<第180回国会 2013年5月10日 沖縄北方特別委員会>


北方領土隣接地域第7期振興計画について質問

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。十分なので答弁は簡潔にお願いいたします。
 今年度から五年間の第七期隣接地域振興計画が国交大臣の同意を受けてスタートするわけですけれども、第七期はこれまでと違って、国が五つの重点施策を設けて集中的に予算を投下し、地域の発展を目に見えるようにするというふうにしております。地元自治体は、この重点施策でハード事業とソフト事業をパッケージにして取り組まなきゃいけないと。これまで、隣接地域の振興の補助金、毎年一億円ですけれども、活用して、有害生物の駆除や藻場造成事業を毎年行ってきたわけですけれども、今後はこれ対象事業となるんでしょうか。
○政府参考人(高松泰君)平成二十五年度を初年度とする第七期北方領土隣接地域振興計画におきましては、隣接地域の魅力ある地域形成に向けて、計画期間内に重点的に実施する取組が示されたところでございます。
 この補助金につきましては、これらの重点施策を推進するため対象事業を見直ししておりまして、御質問の事業につきましては、この重点施策の実現に合致するということであれば補助金の対象となるということでございます。
○紙智子君 藻場の造成を毎年秋にきちんと行うことで、この主要産品、昆布の収量ですね、これを確保しているわけです。それで、必要な事業量をこれ確保できなければ収量は低下するんですね。これはなりわいにとってすごく大事な話なんです、実は。
 それで、地元は、もしそのハードとパッケージができずにこういう必要な事業に補助金が充てられなくなれば、地域振興するどころか逆になるんじゃないのかということでの心配をしているわけです。だから、余りパッケージ、パッケージでがんじがらめにしないで、必要な事業は補助すべきじゃないかというふうに思うんですね。
 それと、もう一つなんですけれども、特特推進費、これも開発局の補助事業、直轄事業で、事業途中であるものに限定されて使い勝手が悪いという声が出ているんです。もっと隣接地域が使いやすい要綱にすべきじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(高松泰君) 推進費でございますけれども、公共事業関係費につきまして、横断的な施策に基づく事業に配分するということで総合的な調整を図るものでありまして、当初予算ではこの使途を定めておりません。したがいまして、通常の予算に比べて弾力的な事業執行が可能でありまして、また、事業効果の早期発現、投資の効率化を図る上で機動的な予算であるというふうに考えております。
 今年度、この北方領土隣接地域における地域社会形成、これをテーマの一つに掲げておるところでございまして、地元の要望なども踏まえながら、弾力性、機動性を生かした事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
○紙智子君 地元では、これ、パッケージ化ということでは頭を悩ませているんですね、実は。それで、HACCP対応の港湾整備で輸出をという重点施策も、これ実は距離感があると。もちろん手を挙げたいという、資本のあるところはそうだと思うんだけれども、みんながそうなるかというと、決してそうじゃない、距離感があると。それから、根室港の整備も、漁港ではなくてこれ重要港湾なので、地元負担が最大三分の一と大きいんですよ。それから、「えとぴりか」専用のバース、これ、ビザなし交流などの国等の事業の専用なのに、これも地元負担が必要なんだろうか、本当は国が全部出すべきじゃないかというような思いもあるわけですね。
 地域振興を国が後押しする立場で是非これ、地元が取り組みやすいように弾力的な運用を考えてほしいと、これは要望しておきます。要望にとどめます。
 それから、大臣も御存じかと思うんですけれども、領土問題が未解決のために経済的な不利益というのはどれほどかということを根室市が試算をしているんですね。約五兆円です。これ大体、水産が主なんですけれども、水揚げが阻害されている漁業生産額では約七万トンで百七十四億円、水産加工生産額で百二十五億円、水産卸売業販売額で百十五億円、関連産業含めて市全体への影響は七百二十三億円、これらを単純計算すると大体五兆円の損失だと。
 だから、もう損失がそういうので、元々は揚がっていた水揚げがそうなっているということなんですけれども、そういう中で言わばこの領土返還運動発祥の地だということで自覚をして、先頭に立って奮闘していただいているわけですよ。その北海道の置かれている地域というのはほかとはやっぱり違う立場に置かれているわけなんですね。
 その北方隣接地域の振興予算というのは、北方基金百億円の運用益で毎年一億七千万円程度と、国交省の北海道局の補助金が一億円と、北海道の予算一千五百万円、これ全てですよ。だから、いや、比較するわけじゃないけど、本当にまだまだ小さいと思うんです、少ないと思うんですよ。
 しかも、その隣接予算もこれ国交省管轄なんですね。そうすると、どうしても公共事業にシフトさせる傾向になっちゃうんですよ。国交省が一生懸命知恵使って何とか力になるようにと思っているかもしれないんだけれども、それは否定しませんけれども、それでもやっぱりどうしてもそっちにシフトしてしまうんですよ。それがちょっと限界だと思うんだけれども。
 だから、もっと基金のように使い勝手の良い支援策を国が増やす必要があるんじゃないかというふうに思いますし、私は、これはちょっと時間掛かるかもしれないんですけど、是非大臣に考えてほしいのは、この地域振興全体に目配りする、そういう特別の意味を持ってこれまで領土返還を担っていこうということでやってきている地域全体に目配りするためには、地域振興の予算というか、もっといろんな分野含めてバックアップできるような、そういうことを北方対策本部が中心になって抜本的にやれるような体制でないといけないんじゃないかということを常々思っているわけですよ。
 是非、今すぐというふうに結論は出ないかもしれないけれども、そこのところで検討していただけないかなというふうに思うんですけど、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本一太君) 今の根室市の試算はしっかり受け止めなければいけないと思います。
 北方領土隣接地域一市四町、領土問題未解決で、今委員のおっしゃったように、望ましい地域社会としての発展が阻害されている面があるというのはこれは事実だと思います。さらに、これも委員がおっしゃったように、返還要求運動の原点の地という特殊な位置付けにあると、ここはやはり安定した地域社会として形成する必要があるというふうに認識をしております。
 ただ、一方、北方領土隣接地域基金による対象補助、今おっしゃったお話ですが、これやっぱり議員立法の北特法、北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律に基づいて補助対象が規定されているというのはもう御存じのとおりだと思うんですね。これを前に進める、いろいろなことを考えますと、やはりここは議員立法である北特法の改正ということになってくると思うんで、これはまず国会において議論を深めていただきたいなというふうに思います。
 先生の御指摘については、今日はしっかり私も頭に入れておきたいというふうに思います。
○紙智子君 是非、引き続き提起もしたいと思いますし、考えていただきたいと思います。
 それから、最後になりますけど、これ、根室市のハッタラ浜にあります千島の電信回線・海底ケーブルの陸揚げ庫なんです。非常に歴史的建造物でもあって、かつて根室と国後それから択捉を結ぶ海底ケーブルということで、やっぱりはっきりこれつながっていたんだということの証明でもあるわけですね。それで、非常に大事でありまして、根室市が今年度の、土地を取得して整備していきたいということで、先日私も現地を見てきたんですけれども、啓発の事業にとっても大きな資産となるので、是非その保存に向けて後押しをしてほしいということなんです。
 それで、ちょっと事前に大臣の方にもちゃんと目を通してもらうようにというふうにお願いしていたんですけれども、お読みになっていると思うんですけれども、是非一言お願いしたいと思います。
○国務大臣(山本一太君) ちょっと、これは事前に読ませていただきました。終戦時まで電報などの伝達手段として、今委員がおっしゃったように、根室と国後とを海底ケーブルで結んでいたということで、根室側の施設、この写真にある旧海底電信線陸揚げ施設、これ海底ケーブル陸揚げ庫というんでしょうか、これについては、根室市が重要施設として保存する方針を決めたということは一部の報道で私も承知しております。
 本件については、根室市から具体的な御相談等があったときには内閣府として何ができるか……
○紙智子君 誰か行っているということですか。
○国務大臣(山本一太君) いや、正式に多分来ていないんだと思います。
 ですから、根室市の方から正式な御相談があったときには内閣府として何ができるかは検討させていただきたいと思っています。
○紙智子君 ありがとうございました。終わります。