<第186回国会 2014年6月19日 農林水産委員会>


農水省が豪雪対策助成金の早期支払いを表明/養豚対策の振興を求める/霞ヶ浦開発でウナギ等が激減したとし検証を求める

○農林水産に関する調査
○養豚農業振興法案(衆議院提出)
○花きの振興に関する法律案(衆議院提出)
○内水面漁業の振興に関する法律案(衆議院提出)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日は最初に、豪雪対策から質問をしたいと思います。
 今年の春先の大雪被害で、各地でビニールハウスの撤去や新規のハウス建設などの取組が進んでいるわけですけれども、しかし、国からの補助金、これは現状は全く支給されておりません。二月の被害に対して今も支給されていないと。その点での事実を確認をしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。そして、その原因がどこにあるのかということを明らかにさせていただきたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) この冬の大雪による被害を受けた農業用ハウスなどの撤去、再建に要する経費、これを支援いたします被災農業者向け経営体育成支援事業でございますが、五月十六日までに各関係都道府県から報告されたところによりますと、今回の大雪による被害の大きさに呼応しまして、事業の実施要望の件数が膨大なものになっております。要望のあった経営体数ベースで四万三千を超える御要望があったと、こういうことでございます。
 実は、これらの要望の中で、資材が調達できない等の理由によりまして具体的な着工時期等がまだ決まっていないものが多いために、まず、既に工事を完了していらっしゃったりとか、それから近々工事に着工する準備をしているケース等について、市町村が補助金交付の前提となる事業計画書を作成して都道府県に提出していただくようにお願いをしているところでございます。
 事業計画書が提出されて、準備ができたものから順次速やかに支払手続を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。

○紙智子君 御答弁の中で、現状では一円も支払われていないと、これはそうですよね。ちょっと確認をしておきます。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 申し上げましたように、事業計画書を作成して提出していただく、そして提出されて準備ができますと支払手続を進める、こういうことになっておりますので、そこに至らないと支払手続は進められないと、こういうことでございます。

○紙智子君 つまり、現時点ではまだ全然払われていないということだと思います。
 それで、被災者の方は、支援制度がつくられているということは非常に受け止めて、意欲持って頑張らなきゃというふうに思ってきたわけですけれども、実際、支援制度があっても助成金は届いていないと。夏、秋の生産に影響が出てくるというふうに言っているわけですね。せっかく意欲を持って再開した農家の意欲をやっぱりそぐようなことがあってはならないと思うわけで、今、順次できたところから払っていくんだというお話あったんですけれども、是非、至急現場に助成金が届くように対策を取るべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) まさにおっしゃるとおりでございまして、今後ともやはり意欲を持って営農を再開する、そもそも最初のこの支援のプランを作るときにも第一弾、第二弾ということでなるべく早く打ち出すようにいたしましたのも、続けていってもらいたい、こういう思いからでございまして、産地の復旧を図ることが大変大事だと、こういうふうに思っております。
 したがって、事業計画書が調ったものから所定の手続を迅速に進めまして、早期に助成金の支払が行えるように万全を期してまいりたいと思っております。

○紙智子君 二月の被害で、そして今六月ももう終わるかと、半ば過ぎてきているわけですからね。ですから、今もそこに届いていないというところが問題で、今急いでやるということなんですけれども、どうして時間が掛かっているかというと、結局、人手が足らない、国段階でも人手が足りないと。東電の賠償のときもそうだったんですね。人手が不足していて、やることは決まっているけれども、結局賠償が遅々として進まない、そういう中で東電も抜本的に人員を集中して賠償事務を進めたということがあったわけです。
 大臣も、是非省内の人員をかき集めて、この補助金を支給するという抜本的な手を打つべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 先ほど申し上げましたように、市町村から事業計画書を出していただくということになっておりますので、うちの方の何か窓口が混んでおって、そこがボトルネックになっているということではないわけでございます。
 したがって、全体として早く営農を再開していただけるように全般に目配りをしながら、一日も早く助成金が支払われるようにしていきたいと、こういうふうに思っております。

○紙智子君 市町村から上がっていないかのような御発言があったんですけど、それは違いますよ。市町村もそれをまとめたりするのに本当に時間が掛かっていて、やっぱりマンパワーが足りないということがあるわけですよ。省内もそういうことがあるということを私も聞いていますから、そういう意味でちゃんと対応できるような体制を取ってほしいということを申し上げておきたいと思うんですね。
 それから次に、養豚の振興についてお聞きいたします。
 それで、法案は衆議院で採択をされたと。この法案と差額関税制度の問題についてなんですけれども、当然これ、養豚農業振興法案は差額関税制度があって初めて機能するというふうに思うんですけれども、その点、いかがでしょうか、大臣。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) この豚肉の差額関税制度でございますが、輸入価格が低い場合には基準輸入価格に満たない部分を差額関税として徴収して国内養豚農家を保護するということ、そして、価格が高い場合、低率な従価税を適用することによって関税負担を軽減し消費者の利益を図ると、こういう仕組みになっております。
 養豚農業振興法案でございますが、養豚農業が国民の食生活の安定等に貢献する重要な産業である中で、配合飼料の価格の高止まり、それから悪臭その他の環境問題等の課題に直面しているということを踏まえて諸般の政策を取ろうと、こういうことになっておりますので、両者が我が国の養豚業の振興を図るということを目的としておるわけでございまして、両者を含めて様々な施策によって養豚の振興を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。

○紙智子君 生産者と消費者に配慮した中身なんだということでもあると思うんですけれども、それで、差額関税制度が撤廃されて、かつその関税が大幅に引き下げられるということになると、これは国内の養豚業者は米国産の豚肉を始めとして海外の豚肉との価格競争に負けて駆逐されるということが必至なわけですね。
 この間もちょっと質問でオバマ大統領と安倍総理のすし会談の話をしましたけれども、やっぱり本当に振興されるべき養豚農業、農業者自身がいなくなってしまうということになっては大変だというふうに思うわけですけれども、その点から見ても、やっぱりこのTPPの問題というのは撤退すべきだと思っているわけですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) あのすし会談の中身につきまして、この間、総理と直接やり取りをしていただいたと、こういうふうに承知をしておりますが、TPP交渉に当たっては、豚肉を含む重要五品目、これは聖域の確保を最優先するとしっかりと衆参両院で決議をしていただいておりますので、これを踏まえて国益を守り抜くように全力を尽くす考えでございます。

○紙智子君 それでは、内水面漁業の振興について質問をさせていただきたいと思います。
 昨年行われました全国内水面漁業振興大会で、内水面漁業振興法の成立を求める大会宣言が決議をされました。内水面漁業を振興することは重要だというふうに思うわけですけれども、大臣の基本的な御認識をまずお聞きしたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 内水面漁業は、アユ、ワカサギなど和食文化と密接に関わる水産資源を供給するほか、国民に釣りを始めとした自然に親しむ場を提供するという多面的機能も発揮をしておりまして、花もそうでございましたが、豊かで潤いのある国民生活の形成に大きく寄与していると、こういうふうに考えております。
 内水面漁業の漁獲量は、昭和五十三年がピークでございまして十三万八千トンであったわけでございますが、残念ながら平成二十四年には三万三千トンまで減少をしているということで、淡水魚の安定供給、それから多面的な機能の発揮が懸念される状況にあると、こういうふうに認識をしております。
 こういう漁獲量の減少要因としては、カワウ、それから外来魚による漁業被害の増加、それから河川等の水産資源の生息環境の悪化、こういうものが指摘をされておるところでございます。
 このため、カワウ、外来魚による漁業被害防止対策や、生息環境の改善のための取組の支援、さらには、内水面漁業が持つ水産物の供給以外の多面的機能の発揮のための支援などなど各般の施策を講じてきているところでございまして、今後とも、内水面漁業の健全な発展を確保して、その多面的機能が将来にわたって発揮されるように努力をしてまいりたいと思っております。

○紙智子君 今お話もあったんですけれども、内水面漁業においては、いわゆるブラックバスなどの外来魚による漁業被害の増加あるいは伝染病の発生などの影響に加えて、河川工事や生活排水による漁場環境の悪化などで漁獲量が減少している、内水面漁業の経営が深刻になっているということです。
 こういう状況の中でも、内水面漁業協同組合には漁業法で資源が枯渇しないように水産動植物の増殖義務が課せられているわけですけれども、なぜ増殖義務が課せられているんでしょうか。水産庁長官にお伺いします。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) 御指摘のとおり、内水面の第五種共同漁業権につきましては、漁業法第百二十七条によりまして、免許を受けた者が水産動植物の増殖をする場合でなければ免許してはならないというふうになっております。
 これは、第五種共同漁業権という私権の設定を認めたことと、それから内水面の公共的な性格ということの両側面を調和する意味合いからでありまして、増殖と管理を通じて内水面の資源的価値を高めることと裏腹に漁業権を与える、このようなことにされたというふうに認識しております。

○紙智子君 内水面でいうと、その立地条件などから操業が容易なために、海面に比べて多数の捕る人たちの乱獲だとか、それによる資源が枯渇するおそれも大きいと、だから特定の団体にこういう権利も与えて増殖義務を課しているということですよね。ちょっと、もう一度。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) 内水面というやはり公有水面におきまして、第五種共同漁業権という形で私権を設定する、それとの裏腹で増殖をするということをお願いをすることで免許を与えるといったようなことにしたということでございます。

○紙智子君 さて、この水産動植物の資源をどうやって増やすかということなんですけれども、それでは、ウナギについてお聞きをしたいと思います。
 国際自然保護連合が六月にニホンウナギを絶滅危惧種としてレッドリストに掲載しました。二〇一五年にもワシントン条約の附属書に掲載する準備が進んでいるということです。ワシントン条約の附属書にこれ掲載されれば国際的にはどういう影響が出るのか。また、輸入に頼らず日本国内で行う生産、流通、消費にどのような影響が出るのか、これについてお話しください。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) IUCN自体は、レッドリストに掲載されましたが、これ自体は拘束力を伴うものではございませんので、直ちに直接的な影響が及ぶものではございません。しかしながら、二〇一六年に次のワシントン条約の締約国会議が予定をされておりまして、来年夏頃に、二〇一五年の夏頃にはその締約国会議で諮る提案が各国から出されるといったような状況になっておるわけでございます。
 もし仮にワシントン条約の場で議論をされて、附属書、仮にTに指定された場合には国際的な商業取引が一切禁止をされるということでございまして、これにつきましては、そのようなことになりますれば、我々は今、シラスウナギの六割、それから製品の六割をそれぞれ輸入しておりますので、一切外国からそういうものが入ってこなくなるという影響が生じてくるというふうに認識しております。
 それから、附属書Uに仮に指定された場合でございますけれども、これは輸出に際して輸出国が発行した輸出許可書が必要となり、輸出が制限される可能性が出てくるということでございますが、御承知のように、ウナギについてはまだ生態が余り分かっていないということで、この輸出許可書が適切に発行されるかどうかといったようなことについて心配があるわけでございます。
 この輸出制限につきましては、生きたウナギ、シラスウナギ、かば焼き、全てのニホンウナギなりその製品に掛かってくるということで、一定の影響が生じてくるというふうな認識に立っておるところでございます。

○紙智子君 輸入に頼らない生産については。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) ワシントン条約の附属書Tに掲載されますれば、国内でもシラスウナギの採捕であるとか譲渡といったことができなくなりますので、附属書Tに掲載された場合には、極めてそういう意味では国内の生産というものも非常に難しくなってくるんではないかなというふうに思われます。
 それから、附属書Uの場合には、先ほど申し上げましたが、シラスウナギの六割、あるいは製品の六割が輸入になっておりますので、もし仮に輸出国政府から適切な許可書が発給されないということになりますれば、国内で捕るシラスウナギで育てる、そのようなことでございますので、現行の消費量の大体二割ぐらいに供給量が減ってしまうおそれがあるということでございます。

○紙智子君 輸入に頼らないで日本国内で行う生産、流通、消費というのは、これは附属書に記載されない場合は心配はないわけですか。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) そのとおりでございます。

○紙智子君 漁業において、海面漁業であれ内水漁業であれ、これ資源管理を行うというのは常識だというふうに思うんですね。
 日本は、ウナギの大量消費国として、国際社会に対して率先してウナギの保護や自然管理に努力をしていると、こういう姿勢を示すということは大切だと思うんですね。一方で、中国や台湾を含む東南アジア一帯でこのシラスウナギの不漁が続いているということなんですけれども、なぜ資源が減少したのか。乱獲ということも言われているんですけれども。
 そこで、日本が大量消費国として考える必要があるというふうに思うのは、ウナギの加工品を含めて海外から買い集めて商品を周年化する構造があるということだと思うんです。いわゆる大手資本が海外から安く仕入れて販売する形でそれが現れている、こういう構造が資源の減少を招いて国際自然保護連合が監視をしてきたという側面があるんじゃないかと。そういう現状について、どのように認識をされているでしょうか。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) ニホンウナギの減少でございますけれども、生態が完全に解明されておりませんので、天然ウナギの漁獲量が減少した原因については必ずしも特定されないわけでありますが、専門家によれば、過剰な漁獲、それから河川などのウナギの生息環境の悪化、さらには海洋環境の変動、こういったことが指摘をされております。
 この過剰な漁獲の背景には、捕る限りは、やはりそれを消費するというニーズ、それに応えるために漁獲がされているということでございますので、御指摘のような、我々がたくさん消費をしたといったようなことも背景にあることは間違いないと考えております。

○紙智子君 たくさん消費し過ぎたという消費者の責任もあるのかという話でもあるんですけれども、やっぱり資源管理ということを本当に優先するということが大事だし、もうけを優先するんじゃなくてやっぱり資源管理というふうにする、そういう意味では、大手資本の動きもしっかり把握をして管理するということが資源管理にとっても重要なんじゃないかというふうに思うんですね。
 そこでなんですけれども、日本の伝統食を守る上で、これ国内でウナギを、生産量や供給量を増やすというのが必要だと思うんです。ワシントン条約がどういうふうになったとしても、国内生産については一定の、何というかな、確保できるというか、規制はそんなに強く心配要らないんじゃないかなというふうに思っているわけですけれども、国内生産でやっぱりちゃんとやっていくということはすごく大事だと思うんですけれども。
 そこで、ウナギの漁獲量について説明をいただきたいと思うんです。一九六三年と一九八三年、それから二〇一三年、この全国の漁獲量と、利根川、霞ケ浦、那珂川の漁獲量について御説明をお願いいたします。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) 全国の天然ウナギの漁獲量でございますが、私どものデータで古いのが一九六三年、これは二千六百九十トンでございました。一九八三年には千八百十八トンに減少しまして、二〇一二年には百六十五トンということになっております。
 一方で、利根川、霞ケ浦、那珂川、御指摘いただいたこれを合計した天然ウナギの漁獲量は、同じく、一九六三年のデータは残念ながらございませんが、一九八三年は二百六十一トン、それから二〇一二年は六トンということになっておるところでございます。

○紙智子君 今は全国の話をされて、利根川の話だけでしたか。霞ケ浦と那珂川についても御説明をお願いしていたんですけど。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) 利根川、霞ケ浦、那珂川を合計した天然ウナギの漁獲量を先ほど後ろでは申し上げました。
 ちなみに、利根川につきましては、個別に申し上げますと、一九八三年が二百二十八トン、二〇一二年は五トンでございます。霞ケ浦は、一九八三年は十三トン、二〇一二年はゼロというふうに統計上は出ております。それから、那珂川につきましては、二十トンであったものが一トンということでございます。

○紙智子君 ちょっと丁寧に言ってほしかったんですけれども、利根川は五百八十八トンからどんどん減って五トンにまでなった、霞ケ浦は百四十トンからゼロになった、それから那珂川は五十六トンから一トンまで減ったということですよね。
 それで、利根川、霞ケ浦、那珂川はかつてウナギの宝庫だったわけです。私も行ってお話聞いて、本当にびっくりしたんですね。そうだったのかというふうに認識を新たにしたんですけれども、宝庫だったと。なぜ減少したのか、なぜ生息環境が悪化したのかと、そのことを検証する必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。ウナギの漁獲量は、利根川水系では、今言いましたように、たくさん、五百八十八トン捕れていたわけだけれども五トンになったし、霞ケ浦では百四十トンがゼロになったと。
 茨城県に特定非営利法人霞ケ浦アカデミーという団体があるわけですけれども、その団体の通信、出しているんですけどね、海夫通信、海夫というのは海の夫と書く、海夫通信というのがあって、そこに農学博士の浜田篤信先生が書かれた論文があります。ちょっと紹介をしますけれども、シラスウナギについて述べておられるんですね。一九六〇年代の全国の漁獲量の最高値は百七十四万トンだったと。それが、利根川水系の漁獲量は百三十八万トンということですから、実に全国の八〇%も占めていたということを紹介しているんですね。常陸川水門ができてこのシラスウナギが霞ケ浦に入れなくなったというふうに分析しているんですよ。
 今日お配りしている資料があって、ちょっとこれ小さいのでなかなか見にくいと思うんですけれども、水色の川の流れのところと霞ケ浦の状況を簡単に略図になっていますけれども、これを見てもらいたいんですけれども、常陸川水門、小さく書いてありますけれども、一九六三年に完成した霞ケ浦の下流にある水門です。霞ケ浦開発関連事業が漁業にどういう影響を与えたのかということで、これについて分析をされているでしょうか。水産庁長官。

●資料「霞ヶ浦導水事業の概要」

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) 今突然お伺いいただきましたので、ちょっと私どもとしてそのような分析をしておるかどうか、手元には資料を持っておりません。

○紙智子君 これ、通告していましたよ。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) 常陸川水門ができたことによる影響ということではございませんけれども、利根川、霞ケ浦、那珂川における個々の開発行為による魚類の生息環境への影響を具体的には特定できませんけれども、その漁獲量を比較すると、利根川では四十三年と二十四年を比較すれば三万三百二十七トンから六十三トンに、それから霞ケ浦において一万四百四十トンから五百七十三トンに、那珂川においては二千七百九十トンから八百八十五トンに減少しておりますが、この常陸川水門ができることに伴ってどういうような変化が生じたかということについて、私どもとして今資料を持ち合わせていないということでございます。

○紙智子君 数字の上では非常に大きく減っているということが今述べられたと思うんですけれども、それで、東京大学の大気海洋研究所などのグループがウナギ漁獲量と護岸率ということを調査している報道がありました。護岸工事などで失われた自然の岸辺の割合、いわゆる護岸率、これとウナギの漁獲量との関連を九か所の湖沼、湖、沼ですね、湖沼と十八の河川を調べたようです。
 霞ケ浦では、七〇年代半ばは護岸率が一〇%程度で漁獲量は二百トン近くあったと。護岸率が上がると漁獲は急激に減少して、護岸率が九五%を超えた九〇年代にはウナギはほとんど捕れなくなったということなんですね。ウナギはコンクリートが嫌いだということが報道記事になっていましたけれども、開発が漁業にどういう影響を与えたのかということを、これは分析、検証すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。水産庁長官。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) まさにウナギの生息環境が悪化をすることに伴って、ウナギに限らず内水面の魚類に影響が生じておりますので、私どもとしては、そこは十分に認識をした上で内水面のそういう生息環境を改善するような事業とか、そのようなものを進めさせていただいておるところでございます。

○紙智子君 私、今質問したのは、どういうふうな影響を開発が漁業に与えているのかを分析、検証すべきじゃないですかというふうに申し上げたんですけれども、それについてはどうですか。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) まさに方向としてはおっしゃるとおりだと思います。
 どのような立場の者がどのようにやっていくのかというのはございますけれども、私どもとして、まさに都道府県なり試験研究機関とも連携を取りながら努力をしてまいりたいと考えております。

○紙智子君 検証するのは当然だと思いますよ。漁業の分野からいえば非常に大きな影響あるわけですから、ちゃんとやるべきだというふうに思います。
 さて、次に霞ケ浦導水事業についてお聞きします。
 内水面を振興するに当たって、河川やダムなどの開発行政が大きな影響を与えています。霞ケ浦導水事業についてお聞きしますけれども、もう一度ちょっとお配りした資料を御覧いただきたいと思います。
 それで、霞ケ浦導水事業の概要ということで書いてあります。利根川、霞ケ浦、那珂川のところを結んで、約四十五キロなんですね、相当の距離なんですけれども、ここを結んで直径約四メートルもの地下トンネルを造ってそこに水を流すということなんですね。
 それで、国土交通省、今日来ていただいていますけれども、国土交通省にお聞きしますけれども、導水事業の工事の現状について説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局次長 加藤久喜君) お答えをいたします。
 霞ケ浦導水事業は、那珂川、桜川、霞ケ浦及び利根川を連絡する流況調整河川を建設して水質の浄化、流水の正常な機能の維持増進、都市用水の供給の確保を図るものでございまして、先生の御質問ございました主な工事の内容でございますけれども、四つの区間のトンネル、十二基の立て坑、四つの機場、いわゆるポンプ場から成っております。
 トンネル工事につきましては、那珂川と桜川付近をつなぐ水戸トンネル、これが完成。桜川付近から石岡市の高浜機場をつなぐ石岡トンネルは二十四・五キロメートルのうち約三割が完成。高浜機場から土浦放水口をつなぐ土浦トンネルは未着手で、利根導水路は完成をしております。立て坑につきましては、十二基の立て坑のうち土浦放水口を除く十一基が完成をしております。また、四つの機場のうち、利根機場、桜機場が完成、那珂機場は陸上部が完成、高浜機場が未完成という状況になっております。

○紙智子君 ちょっと、すごく簡単過ぎる説明なんですけれども、要するに飛び飛びで、できているところとできていないところと、ずっと現状としてはあるわけですよね。
 それで、これは平成二十一年に民主党が当時政権だったときに、ダムの検証委員会の対象事業になったわけですよね。それで、事業目的やそれから用水の補給や関連整備対策などを検証して、予断なく継続するか中止するかを検証するということが言われていたと思うんですけれども、そういうことですよね。そこのところを言ってほしかったんですけれども。

○政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局次長 加藤久喜君) お答えいたします。
 今の検証でございますけれども、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議、ここで検証の手順、手法等を示した中間取りまとめが出されまして、検討主体である関東地方整備局において検討を進めてまいりました。
 具体的な検討としては、水質浄化、流水の正常な機能の維持、新規利水という各目的ごとに複数の対策案の検討、概略評価による抽出を行いまして、その上でコスト、実現性、環境への影響等の評価軸ごとの評価、そして目的別の総合評価を経まして総合的な評価というものを行っております。
 平成二十六年五月八日に事業評価監視委員会の御意見をお聞きし、事業を継続するという対応方針が本省に報告されたところです。
 また、検討の過程におきまして、パブリックコメントを行うとともに、河川工学、それから漁業、生物等の学識経験を有する者からの意見聴取、関係する住民、地方公共団体の長、利水者からの意見聴取を行っております。
 現在、検証の途中であり、今後、本省において有識者会議の御意見をお聞きし、国土交通省としての対応方針を決定することになるということでございます。

○紙智子君 その会議があって検証して、予断なく継続するか中止するかを検証すると言いましたよね。予断なくとおっしゃっていましたよね。そこを確認したいと思います。

○政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局次長 加藤久喜君) 検証においては、継続か中止かということについて予断なく検討するということでございます。

○紙智子君 それで、予断なく検証するということなんですけれども、何を検証しているのかということについても少し詳しくお述べください。

○政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局次長 加藤久喜君) 先ほど申し上げましたけれども、目的ごとにどの案が優位かということで、水質浄化、それから流水の機能の維持、利水ということについて複数の案を作りまして、その中でどの案がよろしいかということについて検討しておりまして、霞ケ浦導水事業のほかに代替案も含めまして、どの案がいいかということを検証をしておるということでございます。

○紙智子君 これに書いてあるものを持っているんですけれども、その中でいろいろやっぱり検証しているんだけれども、いろんな案はあるんだけれども、いろいろな条件においてやるとする場合に、コストについてやっぱり最も有利な案は現計画なんだという形で、コストについて結論的には一番これがいいんだというふうになっているわけですよね。

○政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局次長 加藤久喜君) コストの点を重視して検討いたしますけれども、その間に影響の評価ですとか実現性の評価、そういう点につきましても検討させていただいておるということでございます。

○紙智子君 コストについて、何というか、重きを置いて結論を出そうということになっているわけですけれども、それで導水事業の建設コストは現行計画案が最も安く付くんだというふうなことが議論されているわけですけれども、その検討の場におられる幹事会の構成メンバーというのはどういうメンバーなのか、御説明をください。

○政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局次長 加藤久喜君) 今御指摘のございました検討の場でございますけれども、検討を進めるに当たりまして、関係地方公共団体から成る検討の場を設置するということになっておりまして、本事業におきましては関係知事、市長から成る検討の場と、それから関係都県の関係部局長クラスから成る幹事会というものを設置しております。
 具体的な幹事会のメンバーにつきましては、茨城県の企画部長、土木部長、生活環境部長、埼玉県の企画財政部長、企業局長、千葉県の総合企画部長、県土整備部長、東京都の都市整備局長、水道局長及び検討の主体であります関東地方整備局の河川部長というふうになっております。

○紙智子君 ずっと今御紹介いただいたように、開発部局が行っている自己検証にすぎないわけですよね。漁業関係部署は入っていませんよね。
 検討の場でパブリックコメント、意見聴取が行われているんですけれども、学識経験者から多く出た意見というのは、那珂川、霞ケ浦、それから利根川と異なる水系間の互換によって生物多様性が攪乱されているという意見が指摘されているわけです。関東地方整備局の検討を受けて、国の有識者会議で検討されることになるわけですけれども、内水面漁業や生物多様性の専門家というのはこの中に入っているでしょうか。

○政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局次長 加藤久喜君) ただいま御指摘のありました有識者会議でございますけれども、有識者会議につきましては、その検証が中間取りまとめの方向に沿って検討されたかどうかについて意見を述べるというものが有識者会議でございまして、先生御指摘の内水面漁業や生物多様性に関する専門家の方は入っていらっしゃいませんけれども、検討主体である関東地方整備局において、先ほども申し上げましたけれども、漁業や生物を含む様々な分野の学識経験を有する者から意見を聞くというプロセスを経て対応方針案が取りまとめられておるところでございまして、魚の迷入についての対応等もそこに示されておるところでございます。
 今後、有識者会議において中間取りまとめに沿って検討されたかどうかについて意見を聞いた上で、国土交通省としての対応方針を決定することになります。

○紙智子君 プロセスにおいてとありますけれども、やっぱり構成している、これ自身を検証している中には入っていない、生物多様性の問題とかそういう漁業に関する専門家の人が入っていないと。入っていない中でこれ議論されてきているということが明らかになったと思います。
 それで、那珂川はアユの遡上も日本一というふうに言われているんですね。これも私も初めて知ったんですけど、アユの遡上日本一だと。漁業法で、内水面の漁業協同組合には水産動植物の増殖義務が課せられているわけです。
 霞ケ浦導水事業の那珂川に幅五十メートルもの取水口を造る計画だと。巨大な用水路ができて川の流れが変わるので、ふ化したアユなどの魚類がこの導水に吸い込まれる、河川の流量は仔魚、子供ですね、仔魚、アユの生育に影響を与える、水産資源の再生産力が破壊されて持続的利用が図られなくなるなど、これ問題が指摘されているわけです。
 四月に行われた霞ケ浦導水事業の再開の撤回を求める集会が開かれているんですけれども、ここでは、異なる水系である霞ケ浦湖水の清流那珂川への導入は那珂川水系の環境悪化と生態系の攪乱を引き起こすもので、生物多様性基本法違反であり、見過ごすことはできないと、那珂川の漁業や涸沼のシジミ漁業への影響を無視しているという声明を出しているわけです。那珂川漁協は、これ漁業権が侵害されるというふうに言っているわけですね。
 一般論でお聞きするんですけれども、これ水産庁長官にお聞きしますけれども、開発行為によって漁業権が侵害されるということについて、一般論で結構です、どのように認識をされているか。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) 一般的には、やはり開発行為の実施に当たっては関係者の利害が衝突する場合がありますので、漁業や水産資源に与える影響については慎重な調査を行うとともに、その結果を踏まえて、漁業権を有する、御指摘のある漁業協同組合など、影響を受ける可能性のある関係者と十分に協議をし、調整をしていただくことが重要であると考えております。

○紙智子君 そこで、ちょっと大臣にまたお聞きしますけれども、大臣は内水面の漁業の振興は大事だというお話を最初にされました。霞ケ浦導水事業は、現在検証中ですので工事は止まっています。それで、内水面漁業を振興することに反対する方はいないというふうに思うんですけれども、これも一般論で大臣にお聞きしますけれども、開発行為が内水面漁業にどういう影響を与えてきたのか、開発は国土交通省の仕事という縦割りではなくて、農水省としてもしっかり検証して物を言うことが大事だというふうに思うんです。そこで、大臣の見解をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 今長官から答弁いたしましたように、開発行為が行われる際には、一般的に関係者の利害が衝突する場合があるわけでございます。したがって、開発行為を行う事業主体と、この影響をこの場合は受ける可能性のある漁業協同組合等との関係者の間の十分な話合い、これが重要だと思っております。
 我々としては、やっぱり、こういう話合い、協議が円滑に行われるような必要な役割を果たしていくと、これが大事だと考えておりまして、この内水面漁業の振興に関する法律案、これが成立した暁には、この法案に盛り込まれております協議会のスキーム、この活用が図られるように適切に対応してまいりたいと思っております。

○紙智子君 ありがとうございます。
 内水面漁業の振興と開発行政について質問してきました。それで、内水面漁業を振興するためにも、是非この内水面の漁獲量が減少している原因をしっかり検証して警鐘を鳴らして、内水面漁業振興に力を入れるように要求をいたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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○委員長(野村哲郎君) 次に、養豚農業振興法案を議題といたします。
 提出者衆議院農林水産委員長坂本哲志君から趣旨説明を聴取いたします。坂本哲志君。

○衆議院議員(農林水産委員長 坂本哲志君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 本案は、養豚農業が国民の食生活の安定に寄与し、及び地域経済に貢献する重要な産業であること並びに食品残渣を原材料とする飼料の利用等を通じて循環型社会の形成に寄与する産業であることに鑑み、養豚農業の振興を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、養豚農業の振興に関する基本方針についてであります。農林水産大臣は、養豚農業の振興の意義及び基本的な方向に関する事項等を内容とする基本方針を定めることとしております。
 第二に、国及び地方公共団体の施策についてであります。国及び地方公共団体は、養豚農家の経営の安定、養豚農家による食品残渣又は国内において生産された飼料用の米穀等を原材料とする飼料の利用の増進、豚の飼養衛生管理の高度化等に必要な施策を講ずるよう努めることとしております。
 第三に、援助についてであります。国及び地方公共団体は、養豚農家が基本方針に即した経営を行うことができるよう、必要な情報の提供、助言、指導、財政上の措置その他必要な措置を講ずるよう努めることとしております。
 なお、この法律は、公布の日から施行することとするとともに、政府は、この法律の施行後速やかに、安全性を確保しつつ、食品残渣を原材料とする養豚に係る飼料の製造及びその利用の促進を図る観点から、これらに係る規制について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずることとしております。
 以上が本案の趣旨及び主な内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。

○委員長(野村哲郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 養豚農業振興法案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

○委員長(野村哲郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

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○委員長(野村哲郎君) 次に、花きの振興に関する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院農林水産委員長坂本哲志君から趣旨説明を聴取いたします。坂本哲志君。

○衆議院議員(農林水産委員長 坂本哲志君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 本案は、花き産業が農地や農業の担い手の確保を図る上で重要な地位を占めているとともに、その国際競争力の強化が緊要な課題となっていること及び花きに関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透し、国民の心豊かな生活の実現に重要な役割を担っていることに鑑み、花き産業及び花きの文化の振興を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、花き産業及び花きの文化の振興に関する基本方針についてであります。農林水産大臣は、花き産業及び花きの文化の振興の意義及び基本的な方向に関する事項等を内容とする基本方針を定めることとし、都道府県は基本方針に即し、花き産業及び花きの文化の振興に関する計画を定めるよう努めなければならないこととしております。
 第二に、国及び地方公共団体の施策についてであります。国及び地方公共団体は、花きの生産者の経営の安定、花きの栽培の生産性及び花きの品質の向上の促進、花きの加工及び流通の高度化、花きの輸出の促進、花きの文化の振興等に必要な施策を講ずるよう努めることとしております。また、花きの新品種の育成等に関する研究開発事業を行おうとする者は研究開発事業計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けることができることとし、農林水産大臣の認定を受けた計画に基づく取組を進めるため、新品種の出願料の減免等の措置を講ずることとしております。
 第三に、国の援助についてであります。国は、地方公共団体の施策が円滑に実施されるよう、必要な情報の提供、助言、財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めることとしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が本案の趣旨及び主な内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。

○委員長(野村哲郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 花きの振興に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

○委員長(野村哲郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

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○委員長(野村哲郎君) 次に、内水面漁業の振興に関する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院農林水産委員長坂本哲志君から趣旨説明を聴取いたします。坂本哲志君。

○衆議院議員(農林水産委員長 坂本哲志君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 本案は、内水面漁業の振興に関する施策を総合的に推進し、もって内水面における漁業生産力を発展させ、あわせて国民生活の安定向上及び自然環境の保全に寄与することを目的とするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、基本理念についてであります。内水面漁業の振興に関する施策は、内水面漁業の有する水産物の供給の機能及び多面的機能が適切かつ十分に発揮され、将来にわたって国民がその恵沢を享受することができるようにすることを旨として講ぜられなければならないことを基本理念として定めることとしております。
 第二に、内水面漁業の振興に関する基本方針等についてであります。農林水産大臣は、あらかじめ国土交通大臣及び環境大臣に協議し、それらの同意を得るとともに、水産政策審議会の意見を聴いた上で内水面漁業の振興に関する基本的方向等を内容とする基本方針を定めることとし、都道府県は、内水面水産資源の回復に関する施策及び内水面における漁場環境の再生に関する施策の総合的かつ計画的な実施が必要と認めるときは、基本方針に即して、その実施に関する計画を定めるよう努めることとしております。
 第三に、国及び地方公共団体の施策についてであります。国及び地方公共団体は、内水面水産資源の生息状況等の調査を行うよう努めることとするとともに、内水面水産資源の回復、内水面における漁場環境の再生、内水面漁業の健全な発展に関する施策を講ずるよう努めることとしております。
 第四に、指定養殖業の許可及び届出養殖業の届出についてであります。漁業法の規定が適用される水面以外の水面で営まれる養殖業であって、当該養殖業に係る内水面水産資源の持続的な利用の確保又は内水面漁業の持続的かつ健全な発展のため養殖業を営む者等について制限措置を講ずる必要があり、かつ、政府間の取決めその他の関係上当該措置を統一して講ずることが適当であると認められる政令で定める指定養殖業についての許可制度とともに、その実態を把握する必要があると認められる指定養殖業以外の政令で定める届出養殖業についての届出制度を創設し、指定養殖業者及び届出養殖業者はその養殖業に係る実績報告書を農林水産大臣に提出しなければならないこととしております。
 第五に、協議会についてであります。都道府県は、内水面の共同漁業権者の申出に基づき、内水面水産資源の回復、内水面における漁場環境の再生その他内水面漁業の振興に関し必要な措置について協議を行う必要があると認めるときは、都道府県、共同漁業権者、河川管理者、学識経験者等で構成する協議会を設置することができることとしております。
 なお、この法律は、一部を除き、公布の日から施行することとするとともに、政府は、この法律の施行後速やかに、内水面に排出又は放流される水に係る規制の在り方について、内水面における漁場環境の再生等の観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づき所要の措置を講ずることとしております。
 以上が本案の趣旨及び主な内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。

○委員長(野村哲郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 内水面漁業の振興に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

○委員長(野村哲郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。