<第200回国会 農林水産委員会 2019年11月21日>


◇11月に入り、山梨県韮崎市と愛知県西尾市で豚コレラが確認され、山梨県は野生イノシシによる感染の可能性に言及していると指摘/豚コレラの防疫指針のワクチン接種推奨地域の設定について、農場周辺の環境要因として、野生イノシシの生息状況や周辺農場数、豚などの飼養密度、山や河川の有無などの地理的な状況を考慮するとなっており、ワクチンの接種推奨地域に隣接する地域やワクチン接種を希望する自治体については、野生イノシシから豚コレラの発生が確認されなくとも可能ではないかと迫った/北海道の噴火湾の養殖ホタテの大量へい死について、実態把握と原因究明を確認した/へい死対策への支援として海洋観測ブイなどへの支援を確認した/厚生労働省が公表した公立・公的病院の再編統合リストについて、厚生労働省が患者や家族に不安を与えていいのかとただした/公的病院の再編統合問題のリストは、撤回するよう求めた

○農林水産に関する調査

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず、CSF、豚コレラについて質問いたします。
 十一月の十六日が山梨県の韮崎市内の養豚場で四十九例目、十九日には愛知県の西尾市で五十例目の患畜が発見、確認されました。報道では、韮崎市内で捕獲した野生イノシシからこの豚コレラが確認をされ……(発言する者あり)韮崎です。山梨県の方は野生イノシシによる感染の可能性に言及をされているということであります。
 野生イノシシ対策ということでは、飼養豚に対しての予防的ワクチンの接種と同時に、経口ワクチンの散布、そして捕獲強化など、これスピード感を持って行っていかなければいけないということだと思います。
 予防的ワクチンの接種は、早いところでいうと十月二十五日から始まっていると思うんですが、今後必要なワクチンの確保に向けて、ちょっとこれ確認をしたいんですけれども、メーカーに対して増産を依頼しているということなんですけれども、今後の見通しについて藤木政務官にお尋ねします。

○大臣政務官(農林水産大臣政務官 藤木眞也君) お答えをいたします。
 先生、先ほどおっしゃったように、ワクチン製造メーカーに対しては、防疫指針の見直しをしたタイミングで速やかにワクチンの増産をお願いしているところでございます。年内に二百五十万頭分の製造がされ、更に年度末までに追加で二百五十万頭分が製造されるという見込みでございます。

○紙智子君 昨年九月の発生以降、この感染が拡大する中で、養豚農家の皆さんは、先ほどもお話ありましたけれども、本当に日々不安な気持ちで朝を迎えているということであります。一刻も早くこの不安を取り除いていかなければいけないと思います。とりわけ、この豚コレラに感染したイノシシが確認をされた地域に隣接する自治体、そして養豚農家は不安でいっぱいですよね、いつになったら自分のところに来るだろうかと。さらに、野生イノシシがこの間台風などで大きく移動したという、そういう可能性もあるわけです。
 それで、CSF、豚コレラの防疫指針、この今回出された指針では、ワクチン接種推奨地域の設定についてと。農場周辺の環境要因として、野生イノシシの生息状況や周辺農場数、それから豚などの飼養密度、それから山や河川の有無などの地理的な状況を考慮するというふうになっております。
 この指針に基づきますと、これ、ワクチンの接種推奨地域というのは、隣接する地域やワクチン接種を希望する自治体については、野生イノシシから豚コレラの発生が確認されなくともこれは可能ではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 現段階ではまだ二百五十万ドーズ届いておりませんので対応できないということは御理解いただいているという上で申し上げますが、確かに、地理的要件とかその密度とか、いろんな要件を課しております。しかし、その地理的要件も、県境からどれぐらい離れているかとかいうこともございます。例えば、県境から百キロ離れているのと県境から十五キロしか離れていない、五キロしか離れていない、ほとんどもう県境、川一個またいだらもう隣の県だという場合もございます。そういうことを考えると、余りしゃくし定規に考えることもいかがなものかと実は考えております。
 ですから、もう既に私どもとしては検討には入っておりますが、ただ、希望をすれば打てるというような理解をしていただくと若干問題があるんだろうと思います。イノシシで発見されていないところに予防的ワクチンを打つということになれば、それなりのやはり指針の内容も見直す必要もまた出てくるかとも思いますし、それから、家畜疾病小委員会の方々の御意見も、これはしっかり、手続としてということじゃなく学術的な知見の積み上げとして必要になりますので、そういう手続を踏んだ上で判断をさせていただくことになろうかと思っております。

○紙智子君 イノシシの発生が確認されなければできないという画一的な、そういうふうなことが最初出されていたということもあって、しかし、現状は、やっぱりいろんな条件の中で、もうすぐ隣まで来ているというときにやっぱりもう少し柔軟に対応できないのかという声があるわけでありまして、この指針というのはそういうことも含めて検討できるようになっているし、その際、もちろん専門家の意見を聞くというのは大事なことだと思うんですけれども、是非それを踏まえてやっていただきたいというふうに思います。
 やっぱり、ワクチン接種の推進地域、これ隣接する自治体のワクチン接種というのは、養豚農家、団体、各県の知事さんもこれ早くから要請されているわけでありまして、野生のイノシシ対策が後手後手にならないように、既にもう一年超えているわけですからもう遅いんですけれども、しかし、これ以上後手後手にならないように、届かなければ検討しないんじゃなくて、もうワクチンは作って増産しているわけですから、届くのを待つんじゃなくて、もう既にそういうことができるということが分かっている中で、やっぱり待たずに対応していただきたいというふうに改めて思いますので、よろしくお願いします。
 ちょっと一言、じゃ、それに対して。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 先ほども御答弁させていただきましたが、二百五十万ドーズ、あと二週間か三週間で届くということは予見される、もう確実なことでありますから、それに備えて省内でも検討を始めておるということでございます。

○紙智子君 急いでやっていただきたいと思います。
 次に、北海道噴火湾地域における養殖ホタテの大量へい死についてお聞きします。
 これ、漁業者にとっては大幅な増産になり、関連する水産加工業や運輸業者にも影響が出ています。生産量は、二〇一九年期、これ二〇一八年の十月から今年の五月なんですけれども、生産量は約一万八千トンで、前期比較で約七割減少しました。ある漁協では、ホタテの水揚げ額が十億円減少したと、ホタテが駄目になったら漁師は三分の一に激減するだろうというふうに言われているわけです。
 この噴火湾のホタテのへい死による被害の実態を把握しているでしょうか。

○政府参考人(水産庁長官 山口英彰君) お答えいたします。
 養殖ホタテの主要産地でございます北海道噴火湾では、本年の漁期、平成三十年十月から令和元年五月の生産量が一万八千トンと、前年同期の約三割に大幅減産しているということでございます。

○紙智子君 そのホタテのへい死がなぜ続いているのかと。漁業者は、ホタテは七月まで生きていたけれども、八月になるとばたばたと死んでいった。調査が速やかに行われなかったと。ホタテの貝に付着するザラボヤというホヤですね、ホヤの一種です、ザラボヤがプランクトンを食べるのでホタテに栄養が届かないんじゃないかと。海水温などの環境変化や潮の流れも影響しているというふうにも言われています。
 噴火湾沿岸の八漁協と八市町村は、大量死の原因究明と海洋環境観測施設の整備への支援を求める要望書を出しています。この原因究明、ブイなどの観測施設の整備をすべきではないでしょうか。

○政府参考人(水産庁長官 山口英彰君) お答えいたします。
 まず、この大量死が起きた原因でございますが、北海道によりますれば、近年のホタテへい死の発生の原因といたしましては、高水温、餌不足及び波浪による振動発生といった気象・海洋環境の問題、また、変形や小さな成育不良の稚貝を使用するといった貝の健康状態の問題、さらに、稚貝の選別や飼育密度の確保等の作業を海洋環境に応じて適切になされなかったといった養殖管理の方法の問題等が関係しております。また、先生から御指摘のございましたザラボヤの発生という問題もあるかと思います。これらの要素が複合的に重なって昨年の大量へい死になったと考えられているところでございます。また、漁業者間でもへい死に差がございますので、具体的に一つの要因に特定はされていないという状況でございます。
 こうした状況から、北海道は、貝のストレスを抑制して発育を促すことが大事だということで、例えば、一籠当たりのホタテ収容数の削減をする、また大きく変形のない稚貝の選別厳格化をする、最近の環境に応じた作業時期の実施といった養殖管理を適切に行うための、それらを含んだマニュアルを当面の養殖管理のポイントという形で作成いたしまして、へい死対策を今進めているところでございます。
 水産庁といたしましては、こうした北海道の取組を支持しておりまして、地元の意見を聞きながら、今先生からも御指摘がございました気象・海洋環境を把握するための海洋観測ブイの設置や、また北海道が平成二十八年から研究開発を行っておりますICT画像解析技術の成果を用いた生産管理、こういったものに国庫補助事業の活用も含めて支援を検討してまいりたいと考えております。

○紙智子君 ブイの支援については、漁協が事業主体になると、これは浜の活力再生交付金使えるということでよろしいんでしょうか。

○政府参考人(水産庁長官 山口英彰君) おっしゃるとおりでございます。

○紙智子君 漁業者は、これザラボヤが影響していると行った先々で言うんですね。大変な作業なんですよ。いっぱい細かいのが付くので、早いうちに、大きくならないうちに水を、圧力で全部取るんですね。そして、もう一回沈めるわけです。そういうことを繰り返さなきゃいけないんです。で、これ大きくなるまでいると大変な重さになるんですよ。だから、もう引き上げようとしたときに落ちちゃうんですね。そういうことで、大変なもう作業なんですよ。だから、口をそろえて、行ったらですね、いや、ザラボヤがという話が出てくるわけであります。
 噴火湾では、これ外来種なんですけれども、ザラボヤの付着というのは常態化してきていると。耳づりでは引き上げるときにもう落ちてしまうと。ザラボヤの重さで小さな船の場合だと危なくなるんですね、バランス崩して。
 そういうことなんで、それで、有害生物漁業被害防止総合対策事業というのがあるんですけれども、この予算が底をついちゃって足りないと、駆除費用が足りないというふうに聞いているわけで、これ予算を拡充すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(水産庁長官 山口英彰君) 外来性ホヤの一種でございますザラボヤは、北海道噴火湾において養殖ホタテガイに大量に付着し、漁具の破損、漁労作業の遅延、さらにはホタテガイの成長阻害等の被害を及ぼしておるところでございます。
 このような状況に対しまして、国といたしましては、平成二十八年度と二十九年度の補正予算におきまして洋上駆除を行うための洗浄機の導入への支援を行ったところでございます。さらに、有害生物漁業被害防止総合対策事業において、駆除されたザラボヤの処理施設への運搬や処理に要する経費への支援を行っているところでございます。
 現状において、この金額についての増額等のお話は直接は承っておりませんが、引き続き、漁業団体の御意見を聞きながら、ザラボヤ対策に必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

○紙智子君 噴火湾のホタテ養殖というのは、昭和四十年当時からの努力がずっとされていて、今海外にも輸出するなど、この地域の基幹産業になってきているんですね。ですから、へい死の原因究明と、それからやっぱり対策ということでは支援を強化していただくように求めておきたいと思います。
 次に、ちょっと病院の問題なんですけれども、公的病院の統廃合の問題です。
 厚生労働省が全国一律の基準を設けて公立・公的病院の再編統合を地方に押し付けようとするやり方に批判が強まっています。十月四日に行われた全国知事会など地方三団体との協議の場では、地方側から、余りにも唐突で不適切だと、国への強い不信感が出ているなどの意見が相次ぎました。この場に出席をしていた長谷川岳総務副大臣は、本来ならこのような協議の場で公表の仕方や公表前の各自治体への事前通知、それから改善の洗い直しをするなど、過程が大事なんだと、必要なんだと、公表の仕方に注文を付けたわけですね。
 それで、JA厚生連の病院、これ所管しているのは農水省ということなので、江藤農水大臣にこの見解をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 江藤拓君) 九月二十六日付けで、全国千六百五十二の公立・公的病院のうちの四百二十四、再編検討が必要だと。大変唐突な話でございまして、実は、私の宮崎の五ケ瀬、もう県境、ちょっと行ったら熊本ですよ、一番外れのところです。ここも対象になっておりまして、地域の方々のもう大変なハレーションが起こって、こういう発表の仕方をされるのは非常に迷惑だと、もう率直にそう思っております。厚労省の話としては議論のたたき台だというふうに言っておりますけれども、しかし、五ケ瀬から、じゃ、県病院までどれぐらい距離が掛かるとか、そういうこともやたら言っておりますけれども、これもたたき台ということで、これは徹底的に抵抗しなきゃならぬというふうに思っております。
 そして、厚生病院については、これも大変大事な病院で全国に百六もあります。宮崎には実は一個もないんですけれども、大変羨ましいなと思っておるんですが。
 先週の十二日に厚生連関係者と厚生労働省の意見交換会の場も設けさせていただきました。私も、個人的には加藤厚労大臣とは大変友人ですので、この話も個人的にもさせていただいております。
 ですから、今後は十分丁寧な議論をして、地域医療の在り方についても地域の理解を得ながら結論を得るべきだと考えております。

○紙智子君 日本農業新聞のアンケートを取っていますけど、その中では、今回の公表について非常に問題というのとやや問題合わせると九六%にもなっているということなんですね。だから、これ真剣に受け止める必要があると思います。
 それで、厚生労働省、今日来ていただいているんですけれども、北海道において批判する意見が出ております。全国最多の実は北海道は五十四施設が名指しされたんですね。その中には、奥尻島とか利尻島とか島も入っているわけです。
 その中で今日特にお聞きしたいのは、政策医療を行っている八雲病院の関係者から驚きと不安の声が上がっていることなんです。八雲病院は、北海道の中でたった一つしかない筋ジストロフィーと重症心身障害児の専門病院です。今、移転計画が進んでいるんですけれども、重症心身障害児の移転先と言われている函館病院がこの統廃合の対象病院に出ていたわけですよ。元々移転を望まない患者、家族がいるのに、一方的に移転計画を公表し、今度はその移転先を統廃合するという対象にするということでは、命を何よりも大切にしている厚生労働省が患者や家族にこういう不安を与えていいのかということなんですが、いかがでしょうか。

○大臣政務官(厚生労働大臣政務官 小島敏文君) お答え申し上げます。
 まず、今回の公表に至るまでのことを申し上げますと、自治体、病院関係者も含めまして、二〇一七年、二〇一八年におきまして、医療関係者にお集まりいただきまして公開で議論を行っている地域医療構想に関するワーキンググループや都道府県等説明会の場において、医療関係機関名を含め、公表することをお伝えをいたしております。幾つかの事実であります。
 実際に病院を運営している自治体等への説明が不十分であった、地域住民への不安が広がっている等の御意見がいただいております。
 そうした御意見について、十月四日の地域医療確保に関する国と地方の協議の場におきまして、厚生労働省としても、出し方に問題があった、大変ハレーションを起こしていたことについてきちっと反省しなければならない、地域に足を運び説明責任を果たすとともに、厚生労働省としましてもしっかりと取り組んでまいりたいと、まず申し上げておるところでございます。
 このため、まずは全国七か所で地域医療構想に関する自治体や医療関係機関等との意見交換会を開催いたしまして、今回の分析は急性期機能に着目し、二〇一七年六月分の診療分の診療実績データの分析を行っていること、筋ジストロフィーや重度心身障害者への診療など、今回の分析だけでは判明し得ない、判断し得ない診療領域や地域の実情に関する知見については、全国的な分析を公平に行う観点から基準には盛り込んでいないこと、病院が将来担うべき役割等を機械的に決めるものではないことについて直接丁寧に説明し、意見交換を行ったところであります。
 今後も、都道府県の要請に応じて、各地において意見交換を行うことといたしております。厚生労働省といたしましても、これらの意見交換の場を通じまして、御指摘のような事情を抱える病院については、地域医療構想調整会議におきまして議論をすることに当たっては留意が必要であることを丁寧に説明し、情報発信に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

○委員長(江島潔君) 時間が来ていますので、おまとめください。

○紙智子君 八雲病院の患者さんや家族は、職員に二重の不安を与えているというふうに言っているんですね。八雲病院の移転を望んでいない患者、家族、そして今も不安を訴えている家族がいるわけです。意見を出してもまともに回答がないと、聞きおくだけになっているという意見も聞いています。移転計画を既定の路線として進めるのではなくて、改めて、これ患者、家族とよく話し合うべきじゃないかと。
 最後にそのことを一言だけ、よく話し合っていただきたいということを答弁いただきたいと思います。

○委員長(江島潔君) 簡潔に、小島政務官、お願いします。

○大臣政務官(厚生労働大臣政務官 小島敏文君) 八雲病院の移転問題に関しましては、長距離の入院患者の移送等の課題があります。同機構において、患者やその家族に安全確保等について説明会を実施すると聞いております。
 また、八雲病院の機能移転については、基本的には同機構で検討し進めていくものであるが、患者やその家族、職員には移転の趣旨や安全対策を丁寧に説明し進めていきたいと考えております。

○紙智子君 それが現場では聞き取られていないというのを何度も言われているので、やっぱりきちっと意見交換をして、納得いくようにやっていただきたいということと、最後にやっぱり公的病院の今回のこの発表は撤回していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。