<第183回国会 2013年2月19日 予算委員会>


「TPP交渉不参加」という選択肢しかないと安倍総理を追及

○委員長(石井一君) 次に、紙智子さんの質疑を行います。紙さん。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日は、TPPの問題で安倍総理に質問をしたいと思います。
 さきの総選挙で、自民党はTPPについて、聖域なき関税撤廃が前提である限りTPP参加は反対ということでの公約を含めて、六項目ですね、全部で、公約を示して、そして政権に復帰をされました。
 ちょっと見ていただきたいと思います。(資料提示)この六つの項目について、自民党の総裁であります安倍総理から簡潔に御説明をお願いいたします。

資料:自民党の政権公約
資料1

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) このTPPについては、そこの公約にありますように、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上交渉に参加をしないと申し上げているとおりであります。
 TPPについては、政府としては、これまでの協議の内容やTPPに参加した場合に生じる様々な影響等も含め、しっかりと精査、分析した上で国益にかなう最善の道を求めていきたいと、こう思っております。
 その際、自民党総合政策集、J―ファイル二〇一二で掲げた聖域なき関税撤廃以外の残りの五項目も踏まえて判断をしていく考えでございます。
○紙智子君 この今六項目ということで話があったんですが、しかし、先週の衆議院での予算委員会において政府統一見解なるものが出されました。その見解は、この一番目の聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加に反対するという一項目だけであって、それ以外の二項目から下のものは、これ含まれていないと、落ちていると。なぜ一項目だけになっているんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、公約の中身、立て付けなんですが、その一番目の聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上と、そこが公約で出ているわけでありますが、あと二、三、四、五のところはいわゆるJ―ファイルに載せられているわけでありますが、そこで、予算委員会において質問されたことは、この聖域なき関税撤廃とは何かということについて、そこに書いてある一項目めについて質問されたわけでございますので、聖域なき関税撤廃ということについての政府の見解を示したものであります。
○紙智子君 国民向けにされた公約ということでは、これ六つがセットになっていると思うんですよ。ですから、これ一項目しか政府統一見解として示されないということになると、これは、国民から見ると、どうしたんだと、あれっ、公約は違ったのかという話になるんじゃないんですか。おかしいんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、私はいつも衆議院の予算委員会において聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上交渉には参加できないというお答えをしていたところ、その聖域なき関税撤廃と安倍さんが言ったその定義は何かと、こう聞かれたものでございますから、その定義をお示しをしたと、こういう経緯でございます。
○紙智子君 質問していることの意味をちゃんと理解していただきたいんですけれども、六つのことをワンパックで、これが承認されてこそ参加に至るんだろうなと、いや、それがクリアされなければ参加にならないんだろうなというふうにみんな受け止めているわけですよ。それとの関係で、これワンパックじゃないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もう既に自民党からもこの六項目についてという申入れがなされているわけでありまして、そのことも念頭に入れて当然首脳会談に臨むということはもう既に申し上げているとおりであります。
○紙智子君 林農水大臣にお聞きしますけれども、林農水大臣は二月十二日の閣議後の会見で、この公約の六項目を堅持されない限り交渉に参加するのは厳しいという御認識を示されておりますよね。ちょっと確認します。
○国務大臣(林芳正君) お答え申し上げます。
 閣議後の会見だったと思いますが、六項目、このそれぞれの項目に明白に反することがあれば、これは党が公約して我々政権交代したということでございますので、交渉に入っていくということは極めて難しくなる、そういうことを申し上げました。
○紙智子君 御認識を確認しました、農水大臣の認識はそういうことだと。
 ということは、政府統一見解ということで出す場合には皆さんの一致がないと出せないと思うんですけれども、賛成されたということですか。
   〔委員長退席、理事小林正夫君着席〕
○国務大臣(林芳正君) 総理が御答弁されましたように、この一項目めについての議論があって、それについて何か出せということでああいうものが出ていたということで、そのとおり私も了承したところでございます。
○紙智子君 ということは、やっぱり六項目ワンパックでと、こういう立場というのは変わりないということでよろしいんですか。
○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げたとおり、これは政権公約でございますから、残りの、今、一が話題になっておりましたが、二から六につきましても、これに反するということが明白な場合は交渉に参加することは難しいと申し上げたとおりでございます。
○紙智子君 それで、もう一回総理にお聞きしますけれども、総理は、これ六つの項目を全てクリアしなければ参加交渉に入れないというお考えでよろしいですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 既にもう国会でも答弁をしておりますが、我々が選挙でお約束をしたことはたがえてはならないということはもう何回も申し上げてきたとおりであります。
○紙智子君 そうしますと、JAの皆さんなどもこれまで何度も、再三にわたってこの六項目全てをやっぱりちゃんと守っていただきたいと。これに対しては、はっきりとそのことを約束するというふうにおっしゃられるということですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 党からもその申入れを受けたばかりでございまして、その際、これは国民に対して我々が約束をしたことでありますからしっかりと守っていきますよということは申し上げたところでございます。
○紙智子君 それでは、この六項目の中にありますこの四番目、「食の安全安心の基準を守る。」ということがあります。それで、これはTPPの二大原則、例外なき関税撤廃ということと、もう一つは非関税障壁の撤廃というのがあって、この非関税障壁にかかわるところなわけですね。
 それで、確認しますけれども、この非関税障壁というのは、言わば関税以外の貿易上の壁になるというようなことになると、関税を掛けてということじゃないわけですけれども、しかし、これはアメリカから見ますと、貿易の障害になることは全て非関税障壁にされかねない意味合いも持っているわけです。
 それで、主な問題について挙げますと、この四番目のこの項目だけを取ってみても、一つには残留農薬の規制緩和という問題があります。農薬の残留基準について輸出国の基準を適用するように求めています。アメリカの基準に合わせよというふうに言っているわけです。それから二つ目は、食品添加物の使用緩和についても、現在、日本で認められている食品添加物は八百三十二品目あります。アメリカでは認められているのは三千品目があるわけです。これを認めなさいということになるわけです。三つ目に、ポストハーベストの農薬も日本では禁止されていたんですが、アメリカからずっと解禁を求められていて、これ解禁をせよという要求がされているわけです。それから四つ目に、遺伝子組換えの表示義務、これについても、日本で行っている表示義務にもこれは非関税障壁だというふうに言って訴えられる可能性も指摘されているわけです。それから五つ目に、この米国産牛肉の輸入規制の緩和。これらもこの「食の安全安心の基準を守る。」というところに含まれるわけですけれども、これらについて総理はどのようにお考えですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そうした個別のことについては、もちろんまだ参加をしていないわけでありますから、そういうことについての交渉はされていないわけでありますが、基本姿勢としては既に申し上げたとおりでありまして、一項目めから六項目めまでを含めて、それを踏まえなければならないと思っております。当然、今委員が指摘をされました食の安全の基準についてもその中に含まれるわけであります。
○紙智子君 そういうふうに言われるんですけれども、これ既に米国産牛肉についてもTPPの先取りで検査を二十か月齢から三十か月齢に緩和しているわけですね。まさにこの消費者の選ぶ権利さえも奪われてしまう問題で、これ食の安全を脅かす大問題だというふうに思うんです。だからこそ自民党のこの公約の中に入れたんじゃありませんか。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども答弁させていただきましたように、まだ個別の具体的な項目について深く交渉しているわけではありませんし、米側は米側の主張があるんでしょうけれども、我々には守るべきものがあるわけでありますから、もしそういうことになったら、しっかりと主張していかなければいけないと考えております。
○紙智子君 次に、この三番目にあります「国民皆保険制度を守る。」というのが入っています。これ、日本医師会は、TPPにおいて将来にわたって日本の公的医療保険制度を除外することを明言すること、また、医療の安全、安心を守るための政策、例えば混合診療の全面解禁を行わないこと、それから、医療に株式会社を参入させないことなどを個別具体的に国民に約束することについて、これまでも政府に要請をしてきています。それがずっとあって、それがあるから公約の中に入れられたんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この皆保険制度というのは我が国の制度でありますから、この制度を揺るがす、交渉において揺るがすという考えは毛頭ございません。
○紙智子君 そのように答えられているんですが、水面下では牛肉の緩和と同じように地ならしが進んでいるんじゃないかと。特に政府の規制改革会議では混合診療の拡大を更に打ち出しているわけです。だから、日本医師会は反対をしているというふうに思うんですね。ですから、関税をゼロにする、例外なき関税撤廃、これも農業などを始めとして多大な影響を与えます。大きな打撃を与えるということですけれども、あわせて、この非関税障壁の撤廃という問題は、国民にとってはそれこそ健康や命にかかわる、そういう大変重大な影響を及ぼすことになる問題です。
 関税撤廃問題だけを殊更挙げて、農業があたかも一番問題であるかのようにいろいろ宣伝されるんだけれども、そうじゃないと。もちろん、農業も多大な影響を受けますよ。だけど、それだけじゃなくて、国民生活のあらゆるところに影響が及ぶ、日本の主権にかかわる問題だということですよ。だから、自民党の皆さんは党内からもそういう意見が出ているんだと思いますよ。農業分野だけの話じゃないと。むしろそれ以外、国民の暮らしにかかわるあらゆる問題が非関税障壁の撤廃によってもたらされることが重大だというふうに意見が出ていると。とりわけISD条項など、我が国の主権を損ないかねない問題だということで公約として六項目に掲げたんじゃないんでしょうかね。そして、自民党の調査会からも政府に対しては念押しがあったんですよね。どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この六項目について、先ほど申し上げましたように、国民の皆保険を守って、これはまさに我が国の主権の問題ということについてはそれはそのとおりだろうと思いますし、食の安心、安全を守っていく、基準を守っていく、これも当然のことでありますから、だからこそこの六項目について、先ほど、党からも申入れがあり、我々はこれをしっかりと念頭に置いて首脳会談に臨まなければならないと、このように申し上げたわけでございまして、いずれにせよ、この六項目を踏まえて守るべきものは守るという姿勢において、国益にかなう最善の道を求めていきたいと、求めていくという姿勢で交渉していきたいと思います。
○紙智子君 六項目踏まえるという話をするんですけれども、当然これ一体のものとしてやるということで確認をしていきたいと思います。
 そこで、政府の統一見解のこの聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対するということについて聞きますが、これも実は大きな問題があると思っております。
 選挙公約に掲げている聖域ということの範囲です。聖域、つまり関税をゼロにせずに残す品目を設けるならば交渉に参加していくという話ですけれども、その聖域に、総理は、重要品目を全てを対象にするのか、米だけを関税撤廃の対象から外せばそれでいいと考えているのか、それとも乳製品や甘味資源や牛肉や豚肉、こういうもの、重要品目全てについて聖域にするというふうに考えているのかと。
 現在、高率関税が掛かっている重要品目はこれだけあるわけですね。それで、この表の中には実はコンニャクは入っていません。でも、コンニャクも重要品目ですから、これは一七〇六%の関税が掛かっております。
 それで、この中で総理は、まあ例外を設けさせると言っているんですけれども、どこまで対象にするつもりなのか、お答え願います。

資料:わが国における高関税品目の例
資料2

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) この聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上参加には反対すると、このように述べてきたところでございます。つまり、これは聖域なき関税撤廃を、これ条件にしなければ、交渉に参加しなさい、条件にして、それを宣言しなければ交渉参加できませんよというのであれば、これは交渉参加できないということになるわけでありまして、そこで、聖域なき関税撤廃ということであれば交渉には参加できませんねと、そこのところをはっきりさせなければいけないということではありますが、この中について、どれとどれという個別の項目について今これを具体的に米側と交渉しているわけではありません。
○紙智子君 いや、だから例外を認めさせるんだという話されているわけだから、何を例外として認めさせるんですかということですよ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、まず交渉に参加するか、例えば交渉に参加した後の交渉というのもあるわけなんですね。そもそも交渉に参加する上において、全部この聖域も設けてはいけませんと、全く関税というのは駄目ですよということになったのであれば、それは交渉できませんというのが我々の公約でありますから、それかどうかということであって、後はまた個別の項目については、それはまたどうなるかということについては影響等々も勘案をしながら判断をしていくということになるわけであります。
○紙智子君 もう二十一、二十二と行かれるわけですよね。首脳会談やるつもりじゃないですか。そこで話されるんじゃないんですか。
 じゃ、麻生副総理と、それから茂木経済産業大臣にもお聞きします。選挙のときに出されている公約見ましたけど、同じように聖域なき関税撤廃の話書いていますよね。これは、それぞれの方がどういうことを想定して、ここまでの例外を守るというおつもりなんですか。お答え願います、お二人に。
○国務大臣(茂木敏充君) TPPに関して聖域の範囲、今の段階で具体的なものを決めているわけではありません。
 ただ、若干ミスリーディングなのは、お示しいただきましたこの高関税の品目の例ということでありますけれど、例えば今まで我々がやってきたFTAそしてEPAの交渉も、米は米じゃないんです。米の中も百項目ぐらいのタリフラインに分かれるんですよ。全体……(発言する者あり)いや、国民の皆さん知りませんから。千項目とか、そういった形になってくるということであります。
 それから、自民党の政権公約でありますが、私が訴えさせていただきましたのは、政府が聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対すると、政調会長時代もこういった形で作らせていただきました。そして、先ほど総理の方からありましたように、我々、政権公約と、それからそれを更に細かくした政策集、J?ファイル二〇一二というのを作っておりまして、そこの中の一から五番目の項目としてお示しいただいた二番目から六番目の先生の資料が載っていると、これが事実であります。
○国務大臣(麻生太郎君) この五つに書いてありますことに関して、我々としてはこれを公約といたしておりますので、これをテーブルの上にのっけて交渉するということで、交渉するということは、初めからゼロということだったら交渉じゃありませんから、それは。当たり前でしょう、それ。
○紙智子君 それで、ですから、何を一体省いていくのかということをめぐって、頭にないまま交渉するつもりなんですか。それで交渉になるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今度、私が米国に参りますのは、今の段階で我々参加しているわけではありませんから、個別のことについて交渉するということにはならないわけでありまして、米国に行くのは、交渉参加の条件が聖域なき関税撤廃なのかどうかということを、この首脳会談、様々な議題がありますよ。その様々な議題の中の一つは、そのTPP参加の条件について、聖域なき関税撤廃が条件なのかどうかということについてこれは確認をしなければならないと、このように考えているわけであります。
○紙智子君 じゃ、ちょっと質問を変えます。
 TPPの根本問題について林農水大臣にお聞きしますけれども、農水大臣はTPPにおける例外措置ということについてどのように認識されていますか。
○国務大臣(林芳正君) 先ほども総理からも既にお答えがあったところでございますが、公約は、そこに先ほど掲げていただいたように、聖域なき関税撤廃、これを括弧に入れております。括弧に入った聖域なき関税撤廃、これを前提にする限りTPP交渉には参加しないという意味であり、それ以上でもそれ以下でもないということでございます。
 したがって、何を聖域として守るか。交渉にもし参加した場合は、状況や影響の精査、そういうことを分析して、国内の議論をしっかりやって判断していくべき問題と考えております。
○紙智子君 ちょっと聞いた趣旨違っていて、例外という措置の中身を聞いたんですけど。
 林農水大臣は、二〇一一年の十一月十一日の参議院の予算委員会で、当時は民主党政権でしたけれども、野田総理とTPP問題についてやり取りをされています。その中で、例外措置というのは、今私が知り得る限りでは、何年でゼロにするとかいう例外はあっても、関税が残るという例外はないんですよ、それを御存じですか、総理、というふうに質問しています。その認識は今も変わらないですか。
○国務大臣(林芳正君) 当時、野党議員でございましたので、それは多分、政府が公表されたこれまでの情報収集というものを私が見て質問したんだと思いますが、改めて調べてみましたら、そのときの情報収集ということで、センシティブ品目の扱いは交渉分野全体のパッケージの中で決まるとされている。それから、九〇から九五%の品目を即時撤廃し、残る品目も七年以内に段階的に関税撤廃すべきであることを多くの国が支持している。それから、センシティブ品目の扱いについては、長期間の段階的撤廃というアプローチを取るべきとの考え方を示す国が多いなどの情報が得られたということが公表されておりましたので、それに基づいて質問したものだというふうに承知しております。
○紙智子君 そのときの認識と今は変わっているということですか、それじゃ。
○国務大臣(林芳正君) 当時は、野党議員として、この政府がそのときに公表された情報に基づいて総理の、当時の野田総理の見解をただしたということでございます。安倍政権下で、私は農水大臣としての立場でここで先ほどのような答弁として考え方を答弁させていただきました。
○紙智子君 変わっていないということですね。
○国務大臣(林芳正君) 特に変わっていないと思いますが、先ほど農相としては答弁したとおりということでございます。
○紙智子君 TPPは二〇〇六年にまずは四か国から出発しています。その協定に明記されているのが例外なき関税撤廃であり、現在の十一か国の交渉はこの協定に参加していくということで、TPP協定の更なるレベルを上げていくという交渉になっているわけです。ですから、これに例外措置を求めるということはあり得ないことなんですね。そのことを知っているからこそ、林農水大臣は当時、民主党政権の野田総理に対して、関税が残るという例外はないんですよと言って追及したわけですよ。
 林農水大臣は、この聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対と、こういう選挙公約を取りまとめられたんですよね。そうですよね。ちょっと確認します。
○国務大臣(林芳正君) 昨年の三月九日付けで自民党の文書を取りまとめております。それは、自民党の中に政務調査会というのがありまして、当時は茂木経産大臣が政調会長で、私がお仕えをしておりまして政調会長代理ということでしたが、政調会長からの御指示でその取りまとめ、小委員長を命じられまして、その紙の取りまとめ、何度も議論をやって、そこに先ほど掲げていただいたような中身を取りまとめさせていただいたところでございます。
○紙智子君 ということになりますと、総理、やっぱりTPP交渉に参加しないという選択肢しかないんじゃありませんか。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本方針は、何度も申し上げているとおり、聖域なき関税撤廃なのかどうかということは、これは確かめてみなければ分からないわけでございますので、それも首脳会談の重要なテーマの一つであると、このように認識をしております。
○紙智子君 総理は、オバマ大統領との会談で感触を得て判断するというふうに言われているんですけれども、聖域について確認するということは、じゃ、ないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 聖域があるかないかということについて確認をするということになると思います。
○紙智子君 ニュージーランドは日本の交渉参加を現時点でも認めていません。なぜかというと、日本も例外を認めるように求めているからです。ニュージーランドはTPP協定の最初の原協定国です。例外なき関税撤廃の主導国でもあるわけです。それで、ニュージーランドは米国の乳製品や砂糖の例外措置化についても反対をしていると。もしそれを強行するならTPPから離脱するということも主張しています。
 ですから、例えば日本が米国政府の例外措置の言質を得たとしてもニュージーランドの同意は得られないと、そうなると日本はTPPに参加できないんじゃないかと思いますけれども、この点での認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) ニュージーランドにつきましては、前政権におきましてTPP交渉参加に向けた関係国との協議を行った際に、ニュージーランドからは日本の交渉参加への関心を歓迎する等の表明がありました。一方で、我が国のTPP交渉参加について引き続き検討が必要と、こういう趣旨が表明されております。
 TPP協定につきましては、その後二国間協議、また情報収集のための協議をずっと続けておりますが、全ての関税を撤廃することを原則とされているわけですが、最終的に即時撤廃がどの程度となるか、段階的にどれくらいの時間を掛けて撤廃するか、また関税撤廃の例外がどの程度認められるか等については、このTPP協定全体の交渉の中で現時点では明らかになっていない、このように認識をしております。
○紙智子君 外務大臣には聞いていなかったんですが、関税撤廃だけじゃなくて、やっぱり非関税障壁の撤廃も含めて、これ日本の主権を損なうものだと、だから国民は非常に不安に思っているわけです。自民党が示した六項目全てを満たすと、これ本当に満たすということになりますと、そもそもTPP協定そのものが成り立たないものだと思いますよ。それをもし守らないということになれば、これ重大な公約違反になるというふうに思います。国民は絶対それは許さないということになるわけです。
 それで、ちょっと最後の方になりますけれども、二十一、二十二日と安倍総理行かれるわけですけれども、ここで、よもや、日米首脳会談でよもや参加表明などということはないということは約束いただけますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今この場で参加表明するかしないかということをお約束することはできませんが、基本的な姿勢として、まずは聖域なき関税撤廃かどうかということを確認するわけであります。その上において、その上において、今までの交渉経過、あるいは我が国にどのように影響があるかどうかを精査し分析をした結果において判断をしたいと、こう考えております。
○紙智子君 はっきり約束してほしいわけですけれども、それも言えないんですかね。私、本当にしっかりと約束をしていただきたいというふうに思うわけです。
 間もなく東日本大震災からは二年になろうとしていますよ。今現地では本当に復興に向けて必死の思いで取り組んでいるわけですよ。漁業にしたって農業にしたって、もう大変なところから出発して、そこに意欲を持ってやっている。それをTPP参加というのはそぐものになりますよ。
 そして、実は私、北海道ですけれども、今北海道で一年間に二百戸の農家が離農しています。その中には、TPPに参加するのであれば先に見通しが持てなくなると、優良な農家の若手の担い手が離れるという事態もあるわけですよ。ですから、やっぱりそれをさせてはならないと思います。
 美しい日本の風景を守る、棚田を守るということであれば、それを支える農家を本当に守れるような政治に変えなきゃいけない、その点からも、私はTPPは断固として阻止をするために頑張る決意を述べまして、質問といたします。
○理事(小林正夫君) 以上で紙智子君の質疑は終了いたしました。(拍手)