<第189回国会 2015年4月14日 農林水産委員会>


補助金削減圧力に屈せず、飼料用米を増産を/TPP、日本の農産物妥協案をただすとともに、情報公開を求める。

☆食料・農業・農村基本計画に関する件

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 食料・農業・農村基本計画についてお聞きします。
 私、三月の所信に対する質疑のときに、食料自給率目標をなぜ後退させたのか、三九%で推移している食料自給率はなぜ上げることができなかったのかということをお聞きしましたけれども、実現可能性を重視したと、消費減少を見込んだということで、傾向を言われるだけでどういう努力をしてきたのかということは定かになりませんでした。
 そこで、前回は麦、大豆の問題をお聞きしましたので、今回は飼料用米についてお聞きをいたします。
 我が党も、この飼料用米を増産することは、水田、農地を生かして国内生産を多面的に発展をさせると、食料自給率向上をする上でも重要だというふうに考えています。飼料用米は前回の基本計画で重視をして、二〇〇八年度、平成二十年度の生産量九千トンをこれ七十万トンに引き上げると。克服すべき課題は、実需者ニーズに対応した安定供給体制の構築、単収向上、そして産地と畜産農家、配合飼料メーカー等とのマッチングということを挙げています。なぜ生産は伸びなかったんでしょうか。
 その点で、飼料用の米を戦略作物に位置付けた理由と、そして前回の計画と何が違うのかということについてお聞きをいたします。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 食生活の変化などによりまして、一人当たりの主食用の米の消費量が最大のときに比べて大体半分ということで、この主食用米の消費量の大幅な減少傾向が続いておりますが、今、紙委員からも御指摘いただいたように、この貴重な生産装置である水田のフル活用、これ大事でございますので、飼料用米、それからそれ以外にも加工用米といったようなほかの米の生産振興を図るということと、小麦、大豆等の輸入に多くを依存している品目についての転作をやっていこうと、こういうことでございます。
 今お尋ねの飼料用米でございますが、飼料の安定供給につながるという意味で、飼料自給率が低い我が国にとって大事であるということに加えて、主食用米と同じ栽培方法、農業機械で生産できる、生産側のメリットもあるということでございまして、食料自給率、自給力の向上につながると、こういうふうに考えております。
 二十七年産については、畜産農家から新たに四・五万トン、飼料会社から約百万トンの需要が示されておりまして、さらに中長期的には、日本飼料工業会から、価格等の条件が整えばということですが、約二百万トンの使用が可能という発表がなされておりまして、十分な需要が見込まれておるところでございます。食料・農業・農村基本計画においても、戦略作物としてこの飼料用米を位置付けて生産拡大を図ろうということでございます。
 見直しに際して、食料・農業・農村政策審議会において、計画期間内における実現可能性を重視して目標等を設定すべきと、こういう意見が多数でございましたので、麦、大豆については作付面積は飛躍的に拡大するということに前回はなっておりましたが、これが過大であったという検証がなされております。
 そういうことがあったものですから、この飼料用米と麦、大豆というのは、ある意味で同じ水田で生産されることになりますので、麦、大豆について、まず実現可能な水準の生産努力目標を設定をしたと。一方で、餌米については、前回の基本計画では平成三十二年度に七十万トンで、今お触れいただいたように、そういう目標でございましたが、これを平成三十七年度に百十万トンに増産する目標を設定をさせていただいたと、こういうことでございます。

○紙智子君 今の答弁の中でちょっと触れられなかったのかな、後でまた答えてほしいんですけれども、前回と違いというか、どこが違うのかということ、一言ちょっと御答弁いただければ。

○政府参考人(農林水産省生産局長 松島浩道君) まず、耕作する稲作農家と畜産農家の結び付きが前回に比べましてしっかり拡大してきているという面がございますのと、それから配合飼料メーカーにとりまして、近年、国際穀物価格の高騰という中で、また為替の変動という中で、安定的な価格で供給できる国産米に対する評価というのは高まっているという点があろうかと思っております。

○紙智子君 飼料用米の生産努力目標というのがこれ十一万トンですね。これを十倍今度伸ばして百十万トンにしようということになっていますね。克服すべき課題ということでも掲げられています。ポイントは、やはり生産者の意欲になるかどうかというところがポイントだと思うんですね。
 そこで、飼料米の取引価格並びに流通経費を除いた農家の手取りが幾らになるのか、説明をお願いします。

○政府参考人(農林水産省生産局長 松島浩道君) 国内で生産される飼料用米は、配合飼料原料として配合飼料メーカーに販売する場合と、稲作農家が直接畜産農家に販売する場合、二つございまして、まず、その飼料用米の配合飼料メーカーへの販売価格につきましては、輸入トウモロコシと同等またそれ以下の価格で供給されているという実態にございます。具体的には、地域や取引形態によって差がございますけれども、キロ当たり三十円程度が取引価格でございまして、流通経費を除きました農家手取りはキログラム当たり十三円程度というふうに聞いてございます。
 また一方、稲作農家と畜産農家との直接取引の場合でございますが、これにつきましては、どちらが保管、流通を担うかという問題や、また堆肥の引取りとの交換といった場合もございますので、まさに様々、取引形態に応じて価格決定がされているというふうに聞いているところでございます。

○紙智子君 基本的には、最初にお答えになったように、農家手取りが十三円ということですよね。飼料米の単収を五百三十キロとすると、流通経費を除いた六十キロ当たりの農家手取りというのは七百八十円ということになります。それから、飼料用米の交付金、助成金は十アール当たり八万円ですよね、今。八万円ですから、六十キロに直すと九千五十七円になります。つまり、農家手取りは、取引価格に助成金を合わせて、九千八百三十七円、約一万円ということになる。その一方で、六十キロ当たりの生産費というのは約一万六千円ですね。
 助成金が付いても生産費に届かない状況なわけですけれども、これで本当に生産意欲になるんでしょうか。これは大臣に伺います。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 今、取引価格の答弁をさせていただきましたけれども、なるべく主食用米との所得差が生じないようにする、これを基本として政策支援を行っていこうと、こういうことでございます。さらに、農地集積、集約化をしていただく、それからこの八万円がベースで今お話しいただきましたが、多収性専用品種、それから低コストで省力的な栽培技術の導入等を併せて講じることによりまして生産コストの低減を推進していきたいと、こういうふうに思っております。
 こういう取組を進めていきまして、餌米の生産コストと販売価格との格差、これを小さくしていきたいと、こういうふうに考えております。

○紙智子君 今、多収性の問題とかもいろいろ述べられたんですけれども、単収で上げていこうと思うと、これまた更に肥培管理とか資材費も掛かってくるようになるわけですよね。単収が少ない圃場の方が利益は大きいという指摘もあるわけです。その辺は、本当に実態としてどうかというところはしっかり注視をする必要があると思います。
 それで、農業者が一番不安に思っているのは、助成金がいつまで続くのかということがあるわけですね。
 昨年の十月に、財務省の財政制度分科会で食料自給率などを始めとした農業政策の議論を行っています。そこで出されている意見は、需要より補助金単価が作物の選択に大きな影響を与えていると、飼料用米の助成水準が続くとは考えにくいといった議論があります。農家の経営マインドを阻害をし、需要に応じた生産を妨げている政策、制度は見直すべきだという論議がされているわけです。
 この補助金削減の圧力に耐えることができるのかどうか、この点、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 先ほど申し上げましたように、餌米については、飼料自給率から見ても、また水田のフル活用から見ても大変に意味のあることでございます。そういった意味で、水田のフル活用のための飼料用米への転換は大変に大事な政策であると、こういうふうに考えておりまして、そういう意味で、この生産拡大に向けまして直接支払交付金を充実して数量払いの導入を入れるなど、餌米へのインセンティブを高めるということをやってきております。
 引き続き、今お話がありましたように、農業者の方々が安心して餌米の生産に取り組んでいただけるように、新たな食料・農業・農村基本計画で今まさに触れていただきましたような目標も掲げてこの生産拡大をしっかりと位置付ける、これは先ほど来御議論がありますように閣議決定をしたということでございますので、これに基づいて、その達成に向けてしっかりと必要な支援を行うことにしたいと、こういうふうに思っております。

○紙智子君 財務省の方の議論で補助金削減の圧力というのがあるわけですけど、これ本当に耐えられるのかというところは、ちょっと今お答えいただいていないと思うんですけれども。
 財務省の審議会だけじゃなくて、三月二十六日に、農林水産省の農政審議会の食糧部会でも、助成金に支えられた生産というのは普通では長続きしないという発言があったようですし、大臣の、助成金は削減しないという、言ってみれば生産者に対して励ますような、安心できるような、そういうメッセージが要るんじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) これはまさに私もそういうことを申し上げてきておりますし、何よりも、農水省のみならず、閣議決定をして、政府全体として、これは当然言わずもがなでございますが、閣議決定でございますので財務大臣もお入りになったところで閣議決定をされている、そういうことでございますので、そういうことで、生産者の皆さんが安心して生産に取り組むことができるように周知徹底を図っていきたいと、こういうふうに思っております。

○紙智子君 飼料用米への圧力、国内だけじゃなくて、これ国外にもあるわけですよね。家畜飼料の主原料である輸入トウモロコシは、これ関税はないですよね、今。フリーマーケットになっていると。それで、国際市場では輸出国間の競争が激しくて、価格も変動しやすいわけです。輸入価格は一キロ二十七円程度ですから、これ国産の飼料米に価格競争があるとは思えないわけです。現在の飼料用トウモロコシの輸入量は一千万トンです。飼料用米を十一万トンから百十万トンに伸ばすふうになれば、これ飼料用穀物がだぶつくんじゃないのかと。供給過剰になる可能性があるんじゃないかと思うんですね。
 輸入トウモロコシを飼料米に置き換えるような対策というのは、これ必要なんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) まず、世界のトウモロコシの市場というのはかなり桁違いの大きさでございますので、日本のこの一千万トンの中の百万トンということが全体の世界の需給に及ぼす影響というのは小さいものではないかと、こういうふうに思っております。
 その上で、家畜用飼料として一千万トン輸入されているトウモロコシと同等の栄養価がこの餌米にあると、こういう評価でございますので、牛や豚や鳥といった畜種ごとに給与可能な割合は異なるものの、この代わりの給与というのが可能であるということでございます。地域の耕種農家と畜産農家の連携をする、それから配合飼料メーカーを通じた飼料用米の安定供給、こういうものをすることによって利用を拡大していきたいと、こういうふうに思っております。
 まず、この直接供給、耕種と畜産の間の直接供給でございますが、国や都道府県、市町村段階の関係機関が連携しまして、畜産農家からの希望のある約四万五千トンの新たな利用についてマッチングを進めておるところでございます。また、配合飼料メーカーにおいて約百万トン、先ほども申し上げましたが、中長期的には日本飼料工業会では二百万トンと、こういう利用希望が示されておりますので、これらのマッチング活動も併せて推進をしておるところでございます。
 さらに、耕種側ではカントリーエレベーターの整備、それから畜産側では餌米の加工・保管施設等の整備、こういうものに対して支援を行うことによって、更に餌米の生産、利用の拡大を図っていきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。

○紙智子君 国際的な価格競争の中で、飼料メーカーが飼料用米を活用する対策というのは必要だと。今、手を挙げていて受け入れられるという話もあるというんですけれども、そこから実際にはけていくかどうかということも含めて、飼料用米を振興していく上では、やっぱり国内の圧力はもちろんですけれども、輸入圧力にもどう対応するのかというのは、しっかりとした対策が必要だというふうに思います。
 そこでなんですけれども、基本計画を実行する上で非常に強い圧力になるTPPについてお聞きします。
 四月末に予定されている日米首脳会談についてですけれども、二〇一三年の日米首脳会談のときに安倍総理は、聖域なき関税撤廃が前提でないので交渉に参加するということを言いました。二〇一四年の会談のときには、聖域とした農産物五項目も関税削減と緊急輸入制限を組み合わせた方程式で合意したんだというふうに、今まで日米首脳会談というのはTPPにとっても大きな節目になってきたというふうに思うんですね。
 私は四月八日の予算委員会のときに、安倍総理大臣に対して、今度の日米会談のときに安易に妥協しませんよねということで求めたのに対して総理は、日米協議はまだ多くの課題が残っているんだと、だから着地点を探っていて、必要のない妥協は当然ないというふうに答弁をされました。林大臣もこの点同じ認識なんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 総理の訪米に合わせて日米首脳会談が行われる予定だと聞いておりますが、様々な経済、安全保障問題などとともに、TPPもその議論のテーマの一つになると、こういうふうに聞いております。
 アメリカとの間では依然として難しい課題が残されておりまして、TPP交渉の早期妥結に向けて全力を挙げて取り組んでおるところでございますが、委員御指摘の総理の発言のとおり、訪米に合わせて必要のない妥協をすることはないと、私も全く同じ認識でございます。

○紙智子君 甘利TPP担当大臣の発言についてもお聞きしたいんですけれども、甘利大臣は三月二十日の記者会見で、アメリカの大統領貿易促進権限法案、TPAですね、この法案をめぐる動きについて、日本のみならず、他の国がTPP合意にとって必須条件はTPAの成立であるという認識でありますというふうに言われましたけれども、これは林農水大臣も同じ認識なんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 基本的には、甘利大臣と同じ閣内でございますので、同じ認識でございます。
 交渉参加国がそれぞれTPAについてはTPP交渉の妥結に不可欠であると、こういう認識を持っておりますので、アメリカの議会の中の話ではございますけれども、しっかりと早期成立を期待しながら注視をしていきたいと思っております。

○紙智子君 それでは、加えてお聞きしますけれども、農産物重要品目に関する衆参の農林水産委員会の決議、これ必須条件、不可欠なんですか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) これは何度も申し上げてきておりますように、このTPP交渉に当たっては、引き続き衆参両院の農林水産委員会決議が守られたとの評価をいただけるように政府一体となって全力を尽くす考えでございます。

○紙智子君 不可欠とは言われないんですか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) これはもういつも同じ表現で恐縮でございますが、逆に余り表現を変えますと臆測を呼びますので、この衆参両院の農林水産委員会決議が守られたと評価をいただけるように政府一体となって全力を尽くす考えでございます。

○紙智子君 繰り返し言われたように、国会決議が守られたとの評価をいただけるように政府一体となって全力で交渉を行うという、繰り返し非常に微妙な言い方をされているわけですけど、やっぱり必須条件とはっきり言うべきだと思うんですね、農水大臣なんですから。
 それで、今年に入って、一月の日米協議で注目すべき動きがありました。
 報道などを見ますと、アメリカは現行の牛肉の関税三八・五%を五%に下げるように求めていると。日本は、十五年程度で九%まで下げる、輸入が急増した場合はセーフガードを発動することで譲歩したと。
 豚肉についても、アメリカは差額関税制度の撤廃と大幅な関税引下げを求め、日本は、高価格帯の関税の撤回と、低価格帯は関税を引き下げると。これに対して全米の養豚生産協会は、日本の提案で重要な進展があったというふうに述べたわけです。
 米についても、アメリカは年間二十万トン規模の受入れを求めていると。日本は、低関税か無税で最大五万トン輸入するというふうに譲歩したと。甘利大臣は、一月二十七日に、一粒も増やさないということは不可能だというふうに記者会見をされたわけです。
 先ほど紹介しましたように、甘利大臣はTPAを必須条件だと言っています。つまり、TPA法案が成立すれば日本が提案した譲歩案で妥結する条件が整うんじゃありませんか。いかがですか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 交渉の中身についてはコメントは差し控えたいと思いますが、御案内のように、この全てがパッケージで交渉をしておりますので、部分的に何かが決まったということは当然のことながらないということは申し上げておきたいというふうに思います。

○紙智子君 政府参考人、今日は澁谷さんに来ていただいていますけれども、お聞きしますけれども、日米首脳会談で、農産物の分野では日本が示した譲歩案で大筋合意して、あとはTPA待ちにするのではないかというふうに思いますけれども、いかがですか。

○政府参考人(内閣官房内閣審議官 澁谷和久君) TPPの日米の協議につきましては、明日から、カトラー次席代行が来日をされますので、明日から事務レベル協議が再開されます。まだ現在日米かなり開きがあります、その結果を踏まえて、閣僚級の協議まで持っていけるかどうかと、これがその後の判断になるという、そういう状況でございまして、首脳会談でTPPについて、今の日米の状況がどうなるかということは、全くここは現時点では予断を持って申し上げられないということでございます。事実としては、閣僚会談のまだめども立っていないと、こういう状況でございます。

○紙智子君 そうすると、今私が聞いたことに対しては否定をされたというふうに受け取っていいんですか。

○政府参考人(内閣官房内閣審議官 澁谷和久君) 現時点で決まっていることは何もないということでございます。

○紙智子君 否定も肯定もしてないということですよね。
 TPA法案をめぐってのアメリカの動きについてお聞きしますけれども、報道によりますと、プリッカー商務長官は、TPA法案が十三日の週に上院に提出されるというふうに語っていると。民主党のワイデン議員は、民主党に反対派が多いことから、TPA法案に議会の関与を認める内容を盛り込むと伝えています。TPA法案は議会が持つ交渉権限を政府に委ねる法律なわけですけれども、議会に再交渉を求める権利を認めれば交渉そのものが成り立たなくなるんじゃないかと。こういう動きについてどう分析されているんでしょうか。

○政府参考人(内閣官房内閣審議官 澁谷和久君) アメリカの議会は、四月十三日から、それまでずっと二週間、イースターの休会があったわけでございますが、上院の財政委員会では議員がまた帰ってきまして、ハッチ委員長、ワイデン筆頭の間の協議が再開されたと、こういう報道を先ほど目にしたところでございます。
 アメリカの新聞報道、先ほど見たものによりますと、ハッチ委員長は、そんな遠くない時期に法案の提出がされて、それで委員会の審議、公聴会審議と、こういう流れになっていくんじゃないかという、そういう見立てを述べられたというふうに聞いております。
 休会中に各議員がどのような協議をされたかというのは私どもとしてはまだ十分情報はないわけでありますけれども、オバマ政権、各議員の説得、自ら乗り出していると、こういうふうに聞いているところでございます。

○紙智子君 もしもTPAの前に日米の関係で合意したとして、TPA法案がもし成立したとして、ところが、今度、そこには再交渉もできるようにということになるんだとすると、一旦決まったことがまたひっくり返されるということもあるんじゃないかということも思うわけですけど、その辺のところは特に分析はされていないんでしょうか。

○政府参考人(内閣官房内閣審議官 澁谷和久君) 報道ベースでいろいろ語られているところによりますと、特に共和党の方は、TPAは何のために成立させるのかというと、これはTPPに限らず、アメリカが交渉している通商協定の交渉、これをなるべくまとめやすくするためだと、つまり交渉相手国が安心するためにはTPAが必要なんじゃないかということを共和党の議員が述べているという話をよく耳にするわけでございます。
 そういう意味で、本来のTPAの趣旨を踏まえた議論がアメリカにおいても十分されるのではないかというふうに期待をしているところでございます。

○紙智子君 次に、秘密保持契約についてお聞きします。
 私、四月八日の日に、予算委員会で、米通商代表がTPPに関する閲覧条件を緩和する方針をUSTRのホームページに公開したことについて質問しました。先ほど徳永さんが資料も出しましたけれども、全ての国会議員に、議会内で都合の良いときに、しかるべきアクセス権限を持つ議員スタッフとともに閲覧することを含め、全交渉テキストへのアクセスを提供するという内容なわけです。アメリカが情報公開を言い出したのは、情報の閉鎖性が問題になっていて、このTPA法案を成立させるために情報を出す必要に迫られたからだというふうに思います。
 私の質問に対して甘利大臣は、秘密保持契約は国ごとの運用は様々と言われましたが、そういうことなんでしょうか。国ごとの運用は様々なんでしょうか。

○政府参考人(内閣官房内閣審議官 澁谷和久君) TPPの秘密保持につきまして、特に外部への情報提供の在り方につきましては、各国とも大変悩み深い問題でございます。お互いにここは情報交換もしているところでございます。
 各国が勝手に解釈をして交渉内容がどんどん外に出ているということにはなっておらないわけであります。秘密保持の趣旨である、交渉内容が外部に漏れないように、そういうところはアメリカも含めてどの国も固く守っているところでございます。

○紙智子君 運用はその国ごとのことなんだという話をされるわけですけど、この秘密保持契約の統一した運用基準がないということになりますよね。アメリカは全テキストを出すというふうに言っているわけです。一方、日本がこの間出しているのは要約だけです。しかも、要約といってもテキストの中身は要約でも何でもなくて、テキストの中身とは全く関わらない要約です。
 政府は、この間の質問の中でも、悩んでいるんだと、澁谷さんも先日言われました、悩んでいると言われるんだけれども、実はこれ、ポーズにすぎないんじゃありませんか。

○政府参考人(内閣官房内閣審議官 澁谷和久君) 私も悩んでいるんですけれども、各国とも悩んでおりまして、昨年七月、オタワでの首席交渉官会合があったときに、各国の担当者が集まりまして各国の情報提供の状況について意見交換をしたところ、これはこの委員会でも御報告させていただいたところでございますけれども、各国非常に苦労しながら、特に日本が交渉会合のたびごとに毎日ブリーフィングをしていると、その結果は全てホームページに載っけているということは日本独自の取組であります。
 甘利大臣が、それぞれの国で工夫しながらというのはそういうことも含めてでありますし、私もそういうことを日本はしているということを各国に伝えながらやっているところでございます。

○紙智子君 国民の目線から見ると、何も公開されているという意識は持たないですよ。ほとんどもう肝腎なことは何も出てこないというふうに思っていまして、聖域を守らないで、崩していきながら、日本から譲歩案だけを出していくと、しかも情報開示も約束しないと、こんな交渉からはやっぱり撤退すべきだということを最後に申し上げまして、質問を終わります。