<第189回国会 2015年6月17日 地方・消費者問題に関する特別委員会>


地域再生法改正案、第五次地方分権一括法案に対する反対討論

○地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、地域再生法改正案、第五次地方分権一括法案に対する反対討論を行います。
 両法案が掲げる地域再生は、財界や大企業が主導して策定した骨太方針や日本再興戦略、規制改革実施計画を実現するために、選択と集約を地方に押し付ける内容となっています。このような上からの地方構造改革では、更なる地方の衰退を招きかねません。
 反対する第一の理由は、地域再生法改正案が安倍内閣の成長戦略を担う企業の地方拠点強化を税制面で支援するものだからです。この制度を利用できる中小零細企業はほとんどありません。このような外からの企業呼び込みではなく、今地域で頑張っている企業を底上げする方策こそ必要です。
 昨年十二月に閣議決定したまち・ひと・しごと総合戦略は、多様な正社員の実現と称して、財界の進める地域限定正社員を進める内容となっています。地域において安定雇用を増やし、都市部との賃金格差を解消してこそ、地方の消費拡大、経済の好循環をつくり出すことができます。
 反対する第二の理由は、第五次地方分権改革一括法案が住民生活の安全確保や食料生産の基盤である農地に対する国の責務を後退させるものだからです。とりわけ、農地法の改正で農地転用に係る大臣許可権限がなくなり、地方自治体に移譲されます。農地は食料生産の基盤であり、食料自給率を高める上でも、地域の実情だけでなく全国的な視野に立って確保すべきです。また、生物多様性、多面的機能の観点からも重要です。国の関与が弱まれば、開発を優先した安易な農地転用が進む懸念があります。国の責務、役割を後退させるべきではありません。
 最後に、地方の再生には都市と地方の経済格差を固定化し拡大させてきたこれまでのやり方の根本的な転換が必要であることを主張し、反対討論とします。

○委員長(西田昌司君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。これより採決に入ります。
 まず、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(西田昌司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、地域再生法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(西田昌司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。