<第180回国会 2013年4月3日 国際・地球環境・食糧問題に関する調査会>


食料輸入に依存する国のあり方を、食料自給率を高める方向に

○会長(藤原正司君) 国際問題、地球環境問題及び食糧問題に関する調査を議題といたします。
 本調査会では、これまで三年間にわたり、「世界の水問題と日本の対外戦略」をテーマに調査を進めてまいりました。三年目の今期国会においても、四回にわたり参考人及び政府に対して質疑を行いましたが、その際に出された論点をまとめた資料を過去二年間の中間報告の要旨とともにお手元に配付させていただいております。
 本日は、これまでの調査を踏まえ、最終報告書を取りまとめるに当たり、午後四時までをめどに、「世界の水問題と日本の対外戦略」について委員間の意見交換を行います。
                                 

○紙智子君 日本共産党の紙智子です。
 この三年間、様々な角度から水問題について議論してきましたけれども、三点に絞って意見を述べたいと思います。
 一つは、農産物の輸入はその生産に要した水も一緒に輸入しているという、バーチャルウオーターという、言い方を変えればですね、そういうことがあります。世界で水の枯渇や土壌の劣化、砂漠化が深刻化し、穀物価格が高騰していると。まず初めに、この世界の水資源と日本のかかわりはどうあるべきかということです。
 参考人からは、日本は政策的な切替えを行って、生産力を引き上げるために、農地も水も人材も地域コミュニティーも森林も、地域資源を丸ごと保護、保全していくことが必要だですとか、日本は農業に対する戦略的な支援が足りなかったから自給率が低下したと、それを再構築することが必要だなどが述べられました。
 食料を輸入に依存する国の在り方を変えて、日本の食料自給率を高めることが極めて重要になっていると考えます。
 次に、水ビジネスについてですが、私は、水道事業の海外展開で利益が生まれるかどうか、自治体のかかわり方や雇用対策などについて繰り返し聞いてきました。
 参考人からは、水道事業の海外展開で維持管理を入れてリターンがあるかといったら、そんなにないとか、人件費プラスアルファぐらいが稼げればいいかとか、大きくもうけるようなビジネスではないなどが出されました。また、雇用についても、現地企業との競争になる、安くて良い技術を調達するには資材や雇用は現地人材を活用する、雇用対策にはなかなかならないということも述べられました。
 技術を海外で生かす方法を考える必要はありますけれども、こういう問題とともに、日本の企業や自治体が運営する海外の公共事業で赤字が出たら国民の税金で補填するというのは良くないと思います。
 加えて、水を商品ととらえるか、権利ととらえるかということも重要な角度です。国連は、二〇一〇年の七月に水と衛生に対する人権について決議を採択しました。これは、水を商品ととらえて水道の民営化を進め、水メジャーが利益を優先する動きの中で住民の反発を受けるなど、水問題をとらえ直す動きの中で採択されたものです。人間にとって安全で清潔な水は生きるための万人の権利です。この点を踏まえた国内外の対策が必要になると考えます。
 最後に、水にかかわる大規模災害対応についてです。
 東日本大震災から二年がたちました。五百を超える自治体の水道事業体の職員は、いち早く現地に駆け付けて、命の水を届ける応急給水や水道施設の復旧支援を行いました。
 水道事業については、一九九五年の阪神・淡路大震災を経て都市間をつなぐ災害応急体制が確立されましたけれども、当時から職員は十万人から五万人に減り、民間委託などのアウトソーシングが進んでいます。
 東日本大震災においてこの災害応急体制は生かされたのかを聞きましたが、政府は混乱があったことは認めましたが、手引を見直すというふうに言っています。検証なしに見直すのではなくて、しっかり検証した上で見直しを行うべきだということを述べさせていただきます。