<第190回国会 2016年5月11日 国際経済・外交調査会>


TPP情報開示せよ「総合的な調査できぬ」

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 調査会は参議院選挙が終わった後に設置されますが、本調査会は一年半が経過してから設置されました。それは、環太平洋経済連携協定、TPPの秘密交渉を続ける政府に対し、野党がTPP特別委員会の設置を求めましたが、与党が受けず、議院運営委員会においてTPP問題を含む調査会を設置することになったからです。したがって、幅広いテーマが設定されましたが、TPPについては何度となく議論をいつもしました。
 明らかになったことは、TPPは過去に例を見ない秘密主義の協定であるということです。TPPは、農業や食料の分野で国民の不安が大きい、国民に情報を出さずに交渉するやり方に強い批判が出ていると指摘し、政府は秘密保持契約にサインをしてTPP交渉に参加したが、過去にこのような秘密保持契約に日本がサインをした交渉はあったかと聞いたところ、外務省の齋木尚子経済局長はTPP以外に例はないと答えたことからも明らかです。
 NPO法人アジア太平洋資料センター事務局長の内田聖子氏は、TPP交渉は単なる貿易の話という域を超えて、人々の健康や民主主義、知る権利などを脅かしかねないと述べ、TPP秘密交渉の異常さを強く指摘しましたが、今も不安は解消されていません。
 二つ目に明らかになったのは、国会決議に違反しているということです。昨年十月にTPPは大筋合意し、本年二月四日に調印が行われました。
 日本が過去に結んだ経済連携協定、例えば日本とオーストラリアの間で結ばれた経済連携協定、日豪EPAには、米など特定品目について関税約束の対象から除外するという規定があります。私が除外の意味を尋ねたのに対し、外務省の金杉憲治経済局長は、関税約束の見直しなどの対象にならないと述べました。さらに、TPPに除外規定があるかどうかもただしました。これに対し、金杉経済局長は、除外という用語が用いられていることはない、TPPは関税撤廃という野心的な協定だと答弁されました。重要五品目は除外するとの国会決議に違反しているのは明らかです。
 次に、本調査会のそれぞれのテーマの中で発言したことについて述べます。
 テロ対策は軍事力を基軸にするのではなく、テロの根源に迫る包括的、多面的な対策が国際的にも大きな流れになっています。テロが生まれる根源の除去、貧困をなくし、地域紛争の平和的解決に努力するなど、テロ根絶は国連中心に、国際法、国際人道法、基本的人権に基づいて行う必要があります。
 核兵器全面禁止条約を締結する重要性が核兵器のない世界を望む国際的な世論となっています。
 全面禁止へ拘束力ある条約の具体的検討の開始は、北朝鮮の核問題の解決にも有効です。
 気候変動など地球規模の課題についてNPO法人気候ネットワークの平田仁子理事は、気候変動リスクの認識が浸透し、リスク対策が経済合理性を持ち始めるなど、世界情勢は大きく変化し始めているとし、パリ協定を受けて気候外交へポジションを転換し、国内の脱炭素化を一貫して進める明確な政治的シグナルを発信することが重要だと提起しました。パリ協定を受けて、日本の約束草案にある二六%減という削減目標を達成し、引き上げることが求められています。
 最後に、調査会は長期的かつ総合的な調査を行うことが目的です。TPPのように交渉過程が秘密のベールに囲まれていては、総合的な調査を十分行うことはできません。行政府は本調査会の求めに応じて積極的に情報を開示することを求め、意見とします。
 以上です。