融機関及び各信用保証協会に対してしっかりと指導してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○紙智子君 しっかり行っていただきたいと思います。
 それで、大臣に伺うんですけれども、給食納入業者は、これ、支援を受けるために、自治体、それから政府金融公庫、労働局、税務署などを回って多くの提出資料も書かなきゃいけないというふうに、大変だという話をしております。農林水産物の輸出を促進するために農林水産省がワンストップで対応できるようにやるということをこの間やってきたわけですから、新型コロナウイルス対策も、関係省庁が連携して総合窓口をつくって、あっちこっち回らなきゃいけないということではなくて、そういう窓口をつくって事務手続を簡素化するなど、政府を挙げてやれるように検討していただけないでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 大変手間が掛かるというお話は私も直接伺っております。
 六日の日から、新型コロナウイルス感染症に係る相談窓口、これ、一元的に相談に乗るというのはもう先生も御存じかもしれませんが、それでは不十分で、一発で、例えば、返還金について、それから助成金について、それから融資について、それを一括で処理できるようにしてほしいという御要望だというふうに理解を……(発言する者あり)

○委員長(江島潔君) 手を挙げて。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 私が聞いたから悪かったです。
 回らなくていいようにということでありますが、それがベストだと思いますけれども、もちろん、大変な御苦労ですから、全く検討しないと私言うつもりはありませんが、しかし、この食材の返還については、学校設置者は市町村であったり、雇用調整助成金においては都道府県の労働局とかハローワークの管轄になりますし、融資、資金繰りについては日本政策金融公庫ということになりますから、〇一二〇でなるべく簡素に、簡略化する努力はさせていただきますけれども、どこまでできるか。
 先生の御要望に応えられるレベルまで行くかどうか分かりませんが、できるだけ負担の少なくなるように努力はしてみたいと思っております。

○紙智子君 できるだけ努力をしたいということですので、よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、丸森町の台風被害で、前回のちょっと続きなんですが、今日は、台風十九号の被害の山林被害のところについてお聞きいたします。
 七割が山と言われる丸森町は、台風による大雨で、山の沢だけでなく山の奥まで崩れているわけです。林道も崩れているので、災害復旧に取りかかれない状況だと。宮城県の林地被害額が九十七億円、丸森町だけでも十二億円と聞きました。
 二月に調査に行ったんですけれども、沢の崩壊で押し流されて土台しか残っていない家とか、道路の三十メートルぐらい下に押し潰された車が二台ほどそのままになっているとかあるわけです。どこから手を着けていいのか、途方に暮れる状況です。崩壊した山を放置すれば今度は二次災害が発生する可能性もあると。復旧の計画と見通しを示すことが大事だというふうに思うんですね。
 これについて、そうすべきじゃないかということが一つと、もう一つちょっと併せて聞いておきたいんですけれども、深刻なのが住宅の裏山の崩壊なんですね。自分の住宅のすぐ裏のところが崩壊しているという、そういう場所が百十五か所あるというふうに聞いたんですね。住民の安全を確保し不安を取り除くために、緊急の土止めなどの対策が必要なんですけれども、中には、自分の持ち山が崩れて隣の家に被害を与えたというところもあると。
 それで、住宅の裏山崩壊は、これ小規模山地災害対策促進事業補助金というのがあるというふうに聞いているんですけれども、この交付対象、補助率についても説明をしていただきたいと、これは林野庁長官にお願いします、二点。

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) お答えを申し上げます。
 昨年の台風十九号による丸森町の山林被害は、林地荒廃箇所が百五十七か所、被害額九十一億円となっております。このうち、人家や鉄道などが被災し緊急な復旧が必要であると思われる十七か所について、災害関連緊急治山事業の実施を決定したところでございまして、今年度から順次、令和二年度の完成を目指し、復旧工事に着手しております。それ以外の箇所については、今後、県、丸森町と連携して、通常の治山事業や県単独事業により復旧を進めていくこととしております。
 お尋ねをいただきました宮城県の単独事業である小規模山地災害対策促進事業は、国の治山事業の採択要件に満たない小規模な山地災害の復旧を市町村が実施する場合に、県が市町村に対して三分の一の支援を行うものであると聞いております。この事業における丸森町の負担については、地方財政措置である緊急自然災害防止対策事業債を活用すると町の実質負担を二割程度に抑えることができると聞いております。
 農林水産省としては、被害発生直後から職員派遣をいたしまして、被害状況の調査、復旧計画の策定のための技術支援も行っております。国の治山事業の採択要件を満たす箇所については、先ほどお話をしました災害関連緊急治山事業による復旧、それ以外の箇所については、宮城県と連携して、できる限り通常の治山事業による復旧を進めていく方針でございます。
 今後とも、山地災害の早期復旧が図られるよう、宮城県、丸森町と密に連携をして、必要な支援に努めてまいりたいと考えております。

○紙智子君 二つ目に聞いた、小規模山地災害対策促進補助金があるというふうに聞いているわけですけれども、これの交付対象や補助率はどうですか。

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) 補助率は三分の一でございまして、事業主体は丸森町ということでございます。事業費の採択要件としては、一か所九十万円以上、保全対象は人家が一戸以上という、そういう事業でございます。

○紙智子君 あと、補助金交付要綱では、県は小規模な山地災害から人命、財産を保護し、民生の安全を図るため、市町村が行う小規模な事業に対して補助金を交付するというふうになっています。
 災害で崩壊及び荒廃渓流においてこれを放置した場合に直接被害を与え、与えることが確実と認められるものが対象ということになっていると思うんですけれども、これには国費が入っていないと。それで、丸森町では裏山崩壊が百か所以上あるというふうに聞きましたから、この三分の一以上は町の負担というふうに言われても、財政力から考えると、相当これは困難だというふうに思うんですね。
 それで、山地災害から人命や財産を守るためにはやっぱり何らかの支援策が必要じゃないかというふうに思うんですけど、大臣、これ大臣にお聞きいたします。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 今長官から御説明をさせていただいたように、まず、県が三分の一丸森町に見て、その後、地方の財政措置であります起債をしていただくということで、その結果、町の負担が最終的には二割残るというところを問題だとおっしゃっているんだと思います。
 この起債については、起債充当率は一〇〇%、交付還元率が七〇%となっておりますので、三分の一掛ける残ったやつの、起債の七〇%を見ると二〇%残るということであります。
 丸森の財政状況がどれだけ厳しいかは、私も現場に行ってよく知っております。何とかしてあげたい気持ちは多分に持っております。しかし、丸森だけで起こっていることではないというのもまた事実でございまして、今日の御指摘をいただいて、また丸森町と連絡を取って、町の御当局とも連絡を取らせていただいて、我々として、これにプラスできることがあるのかどうかも含めて、考えさせていただきたいと思います。

○紙智子君 是非、前向きに取り扱っていただきたいというふうに思います。
 それから、山林崩壊で阿武隈急行もストップしました。それで、今日配っている一枚目の写真を見てください。これ、線路がありますけれども、線路の見て左側のところが山になっているんですけど、山がどっと崩れてきて、ホームごとずらしてしまったと。なくなってしまって、周辺施設にも被害が出ました。線路は回復したようなんですけれども、この山崩れの危険性は相変わらず残ったままなんですね。
 それで、災害関連緊急治山事業というのは、これ使えるのでしょうか。林野庁長官に伺います。

○政府参考人(林野庁長官 本郷浩二君) お答えを申し上げます。
 阿武隈急行沿線に被害を与えた山崩れについては、宮城県及び東北森林管理局が阿武隈急行株式会社と協議を行い、治山事業により復旧する必要があるという三か所については、合わせて三億八千万円の災害関連緊急治山事業の実施を決定しております。
 これにより、山崩れにより発生した不安定な土砂の流出を防止する治山ダムの設置工事を、今年度から令和二年度末の完成を目指し、順次着手しております。

○紙智子君 是非よろしくお願いします。
 それで、あと、ちょっと時間との関係で二つまとめて聞いてしまいますので。国土交通省に来ていただいているんですが、河川の問題です。河川の復旧についてです。
 それで、丸森町では、内川、新川、五福谷川という三本の川の氾濫で、市内のところというか、これが大変なことになって、今でも、川底が浅くなっているために少しの雨が降っても水があふれる可能性があるために、不安で住民の皆さんは自宅に戻れない状況が続いています。
 阿武隈水系の全体が大きな被害が出たということで、おおむね十年掛けて治水対策を行う緊急治水対策プロジェクトというのが進められています。これ、阿武隈川流域なので県またいでということの計画ですけれども。
 そこで、具体的にお聞きしますけれども、これ、二枚目の写真を見ていただきたいと思います。これ、二月に、新川の飯塚橋という橋なんですね、この橋を見てきました。見たとおり、周辺の住宅は、これ土砂が家の中まで入り込んで、もうとても住めない状況になっています。橋は相当傾いて、そして、川底がすごく浅くなってしまったために、一メートルぐらいしかないんですね。だから、この状態でちょっとした雨でもあふれちゃうということが心配されていると。なので、この橋を何とかしてほしいということが現場から言われまして、これ対策打つべきじゃないかということが一つです。
 それからもう一つは、この川の代行河川、これは国の代行河川になるのかという話なんだけれども、代行河川になっていない川も六河川あるというふうに聞きました。例えば、雉子尾川という川は、大雨で河川が蛇行したままで川底が浅くなっているので、少しの雨でも越水するおそれがあると、元々堤防のないところだったんですけれども、越水して被害が出たと。国が代行する河川になっていないということでは、これは支援できないのかということなんですね。支援策について説明をしていただきたい。
 これ二点、国土交通省にお願いします。

○政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局次長 塩見英之君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の新川の飯塚橋付近を含めまして、丸森町を流れます新川、内川、そして五福谷川では、県からの御要請を受けまして国が権限代行で、十月の二十三日から、川の中にたまりました土砂の緊急的な撤去などの応急復旧を行ってまいりましたが、さらに、去る二月二十一日からは、応急復旧後もまだ残っております土砂を撤去いたしまして、被災前の川と同等の河道断面まで戻すことができますように本格的な復旧工事に着手を既にいたしておりまして、今年の出水期までに終える予定で工事を進めているところでございます。さらに、その後でございますけれども、改良復旧を行いまして、川の拡幅と併せまして、橋の架け替えなど抜本的な対策を講じることとしているところでございます。
 一方、もう一つ御指摘のございました雉子尾川でございますが、これは、国の権限代行の対象というふうに県の方からは御要請をいただいていない区間ではございますけれども、県の方で、これまで土でありました河岸をコンクリートブロックで被覆をするというような形で機能の強化を図るというふうに予定をされておりますので、国といたしましては、こうした県によります災害復旧事業に対しまして財政負担が過重とならないように、公共土木施設の災害復旧事業費国庫負担法に基づきまして、三分の二の国庫負担を行うこととしております。これは、いわゆる通常の一般的な補助事業の二分の一よりも手厚い支援を行うということにしているところでございます。
 引き続き、地域の安全、安心が早期に確保されますように、国として精いっぱい応援をしてまいりたいと考えてございます。

○紙智子君 時間になりましたので。
 それで、元々は田畑の復旧をどうするかということで現地に入ったんですけど、それをやるためにはまずそこから手を着けないとどうにもならないということだったので質問させていただきましたけれども、それを受けて田畑の方も復旧できるようにということをお願いいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。