<第183回国会 2013年3月13日 国際・地球環境・食糧問題に関する調査会>


世界の水問題への取組の課題及び在り方について

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 東日本大震災からちょうど二年がたちました。大震災を踏まえて、あえて水道事業の大規模災害に対する対応についてお聞きしたいと思います。厚生労働省と総務省にお聞きします。
 二月六日の調査会のときにも命の水ということでお話をさせていただきました。そのときに、阪神・淡路大震災を経てつくられた災害の応急体制が東日本大震災においてどう生かされたのかというふうに聞いたわけです。お答えが、広域化と官民連携で対応するという答弁だったんですけれども、これからどうするかということを聞いたんじゃなくて、災害応急体制が作成されたときから職員は、当時十万人だったのが今は五万人に減っているわけです。元々の災害応急体制というのは、五万人は想定していなかったと、前提にしていなかったわけです。十万人でできたことが五万人でどこまでできたのかと。
 そこのところを検証すべきだと思うんですけれども、厚生労働省も総務省もレクチャー聞きますと、まとめていないということで、これはちょっと驚くべきことなんですけれども、やっぱり安心、安全な水を確保する、安定的に供給するということでいうと、改めてそこのところは検証していただきたいということを求めておきたいと、これがまず一つです。
 加えて、現在、東海地震、それから東南海・南海地震、それから首都圏直下地震などの発生が懸念されているわけです。こういう大地震が発生したときに、通常の事業を行いながら、被災地の対策が迅速に適切に行うことができる人員体制になっているのか、人員が減っている中で技術が継承できるのかと、ここら辺についてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(高島泉君) ありがとうございます。
 前回にも御質問ありましたけれども、一つ、阪神・淡路大震災の教訓がどう生かされているのかということでございます。
 阪神・淡路大震災のときには、それまで未曽有の大災害ということで、各事業体として応急復旧なりそういったものに協力しようと思っても、その連絡体制だとか、どういう装備で行くべきなのか、どこへ行っていいのか、行った後どうなるかといったものについて全く事前の準備がありませんでした。ですから、当時は、現地で協力したくても、行ってみたもののどうしていいか分からないとか、非常に混乱がございました。
 その経験を踏まえて、日本の水道協会と厚労省が一緒になりまして、地震等緊急対応の手引という手引を作りました。この手引の中で、応援する側それから応援される側、それぞれがどういう一般的な知識を持つべきか、どういう準備をすべきかということを事前にまとめまして、そういった体制を整備したところでございます。
 今回の東日本大震災でどうだったかということでございますが、先生がおっしゃるように、消防全体の人員というのは人員削減の関係で減っておりますけれども、基本的に、災害対応という面では、混乱しました阪神・淡路よりは円滑に対応ができたんではないかと考えております。
 一つは、被災した事業体というのが九十三事業体、水道事業体として被災地域にあった事業体としては九十三の事業体があるんですけれども、この水道事業体に対しまして全国から五百五十二の事業体が応援に出かけております。そのとき、前回の反省を踏まえまして、水道協会が中心になって、応援を申し出る事業体はどこへ行ったらいいかということを事前に調整をして派遣をしているということでございます。
 そうした中で、給水車については一万四千百台とか、給水事業とか応急復旧に、応急体制の供給のために人員的としても全国に六千三百人、三万九千七百人という延べ人数ですけれども、そういった方々が給水等々のために派遣をされております。
 それから、その後の復旧について、要するに災害査定だとか復興計画を作るというところにつきましても、これ人材が不足しておりましたので応援を入れまして、延べ、これは三月三十一日までですが、一万一千四百人ということで、全国の自治体が協力をしながら復興に力を貸したということでございます。
 このとき、特に多いのは関西からの応援が今回大変多かったと聞いております。やはり、この阪神・淡路で大変全国から世話になったということで、関西の自治体も今回東日本の復興に積極的に対応して、先ほど申しましたような手引の効果もあって、現地では混乱もございましたが、それなりに復旧活動に迅速に対応できたんではないかと、こういうふうに考えています。
 そういった中で、今回やはり非常に広かったということで、通信情報、情報体制がうまくいっていないとか、それから大都市部が被災したとか、それから津波等でそもそも設計図等が流れちゃったとか、こういった問題も新たに出ていますので、そういった面を踏まえて、またこの手引を見直して、今後の大震災、南海等の震災の際により的確に対応できるような取組をこれからもしていきたいと、こういうふうに思っております。
○政府参考人(村中健一君) ありがとうございます。
 災害が起こった場合の地方公共団体相互の応援体制ということ全体について見ますと、これは総務省が中心となってやっている話でございますけれども、事水道事業について言えば、この事業を所管されている厚生労働省さんが中心となっておまとめていただいて、我々もそれにサポートさせていただいているという立場になります。今厚生労働省さんからお話のあったとおりでございまして、今後どうするかについては、私どもとしても厚生労働省さんとよく相談をさせていただいて今後の体制をつくってまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

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○紙智子君 先ほどの私の質問に対しての答えなんですけど、ちゃんとお答えになっていただいていないなと。
 災害の応急体制がつくられたときから、要するに、職員の体制が半減した中でどこまでできたのかと、あるいはできなかったのかということについてはやっぱり検証が必要じゃないのかということを申し上げたんですけれども、検証する必要があるんじゃないのかと言ったのに対しては答えておらなかったと思うんですね。それはきちっとやっぱりやっていただきたいということが一つと、それからもう一つ、やっぱり私たち、災害の後というか、現地に行って痛感したのは、やっぱりいろんなことがもうどんどん遅れていってしまうと。そこにはやっぱり、いざとなったときの体制が非常に減っていて大変だと、回っていないと。
 いろいろなところからのもちろん応援は入りましたよ。たくさんの応援が入りましたよ、北海道からも入っていましたしね。それはそうなんだけれども、やっぱりそこが不足している自治体というのが時間が掛かっているということにもつながっているんじゃないかと思いますし、水道事業なんかの場合は、やっぱりどこで漏れているかというのは、それを探し出すというのはそれなりの、何というんですか、熟練されたことが必要ですし、経験も必要だと。
 そういうことを考えたときに、これをちゃんとやっぱり検証していくという、伝えていくという、技術も伝えていくということからいっても、そういう熟練された人も含めて、ちょっとその体制がどうなのかなというところをちょっともう一回お聞きしたいと思います。
○会長(藤原正司君) 紙さん、厚生労働省だけでいいですか。
○紙智子君 総務省と。
○会長(藤原正司君) 総務省、後から受けます。
○政府参考人(高島泉君) 水道関係の職員が減っていて、神戸のときからもう随分減っているんですが、もし減っていなければどこまで対応できたのかという検証はなかなか難しいなと思っております。
 いろんな仮定を置いてできるのか、また考えてみますけれども、人が今回いなかったからここまでしかできなかったということだけではなくて、やはり体制の整備、それから人の話で、あるいは事業体として人が減っているんですが、これ、ただ単純に減らしたということではなくて、やはり民間に委託するなりして、必要な事業は確保しながら官民連携の下で事業を進めているということでございます。
 そうしますと、今回、いろんな災害対応につきましても、事業体から行くだけではなくて、その際には民間の方も、技術を持った、担っている部分の民間があれば民間とともにその災害応援に行っているわけでございまして、官民併せて対応を今回もしっかりやったというふうな認識をしております。
 人が前の体制でやったらどこまでできたのかというのを比べるのはなかなかちょっと難しいなというふうに考えております。
 それから、技術につきましては、要するに民間に任せた分については官民併せて技術を維持していこうということでございますが、それにあわせまして、前回も申しましたけれども、研修事業なりそういったものを進めながら職員としての資質、技術というのも維持していきたいと、こういうふうに思っています。
○政府参考人(村中健一君) 先ほども答弁させていただきましたけれども、上水道事業ということにつきましては、厚生労働省さんが中心になって対応というものをまとめておられますので、私どもはそれに補助的に参加させていただくという立場でございます。なので、今後ともよく厚生労働省さんと話し合っていきたいとは思っております。