<第193回国会 2017年3月22日 農林水産委員会>


◇TPP協定の調印前に予算化、異例の対応/繰越し、不用額が多いTPP予算/漁家子弟への支援制度の拡充を/次期水産基本計画に沿岸漁業の振興を位置づけるよう要求

○平成二十九年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二十九年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二十九年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について(農林水産省所管)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 TPP関連政策予算についてお聞きします。
 二〇一五年の十月五日のTPP大筋合意後、政府は、十一月の二十五日に総合的なTPP関連対策大綱を決定をし、十二月十八日には総額で三千四百三億円、農林水産分野では三千百二十二億円の補正予算を決定しました。農林水産物の影響試算を公表したのが十二月二十四日ですから、公表する前に予算案を決定したことになります。その補正予算が成立したのが二〇一六年の一月二十日です。
 そこで、まず財務省にお聞きしますけれども、TPP協定に調印したのは二〇一六年二月四日です。調印する前に大綱を決定したこと、大綱に基づく補正予算を成立させたことが過去のEPAなど経済連携協定にあったでしょうか。

○政府参考人(財務省主計局次長 茶谷栄治君) お答え申し上げます。
 経済連携協定に調印、署名する前に関連予算を措置した事例としましては、外務省予算において日・ASEAN経済連携協定を推進していくための予算を平成十八年度補正予算に計上した例がございます。具体的には、当該予算を含めた平成十八年度補正予算が平成十九年二月六日に成立し、その後、平成二十年四月十四日に日・ASEAN経済連携協定に調印、署名しているところでございます。ただし、大綱は作成しておりません。

○紙智子君 大綱は作成していないということですね。
 それから、これは、ウルグアイ・ラウンドということはどういう経緯だったんですか。

○政府参考人(財務省主計局次長 茶谷栄治君) ウルグアイ・ラウンドのときには、平成六年四月十五日にWTOの協定を署名しました後、補正予算は平成六年十二月二十日に閣議決定をしておるところでございます。

○紙智子君 日・ASEANについては大綱は作っていなかったということですよね。それから、ウルグアイ・ラウンドについても、私も調べてみたんですけれども、これは農業合意の受入れを表明したのが一九九三年の十二月ですね。WTO協定に調印したのは一九九四年の四月と。そして、ウルグアイ・ラウンドの農業合意の関連対策大綱を決定したのはその半年たった後、十月二十五日ですね。ですから、調印してから予算を決めていると、このときはですね。やはりそういう意味では、協定を調印する前に大綱を決定し予算を成立させたというのは今回が初めてではないですか。もう一回、財務省、確認します。

○政府参考人(財務省主計局次長 茶谷栄治君) お答え申し上げます。
 おっしゃるとおり、調印前に対策を取りまとめて大綱を策定した例というのはございませんで、それに基づく予算を措置した例もございません。

○紙智子君 初めてですよね。
 そこで、農林水産大臣にお聞きします。なぜそんなに急いだのか。TPP協定を既成事実化するために急いだのではないかというふうに言われてもしようがないと思いますけれども、いかがですか。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 御指摘のように、TPP大筋合意の後、一昨年十一月に決定させていただきました総合的なTPP関連政策大綱、この策定を待って、まず第一番に、TPPの発効を見据えた、これに備えることをきっかけとして、協定の発効を前提とせずに、発効を前提とせずに取り組むべき体質強化策、これを考えました。次に、TPP協定発効後に必要となる関税削減等の影響、特に影響試算に基づいて経営安定対策の充実、この二種類の対策を打つ必要があるというようにTPP大綱からは出てくるわけでございます、読み取れるわけでございます。
 こうした中で、前者の体質強化を加速する対策というものにつきましては、農林水産業の活性化が待ったなしの状況の中で緊急に実施していく必要がありました。そこで、二十七年補正、これに加え、二十八年二次補正において所要の予算を措置させていただいたという経緯でございまして、あくまでTPPを見据えた上での体質強化策は喫緊の課題であって一刻の猶予もならぬというようなそうした緊急性に基づくものでございます。

○紙智子君 体質強化のためには待ったなしなんだと、だから前提にして、決まっていないけれどもやる必要があるということで進めたという話なんですけど、今回のように経済連携協定で調印前に急いだということは過去になかったと思います。
 TPPのこの大筋合意というのは二〇一五年の十月五日だったわけですね。私たちはそのときに臨時国会を開会するように要求していましたけれども、政府は年内には国会を開こうともしませんでした。TPP対策大綱のまともな議論も国民への説明もないまま補正予算まで組んだわけです。それは要するに、TPPへの不安が高いままでは翌年の参議院選挙を戦えないという政治的な判断があったんじゃないのかというふうに思うわけですよ。
 そこで、これだけ急いだTPP予算がどうなったかということについてお聞きしたいと思います。
 ちょっと資料を配付させていただきました。資料を見ていただきたいんですが、これは平成二十七年度、二〇一五年の農林水産省の予算書と財務省の決算書から作りました。二十七年度補正予算の各目明細書の赤字を見てください。総額ではこれ三千百二十二億円で、実は技術会議分とか林野庁とか水産庁分もあるんですけれども、ちょっとびっしり書くともうますます字が小さくなってしまうので、ここでは農林水産省本省分だけをピックアップしました。

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 それで、見てもらって分かるように、合計では約一千八百七十五億円、TPP関連政策予算、その隣ですけれども、一千八百五十九億円ですから、ほとんどがTPP関連政策予算ということです。補正追加額を(A)とします、赤字にした部分ですけれども、そして、右の欄にちょっと移っていただいて見てほしいんですが、二十七年度の歳出決算報告書にあります翌年度繰越額というのがあって、これは赤で(B)としています。どれぐらい翌年度に繰り越したのか、その割合を示したのが赤い字で書いているA分のBというところです。例えば三番目のところで、目の区分のところはブルーにしているんですけれども、ちょっと見やすく色を付けているんですけれども、その三番目のところですね、国産農畜産物・食農連携強化対策整備費補助金の補正予算額は約四十五億円で、金額的にはそのまま繰越しされています。
 農林水産本省の目の区分は全部で十五あるんですけれども、補正予算と同額以上の繰り越したものの、これ赤字で示しているんですけれども、A分のB、ここの部分が一〇〇%を超えているのが七つもあるんですね。九〇%以上を含むと十一あるわけです。
 つまり、これ予算は単年度主義ですから、年度内に使い切れない予算を無理に決めたことになるというふうに思うんですけれども、これについての大臣の見解を求めたいと思います。

○政府参考人(農林水産大臣官房長 荒川隆君) お答え申し上げます。
 今先生から配られましたこの資料でございますけれども、お話ございましたように、目に着目して歳出予算の金額と、それから決算報告書で目ベースでまとめてあるものでございます。
 一方、TPP大綱を実現するための予算、二十七年度の補正で三千百二十二億あるわけでございますけれども、これらにつきましては目の中の更に細かい数字になっておりまして、私どもで計算をしたところによりますと、この三千百二十二億円の補正予算額のうち、二十七年度末の時点で支出済みになっておる歳出額が一千九百七十六億円、それから翌年度へ繰り越した金額が一千百四十二億円ということになってございます。
 一方、先生の資料の方は、先ほど申しましたように目ベースでやられているものですので、TPP大綱実現予算以外のものも入っておる、あるいは前年度、二十六年度から二十七年度に繰り越したものといったものも入っておるので、数字に若干の異同があるんではないかと考えております。

○紙智子君 私、だから農水省には早々から是非その決算ベースの資料を出していただきたいと言っていて、なかなか、時間掛かりますということだったので、こちらの方でやらせてもらったんですけれども。
 それで、TPP以外のものも入っていると言ったんだけど、この数字で見ると、確かにちょっと数字のあれは違いますけれども、やっぱり多くはTPPということになっていると思うんですね。それで、この中で見ていきますと、不用額というところも出てきていて目に付くんですけれども、これ不用額というのは何でしょうか。これ説明していただきたいと思います。

○政府参考人(農林水産大臣官房長 荒川隆君) お答え申し上げます。
 不用額と申しますのは、その年度中に執行をされずに、かつ繰越明許で翌年度に繰越しされなかったもので、最終的にその年度に使われなかったものを不用として計上するものでございます。
 先生の資料の方のこの不用額の(C)という数字、二百二十三億という数字が見て取れるわけでございますが、これも、先ほど申しましたように、私どもの三千百二十二億円の二十七年度の補正額ベースで申し上げますと、先ほど申しましたように、三一二二のうち支出したものが一九七六、それから繰り越したものが一一四二でございまして、不用額は四億円ということになりまして、あえて申し上げれば、この二百二十三億円のうち四億円がいわゆるTPPの関連予算の三千百二十二億円に関する部分と、それ以外は、それ以外のTPP対策以外の部分、あるいは二十六年度からの繰り越したものの更に不用になったものといったものであると認識をしております。

○紙智子君 ちょっとよく分からないんですけれども。
 それで、ちょっともう一回資料を見てほしいんですけれども、繰越しもせずに不用になった額、(C)というところで表しているんですけれども、補正予算を組んだけれども、どれぐらい不用額が出たかと。もちろん、前年度の今話ありましたけど繰越額も入るわけですけど、赤字のこのA分のCのところ、一番右端ですね、ここを見てもらうと、ここを見て、全体の流れで五番目のところ、ブルーで色を変えていますけれども、そこの項目を見ると、農業・食品産業強化対策整備交付金となっています。繰越額が約百十一億円、不用額は三十二億円と。補正予算の七三・三%が不用額というふうになるわけですね。それから、その下の欄の六番目、農業経営対策地方公共団体事業費補助金、この不用額は百四十七億円で、割合は二七三%、二・七倍と。それから、もうちょっと下に下がって十三番目のところも青にしていますけれども、農山漁村六次産業化対策事業費補助金、これは四億五千五百万円で、割合は四五五六%、四十五倍と。
 なぜこれだけの不用額が発生したと思うか。これ、ちょっとずっと今事務方ばかり答えているので、大臣、なぜこんなに不用額が出ているというふうに思われますか。

○政府参考人(農林水産大臣官房長 荒川隆君) 大臣の御答弁の前にちょっともう一度事実関係を御説明させていただきます。私の説明が下手くそで申し訳ございません。
 二十七年度のTPPの補正予算額は三千百二十二億円でございまして、このベースで二十八年の三月三十一日分で支出済みになっておりますものが千九百七十六億円、それから繰り越したものが千百四十二億円、不用額が四億円ということで私ども認識をいたしております。
 一方、先生、この目ベースで整理をされたものは、目の、例えば今お話ございました五番の農業・食品産業強化対策整備交付金の補正予算額四十二億というものの中には、TPP補正ということで三千百二十二億円の中に入っておりますものと、それから、元々TPP補正ではなくて当初予算に入っていたものをTPPじゃない形で補正をしたものの二つございまして、その数字がTPP補正より大きくなっているんだと認識をしております。
 したがいまして、この不用額のところでそれぞれ出ております数字で、二百二十三億円と私が申し上げておりますこの四億円の差というのは、TPP補正予算の不用ではなくてそれ以外の一般の予算の不用であると、そういう御答弁をさせていただきたかったのでございます。

○紙智子君 何で数字が違うのかというところも含めて、だから最初からちゃんと出してほしかったわけですよ。それで、私はやっぱり、平成二十七年度の補正の繰越額、不用額の資料をずっとお願いしていたんですけれども、時間が掛かりますということを言われていて、間に合わないということもあるので、財務省が公表している決算データを基に質問しているわけですよ。
 なぜこの資料で見て、補正の二・七倍、四十五倍も不用額が出るのかと。今のお話だったら、そんなに不用額はないんですと言われたんだけれども、それであれば、是非決算データに基づいた資料の提出を、出していただきたいと要求をしておきたいと思います。よろしいでしょうか。

○政府参考人(農林水産大臣官房長 荒川隆君) 先生から資料なり御説明の要求があって、私ども真摯に対応させていただいておったつもりでございますが、結果的に、昨日、私どもから、今私が答弁申し上げているような形の資料をお出ししたのが昨晩になってしまいまして、誠に申し訳ございません。遅くなったことはおわび申し上げます。
 今御指摘をいただいたことを踏まえまして、改めてしっかり整理をいたしまして、また御説明をさせていただきたいと存じます。

○紙智子君 本当に、だから分かりづらいので、やっぱり分かるように、今まで誰もみんな何回も聞いているんですよ、この予算の問題は。だけどよく分からない、分からないまま推移しているわけで、ちゃんと分かりやすいものを出していただきたいと思います。
 それで、TPP予算を公共、非公共、基金ということで分類すると、三分の一ずつになっているという話を聞いています。それで、基金というのは団体に渡してしまっていますから、その先どうなっているか分からないということもあると。それで、基金にある産地パワーアップ事業などは、これは現場から聞こえてくる声は、予算が来ないという意見が出ています。ところが、これ、TPP予算は発効の見通しがないわけですよね。だから、既に予算が付いている人と付かなかった人も出てくると、だから不公平感が出てくるわけですね。それから、公共事業でも事業がストップする可能性があると。
 TPP協定がこれ発効する見通しもないのに急いで予算を組んでしまった、こういう予算の組み方、税金の使い方としておかしいんじゃないかと思うんですけれども、大臣、これ、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 御指摘の産地パワーアップ事業あるいは畜産クラスター事業、いずれもこれ基金でございます。これらの事業につきましては、機動的、効率的に対策が実施されるということが現場で必要だという認識でございまして、生産現場で安心して営農等ができるように、弾力的な執行、そういうものを目指して基金化を行ったところでございます。
 こうした基金も含めまして、これまで措置した予算というのはTPP発効を見据えたものでございます。これに備えるべきことをきっかけとして、協定の発効を前提とせずに、先ほど申し上げましたように、取り組むべき農林水産業の体質強化を加速するという対策でございまして、執行を停止することなく、引き続き実施していく必要があろうというように考えております。特に、公共事業、継続性がなければ、継続がなければ完成しない事業なんかは、特にこうしたものに留意しながら、完成した目的を達するように努力したいと思っておりますし、今後とも、農林水産業の体質強化に必要な施策は着実に講じてまいる所存でございます。

○紙智子君 私、今お聞きしたことは、やっぱりこういうふうに、まだ発効する見通しもないものを前提にして、もう無理して組んでしまったことによっていろいろなそごが出てくると。こういうふうな予算の組み方とか税金の使い方がいいのかということを言っているわけですよ。こういうことをちゃんと反省しないと、また同じことをやることになるわけですよ。そこのところをお聞きしたかったわけですが、こういうやり方というのは私はやっぱりよくないと思いますよ。いかがですか。

○政府参考人(農林水産大臣官房長 荒川隆君) お答え申し上げます。
 TPPの政策大綱に基づきます予算につきましては、冒頭、大臣からも御答弁いたしましたように二つ種類がございまして、TPPの発効を見据えてはおりますけれども、協定の発効を前提とせずにも取り組むべき体質強化を加速するべき対策というものと、それから、TPPが発効した後に必要となります、関税が下がってくることに伴っていろいろな影響が出てくることを支えていく経営安定対策というものの二種類がございまして、後者の経営安定対策、発効後に必要となる経営安定対策の金目というのは我々要求をしておりません。
 我々要求をしております畜産クラスターですとか産地パワーアップ事業といいますのは、発効を見据えてはおりますけれども、協定の発効を前提とせずにも継続的に取り組むべき体質強化を加速する予算ということでございますので、これまでも実施しておりますし、引き続き基金等で対応して、できるものは措置してまいりたいと思っておるところでございます。

○紙智子君 全く納得しませんけれども。まだ平成二十七年度の決算しか今のところ出ていません。けれども、やっぱり要望のない、使うめどもないのに急いで予算を組んだ結果、多額の繰越額や不用額が出たんじゃないかというふうに思うわけですよ。
 私は、農林水産省の予算というのは、これまで三兆数千億という時代がありましたから、そういう意味では、もう二兆三千億ですか、まで減ってきているわけですから、本来はもっと増やすべきというふうに考えているわけですけれども、特に、農家が切実に求めているマルキンですとか、米価の支援だとか、あるいは家族経営を支援する予算をもっと増やすべきだというふうに思っていますよ、日頃から。でも、このTPP発効の見通しもないのに予算を組んで既成事実化すると、これは問題だし、そうした予算の組み方はおかしいということを繰り返し指摘をしておきたいと思います。
 次に、漁業についてお聞きします。
 新規の漁業就業者対策なんですけれども、農業において青年就農給付金は農家の子弟を支援の対象にしていますけれども、漁業についても農業並みの支援を検討すべきではないかということを要求してきました。この現状についてちょっと端的にお話しください。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 御指摘の農家並みの支援ということでございますが、現在、研修後の独立就業への支援及び漁家子弟に対する支援を指しているものでございますが、現在、独立型の新規就業を目指す者に対しましては、計画的に漁業経営を拡大していくための基礎となる様々な技術、知識の習得のための長期研修支援を行わせていただいておるところでございます。
 この独立型の長期研修につきましては、平成二十五年度より研修期間を、一番長いもの、最長で三年間、年間最大三百三十八万円に拡充しているところでございまして、三年間の研修を終えた研修生が平成二十八年度に初めて就業しているところでございます。これらの研修生が今月末で就業後一年を迎えることになります。まずは、本年四月以降、これらの者の独立後の経営状況を調査することをしっかりやっていきたいと思っております。
 一方、漁家子弟に対する支援ということでございますが、平成二十九年度予算案につきまして、新規漁業就業者総合支援事業、このうち漁家子弟を含めて利用可能な経営・技術向上支援事業を拡充強化しているところでございます。第一に、研修内容を充実し、拡充し、経理、税務等のみならず、流通やマーケティング等を含む経営管理全般を追加することといたしましたし、二番目に、座学のみならず、熟練漁業者の技術やノウハウも習得できるような短期実地研修も実施できるよう、メニューを拡充させていただいたところでございます。
 いずれにいたしましても、農業並みに支援ができるよう努力をさせていただければというように思っております。

○紙智子君 JFマリンバンクは、国の支援事業は漁家子弟が支援の対象外になっているということで、新規に漁業就業する者を研修生として受け入れる漁業者に対してその費用を助成する事業を創設したというふうに聞いています。昨年、森山大臣が、質問したときに、新規漁業就業者総合支援事業という国の制度の実情をよく調べてという話を言われていたので、是非今後とも前向きな検討をお願いしたいというふうに思います。
 それから、水産基本計画について最後にお聞きしたいんですけれども、次期計画の策定作業が行われていますが、沿岸漁業について小規模な漁業者が多数存在することは価値あることで、評価すべきという意見も出ているというふうに聞いています。沿岸漁業や小規模漁業、家族漁業の役割を大臣はどう認識されているのか、どのように位置付けようとしているのかということをお聞きしたいと思います。

○委員長(渡辺猛之君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 私の地元も小規模経営者ばかりでございまして、全国津々浦々の漁村では沿岸漁業、こうした経営体の脆弱さなるがゆえに後継者がいないというような、大変漁村としましては極めて限界集落的な環境になっております。
 その上で、浜の活力再生プランや広域浜プランの取組を進めることによりまして、全体として地域が、こうした漁業者も含めまして、しっかりとした水産資源の確保に取り組めるように頑張ってまいりたいというように思っております。

○紙智子君 時間になってしまって、また新たな、次のときに聞きたいと思うんですけれども、沿岸の漁業者の皆さんの、先日、国会内でフォーラムが行われて、沿岸漁民の視点からクロマグロの漁業規制を考えるというのがやられました。
 その中で、資源をきちっと評価して管理するということにはもちろん異論はないんだけれども、一律にこの資源管理ということでやると、本当に漁業で生活が成り立たなくなる、漁村地域の活性化も図れないという問題が提起をされていて……

○委員長(渡辺猛之君) 時間が過ぎておりますので、質疑をおまとめください。

○紙智子君 そうした皆さんのやっぱり窮状をつかんでいただいてしっかりと対応していただきたいということを最後に申し上げて、この問題、またこの次にやらせていただきますけれども、ということをお願いをして、質問を終わりたいと思います。