<第186回国会 2014年3月13日 農林水産委員会>


雪害、踏み込んだ対策を/TPP、国会決議通り撤退を

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず、未曽有の大災害をもたらした東日本大震災と原発事故から三年が経過いたしました。そして、この冬、豪雪で多くの被害が出ました。お亡くなりになった方々に心から哀悼の意を表するとともに、被害を受けられた皆様に対して心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 今日は、豪雪被害についてまずお聞きします。
 私、先日、埼玉県の本庄市、深谷市、そして熊谷市に入りました。熊谷では、明け方になって雪がやんで雨になって、これで心配ないと思ったやさきに、この重みで目の前でハウスが潰れてしまったと、もうショックだったという方が何人もいらっしゃいました。多くの農業者は営農を続けられるかどうか悩んでいる状態です。
 先日、農林水産省がそういう中で新たな対策を打ち出して、特に今までなかったハウスの撤去費用の支援とか、こういうのが出されて非常に画期的だと現地では歓迎をされているんですね。しかしながら、もっと踏み込んだ対策が望まれているというのが現場の声です。
 まず、ハウスの撤去、整備、再建が急がれるんですけれども、現場に行きますと、撤去するための業者、それから人材が不足していると。それから、再建するためにも資材が不足していると。先ほどちょっとやり取りありましたけれども、これが本当に切実な声として出されていましたし、それから、被災農業者向け経営体育成支援事業というのがありますけれども、これも歓迎されてはいるんですけれども、農家負担がありますね。例えば、一千万円のハウスを再建する場合の負担なんですけれども、地方自治体の補助が十分の四という場合は農家の負担が百万円、十分の四は見ないよというふうになった場合は三百万円の負担になると。
 地域で農業を支えている高齢者の方は、新たな融資を受けるというのは大変困難です。高齢であればあるほど貸してもらえないという状況があるんですね。自力で支援を確保できないということで、営農を諦めなきゃいけないという高齢の方がいらっしゃいます。
 一方、共同利用を支援する事業として、強い農業づくり交付金というのが拡充をされたと。農家五戸以上が参加をして共同で利用する低コスト耐候性ハウスというんですかね、この支援をするということで、農協のリースハウスがあるというふうに聞きました。町もJAも、営農を断念する人が増えると、農業の将来、首都圏を支える農業の将来が憂慮されるというふうに言っています。
 東日本大震災のときには、実は船を確保するために踏み込んだ支援が行われたと思うんですね。つまり、漁協が船をまず確保して、リースというか貸し出して、何年かやって個々人の者に売り渡すというような形を取ってやった対策があったわけですけれども、ちょっとそういうことなんかも踏まえながらリース事業を柔軟に活用するなど、もう一歩踏み込んだ対策が必要だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君) まず、今日、午前中、午後、それぞれの先生方から今回の対策についてお褒めの言葉をあずかって、紙先生からも一定の御評価をいただいたと、感無量でございますが。
 その上で更に踏み込んだ対策と、こういうことでございますけれども、例えばということでリースのお話がございました。JAが所有する共同利用施設として助成可能な農業用ハウス、低コスト耐候性ハウスということで、強い農業づくり交付金で支援をしてきているところでございます。この低コスト耐候性ハウスというのは、JAが整備をした上で、複数、これは原則は五戸以上でございますが、複数の農業者に貸し付けるということも可能でございます。
 したがって、今冬の雪害に対応して、平成二十六年度の強い農業づくり交付金二百三十四億円でございますが、二十億の雪害対応枠を設けまして、雪害を受けた産地に対して共同利用施設の整備を優先的に支援することにしておりますので、今後県等からの事業要望を踏まえて適切に対応してまいりたいと、こういうふうに思っております。

○紙智子君 融資が難しい場合リースでと、そのことが、自分もやれるし次世代にもつなげられるということにもつながるわけですね。
 先ほど言われた耐候性ハウスの問題も、今組んでいるんだけれども、やっぱりできるだけ対象を多く持てるようにというところで、是非柔軟な検討をしていただきたいなと思いますけれども、もう一言お願いします。

○国務大臣(林芳正君) これ、今ある制度の御説明を原則ということでいたしましたけれども、今回、ほかのハウスの撤去ですとかそれから再建についても、かなり今回特例ということをやっておりますので、御要望に基づいて柔軟な対応をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。

○紙智子君 それと、地域農業の担い手になっている若い農業者は、二重ローンの問題で苦しんでいるんですね。
 お訪ねしたキュウリ農家の方は、春に苗植えの準備をしていて、新しいビニールを張って肥料を入れて土を暖める作業をして、実は二月二十八日に苗が来る予定だったと。そのやさきに被災しちゃったわけですね。それで、その費用と当座の生活資金がないと。資材は早くても秋だというふうに言われているということなんですけれども、当面の生活資金がない上に、今の市場価格を考えたら新たな借金できないということで、東日本のときにも問題になりましたけれども、二重ローンの対策ということで支援を検討すべきではないかと思いますけど、いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君) まさに委員がおっしゃっていただいたように、今回の雪害の被災農業者の中には、これまでの投資によって既に既往債務を抱えていらっしゃる方、これ少なくないと、こういうふうに考えておりまして、再建に向けて新たな投資への負担をいかに軽減していくかが大事であると、こういうふうに認識しております。
 特に、四月一日から消費税の引上げということもあって、ふだんの年よりもそういう方の割合が少し多かったという声も聞かれるわけでございまして、こういう状況を受けて、この大雪被害に関する農林水産省の緊急災害対策本部で、先ほど来御指摘いただいているように、まず再建の国庫補助率を十分の三から二分の一、地方公共団体上乗せ補助に対し七割を特別交付税と、こういうことをまさにやって、まずは、そもそも農家の方の負担を軽減をするということをやっております。
 さらに、御本人の負担の部分の借入れについても、災害関連資金、農林漁業セーフティーネット資金等について、貸付け当初の五年間を無利子化すると、こういう措置を講じると同時に、償還期間、据置期間を極力長く設定をしていただくように関係金融機関に要請をしておりまして、残った部分の借入れについても農業者の負担軽減を図っておるところでございます。
 それから、既に借りた二重ローンの最初のローンの方についても、この返済について、経営の実情に照らして償還猶予等、条件変更を適切に講じるよう、これも関係金融機関に要請をしたところでございます。
 さらに、これは法人の場合ということになりますが、融資のほかに、アグリビジネス投資育成株式会社、これによる出資機能を活用いたしまして被災農業法人への支援を実施するということで、負債にならない出資という形でやるという方法も使いながらこの借入れの負担を軽減することを支援していきたいと、こういうふうに思っておりまして、トータルでこの負担軽減を図って経営再建をしていただくよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

○紙智子君 やはり心配されるのは、農業者の高齢化が進んでいる中で、これを機にやめるという人が出てくるかもしれないと、耕作放棄地が増えるんじゃないかと。やっぱり農業者の皆さんが意欲を持って農業を続けられるように、是非踏み込んだ対策を強く要望しておきたいと思います。

 続きまして、TPPについてです。
 二月二十五日までのTPP閣僚会議は大筋合意にも至らなかったと。甘利大臣は、十五日から米国のフロマン氏と会った後の記者会見で、先ほども出ていましたけれども、関税で農産五品目一つ残らず微動だにしないというなら交渉にならないというふうにおっしゃった。一つも現状が変わらないと思っている人はいないとまで言われました。
 この発言というのは、私は明らかに衆参の国会決議に反する発言だというふうに思うんです。重要五品目を守ると、かつて一ミリも譲らないというふうに言ってきたわけで、明らかにこれ公約違反だと。
 更に付け加えれば、国民皆保険制度の維持の問題ですとか食の安全、安心、ISD条項の問題ですとか、自民党としては六項目を掲げていて、これが確保できないなら交渉から離脱も辞さないというのが決議だったわけで、林農水大臣は、これ決議に反するこういう発言に対しては本来きちっと批判をして、守れないというんだったら決議どおり撤退すべきじゃないかというふうに主張されるのが筋だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君) 甘利大臣が、先月の記者会見だったと思いますが、五品目中のタリフライン、一つ残らず微動だにしないということでは、これは交渉になりませんと、こういう発言をされたことは承知をしておるところでございます。
 午前中か午後になってからかちょっと判然としませんが、前からお答えをしているように、この国会の決議、まさにこの委員会と衆議院の委員会での決議というものの解釈というもの、どういうふうなことがこれに当てはまるのか当てはまらないのかということについては、我々政府側として差し出がましいことを言うということは控えたいと、こういうふうに思っております。
 何よりも、この決議を踏まえて、国益を守り抜くよう全力を尽くすということを重ねて申し上げたいと、こういうふうに思います。

○紙智子君 解釈の話ではないと思うんですよね。これまでだったら何回も繰り返し大臣自身も、やっぱり決議は守るんだというふうに繰り返しおっしゃってきたわけで、なぜここに来て解釈については何も言えないんだというふうになるのかなと思うんですけれども、ここはやっぱりしっかり、この守れないという状況になったときに、農水大臣として絶対それは引けないという立場で頑張っていただかなければいけないわけですよ。
 更に言えば、米政府がこれ全ての農産品の関税撤廃を強硬に要求してきたと。それで、米や麦や牛肉・豚肉、乳製品、砂糖など農産物の重要五品目の、言ってみれば政府の方としては部分譲歩ですよね、これを狙って日本政府が提案をやったわけだけれども、これを結局米国は拒否をして成立に至らなかったと。これは、安倍総理が昨年二月にオバマ大統領との共同声明で、聖域なき関税撤廃が前提でないことが分かった、互いのセンシティビティーについても認識を共有した、だからTPPに入るというふうに説明をしていたことが違っていたということじゃないかと思うんですよ。米国はあくまでも完全に撤廃なんだというふうに言ってきているわけで、これはやっぱり国民を欺いていることになるんじゃないかと思うんです。
 安倍政権の閣僚の一員として、林大臣はこのことについて国民にどう説明をされるんですか。

○国務大臣(林芳正君) これは、相手がどういうふうにおっしゃっているかそのものは交渉の中身でございますが、それが報道でどういうふうにされているかということがまた別にあるわけでございますけれども、いずれにしても、総理がそこでおっしゃったように、この日米共同声明だったと思いますが、聖域なき関税撤廃をあらかじめ約束をしないと、交渉参加に当たってですね。我々の公約もそういうふうになっていたわけですが。そのことを確認した上で共同声明というものを出して、その共同声明には、一定の農産物にはセンシティビティーが我が国にあるということまで明記をしておるわけでございますので、そのことを前提に交渉参加を決定され、交渉が始まっております。
 したがって、この交渉方針については、何度も繰り返しになりますが、国会で御決議をいただいておりますので、これを踏まえて全力を尽くすと、こういうことでございます。

○紙智子君 やはりTPP、元々原則は例外なき関税撤廃なわけですよ。それをそうでないかのように国民に向けて宣伝して交渉に入ったと。確かに文書で出したけれども、やっぱりやってみたら実態はそうだったんじゃないかということが改めてはっきりしたわけですよ。そうである以上は、もうこの局面ですから、やっぱり撤退する以外に道はないと、それが筋だということを強く申し上げておきたいと思います。
 続きまして、農政改革に入ります。
 政府の農政改革の発表がされたわけですけれども、四つの柱ですよね、農地中間管理機構の創設と経営所得安定対策の見直し、それから水田フル活用と米政策の見直し、そして日本型直接支払の創設と。
 これを受けて、私、各地を歩いてきたんですけれども、どこに行っても、説明を聞いても煮詰まっていないことが多くて何をやろうとしているか見えてこないという声ですとか、所得倍増と言われるが、経営に与える影響は大きい、結局、農家の負担を農協が支えることになるとすれば農協が負担を抱えてしまいかねないという声ですとか、それから、農業経営の展望が持てないと、こういうふうに言われる、声が掛けられているわけです。
 政府の方としてはこういうふうに打ち出しているんだけれども、現場歩くと、とにかく分からない、説明されるんだけれどもさっぱりこの中身が煮詰まっていないと、こういう状況を農水大臣としてどう思われますか。

○国務大臣(林芳正君) やはり、農政の推進をしていくに当たっては、現場の理解と協力、これはもう非常に大事であると、こういうふうに思っております。今回の農政改革、特に大きな改革ですから、きめ細かな情報提供を進める必要があると、こういうふうに考えております。
 こういった状況を受けて、年明けから、ブロック別、都道府県別、六十回まずやらせていただきました。お地元の北海道は大きいものですからブロック別に何か所かやらせていただいて、それで六十回になっているわけでございますけれども。さらに、当省職員を派遣した市町村レベルの説明会、自主的にやられているやつがほかにもあるかもしれませんが、当省職員を派遣した市町村レベルでの説明会、二月末時点で約二千七百回開催をさせていただいているわけでございまして、ここに参加していただいた皆様の合計が十一万七千人を超える説明をしてきたと、こういうことでございます。
 そこでやはり様々質問が出されますので、その回答をそこでお答えするだけではなくて、農林水産省のホームページに掲載するなど、広く配付をするということと随時更新していくということで現場の理解を深める取組も併せて進めているところでございます。
 地域の実態、それぞれ、北海道から沖縄までございますので、そういう実態に応じた丁寧な説明と、それから、現場から出た声を踏まえて運用の改善を行うと。言わば、どなたかおっしゃっておられたように、キャッチボールをしながら、きめ細かくこの改革を実行していかなければならないと考えております。

○紙智子君 説明はして歩いているということなんですけど、例えば水田対策について、先ほどもちょっと出されていたんですけれども、例えば飼料米の生産について、作ってもそれが需要に合うのかどうか分からないと。

〔委員長退席、理事山田俊男君着席〕

 水田フル活用ビジョンの目玉とされる飼料米の生産では、これまでも十アール当たり七万五千円が交付されていたと。それを収量に応じて十アール当たり五万五千円から十万五千円の範囲で支給するというふうになっているんですけれども、この十万五千円の方だけが独り歩きしているという面があって、需要に見合う生産を考えようとすると、実際には主食用の一・三倍以上の収量が必要なんですね。相当の量を作らないといけないというふうになっていて、なかなかそんないい条件のところというのもないんですよね。そうすると、やっぱり収入を得られる、増えるという保証はないと。しかも、飼料米の需要については、鳥や豚の飼育が中心ということですから、地域での需要というのは限られると。畜産のない地域で飼料米にシフトできるのかどうか。
 それから、コンタミ問題もありますよね。それから、流通における主食米との混入問題。それから、主食用米の品質劣化という問題も避けられなくなると。飼料に加工する、加工場の話もさっき出ましたけれども、この体制も不十分だと。
 だから、作りなさい、作りなさいと言うんだけれども、作ったはいいけど、結局、はけていかないというふうになるんじゃないかと。これをどうするのかというのも出されておりますけれども、どのように対応していますか。

○国務大臣(林芳正君) この飼料用米については、マクロで申し上げますと畜産側で約一千万トン、トウモロコシが輸入されておりますが、これと同等の栄養価だと、こう評価をされておりますので、輸入トウモロコシと変わらない価格での供給ができれば四百五十万トン程度の潜在的な需要、今のどれぐらい混ぜられるかというデータに基づいて推計しても、これは改善していくと思いますが、今のデータに基づいてもそれぐらいの潜在的な需要が見込まれると、こういうふうに考えております。
 実際には、地域で直接供給してほしいとの要望がある畜産農家から新たに七万トンの供給希望、既に寄せられておりまして、生産要望のある耕種農家とのマッチング活動、こういうものを行っております。
 それから、配合飼料工場経由で供給する場合は、全国生産者団体が地域の餌米を集荷しまして配合飼料原料として飼料工場へ広域的に供給する仕組みによりまして、各地の配合飼料メーカーと調整しながら受け入れる体制が整っているということでございまして、各地で生産された飼料用米を安定的に流通させていくことが可能であると、こういうふうに考えております。
 したがいまして、農林水産省としては、各地域において農家が安心して餌米を生産できるように、引き続き配合飼料工場での長期的、計画的な供給、活用のための情報提供、それから生産要望のある耕種農家と利用要望のある畜産農家との直接の取引のマッチング活動、こういうようなことなどによって餌米の利用拡大、これを推進していきたいと、こういうふうに思っております。
 この主食用米とコンタミになるではないかということでございますが、この多収性専用品種としては主食用の品種よりもおくての品種を選択して作期を分散させると、すなわち餌米の方が遅く生育してくるということ、それから圃場の団地化を図るということを防止策として考えております。さらに、播種・育苗段階で種子や育苗箱の個々の品種名、これが特定できるようにいたしまして、品種の取り違い、他品種の種子の混入、こういうものがないように品質管理を徹底すると。さらに、収穫段階でございますが、品種ごとに収穫をして、品種の切替え時にはコンバインの清掃、細かい話かもしれませんが、こういうものを徹底するということ。そして、乾燥調製段階においては、一系列一日一品種の荷受け、これを基本としまして、品種の切替え時には、これもコンバインと同様、乾燥調製施設の清掃、また空運転を徹底をすると。こういうことをきちっと組み合わせてコンタミのリスク低減を図っていくと、これが重要であるというふうに考えております。
 したがいまして、農林水産省として、こういう飼料用米の基本的な栽培方法やコンタミ防止対策を記載した飼料用米栽培マニュアル、これを作成をいたしまして、全国の普及組織等に対する各種説明会等で説明を行っておりまして、各関係機関と連携して、本マニュアルを活用しながら現場への指導を徹底してまいりたいと、こういうふうに思っております。

〔理事山田俊男君退席、委員長着席〕

 ちょっと長くなりますが、さらに、餌米の円滑な流通・加工体制、この整備のために、餌米の生産量の増加に伴って相対的に生産量が減少する主食用米の保管スペース、これを有効活用することが重要でありまして、所要の予算を確保しておるところでございます。

○紙智子君 今ずっと今言われたことというのは時間が掛かるんですよね。生産現場は今すぐどうなるの、本当に受皿できるのかといって悩んでいるのに、しばらく掛かるものをこうやる、ああやると言われても困るというのが実際の声ですよ。
 それから、ちょっと時間が来てしまうので飛ばします。経営安定対策なんですけれども、そもそも民主党政権の時代に戸別所得補償制度の導入のときに、コスト割れをするから一万五千円というふうに説明があったはずだと。コスト差は解消していないはずなんだけれども、今回の、何で半減するのかという積算根拠ですね、これについて説明をしてください。

○国務大臣(林芳正君) 民主党が平成二十二年度に導入をされました戸別所得補償制度モデル対策におきましては、米は恒常的なコスト割れを起こしているということで、標準的な生産に要する費用、平成十四年から二十年産の七年中の中庸五年平均でございます。七中五ということですが、それと標準的な販売価格、これは平成十八年から二十年産の三年平均、この差額を基に算定した十アール当たり一万五千円、これを全ての販売農家に対して一律に交付をしたというところでございます。
 しかしながら、米は、麦、大豆等と違い、高い国境措置、これが設定をされておりますので、諸外国との生産条件の格差から生じる不利がないということ、それから、全ての販売農家に対して生産費を補填することは農地の流動化のペースを遅らせる面があること等の政策的な問題があったために、昨年の農政改革の議論の中で廃止することを決定したところでございます。
 なお、米の直接支払交付金ですが、これまで四年間交付されてきております。したがって、この交付金を前提に機械、施設の投資を行ってきた農業者もおられるということに鑑みまして、直ちに廃止ということではなくて、経過措置として二十六年産米から単価を削減した上で、二十九年産までの時限措置とすることにしたところでございます。

○紙智子君 この問題はちょっと現場では本当に大問題になっていますよ。一万五千円で来ていたものが七千五百円になって、どうやって倍増なんかできるんだと。非常に不安が広がっていますし、この問題、また後でも議論させていただきますけど、非常に重大な問題だというように思っています。
 もう一つ、ちょっと質問しておきたいんですけれども、中間管理機構の問題です。補正予算で四百億円、予算を付けているんですけれども、現状がどうなっているのか、実績ですね、これまずちょっと紹介してください。

○国務大臣(林芳正君) これは耕作放棄地に関連してという御質問だと思いますが、耕作放棄地の調査……

○紙智子君 いや補正で付いた実績、四百億、ざくっとでいいです。細かくなくていいです。

○国務大臣(林芳正君) 四百億全体の、はい、失礼しました。
 平成二十五年度補正は合計四百億円を計上しておりまして、業務運営に対する支援が百三十七億、機構への農地出し手に対する支援、機構集積協力金が百五十三億、農地集積、集約化の基礎業務への支援が百十億円ということになっております。取りあえず。

○紙智子君 今の数字だけ聞いても、余りみんなよく分からないかと思うんですけれども、まだ本当に動いていないですよね。まだ動いていないんですよ。やっぱりこの間現地にも行ってきたけれども、ほとんどまだ分かっていない状態で、やっぱりやり方が余りにも拙速だというのが現場の声です。それから、このシステムで耕作放棄地の解消できるのかというのも併せて出ていたんですね。それで、ちょっとこれ飛んでしまうんですけれども、それはちょっと後からまた聞きます。
 それで、予算を詳細に見ていくと、早く農地を中間管理機構に出すとお金が多く付く仕組みになっていると。しかし、農地の受け手がなければお金が出ないと、受け手が出ないということになると、集落は混乱を来すわけですね。これ、どうですか。

○国務大臣(林芳正君) これは必ずしもちょっと御質問の趣旨を正確に把握しているかどうか分かりませんが、出し手の方は県のしっかりしたところがやるということで、出し手もこの賃料が入ってこないというリスクを余り心配しなくてもいいと、こういうことでありますし、それから今度は、受け手の方はこの出してもらったものをある程度集約して、土地改良なんかもやってそれから出してもらえると、こういうメリットがありますので、そういうところをきちっとこの中間管理機構で対応していく必要があるということだと思っております。

○紙智子君 仕組み的に、そうやってとにかく早く出せ出せとやるんだけれども、受け手がない場合はこれ土地どうなっちゃうのかということがあるんですよね。これも本当にどこまで煮詰めて考えられているのかということが問われている問題ですし、それから、機構が対象となる農地の借り手の名前だとか農用地の利用配分計画にまとめて、知事の認可を受けて公告する仕組みになっているわけですけれども、問題は、最も地域を知っている農業委員会の許可が要らなくなると、今回の仕組みで。あっ、時間オーバーですね。じゃ、これはまた後ほどやらせていただくということで、取りあえずのところは、今日のところは終わります。
 ありがとうございました。