<第189回国会 2015年5月21日 農林水産委員会>


農林水産省設置法改正案に対する反対討論

○農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、農林水産省設置法の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。
 反対する第一の理由は、現場と農政を結ぶための地域農政の拠点を半減するからです。
 政府は、農政改革を着実に推進するために、農政を機動的に転換できる体制を整備するとしています。しかし、地域農政の拠点が半減するのですから、農業者に寄り添い、機動的に業務を行うことが困難になります。現場と農政を結ぶというのであれば、全国一律の拠点集約ではなく、地域の実情に合わせた拠点にすべきです。
 反対する第二の理由は、統計業務や食品表示監視業務の大幅な人員削減が、政府統計への信頼性を後退させ、食の安心、安全に対する国の責任を放棄するものだからです。
 統計調査は、人員削減に合わせて業務を外部化、合理化し、職員調査が順次削減されます。科学的分析調査は、巡回調査数を減らし、国民にとって重要な業務である監視業務においても調査件数を減らしていきます。これでは、チェック機能の後退だけでなく、農政の構築や推進に必要となる基礎的データの収集、整理、食の安全、消費者の信頼性確保に万全を尽くすことができません。
 地域センターは、農業経営の安定や食品安全に関する業務を的確に実施するために、大多数の職員が統計調査や食品表示監視などを行ってきました。地域センターは設置して三年しかたっていないのに、十分な評価、検証をすることもなく廃止することは容認できません。
 本来であれば、農林水産省が主体となり、政府統計の信頼性を高め、食の安全、安心を推進し、食品の表示監視を強化すべきです。そのための抜本的な対策に乗り出すべきときに、それに逆行する地域センターの廃止は容認できないことを強調し、反対討論を終わります。

○委員長(山田俊男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 農林水産省設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕

○委員長(山田俊男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。