<第187回国会 2014年11月6日 農林水産委員会>


米価下落・国の早急な対策を求める/「土産」代は選挙の年に急増、西川大臣に納得いく説明を求める

○農林水産に関する調査

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
   〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕
 まず、米価下落対策について質問いたします。
 前回の私の質問に対して大臣は、十月末の作況を見て対策を出すということで答弁をされました。その後、三十日に農水省が、一四年度産米の産地と米の卸間の取引価格である相対取引価格を発表しましたが、これ、九月の全銘柄平均価格で六十キロ当たり一万二千四百八十一円と、二〇〇六年以降最安値になっています。
 JA全農が二千円から三千円下落しているという中で、これ実勢の取引も同じ水準に引下げとなったということですよね。スーパーなどの小売の安値競争に、今後は更に下落、農家は悲鳴、作るほど赤字ということが報道されています。
 西川大臣は、概算金はいずれ追加払いがあるというふうに言われますけれども、相対取引価格は既に前年比で一六・一%下がっているわけですね。この追加払いで前年並みに戻るのか、一体どういうふうに対策を取るんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 西川公也君) 追加払いは、これから農協が取引の状況を見てから決めていくと、こういうお金であるわけでありまして、こちらも下がっていることは事実であると、こう受け止めております。今後、米の需要の動向がどういう状況になるか分かりませんが、今の状況では米価が持ち直すかどうかというのは予測し難いと、こう考えています。

○紙智子君 予測し難いという話なんですけれども、私は、やっぱり緊急に今、対策は必要だということを前も申し上げました。
 〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕
 小売とこの卸の取引で下がった価格を回復させていけるのかどうかという保証がない話ですよね、今の話は。大臣は、状況を見て、最終的に収量を、十二月末ですか、めどに確定していくんだということを何かの折に言われていますけれども、そんな悠長なことをやっていたら大変ですよ。だって、農家は年内に支払があるわけですから。その状況の中で何も手を打たないというのでは、十二月末では遅過ぎるわけですよ。
 ですから、やっぱり生産者としては一日も早くこれに対して見通しを示してほしいと思っているわけで、これに応えるべきではありませんか、農水省として。

○国務大臣(農林水産大臣 西川公也君) 先ほども申し上げました。今の米の需給の安定のためには飼料米に向かってもらいますと、こういうメッセージを発信しながら今後の問題をやっていきますが、今年の米価の下げにはそれは通じないわけでありまして、現在のところは、収入減少影響緩和対策、あるいはナラシに入っていない人にも半額支払うと、この制度でやっていきたいと思いますが、あとは、七千五百円の早期支払、ほかに何ができるかということにつきまして、先ほども申し上げましたが、与党でも様々な議論をしていただいているところであります。
 私どもとしては、この議論を受け止め、現場の声にも耳を傾け、適切に対応していく考えであります。

○紙智子君 ナラシの前倒しとかその他もろもろということで、そのほかに何ができるかというのはこの後また出すということではあるんですけれども、やっぱり価格が下がっているこの現状の中で、JAとか自治体なんかも待てないものですから、独自の支援をもうやってきているわけですよね。石川県でいうと、JA小松で六十キロ当たり六百円の助成をするとか、島根の出雲、JAいずもですね、ここも集荷量の増加で三十キロ当たり三百五十円の奨励金を出すとか、独自の支援をやっているわけです。自治体も引き続きやっているところも出てきています。
 そういう努力に対して、やっぱり国として、私はずっと言ってきました、市場を隔離してちゃんと買取りをするとか、とにかく早く、早く国として打ち出すべきだと。この状態で放置すれば、やっぱり来年以降の担い手自身がどんどん減っていくということになりかねない状況なんだということを認識すべきだということを申し上げておきたいと思います。
 それで、次に移りますけれども、前回に引き続いて、大臣の政治倫理問題について質問したいと思います。
 大臣の政治献金の問題はマスコミも一斉に取り上げています。衆議院で安倍総理は、予算委員会の際にいろいろ質問をされて、しっかりと説明すべきだと指示したというふうに言われています。十分に説明が理解できないということで御指摘があればそれに誠実に答えていくのは当然の責務なんだということで、閣僚の説明責任も強調されています。ですから、十分な説明をいただけるものというふうに、それを前提として質問したいわけです。
 安愚楽牧場からの政治献金について、大臣は返却したというふうに言われていますけれども、いつ、どなたに返却したのかということです。当該会社は二〇一一年の八月に倒産していると。被害総額が四千二百七億六千七百万円。本来は、あなたが受け取っていた政治資金というのは、これ、被害者に返却する性格のものなわけです。ですから、いつどなたに返却をされたのかということを明らかにしていただきたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 西川公也君) 安愚楽牧場への返金につきましては、二〇一二年の十二月以降、資料により安愚楽牧場からの献金をいただいていることが確認できました。確認以降、返金を行っております。
 いつ誰に返金したかと、こういうことでありますから申し上げますが、二〇一二年の十二月には破産管財人に対して返金をいたしました。清算手続が完了した後に見付かった献金については、弁護士に相談の上、処理を委託して返金額を支払っております。

○紙智子君 今大臣は破産管財人に返金をされたということなんですけれども、しかし、このあぐら被害の会で弁護に当たった弁護団の方に連絡を取りましたけれども、大臣からの返金は一切ないと、届いていないというふうに言われているわけです。
 それで、お返しになったと言うのであれば、やっぱりそれに対する証拠がなければ国民は納得しないわけですから、領収書なり、是非当委員会に提出すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 西川公也君) 収支報告書で全て説明をしております。二〇一二年の方は当然でありますが、その後返金した残額については来年の収支報告書で、今年の分ですから載ってまいります。

○紙智子君 受け取っていないという発言があったということでありますし、それが返したということであれば、当然、領収書という形で発行されているわけですから、是非出していただきたいと。もう一度お願いします。

○国務大臣(農林水産大臣 西川公也君) 私は政治資金規正法にのっとり処理をしてきたところでありますし、報告書にも当然二〇一二年の分は入っていると思います。それから、その後の返金については今年の収支報告書に載ってまいります。

○紙智子君 今の御答弁では納得、国民は誰もできないと思います。やっぱり証拠がないと、それで処理されたと言われても、ちゃんと領収書なりがなければこれは確認できないわけですから、これ、委員長、当委員会として提出を求めていただきたいというふうに思います。

○委員長(山田俊男君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。

○紙智子君 次に、大臣の御長男が安愚楽牧場の顧問をされていたことについて、大臣は労働の対価としての報酬だから問題ないというふうにおっしゃっていましたが、当時、御長男はNA企画の社長でもあったわけで、一体、じゃ、どういう労働形態だったのかなと。労働されたのか、そして、そのときの顧問料なり幾ら受け取っているのか、それについても本来でいえば被害者の会に返金することが必要だと思うんですけれども、これは返金する考えはないのかどうかということを明らかにしていただきたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 西川公也君) 長男のことでありますが、これは別人格でありますね。そして、安愚楽牧場における具体的な仕事の内容や報酬については、私は把握しておりません。勤務実態があったことは確かだと、こういうことで受け止めております。長男が私の落選中に生活のために労働し、その対価として報酬を受けていたものであり、報酬の返還の必要はないものと理解しております。

○紙智子君 今の御答弁もやはりちょっと納得できないなと。別人格という話と、それから実際に長男がどうであったかということは把握していないということなんですけれども、これもやっぱり疑問は解けないというふうに思うわけです。
 それで、今お聞きしたことは本当に疑いが解けないわけですけれども、最初にも言いましたように、総理もやはりきちっと説明責任を果たすように指示をしたというふうに言われているわけで、今の説明ではやっぱり納得できないということです。返還したのであれば、きちっと証拠となるものを提出すべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。
 それから、今大臣の政治倫理上の問題としてマスコミが取り上げているのは、この安愚楽牧場の問題だけではありません。政治資金の使い方にも言及をされていると。私も大臣の資金管理団体の幸湖会の政治資金収支報告書を拝見させていただきました。そこで疑問に感じた点がありますので、お伺いします。
 この幸湖会の収支報告書で見ますと、二〇〇七年、二〇〇八年には全く計上されていない支出項目がお土産代なんですね。ところが、二〇〇九年になって急にこの土産物代が支出項目に計上されているわけです。皆さんも御承知のように、二〇〇九年というのは七月に総選挙がありました。それに向けてお土産をお配りしたのではないかというふうな疑問が湧いてくるわけです。
 お配りした資料、今日配っていますけれども、二〇〇九年の幸湖会の政治資金報告書から土産物代というところを抜き出したものです。総額で大体七十七万円ほどあるんですけれども、この土産物代を購入したところというのは、銀座和光だとか日本橋の三越とか、それからホテルニューオータニとか一流のところで購入されているんですけれども、一体何を購入をされ、誰にお土産を渡したのかと、そして、なぜ二〇〇九年になってこの支出項目にお土産代が計上されることになったのか、明らかにしていただきたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 西川公也君) お土産でありますけれども、公職選挙法等の関係法令にのっとり、選挙区外のお世話になった方にお渡しするため適宜購入しております。相手の方との関係を考えながら適切な品物を選んで、その都度購入しております。

○紙智子君 今選挙区外のというふうにおっしゃったんですけど、それが本当にそうかどうかということも、これまた証拠がないと分からないわけで、選挙区内の人ももしかしていたんじゃないかということもありますし、それから、今お答えになっていないんですけれども、二〇〇九年になってこれがにわかに項目が出てくるということについてはどうしてなんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 西川公也君) 私も東京と栃木を往復していました。選挙は大変な状況でございまして、結果も大変でありましたけど、そういうこともありまして、応援してくれる皆さんに常々、東京へ来ては、上京の際にはお土産を配りながら私の御支援もお願いしたり事情を分かってもらうための努力をしてきたと、こういうことでございます。

○紙智子君 そうすると、二〇〇九年から出てきたというのは、選挙だと、選挙だったので県外の方にお願いをしてきたということなんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 西川公也君) 私は常々お土産等を購入しております。そういうことで、今でも同じような状況で何かあればお土産を、東京で懇談会があるたびにお土産等も配らせていただいておりまして、通常のお付き合いの中に配らせていただいたと、こういうことでございます。

○紙智子君 やっぱり疑問が解けなくて、であれば、どうして二〇〇九年からだけなのかなというのが解けませんし、それから、やっぱり県外というふうに言われても、県内はいなかったのかなという疑問は払拭できないわけですよね。
 もう一言どうでしょう、それについて。

○国務大臣(農林水産大臣 西川公也君) これは、贈物をしたのに誰のところへ何を持っていったというのは公表できませんね。これはどなたも同じだと思います。私は、この贈答品、お土産等については、政治家になって以来、こういうことでお願いするときの御挨拶のときには贈答品を贈ることが一般的にやってきたことでございます。

○紙智子君 なかなかちょっと疑問が吹っ切れないわけですけれども、さらに二〇一〇年から、先ほど紹介された御長男が社長をされているNA企画から土産物を購入されているわけです。この土産物購入は、政治資金がNA企画に入っているということにもなるわけですけれども、一体どういう土産物を購入されて、どなたにお渡ししたのかということもお聞きしたいと思います。
 この土産物の問題というのはやっぱり二重に重大だというふうに思うんですね。仮にですよ、仮にもし選挙区の有権者に渡されたものであれば、これは公職選挙法違反行為ということです。それからまた、NA企画から土産物を購入したということは、これは政治資金で賄われているわけですから、政治資金があなたの身内に流れたということになるわけですね。
 ですから、それが政治倫理上問題ないということになるのかどうか、これについてはいかがですか。

○国務大臣(農林水産大臣 西川公也君) 正常な商取引でありますので、私は、政治資金法あるいは公職選挙法上問題はないと考えております。

○紙智子君 今の発言は大変私は問題ではないかなというふうに思います。
 マスコミが問題にしているように、政治資金で何でも支出する、それを身内の企業に流すということになれば、これ政治資金の私物化というふうに言える問題になるわけですね。
 政治資金というのは、政党交付金が原資となっています。まさしく国民の税金だということになるわけで、国民の税金で自らの身内だとか自分の懐に入るということは、これは全く問題だというふうに思うんですけれども、問題ないというふうに言われるわけですか。

○国務大臣(農林水産大臣 西川公也君) 私の商取引は通常の商取引で、なぜそう誤解が受けるかと、こう私は思っています。そういうことでありまして、この取引については何ら問題がないと、こう思っています。

○紙智子君 第三者というか身内でないところから買っていれば、まだそういうことも言えるのかもしれませんけど、そこはやっぱりそうじゃない事実があるわけですから、そこはやっぱり疑問を持たれるというのはもう当たり前だと思うんです。
 それで、私どもは、共産党は、政党交付金というのは一切今もらっておりません。それはなぜかというと、これ憲法に反するというふうに考えてきたからです。国民の思想、信条の自由に反すると。つまり、支持する、どこを支持していいかどうかというのはこれは自由なわけですけど、支持したくないところにも、言ってみれば一律二百五十円払わなきゃいけないということなわけですよね。ですから、こういう違反の政党交付金というのは廃止すべきだというふうに思ってまいりました。
 今の答弁を聞いていても、私は、恐らく多くの国民の皆さんはしっくりきていないと思います、納得していないと思います。納得できるように説明責任を果たすべきだというふうに思うんですけれども、仮にこの政党交付金がそういう形で使われていたとすれば、これ政治家としても大臣としてもその資格が問われることになると。今お聞きしただけでももう全然説明責任果たされたというふうには言えないというふうに思いますので、納得できるような説明責任を果たすべきだというふうに思います。できなければ、これは大臣、政治家の資格が問われると、失うということにもなりかねないことだというふうに思います。
 昨日の毎日新聞に、評論家の森田実さんが書いています。どうして政治家はこうもお金につまずくんだろうかという記事が載っている中、ずっと読んでいきますと、最後のところにこう書いてありますよ。政治資金には、国民の税金である政党交付金も入っている、その使途を説明できない政治家は議員辞職をし、けじめを付ける必要があるんだと。それを今やらなきゃ駄目なんだということを言っているわけです。
 私は、やっぱりこの今日の議論を通じて是非提示していただきたい資料は出してほしいと思いますし、これで納得できなければ、やっぱり本当に決断をしていただきたいなということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 何か最後に一言あればどうぞ。