<第196回国会 2018年5月29日 農林水産委員会>


◇宮崎県内で発生している盗伐問題について、対応策を求める/環境保全型の農業直接支払交付金から、エコファーマーを外さないよう求める/加計学園問題 新たに公表された愛媛県文書の内容について農水省に説明を求める

○農林水産に関する調査

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず、私、先週の二十四日に、森林経営管理法の質疑で、林野庁が二月六日に出した通知に基づいて宮崎県が選定し、公表している林業経営体の中に盗伐業者も入っているんじゃないかと質問しました。林野庁長官は、宮崎県に確認を行った結果、誤伐の事実が判明したものであるというふうに言われました。
 林野庁は宮崎県の報告をそのまま言われたんですけれども、本当にそれでいいんでしょうか。

○政府参考人(林野庁長官 沖修司君) お答えいたします。
 御指摘の事案につきまして、私どもといたしましては宮崎県に直接確認をしてございまして、ある森林所有者が立木を仲介業者に販売し、さらにこれを購入した林業事業体が当該立木を販売した所有者の森林ではない立木を伐採してしまったという案件と承知してございます。
 宮崎県からは、この当該立木を販売した所有者が仲介業者に立木を販売した際、誤って隣接の所有者の森林を販売してしまったこととか、事業体の件については前回お答えしたとおりでございますけれども、いずれにしましても、警察もこれは盗伐ではないと、誤伐として取り扱っているというふうに聞いておりまして、当該事業者に盗伐しようという意思は、悪意は認められないと判断していると聞いているところでございます。
 いずれにしましても、引き続き宮崎県を通じまして状況の推移等の把握に努めてまいりたいと考えております。

○紙智子君 宮崎県では、地元の報道機関が入って、誤伐ですという手口で盗伐が行われているんだということを放送しているんですね。
 私は、この盗伐被害者の会の方からお話を伺いました。現場では、これはもう盗伐なんだというふうに言っているわけですよ。ある森林所有者は、私の森林の周りは雑木が植わっていてすぐに分かると、集落の誰もが私の森林を識別できる状態にあったというふうに言っているんですね。自分の木がたくさん切られたので業者に問い詰めたら、これは誤伐ですと言ったと。賠償金払いますと言ったんだけれども、いまだに払われていないと。
 こういう事実については、林野庁はそういった事実つかんでいますか。

○政府参考人(林野庁長官 沖修司君) 今回の四十二件のことでございますけれども、これにつきましては宮崎県でいろいろ事実把握等をしているというふうに聞いております。
 我々としては、盗伐が刑事事件であることから、宮崎県盗伐被害者の会に係るこの件も含めまして警察と連携して無断伐採事案の対応を進めていると聞いておりますので、いずれにしましても、林野庁としては、引き続き県を通じてこうした情報収集に努めてまいりたいというふうに考えております。

○紙智子君 聞いたことに答えてくださいよ。
 四十二件の問題じゃなくて、今の話でいうと、これ林野庁として今言ったような話というのはちゃんと把握しているんですか。賠償金払うと最初言っていたけれども、全然払いもしないでいまだに放置されているという、そういう事実は確認したんですか

○政府参考人(林野庁長官 沖修司君) 今委員が申し述べられたような事案について、直接我々の方には報告をいただいておりませんので承知しておりませんが、いずれにしましても、この盗伐、誤伐事案につきましては宮崎県を通じて我々としては情報を確認をしているところでございます。

○紙智子君 その被害者の方は一千三百本も切られているんですよ。一本か二本かと思ったら、そうじゃなくて一千三百本ですよ。そして、今も切り捨てられた木がそのまま林地に放置されているということなんですよ。

 林野庁は、これ宮崎県に話を聞いただけ。県任せにしておいていいんでしょうか。

○政府参考人(林野庁長官 沖修司君) 当該事案につきましては、誤伐なのか盗伐なのかという判断につきましては、まずこれは刑事事件でございますので、一義的には警察の方と連携して対応していくべき問題というふうに考えておりますが、林野庁といたしましては、森林法を所管している省庁として、その解釈等について適切なことが行われますように宮崎県などに対して助言等をしてまいりたいというふうに考えております。

○紙智子君 踏み込んでいないんですよね。
 宮崎県では、これ、盗伐被害者の会ができているんですよ。何でそういう会ができたと思いますか。

○政府参考人(林野庁長官 沖修司君) その会がどういう経緯でできたか、ちょっと今の段階では承知しておりませんけれども、何件かの盗伐事案というものが発生して、その被害者の方が集まられたというふうには聞いております。

○紙智子君 会ができたのは、やっぱり被害の実情、現状が非常に深刻だからですよ。県内の民有林で盗伐や誤伐が相次いでいるからですよ。県だけではなかなか解決できないと、県に何回も言っているけれども解決できないと。だからですね、だから先日も農林水産省に訴えに来たんじゃないんですか。
 被害者の会には、盗伐被害に遭った人四十二人の会員がいるんですよ。四十二件ですよ。その中で一体これまで何件解決しているんですか。

○政府参考人(林野庁長官 沖修司君) 解決という、刑事事件としての取扱いについて最終的にどのようになったというものは、最終的なものは今の段階では承知しておりませんけれども、まず二件につきましては有印私文書偽造で逮捕、捕まっているというのは承知しております。

○紙智子君 何件、四十二件の中で何件解決したと言いましたか。

○政府参考人(林野庁長官 沖修司君) 失礼しました。有印私文書偽造、伐採届の有印私文書偽造で先般三月二十日に一件整理されているというふうに、判決出ているというのは聞いております。

○紙智子君 はっきり、はっきり答えてください。何件解決したんですか。解決した件があるんですか。

○政府参考人(林野庁長官 沖修司君) 解決というのが、刑事事件として解決したというものが一件でございます。

○紙智子君 四十二件の問題になっている中で、今その刑事事件になったやつというのがどんな例かというと、我が党の現地の市会議員が把握している事例では、十五年以上も前に亡くなっている人の名前が森林所有者名欄に書かれていた伐採届があったと。何でこんなことが起こるのか。
 宮崎市は、この伐採届の審査をする職員、届けを受けてそれをいろいろ審査する人が五人なんですよ。支所含めて各場所に一人ずつなんですよ。だけど、近年はその届出が六百件とか七百件とかたくさんこの伐採届が出されていて、一人の人が百件を超すような、そういう届出の審査をやらなきゃいけないと。問い合わせたり電話をしたりとかすると。現地に行って調べたりとか確認したりなんということはおよそできないような体制になっているわけですよ。
 だから、やっぱり届出制という仕組みそのものも、届出さえすればということになっているのと、それをチェックする体制も非常に弱いと。そういうことが問題になっていると思いませんか。

○政府参考人(林野庁長官 沖修司君) 宮崎県におきましては、今委員御指摘のように、非常に伐採の届けというものが出されて、そういう事業が進んでいるというふうに承知してございます。
 確かに、市町村での体制整備が弱いといった面がございますので、そういったところにつきまして、今回の法律でも意欲と能力、事業体の話とかいろいろやらせていただいておりますけれども、市町村の体制強化といったものが非常に大切だというふうに考えております。
○紙智子君 だから、体制上も強化しないと、もう一人の人でやりたいけれども、もう目いっぱいになっているという状況だと思いますよ。
 それで、やっぱり二月六日の長官通知の基準で選ばれたこの宮崎県の林業経営体の中には盗伐が疑われるような業者が入っていると。やっぱり悪質な業者の参入を防げるのかと、これでと思うんですけれども、どうでしょう。

○政府参考人(林野庁長官 沖修司君) 二月六日のその通知におけます事業体の公表のところの話だと思います。
 これが二十、出された中にそうした疑いがあるというお話がありました。これが前回お答えした林業事業体ですが、この件については、先ほど申し上げたように、誤伐ということで警察からもお伺いしておりますので、こうした中にそうしたおかしな不適正な業者が入らないように、我々としても例えば意欲と能力のある事業体を選ぶときにはきちんとした対応をすべきであるというふうに考えております。

○紙智子君 やっぱり、県からの報告はそうだったということでもってそのまま言っているんですよ。もっと踏み込んで見なきゃいけないですよ。
 盗伐被害者の会の人たちは、県が選定した業者名を見て驚いているというんですよね、何でこういう人が入っているのかと。県が悪質な業者にお墨付きを与えるということになったら、これ何にも歯止めにもならないし、それが森林経営管理法に受け継がれていったら大変なことになると思いますよ。これ、盗伐はなくならないということになるんじゃないですか。
 ちょっと最後、大臣に、今のを聞かれてどうかということでお答えいただきたいんですけれども。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) まず、この宮崎県の盗伐被害者の会の事案を含めて盗伐ですとか誤伐等が発生をしているということについては、私どもも誠に遺憾と思っております。ただ、盗伐か誤伐かの事実認定をする、そういうちょっと権限というものが私どもにないというのもあります。
 私どもといたしましては、平成三十年一月に、今年の一月ですが、都道府県を通じて無断伐採に係る全国調査を行いまして、森林・林業関係者等に調査結果を周知をし、このような問題への注意喚起を広く行うことをまず行いました。
 それから、伐採届の受理の際に、届出じゃないかという御指摘ありましたけれども、その売買契約書等の写しを添付させる取組ですとか、それから警察等関係者と連携したパトロールの実施等の取組についても紹介をするなどによりまして、伐採届出制度の適切な運用を徹底するよう市町村等に依頼をさせていただいたと。
 それから、地域において地方公共団体など関係機関等から緊密な連携等の依頼がなされた場合に都道府県警が協力するよう警察庁に対し協力を要請するといったような取組を進めているところでありまして、先ほど長官から御答弁を申し上げましたように、これは新しい管理システムができてくれば、またそこで森林を適切に取り扱う者を意欲と能力のある林業経営者として公表するように指導、助言を努めてまいりたいと考えております。

○紙智子君 見付からなかったら盗伐になるんですよ。見付かったら、いや、誤伐ですと言って言い抜けるということを許しておいたら、やっぱり被害者の方が泣き寝入りすることになると思うんですね。そこをやっぱりしっかりと踏み込んで対応策を打っていただきたいということ、これ宮崎の話でたまたまやりましたけど、全国も含めてそういうことになると思いますので、そこをしっかり対処していただきたいと思います。
 次に、環境保全型の支払についてお聞きします。
 二〇一八年度、今年度から、環境保全型農業直接支払交付金の要件が変わります。
 それで、まず、従来の環境保全型の農業直接支払交付金についてお聞きします。この制度が創設された時期、そしてこの制度の目的について簡潔に説明願います。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元真徹君) お答え申し上げます。
 この交付金でございますけれども、平成二十三年度に制度を創設いたしまして、これは農業の有する多面的機能の発揮に関する法律に基づくものでございます。
 内容といたしましては、化学肥料、化学合成農薬を原則五割以上低減する取組と合わせて行います地球温暖化の防止ですとか生物多様性の保全に効果の高い営農活動に取り組む農業者団体に対して、その取組面積に応じて交付金を交付するものでございます。

○紙智子君 それで、今年度から国際水準GAPに取り組むことが要件に追加されました。今までの環境保全型支払と何が違うんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元真徹君) 済みません、何が違うといいますか、要件として国際水準GAPの実施、これは認証を求めるものではございませんけど、そういうことを支払を受ける方々にお願いをしているというところが付け加わったということでございます。

○紙智子君 何が違うんですかね。環境保全支払と違い、何が違うか。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元真徹君) 済みません、環境保全型直接交付金の要件といたしまして、今回、農業者がGAPの知見を有します普及指導員ですとか営農指導員などから研修、指導を受けた上でGAPの考え方に沿って経営改善に取り組んでいただいて自ら確認するということをこの交付金の要件として追加されたということが変わったところでございます。
 他方、これまでは原則エコファーマーが要件になってございましたけど、この要件をこのGAPの実施に変えたものでございます。

○紙智子君 つまり、今回、環境保全に加えて食品安全とか労働安全が追加されるということですよね。ですよね。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元真徹君) 食品安全といいますか、GAPそのものは、今御指摘ございましたとおり、環境保全、また食品の安全、労働安全など、持続的な農業経営を実践できるということのものでございます。
 今回これを要件といたしましたのは、本交付金を受ける農業者が環境保全に資する取組を既に実施しておりまして、GAPの取組と親和性が高いこと、またさらに、GAPの取組を実践することで、環境保全のみならず、今御指摘ございました食品安全ですとか労働安全など、より持続的な農業経営を実践できるという考えで要件化したものでございます。

○紙智子君 それで、一九九九年に制定された持続農業法でエコファーマー制度ができました。この制度について簡潔に説明してください。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元真徹君) お答え申し上げます。
 エコファーマー制度でございますけれども、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律に基づきまして、三つの技術、一つ、土づくりの技術、あと化学合成肥料の使用低減技術、化学合成農薬の使用低減技術、この全てを導入することを内容とする計画を作成いたしまして、県知事の認定を受けた農業者の呼称がエコファーマーというものでございまして、この持続農業法に基づく認定を受けました農業者は農業改良資金の貸付けに関する特例を受けることができると、そういう制度でございます。

○紙智子君 エコファーマーは昨年までは環境保全型農業直接支払交付金を受けることができたんですけれども、今年度からも環境保全型の交付金を受けることはできるんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元真徹君) お答え申し上げます。
 エコファーマーになったからすぐ直接支払交付金が受けれるということではございませんで、原則エコファーマーであり、かつ化学肥料及び化学合成農薬を五割以上低減する取組と合わせて行う地球温暖化の防止、生物多様性の保全に効果の高い営農活動を行っている農業者若しくは団体に対して交付金を支出してございますので、エコファーマーの方がこういう活動をしていれば当然交付金は受けることができます。

○紙智子君 エコファーマーは知事が認定するんですよね。知事が認定するんですけれども、認定要件に国際水準GAPが入っているんですか。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元真徹君) エコファーマーには入ってございません。さっき申し上げた三つの技術を全て導入するという計画を出して知事が認定するというものでございます。

○紙智子君 そうすると、認定要件にはGAPが入っているのかいないのか、それはどうですか。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元真徹君) エコファーマーの認定要件にはGAPは入ってございません。

○紙智子君 知事の認定要件にGAPは入っていないと。つまり、食品安全とか労働安全は要件になっていないということです。
 エコファーマー認定件数ですね、認定されている件数というのは十二万件あるというふうに聞きました。それなのに、このGAPを要件にすると、この十二万人いるエコファーマーが環境支払交付金の対象から外されるんじゃないんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元真徹君) 申し訳ございません、ちょっと説明が下手かもしれません。環境保全型の直接支払交付金は、原則エコファーマーであるということを要件にはしてございますけれども、それ以外の方であっても、先ほど申し上げた化学肥料と化学合成の農薬を原則五割以上低減するということがまず前提としてございまして、それに合わせて行います地球温暖化の防止、例えばカバークロップをやるとか有機農業とかですね、そういうものですとか、あと生物多様性の保全に効果が高いというようなことで、そういう営農活動をなさっている方に対して交付金を出します。
 そういう意味では、エコファーマーの方、エコファーマーだからすぐもらえるということじゃなくて、エコファーマーの方でそういう活動をやっている方には出ますし、原則エコファーマーを要件にしてございましたけれども、実態的にはエコファーマー以外の方でもこういう活動をされている方には交付金が支払われていると、そういうことでございますので、今回エコファーマーの方に交付金が出なくなるとか、そういうことは一切ございません。

○紙智子君 日本農業新聞に宮城県の大崎市で有機栽培や特別栽培をする農家の声が紹介されていたんですけれども、田んぼの生き物調査を行って天敵を活用する農業をこれまで普及してきたと。エコファーマーで交付金を受けてきたんだけれども、GAPを是非申請してくれという話になるわけだけれども、現場の努力が後退しかねないという声が紹介をされているんですよね。環境保全型といいながらエコファーマーを外すというふうになるんじゃないのかと、それはおかしいんじゃないかという声なんですけど、いかがですか。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元真徹君) そこについてはよくまた御説明をしていきたいと思いますけど、今回エコファーマー認定を支援対象の要件から外しましたのは、まずエコファーマー自体は環境保全型農業の入門的な位置付けに当たりまして、新たに環境保全型農業に取り組もうとする者のきっかけになってございます。
 ただ、県知事が認定をいたしまして、この認定期間五年間でございますけれども、改めて計画認定を受けるためには更なる技術の変更というのが必要になって、現実には五年を過ぎて再度計画認定を受けるという方は年々減っていらっしゃるというのが実態でございます。
 そういうこともあって、それで、先ほど先生がおっしゃった田んぼの生き物調査を踏まえたような生物多様性のような活動をしていらっしゃる方など、エコファーマーじゃない方でも交付金を支払うということもやっぱり必要でございますので、現実には、本交付金についてはエコファーマー認定にかかわらず、例えば特別栽培農産物の生産者の方ですとか、あと生物多様性保全の活動をなさっている方とか、エコファーマーじゃない方にも交付されていて、もう既に平成二十八年度で約半数がエコファーマー以外の方に交付されているということになってございます。そういう実態から、このエコファーマーというのも原則要件というのを外したところでございます。
 また、GAPを実施の要件といたしましたのは、本交付金を受ける農業者というのは環境保全に資する取組を既に実施しておられますので、GAPの取組と親和性が高いこと、またこのGAPの実践ということで、環境保全のみならず食品安全、労働安全など、より持続的な農業経営を実践できることという考えに基づくもので、決してGAPの認証を求めているものではございません。非常に簡単なチェック、そういうのを自分でやっていただきたいということをお願いしているところでございまして、そこについてはよく農家の方々に御説明していきたいと思っておりますし、今している最中でございます。

○紙智子君 環境に優しくということで、特徴ある農業をするためには、やっぱり農業は土づくりが大事という話があります。
 それで、深谷の七十歳になるネギ農家の方が、良質な土をつくるのに五十年掛かったと。あと五十年掛ければもっといい土になるということで、すごく熱心にやっている方いらっしゃるんですけれども、林業でいえば息の長い取組が必要だし、農業も同じように長年掛けて試行錯誤しながらやっぱり良質な土ができているということだと思うんですね。
 GAPを否定するものではないんですけれども、ハードルを上げて、このGAPを要件にすれば減農薬や減化学肥料の取組、努力に水を差すことになるんじゃないかという不安があるわけで、この環境保全型農業をやっぱり純粋に取り組む、そういう農家を外すような制度の変更というのはすべきでないということを思うんですけれども、最後、ちょっとこれ、齋藤大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) 先ほど局長から答弁しましたけれども、これ、GAPのその実施を要件としているんであって、取得を要件としているものではないということであります。
 現実に農業者にお願いをしたいことは、農業者の皆さんがGAPの知見を有する普及指導員ですとか営農指導員などから研修や指導を受けた上でGAPの考え方に沿って経営改善に取り組んで、自らそれを確認するということでありますので、GAPの認証の取得を求めたり、これまでに比べて過度に交付要件のハードルを高めるというものではありませんので、この点については、現場で混乱が生じないよう周知パンフレット等を作成して地方農政局や地方公共団体を通じて丁寧に説明をしていきたいと考えています。
 エコファーマーの方は、もう先ほど答弁しましたけど、五年間で期限切れますとまた新しいことをやらなくちゃいけないということで継続する人が少なくなっていること、それからまた、エコファーマー、結局、以外の人が約半数ぐらいの、になってきていると、交付対象者の中で、そういうこともありますので、こういう見直しをさせていただいたということでございます。

○紙智子君 日本の農業は多様な農業者によって支えられていると思うんですね。農業の多様性を認めてエコファーマーを外すということのないようにということを求めておきたいと思います。
 ちょっと時間がもう詰まってきたんですけれども、加計学園問題についてもお聞きしたいと思います。
 それで、ちょっと時間があれなんで、先日、愛媛県が新たな資料を予算委員会の要求に基づいて出してきて、その中には、二月二十五日を境に、ここで加計理事長と安倍総理が会ったということが書いてあって、それ自体もすごく問題なんだけれども、先日またそのこと自体がなかったことだという話が出て、だけど本当なのかどうかということがそもそも分からないわけですよ。
 そういう中で、私、先日、四月十九日に委員会でお聞きして、愛媛県が四月に公表した文書の中に、農水省、厚労省も歓迎する方向というのが柳瀬さんの言葉としてあったわけですよね。経済産業省出身の柳瀬さんがこの秘書官として説明をする際にそういうことを歓迎する方向ということを言った、そういうことに対して誰か説明した人がいるんじゃないかというふうに聞いたわけですよ。
 池田消費・安全局長は、従来から説明してきたこととちょっと違っているという答弁をされたんですね。従来の説明というのは、要するに、農水省としては獣医師は足りているという話だったと思うんですけれども。
 それで、違うのになぜ歓迎するという方向になったのか。これ、改めて、消費・安全局長、調査されましたか、その後。

○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 池田一樹君) お答えします。
 農林水産省から内閣官房に内閣参事官として出向していた職員が平成二十七年四月の二日の会合に同席していたかなどにつきまして、五月十日、予算委員会における参考人質疑などを踏まえまして内閣官房から農林水産省で調査するようにとの指示がございましたので、当該出向していた職員に対して直接確認を行いました。
 その結果ですが、平成二十七年四月の面談の前に柳瀬秘書官から獣医師の需給状況について聞かれたので、手元にあった資料を基に秘書官に説明を行ったという記憶はあるが、これ以外の当該面談前のことについては三年も前のことであるから具体的には記憶に残っていないということでございました。

○紙智子君 新たに愛媛県が公表したその四月二日の内閣府藤原次長と柳瀬総理秘書官との面談についてという文書があって、そこには、柳瀬氏が、官邸には内閣参事官として農水省と文科省から出向している者がいるので必要に応じて相談してはどうかというふうにあるんですね。相談相手に出向者がなっていたということだというふうに思うんですね、それ読むと。
 それだけではない。参事官が状況は常に本省にも説明しているというふうに言っているわけですよ。本省と連絡を取り合っていたんじゃないですか。これは官房長、どうですか。

○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 池田一樹君) お答えいたします。
 今御質問のございましたことにつきましても、五月十日の予算委員会における参考人質疑などを踏まえまして内閣官房から農林水産省で調査するようにと指示がございましたが、当該職員に対して直接確認を行いました。その結果、三年も前のことであるから具体的なやり取りについては記憶に残っていないということでございました。

○紙智子君 もう、ちょっと、本当に信じられないんですよね。愛媛県が公表した文書は、これ参議院予算委員会が要求して提出された資料なわけですよ。これが事実だったら、本当に行政府と立法府の信頼関係を揺るがすことになると思いませんか、官房長。

○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 池田一樹君) 私、今お答えいたしましたことでございますが、これは、内閣官房からの調査をすると、指示に従いましてヒアリングをした結果でございまして、その聞き取ったことをそのまま、ありのままお伝えをしているところでございます。

○紙智子君 やっぱり記憶ないで済ませようとしているんですけども、全然これ納得しませんよ。
 新たに公表された愛媛県の文書は、状況は常に本省にも説明していると記述がある以上、この経過を説明するべきだと。これは官房長も、今消費・安全局長がずっと話しているんですけれども、ちゃんとそれを経過を説明する必要があると思いますけれども、いかがですか。

○政府参考人(農林水産大臣官房長 水田正和君) 農林水産省から内閣官房に内閣参事官として出向していた職員に対する調査の件でございますけれども、これ、内閣官房から農林水産省で調査するように五月十日に指示があったということから、獣医師関係を担当しております消費・安全局を中心となって調査を行ったところでございます。これは、大臣の御指示の下で農林水産省として適切に調査を行ったものでございます。結果は先ほど消費・安全局長から説明したとおりでございます。
 農林水産省としては、そこの調査の内容を、結果をしっかりと御説明をしてまいることとしておるところでございます。

○委員長(岩井茂樹君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。

○紙智子君 はい。
 しっかり説明をすると言いながら、全然しっかり説明していないわけですよね。
 それで、ちょっともう時間になっちゃったんですけれども、先日、質問の中で聞いたときに、農林水産省としては加計学園の獣医学部新設をいつ知ったのかと聞いたときに……

○委員長(岩井茂樹君) 時間が過ぎております。おまとめください。

○紙智子君 はい。
 二〇一五年の六月だというふうに言ったんですけど、四月の時点で本省に常に説明していると言うんであれば、これ四月以前になるんじゃないかと。その答弁についても、後から答弁しに来ましたけれども、それについてもおかしいんじゃないかということをちょっと申し上げて、残りまたやらなきゃいけないと思いますけれども、引き続きということでやらせていただきたいと思います。
終わります。