<第190回国会 2016年5月11日 沖縄北方特別委員会>


違法知り証拠隠滅か、島尻あい子カレンダー配布疑惑で追及/流し網漁禁止は深刻、対ロシア交渉ただす

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 本来であれば、昨年の内閣改造が終わった後に、沖縄北方担当大臣になられた島尻大臣に質問したかったわけなんですけれども、安倍内閣は臨時国会も開かず、八か月たって、今ようやく所信質疑ということになりました。
 そこで、初めに島尻大臣の政治姿勢についてお聞きをいたします。
 昨年十月に、大臣自らの名前と顔写真が入ったカレンダーを無償で配布した問題が発覚したと。
 この件についてお聞きしたいんですが、大学教授ら三十人を含む大阪市の市民団体、政治資金オンブズマンが公職選挙法違反の疑いで大臣を告発したわけですけれども、この告発に対してどのような認識でおられるでしょうか。

○国務大臣(島尻安伊子君) 市民団体が私を告発されたということは存じております。

○紙智子君 存じていますということなんですけど、そのことの中身について、どうですか。

○国務大臣(島尻安伊子君) 告発の内容等ということもそうなんですけれども、私といたしましては、今おっしゃったその顔写真入りのポスターについては、室内に貼っていただいて、自民党の政策に支援をいただいて、そして党勢拡大につなげる観点からお配りした政治活動用ポスターであると、そして財産上の利益を供与するものではないというもので、したがって、これはもう寄附に該当しないということで考えております。

○紙智子君 マスコミは、二〇〇九年の十二月末に大臣のブログがあって、そのブログの中で、島尻あい子カレンダーを配布しております、欲しいという方は後援会事務所までというふうに書き込んでいて、不特定多数の希望者への配布を呼びかけていたんじゃないかというふうに報じているわけです。
 現在はこのブログは削除されて見れなくなっているんですけれども、ブログに書き込んだのはこれ事実でしょうか。そして、もしそうだとしたら、なぜ削除したんでしょうか。

○国務大臣(島尻安伊子君) ブログで書かせていただいていたということは事実でございます。
 その後、このブログは削除をさせていただいていたわけでありますけれども、このことにつきましては、誤解を招くおそれがあるということ、つまり、この当該の印刷物が政治活動用ポスターであるということに変わりがございませんけれども、このブログであい子カレンダーというふうに書かれていたということもございまして、誤解を招くおそれがあるので、実物を的確に表す用語を使用することとし、ブログも削除をしたということでございます。

○紙智子君 誤解と言われるんですけれども、誤解というのはどういうことなのかなと。誤解ではなくて、カレンダーだと違法だと認識したのでブログから削除したんではないんですか。
 沖縄の新聞もいろいろ書きましたけれども、識者の意見を紹介しています。ポスターであれば削除する必要はない、違法だと認識したから証拠隠滅を図ったんじゃないかというふうに書いているわけですよ。
 このカレンダーは、二〇一〇年、二〇一〇年の七月が参議院選挙のときです、二〇一〇年から五年間、約五年間、毎年二千部から三千部刷って配ったと言われている。しんぶん赤旗が大臣の資金管理団体のちゅらの会の政治資金収支報告書を調べたところ、党費又は会費を納入した人の数は一一年から一三年が各二人、一四年は一人。大臣が支部長を務める自民党沖縄県参議院選挙区第二支部を合わせても、会員、党員の数は三百人にもならないわけです。
 ですから、いつ頃、どういう場所でこれ配布をされたんでしょうか。

○国務大臣(島尻安伊子君) この配布の方法でありますけれども、配布の実績といたしましては各年一千枚程度でございます。主に地方議員に対して年末年始に個別訪問によって配布したと。ほか、支持者を集めた新年会で二百から三百枚を配布をさせていただきました。

○紙智子君 なかなか今の説明だけ聞いているとよく分からないと。
無償で配布、言ってみれば、いつでも言ってきてくださいという形で不特定多数に呼びかけるブログがあったわけで、今二百から三百ぐらいという話があるんですけれども、実際にはどうなのかと。二千枚から三千枚印刷していたわけで、毎年ですよ、それが一体どこに消えたのかということにもなるわけですよ。それで、今の説明ではなかなかやっぱり有権者としては納得できないと思います。
 それで、政治倫理綱領には、政治家は、政治倫理に反する事実があると疑惑を持たれた場合には自ら真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならないということが書いてあるわけで、問題がないというのであれば、削除をした、この見れなくなったブログ、そしてこのポスター、現物、そして会員数などを資料を是非提示していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(島尻安伊子君) これ、過去のものなので全てそろっているかといえば、そうではございません。そして、このブログで告知をしたという事実は、それは事実でございますけれども、しかしながら、実際にはブログを見たのでこれを下さいといって受取に来られた方は実は存在しておりません。当該印刷物は党勢拡大のためにお配りをさせていただいているものでございます。

○紙智子君 過去のものであっても、一枚でも結構ですから、残っていたら出していただきたいんですけど、ポスター。

○国務大臣(島尻安伊子君) じゃ、事務所の方に問い合わせてみます。

○紙智子君 今そういう発言がありましたので、委員長、是非提出するようにということを検討していただきたいと思います。

○委員長(江崎孝君) ただいまの件につきましては、後刻理事会にて協議をいたします。

○紙智子君 次に、日ロの領土交渉についてお聞きします。
 五月六日、安倍総理はソチに行かれて、プーチン大統領と三時間十分にわたる日ロ首脳会談を行ったことが報じられています。新たな発想に基づくアプローチでなどと言われているんですけれども、ロシア側は、具体的な打開案作りが進んだわけではないというような見方を示していると、新聞報道ですけれどもね。
 それで、何が今回進展したんでしょうか。簡潔にお願いします。

○国務大臣(岸田文雄君) 日本とロシアの交渉ですが、私自身、ロシア・ラブロフ外相と今日まで五回外相会談を行いました。最初が二〇一三年の四月だったと思いますが、ロンドンで外相会談を行いましたが、その際の平和条約交渉、そして北方領土交渉、これは歴史的な解釈あるいは法的な立場がぶつかり合う大変激しい議論で、時間を大幅にオーバーしてやり合ったことを覚えております。要は、法的な立場、そして歴史的な解釈、これが鋭くぶつかり合う、こういった議論でありました。
 その後、クリミア併合、ウクライナ問題等が発生し議論が一時中断したわけですが、昨年九月、議論の再開を確認し、そして今年の四月のこの外相会談において、それぞれ歴史的な解釈、法的な立場、これの違いはあると、違いはあるものの、その上に立って双方受入れ可能な解決策をつくっていこうということを確認し、その上で御指摘の五月六日の首脳会談に臨み、今申し上げたような考え方の上に立って新しいアプローチで解決策をつくっていこうということで一致をしたということであります。
 その基本的な考え方の上に乗っけた新しいアプローチの具体的なものについては、まだ交渉中ですので明らかにできませんが、明らかに、この三年余りを振り返りましても、この議論の中身、レベル、段階は変わってきていると認識をしております。是非、具体的な結果を出すべく引き続き努力をしていきたいと考えています。

○紙智子君 この後、もっと掘り下げていろいろやらなきゃいけないというふうに思いますけれども、今日のところはこの問題はここでおいて、次に行きます。
 経済運営に位置付けられているサケ・マスについてなんですけれども、二つお聞きしたいんです。ロシア二百海里におけるサケ・マス流し網漁が禁止になって解決に向けての関心が持たれているわけですけれども、その中で一つは、一昨年、日本が流し網の継続を求めたのに対してロシア側がどういう論点を持ち出してきたのかということと、それに対して日本がどういう主張をしたのかと、これが一つです。それからもう一つは、今回の日ロ首脳会談で安倍総理は流し網漁の継続は求めたのかと、この二点についてお聞きします。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、サケ・マス流し網漁の禁止に向けたロシアと日本のやり取りですが、まず、日本としましては、法案が成立しないように、総理、外務大臣、農水大臣などあらゆるレベルで強く働きかけました。具体的には、我が国漁業者が操業を継続できるよう、日ロの科学者間でサケ・マス類の資源状態がおおむね良好であるとの意見で一致していること、あるいは現状の規模の流し網漁が海洋生態系の直接への脅威とはならないこと、こういったことを指摘をしつつ働きかけを行いました。一方、ロシア側の反論ですが、サケ・マス漁業資源及び海洋生態系の保護を目的とした法律であるということで禁止を主張した、こういったことでありました。
 こういったやり取りが行われた結果、残念ながら法律が成立をしてしまったということですが、今回の五月六日の日ロ首脳会談に際しましては、こうした現状を踏まえて、安倍総理からプーチン大統領に対して、サケ・マス流し網の代替漁法により日本の漁船の操業機会が確保されるようロシア側の協力を要請したということであります。そして、それに先立ちまして私からも、四月十五日の日ロ外相会談において同様の要請を行ったということでございます。引き続きまして、ロシア側にしっかりと働きかけを行っていきたいと考えます。

○紙智子君 つまり、継続を求めなかったということですね。代替でもう既に話を進めてしまっているということなんですね。代替漁法でいうと、これ漁獲量が大幅に下がるというのは明らかなんですね。
先ほどもちょっと質問されていましたけれども、五月十日から日ロの漁業交渉がもう既に始まっているわけです。代替の漁法にしろ、大事なことは、花咲港にベニザケの水揚げを維持するということ自体が物すごく大事なので、これは絶対やらなきゃいけないだろうということなんですけれども。
 しかし、この代替漁法だけで根室と北方隣接地域の経済が発展するかというと、これは本当に厳しい状況があると。根室市からも政府に要請に来ていると思うんですけれども、実際、道東地区では廃業を余儀なくされているとか、それから、これから廃業しなきゃいけないということを漏らしている業者がいるというのが現実なわけですから、やっぱり北方領土返還運動の拠点地域が経済的な苦境に陥ってはいけないんだと思うんですよ。
 ちょっと時間なくなったので、あと残りのことをちょっと質問したいんですけれども、そういう中でいろいろ今努力がされていて、試験的なことも含めてやられているということなんですけれども、やっぱりいろんな手だてを尽くす現地の努力としても、北方領土隣接地域の振興基金があるわけで、これいろいろ種苗放流とか、それから種苗移植、ふ化放流とか、いろいろそういう試みがあるんですけれども、先ほどもちょっと話ありましたけれども、元々毎年七億三千万の運用益を見込んでいろんな事業をやってきたことが、どんどん目減りして今一億七千万になっていると。これでは足りなくなっているというのもあって、やっぱりアベノミクス、日銀によるマイナス金利の政策で更に運用益が下がるという中で、やっぱりこれを本当にフォローしていくというか、いうことでの、積み増しの話もさっきありましたけど、それから基金に頼らないような財源対策といったことを含めてやる必要があるんじゃないかということを申し上げたいんですけれども、これ、大臣、お願いします。

○国務大臣(島尻安伊子君) まさにこの北方領土の隣接地域は、領土問題が未解決であるということで、この地域の経済的な疲弊ということは私もあってはならないというふうに思っております。
 特に基幹産業であります漁業への支援は重要でありまして、水産庁において昨年度の補正予算に、代替漁法への転換支援対策として五十億円のほか、種苗生産……

○委員長(江崎孝君) 大臣、時間が来ております。簡潔にお願いいたします。

○国務大臣(島尻安伊子君) はい。
 様々な水産庁の施策が講じられているというふうに承知をしております。
 この辺、私もきちっと注視していきたいというふうに思っておりますけれども、先ほどもありましたその基金については、地元の大変に強い要望もあるということでございまして、しっかりとまた現地の皆様方の御要望に沿うような対策は取っていきたいというふうには考えております。

○紙智子君 いずれにしても、やっぱり安倍政権の政策とそれから外交姿勢というのが問われているというふうに思います。是非思い切った対応策を取っていただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。