<第193回国会 2017年4月14日 東日本大震災復興特別委員会>


◇ 自主避難者への住宅の無償提供支援の打ち切り/復興相(状況把握、対策等の)指示をした/在宅被災者への支援要求

○東日本大震災復興の基本施策に関する件

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 東日本大震災、東京電力福島原発事故から六年がたちました。そして、昨年四月十四日、今日ですね、熊本地方を襲った震度七の地震からちょうど一年がたちました。被災された皆さんに心からお見舞い申し上げますと同時に、復旧復興のために尽力されている皆さんに敬意を申し上げたいと思います。
 今日は、復興特別委員会ですから、私も東京電力福島第一原発事故と住宅支援についてお聞きしたいと思います。
 大臣は、福島原発事故による放射性物質の影響をどのようにお考えでしょうか。例えば、セシウム134、この半減期が約二年というふうに言われます。それから、セシウム137の半減期というのは三十年ですね。ですから、除染作業は進んで避難指示が解除されているわけだけれども、この放射能の影響を不安に思う方々がおられるわけです。なぜ不安に感じているとお考えでしょうか。大臣にその御認識を伺いたいと思います。

○国務大臣(復興大臣 今村雅弘君) これは、一般的に、やはり放射能は怖いものだという意識が非常に強いというふうに思っております。そしてまた、いろんな除染作業等々随分進んでおるわけでありますが、その辺のことについてもまだまだ不安を持っておられると。それが原因だと思います。

○紙智子君 やっぱり放射能汚染の被曝ということが非常に怖いわけで、健康に対する影響というのがあって、これ以上だったら安全でこれ以下だったら大丈夫という閾値というのはないんですね、閾値はないんです。少なければ少ないほどいいというのが、この放射線防護の大原則ということなんですね。
 そこで、自主避難者に対する住宅の支援についてお聞きしたいんですけれども、支援策には、災害救助法に基づく、福島県が応急仮設住宅を供与するスキームがありました。これは、原発事故だけではなくて、自然災害に対応したスキームなわけです。応急仮設住宅は、基本は二年ということですよね。二年もたてば、自然災害であればそこから収まって復興に向かうことができるということで二年というふうになっているわけです。
 原発事故で放出、拡散したセシウム137の半減期が三十年ということになっているように、自然災害のように二年程度では収まらないと。だから、既に六年過ぎているわけですけれども、それでも二年という枠なわけですけれども、それでも福島県は、そういうことがあるから被災者の住まいを確保するために災害救助法で支援をしてきた、延長しながら支援してきたということだと思うんです。
 そこでなんですけれども、復興庁は、これ、原発事故によって避難している被災者に対して独自に行った住宅支援策というのはあるのでしょうか。

○国務大臣(復興大臣 今村雅弘君) まず、これは、よく福島県ともいろいろ相談しながらいろんなお話を聞いて対応してきたのがまずベースであります。その上で、復興庁としても、例えば、これまでは雇用促進住宅での受入れでありますとか、あるいは国土交通省と連携しての公営住宅への入居の円滑化とか、そういったことをやってまいりました。
 引き続き、こういった取組についてはしっかりやっていきたいと思います。

○紙智子君 今おっしゃられた支援というのは、これは有償の支援なんですね。災害救助法のような無償の支援策というのは行ってきたでしょうか。

○国務大臣(復興大臣 今村雅弘君) これまでも、自主避難者等につきましても、二十九年三月まででありますが、これは無償提供をしてきております。

○紙智子君 災害救助法のような無償の住宅の支援策というのはやってきましたか、国として。
 要するに、支援はしてきたと言うけれども、それは有償なんですよ、今言った雇用促進住宅とか公営住宅とか。災害救助法のような無償の支援策というのはやっていないんじゃないですか。

○国務大臣(復興大臣 今村雅弘君) 今言いましたように、応急仮設住宅等については、これは無償提供をやってきております。

○紙智子君 ちょっと、そういうふうに聞いていなかったですけど、本当ですか。ちょっと事務方の方に確認したいんですけれども。

○政府参考人(復興庁統括官 関博之君) お答えいたします。
 この二十九年三月までは、根拠法令は災害救助法でございますが、その負担につきまして震災復興特交なども充てまして対応してきたということでございます。ですから、その住宅は二十九年三月まで無償で対応してきたということで、内閣府と一緒になって取り組んできたということでございます。

○紙智子君 先日お聞きしたところでは、無償の災害救助法の枠でいうと、これはなかったというふうに聞いているんですよ。違うんですかね。

○政府参考人(復興庁統括官 関博之君) 私が申し上げているのは、内閣府の災害救助法の適用になってきたケースについて申し上げておりまして、それは、個々人が負担をせずに福島県がその負担をし、それに対して財源的に補填をしてきたというそのスキームでして、ちょっと問いと答えが違ったかもしれません、申し訳ございません。

    〔理事神本美恵子君退席、委員長着席〕

○紙智子君 福島がやったやつに支援をしているわけですよね。直接国としてじかにやっているというのはないんですよ。
 原発事故の責任というのは、さっきも繰り返しになりましたけれども、国と東電の側に責任があるのに、なぜ直接支援しなくてやってきたのかというと、今ずっと繰り返されたように、福島に任せてきたということがあるわけです。
 それで、災害救助法は四年も五年も対応するスキームになっていないんですね。それなのに、福島に任せて、任せ続けてきて、国は独自の支援策を作っていないと。その側面からのはあるけれども、直接はやっていないと。それが分かっていながら、大臣から自己責任の発言が出たと。ここで怒りの声が出るのは当たり前だというように思うわけですよ。
 それで、大臣は、記者会見でやり取りしたときに、帰れない人はどうするんでしょうかと問われて、それは本人の責任でしょうと答えたと。自己責任ということなんですかと問われて、基本はそうだと思いますというふうに答えたわけですね。国が独自の支援策を取らなかった中で自己責任発言が出たと。被災者から信頼されるどころか、これはやっぱり不信を買ったわけです。混乱を招いたと。
 独自の支援策を作らなかったわけで、これは先ほども撤回するというふうに言われた、反省するという話があったんだけれども、やっぱり一旦不信が広がったものは本当にもう受け入れられないという人たちもいるわけで、辞任すべきじゃないかと、こういう厳しい声、いかがですか。

○国務大臣(復興大臣 今村雅弘君) 誤解があるようでありますが、先ほどもはっきり言いましたように、お戻りになるについては、要するにそれぞれの御家庭のいろんな事情がありますねと、そういったものをよく勘案して、それぞれの皆さんが自主的判断でやっていただくということで言っているつもりです。自己責任という言葉は記者の人が先に言われたわけですよ。それははっきり言っておきます。
 その上で、いろいろそういうこと、私も発言の仕方が誤解を招いたということでは反省をしておるわけでありまして、今辞任云々という話がありましたが、これは、一日も早く福島をとにかく復旧復興、再生するということが一番の任務だと。そのためには、いろんな、産業のなりわいの再生とか、そういったまだまだ国としてやらなきゃいけない課題も、しかもこれ時間の勝負ということで、風評被害等、風化の問題等も含めてありますから、そういったことに全力を尽くしてこれからも頑張っていきたいと思います。

○紙智子君 やり取り先ほども聞いていたんですけれども、やっぱり言葉を撤回すると、撤回したということ自体はすごく重いことだと思いますよ。
 だけど、やっぱり大事なことは、言葉を換えたとか、やっぱりその一時しのぎじゃ駄目なんですよね。反省したと言う以上は、進める政策の中身で示してこそ本当に失った信頼をまた取り戻すことができるんだというように思うわけですよ。
 そういう意味では、やっぱり自主避難者が、先ほども話になっていましたけれども、安心できるメッセージを送るべきじゃないのかと。今住んでいる方たちの中にもやっぱりそういう声を聞きたい人もいます。私も知っている福島から札幌に避難された方、ずっと頑張ってきて雇用促進住宅で住んでいた方が、もう自分で家を見付けて何とか移った方もいるけれども、そうできない人もいるわけですよ。そういう方に対して、もう期限が来たよとなったときに、それに対してどうするのかという具体的な提案をしていただきたいと、メッセージを送っていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(復興大臣 今村雅弘君) これも先ほど申しましたが、二年前にこういった帰還の方針を、解除の方針を決めてやってきたということであります。そして、この間もそれぞれの皆さん方に寄り添いながら、そしてお帰りになる条件づくりをいろいろなことでやってきたわけです。
 ここに来て、いよいよそういった解除があって、まだ帰るか帰らないか迷っておられる方もいっぱいおられるわけでありますから、そういった方には、じゃ、どうしてその方がやはり迷っておられるのか、帰られないのか、帰れないのか、そういった事情はいろいろあると思います。
 例えば、私はこういう仕事をしたいけどそういう仕事はあるでしょうかとか、あるいは子供の学校の関係あるいは保育園の関係等々あると思います。そういったものにできるだけこれから個別に丁寧に寄り添って、そしてそれに対する対策を福島県と一緒になってやっていこうということで、これから取り組んでいきたいと思います。

○紙智子君 それじゃ、お聞きしますけど、現在住まいを確保できていない自主避難者は何世帯で、何人おられるでしょうか。

○国務大臣(復興大臣 今村雅弘君) ちょっと今あれですが、一万二千人ちょっとおられる中で、約一・七%ぐらいだったと思います。

○委員長(櫻井充君) じゃ、事務方から、関統括官から補足説明してください。

○政府参考人(復興庁統括官 関博之君) 補足いたします。
 福島県が実施しました三回目の戸別訪問の結果で伺っておりますのは、本年三月十日現在ですが、平成二十九年四月以降の住宅が未確定の世帯が二百二十七世帯、御不在の世帯が百十六世帯ということで伺っているところでございます。

○紙智子君 今二百二十七世帯が未確定ということで、その中身はまたいろいろあると思うんですけれども、福島県が独自にやった調査でいいますと、県外の避難者、県外に出ている方は避難先で生活を継続するという世帯が七九・六%いるというふうに福島の調査で出ているわけですよ。八割近い人たちが、外に出た方ですね、戻るというよりはそこで継続するというふうに言っておられるという意思を示していると。
 それで、大臣、今も言われましたけど、四月七日の記者会でも言われました。帰還されない方がどういう理由、どういう状況で帰還されないのか、原因をよく分析をしながら、どういうところが足りなかったのかについてしっかり把握をして、今後の対策を立てる参考にしたいというふうにホームページでも言われていると思うんですね。
 信頼を回復するためにこれは急がなきゃいけないと、今言った数字というのは三月十日ですから、もう今四月超えているわけですから急がなきゃいけないと思うんですけれども、この状況掌握や分析、対策、これはいつまでにされるんですか。もう指示されたんでしょうか。

○国務大臣(復興大臣 今村雅弘君) それは指示をしております。

○紙智子君 それじゃ、指示されたということなので政府参考人の方にお聞きしますけれども、大臣の指示を受けてどのような計画をやって今取り組んでいるのかということを御報告ください。

○政府参考人(復興庁統括官 関博之君) お答えいたします。
 先ほど申し上げた数字は三月十日現在でございますので、改めて今福島県ともお話をしながら、その後の状況について福島県側も一世帯一世帯改めて戸別訪問をして状況把握に努めていただいておりますし、その情報をお互いに共有しまして今後の相談、いろいろ一緒になって連携して進めていきたいと考えているところでございます。

○紙智子君 これも、この復興特の委員会で何回も繰り返し言われていることですけれども、子ども・被災者支援法は、避難指示が解除されようがされまいが原発事故から避難する権利、どこに住むのかの自己決定は避難者の権利であると定めて、国はそれを支援することを定めていると。東電事故による避難者への支援は切れ目なく行うと、これが国の果たすべき責任の取り方なんだというふうに法律の中でも言っているわけですよ。そのことを強く改めて要求をしておきたいと思います。
 それで、もう一つ、次にお聞きしたいのが在宅被災者についてなんです。
 それで、これは定義はないようなんですけれども、在宅被災者というのは、震災で自宅の被害を受けながら仮設住宅に入れずに自宅で生活を続けられている方を在宅避難者というふうに言われています。例えば、震災後、災害救助法に基づく住宅応急修理制度があることを知って活用したんだけれども、この支援を受けたがために仮設住宅には入れなかったと。結果、自宅で生活を余儀なくされた、こういう方がいらっしゃるんですね。
 それで、私は昨年の三月にも、参議院予算委員会で在宅被災者についてお聞きしました。当時、復興庁は、在宅避難者の定義はない、実態把握を行っていないというふうに言われたんですけれども、その後何らかの対策を取ったのかどうか、政府参考人にお聞きします。

○政府参考人(復興庁統括官 関博之君) お答えいたします。
 まず、在宅被災者の方々の定義でございますが、これは、私ども国として一律に定めていないというのは同じ状況でございます。かえって、一定の定義をして枠をはめることがふさわしいのかどうかというのは議論があるところだと思っておりますが。
 ただ、いずれにしましても、この在宅の被災者の方々につきましても、やはり被害を受けた住宅の補修ですとか再建ですとか、そういうものに対する国や自治体の支援制度を御活用いただけるけれども、その使い方などについてアドバイスが必要な場合、これもあると思います。
 そのような中で、この被災者の方々の生活再建の状況に応じたきめ細かな支援を行うために、平成二十八年度から被災者支援総合交付金を設けまして、この中でこのような自治体などの取組を支援してきております。この交付金を活用していただいて、在宅の被災者の方々に対しましても、日常的な見守りを通じた生活実態の把握や再建に向けた御意向の確認、自宅補修などに対する支援制度の紹介、今後の生活再建に関する相談などの支援を行っていると承知しております。
 被災の自治体などとともに、引き続き切れ目のない支援に取り組んでまいりたいと考えております。

○紙智子君 それで、この今おっしゃってくださいました被災者総合交付金、これはどの地域でどの程度活用されているのでしょうか。

○政府参考人(復興庁統括官 関博之君) この制度を二十八年度に設けまして、各地域で御活用をいただいております。
 例えば、宮城県内で申し上げますと、石巻市ですとか仙台市ですとか多賀城市ですとか、それぞれ御申請をいただきまして、私ども、その必要な交付金を交付しておりますが、これ、平成二十九年度の予算にも計上してございまして、予算額は全体で二百億円の予算額を確保しておりますので、各自治体が、例えば、先ほど申し上げました、仮設住宅などで生活する方に対する、あるいは地域における日常的ないろいろな見守りですとか、あるいはコミュニティーの形成に資する、あるいは人と人とのつながりや生きがいづくりに資する心の復興とか、様々な取組に対しまして、御申請をいただければ我々の方で御相談に応じているというところでございます。

○紙智子君 在宅被災者二百五十八世帯を戸別訪問した仙台市の弁護士会の皆さんの報告をいただいているんですね。それで、今まで、事務所に来るのを待つ待機型の法律相談では実現できなかった相談が実現をした、ボランティア団体の同行で一緒に行って実現できたということなんですね。在宅被災者に支援物資や各種サービス、支援情報が届いていない世帯が多数確認できたということが報告されているわけですよ。
 大臣、こうした支援活動は重要だと思われますか。支援を拡充していくということも必要だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(復興大臣 今村雅弘君) 在宅被災者の方も、これもいろいろな御事情あると思います。やっぱり自分の家で住みたいという希望もあるわけでありまして、そういった方について、できるだけの御支援をしてきたつもりでありまして、被災者支援総合交付金、そういったもの等を通してしっかりと的確にまたやってまいりたいと思います。

○紙智子君 報告の中身をよく読みますと、非常に、一時はもう全く手が着けられていなかった、全く知られていなかった存在を、一人一人訪問しながらいろいろ聞き取り調査をしているわけですよ。
 それで、例えば、そういう在宅の被災者の中でいうと、六十五歳以上の方が七五%いるとか、それから、法律相談の手法から見た特徴としては、その中で、例えば、被災者だということで、そういう認識をされていない方もいらっしゃったそうですけれども、例えば、マスコミだとかの取り上げ方でも、ほとんどここは全く触れていなかったということがあったんですね。国や県や市町村やマスコミ、支援団体、国民全体に在宅被災者は被災者だという認識が薄かったということがこの皆さんの取組によって明らかになってきたと。それから、日本赤十字から支援物資の支給を受けられなかった住宅被災者世帯が多数いるとかですね。災害救助法の三十二条、災害対策基本法八十条を見ても、それにかみ合う中身なんだけれどもそれが認定されなかったとか、その他たくさんのいろんな特徴ということが分かっているわけなんですよ。
 やっぱりそういうきめ細かな活動をやって、そこに支援をしていくということ自体がとても大事な活動だと思いまして、是非これ更に拡充していただきたいということを、最後にもう一度、大臣の方からの答弁をお願いしたいと思います。

○委員長(櫻井充君) 今村大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

○国務大臣(復興大臣 今村雅弘君) 発災当初、大変な混乱があったわけでありまして、ここに来て少しずつ落ち着いてきておりますので、今言われました手の届かなかったところについても、もう少し丁寧にやっていくということで考えたいと思います。

○紙智子君 引き続き、課題はこの分野も山積していると思いますので、また取り組んでいきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。