<第192回国会 2016年11月18日 災害対策特別委員会>


◇北海道台風被害/農業被害への支援/JR路線の復旧を

○災害対策樹立に関する調査(平成二十八年台風第十号等による被害状況及び復興支援策に関する件、JR北海道の復旧見通しに関する件等)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 十月二十四日に災害対策特別委員会の委員派遣で北海道に参加をさせていただきました。今日は北海道を中心に発生した台風被害について質問したいと思います。
 早速なんですけれども、加工用のスイートコーンについてです。スイートコーンの加工場は機械設備が浸水をして操業できなくなり、生産農家はコーンが出荷できなくなりました。缶詰用のスイートコーンは甘みの少ない品種で、新たに販路を確保するのが困難だということです。農家の減収もどうするのか。通常、自然災害は共済の対象になるんですけれども、被害を受けたのはコーンの圃場ではなくて加工場ですので、これは共済の対象になりません。農家はこの会社と栽培の契約をしていますから、契約栽培していますから、補償の仕方というのは第一義的には加工工場と生産者の話合いになるというふうに聞いています。
 十月に行われた農林水産委員会で私は、工場との契約がもし不履行になったりすると生産者に損失が発生するので、既に先行投資したものの支払が困難になると、農家の生活に支障が出る可能性があるので、安心して年が越せる支援を求めました。農林水産省の井上食料産業局長は、必要がある場合には私どもとしても必要な助言等を差し上げたいと言われました。現状がどうなっているのかということについてお聞かせください。

○政府参考人(農林水産大臣官房審議官 丸山雅章君) お答え申し上げます。
 十月二十七日にお答え申し上げましたとおり、農林水産省といたしましては、工場側と生産者側の交渉を見守ってまいったところでございます。現時点では、工場側から生産者側に対しては各ブロック単位で対応方針について説明をしているところであり、また工場の再開については十一月末を目途に再建計画を取りまとめるところと聞いております。
 農林水産省といたしましては、引き続き工場側の対応を見守りながら生産者側への真摯な対応を促しますとともに、できる限り早く再建計画が取りまとめられ復旧がなされますよう、必要な助言や対応を行ってまいりたいと考えております。

○紙智子君 十勝毎日新聞という新聞があります、地方紙ですけれども、コーン缶詰、来期も断念というふうに報じたわけです。工場と農家で話合いが持たれたようなんですけれども、工場は面積に応じて見舞金を出す方針を説明したようです。出席者の一人は、来年もスイートコーンを作りたいと、見舞金は生産コストに見合わない、種代程度にしかならないという声が出ているわけです。
 それで、農水省として状況を把握しておられると思うんですけれども、支援に乗り出す時期に来ているんじゃないでしょうか。いかがですか。

○政府参考人(農林水産大臣官房審議官 丸山雅章君) お答え申し上げます。
 見舞金につきましての報道がありますことは承知しております。生産者側への対応につきましては、先ほど申し上げましたとおり、現在工場側から生産者側に対して方針を説明しているところでございまして、今後は、十一月末を目途に再建計画を取りまとめると聞いております。
 いずれにいたしましても、農林水産省といたしましては、引き続き、生産者の不安が大きくならないよう生産者側への真摯な対応を促してまいりたいと考えております。

○紙智子君 年末をそろそろ迎えようとしているわけですから、農水省が乗り出す時期に来ているんじゃないかと思います。支払がもう迫ってきているということがありますので、安心して年が越せるような支援をお願いをしておきたいと思います。
 次に、JR北海道の復旧についてお聞きをいたします。
 この問題は十月の十一日に予算委員会でも質問いたしました。石井大臣は、鉄道軌道整備法に基づく支援を始め必要な支援について検討したいというふうに答弁をされました。そこで、現在分かっている被害額、復旧の見通しを説明していただきたいということがまず一つです。
 それからもう一つ。根室線の東鹿越と上落合区間、日高線の鵡川と様似区間はまだ被害状況が把握できていないというふうに聞いています。根室線は来春調査に入るというふうに聞いているんですけれども、JR北海道は調査後、運転を再開する意思があるのかどうか。
 この二点についてお答えをいただきたいと思います。

○政府参考人(国土交通大臣官房技術審議官 潮崎俊也君) JR北海道の問題でございますが、まず一点目の御質問でございますけれども、JR北海道によりますと、今回の一連の台風により被災した施設の復旧費用につきましては、被災状況の調査が終了していない根室線の東鹿越―新得間、また日高線の鵡川―様似間、これらを除きまして、概算で約四十億円程度になるとのことでございます。このうち、現在も運転を休止しております石勝線のトマム―新得間と根室線の新得―芽室駅間につきましては、年内の復旧を目指して現在工事中でございます。
 それから、二点目の質問でございますが、被害状況をまだ把握できていない区間、御指摘ございましたとおり、根室線の東鹿越―新得間、この間につきましては、まずはJR北海道において、来春以降、被害状況の把握や復旧方針の検討を通じてしっかり行っていただきまして、その結果を聞いた上で国としての対応を検討してまいりたいと思っております。
 また、日高線につきましても同様、昨年一月の低気圧による高波の被害以来、今年の一連の台風につきましても……(発言する者あり)あっ、ごめんなさい。よろしいですか。失礼いたしました。

○紙智子君 その前に一つ答えていないんだけれども、運転をJRは再開する意思があるのかということを聞いたんですけど。

○政府参考人(国土交通大臣官房技術審議官 潮崎俊也君) これにつきましてはまだ、来春以降の調査の結果を踏まえた上でJR北海道から復旧方針についての考え方を聞くこととしておりますので、現時点については私どもとしては承知をいたしておりません。

○紙智子君 意思があるのかないのか聞かれていないんですか。

○政府参考人(国土交通大臣官房技術審議官 潮崎俊也君) 現時点につきましては、復旧方針等の考え方については把握をしておりません。

○紙智子君 意思があるということだって言っていましたよ、レクチャーを受けたときには。違うんですか。
 じゃ、次行きます。
 日高線は、昨年一月、低気圧による暴風雪の災害、九月に台風十七号の高波によって被害を受けたと。被害調査は終わっているんでしょうか。

○政府参考人(国土交通大臣官房技術審議官 潮崎俊也君) 日高線につきましては、概略での被害調査は出ておるところでございますが、特に今年の一連の台風で被災した部分につきましては詳細な調査がまだ全て終わってはおらない状況であると聞いております。

○紙智子君 それもちょっと答弁がはっきりしない。終わっているって聞いていますよ、終わっていると。終わっているのに復旧工事に入っていない。今年の台風被害でも同じことが繰り返されないかということで住民の皆さんが不安に思うのは当然じゃないんでしょうか。いかがですか。

○政府参考人(国土交通大臣官房技術審議官 潮崎俊也君) 日高線につきましては、概略の把握はできておることは確かでございます。その結果、昨年の被害と今年の一連の台風の被害を合わせましておおむね八十六億円ぐらいの被害が出ておるということは私どもも把握をしておりますが、これで全て終わるかどうかということはまだ現時点においてはっきりしておらない、まだ詳細を調べましたらもう少し別のものが出てくるかもしれないという状況が残っていることも確かでございます。

○紙智子君 ある程度ちゃんと調査もしているというわけなんだけれども、現状では、昨年の被害状況を調査したのに工事は先延ばしに次ぐ先延ばしという状況が続いているわけですね。その結果、復旧費用が膨らみ続けていると。そして、その負担を住民に求めようとしているんですよ。JRは復旧工事を、まあ言ってみればサボっている状態だと。
 災害復旧事業は、言うまでもなく、これ原形復旧ですね。ところが、JRは、原形復旧に持続的な運行論をくっつけて一体論を持ち出していると。しかも、地元の負担まで求めているということなんですね。
 これ、ちょっと確認しますけれども、鉄道の災害復旧事業というのは原形復旧するための事業ですよね。お答えください。短くお願いします。

○政府参考人(国土交通大臣官房技術審議官 潮崎俊也君) 鉄道軌道整備法に基づく補助につきましては、基本的には原形復旧ということを念頭に置いた制度でございますけれども、詳細はいろいろ、その個々の災害ごとに内容を審査して決定することとしております。

○紙智子君 ちょっと、余分なことを言われると困るんですけれども。
 原形復旧するための事業でしょう、これ。この法律上で言うと、鉄道の復旧事業というのは原形復旧のための事業ですよ。国土交通省は、原形復旧に持続的な運行論を加えて、これ一体論を認めるということなんでしょうか。持続的な運行というのは、原形復旧した後に考えればいいことなんじゃないんですか。これ、一体論に入っちゃったら遅れるばかりですよ。全然進まないということになりますよ。それ自体が災害復旧の仕組みを変質させることになるんじゃないですか。
 日高線は、JRの提案を受けて日高線沿線の自治体協議会がつくられて、そこで議論しているわけですが、国交省が行うべきことというのは、これJRに対してやっぱり公共交通機関の役割を果たすように指導することなんじゃないんでしょうか。いかがですか。

○大臣政務官(国土交通大臣政務官 根本幸典君) これまで関係者の間において話合いが重ねられてきているところであり、その推移を見守りたいと考えております。国としても、検討に加わっている当事者の一人として、話合いが進むようできる限りの努力を行ってまいりたいと考えております。

○紙智子君 見守っている状態がずっと続いているわけですよ。実際には進んでいないわけですよ。何でかといったら、JRの方は待て待て待て待てと言っていると。もしかしたら廃止するかもしれないみたいな話まで含めて出ているわけですから、住民の皆さんがどれだけ不便な思いをしているかということですよ。それをただ横から話合いを待っているということだったら、一向にこれ解決しないんですよ。
 もっと踏み込んでやるべきじゃないですか。もう一回お答えください。

○大臣政務官(国土交通大臣政務官 根本幸典君) 国としては、やはり検討に加わっている当事者の一人でありますので、引き続きできるだけの努力をしてまいりたいというふうに思っております。

○紙智子君 できるだけの努力となると、できないことはできないということになってしまうんですよね。
 JRは、自然災害をきっかけに線路を廃止する事例というのは各地にありますよ、ここだけじゃなく。JR東日本岩泉線、二〇一〇年の七月の土砂崩れをきっかけに廃止、同じく只見線は二〇一一年七月に豪雨で被害を受けていまだに運休のまま、山田線は二〇一一年の東日本大震災で大きな被害を受けて運転は再開されていないと。
 国土交通省は、これJRが廃線を打ち出した際にストップ掛けたことあるんでしょうか、大臣。

○委員長(若松謙維君) 時間も来ておりますので、簡潔答弁お願いします。

○政府参考人(国土交通大臣官房技術審議官 潮崎俊也君) はい。
 鉄道の路線の維持は、その鉄道事業者の経営の判断に基づいて行われるものだというのが私どもの基本的な考え方でございます。ただ、その際には、輸送の実態とかその後の状況につきまして、地元の方々と丁寧に説明をして事を進めてほしいという指導をしております。

○委員長(若松謙維君) 時間が過ぎております。

○紙智子君 国土交通省としては、JRが公共交通機関なんだということでのその役割を果たすように指導すべきだということを申し上げて、質問を終わります。