<第183回国会 2013年2月6日 国際・地球環境・食糧問題に関する調査会>


災害応急対応、「いのちの水」などの検証を求める!!


○紙智子君 ありがとうございます。
 私は、水道事業と大規模災害対応について、総務省さんとそれから厚生労働省さんに聞きたいと思います。
 間もなく東日本大震災からは二年になるわけですけれども、震災直後に全国の五百を超える事業体が給水車あるいは応急給水、水道施設復旧のための支援が行われました。水道事業体の職員はいち早く現地に駆け付けて命の水を届けたわけです。改めて公務の役割の大きさということも感じたわけです。それで、水道施設を復旧するには、まず漏水検査が必要だと。この漏水検査というのも、発見するのはなかなかそんな簡単ではなくて、やっぱり日常業務の中で技術や技能を磨かないといけないということがあるわけです。
 一九九五年のときに阪神・淡路大震災があって、都市間をつなぐ災害応急体制というのが確立されていると。この対応が今回の東日本大震災でどのように生かされたのかというのが一つ大事な問題というか、問われているというふうに思います。
 それで、災害応急体制が確立されて以降、実はこの水道事業の職員数は減少していて、先ほども一覧表で説明がありましたけれども、元は十万人ぐらいいたのが今半分ぐらい、五万人くらいになっていますよね。それで、民間委託ということなんかもあって、アウトソーシングで技術の継承が困難になっているということも言われていると。
 災害対応は、機械とかマニュアルがあればそれで済むわけでもないと思うんですけれども、日常的に培われた経験が生きるということも当然あるわけで、そういう点も含めて、この災害応急体制、これが東日本震災でどう生かされたのか、あるいは生かし切れず不十分さがあったのか、その辺をどう検証しているのかということがあります。
 それを、ちょっと二つ、自治体職員の役割、人員体制という側面と、それから技術の継承という側面からお聞きしたいと思います。総務省と厚生労働省、それぞれからお聞きしたいと思います。
○政府参考人(村中健一君) 今先生御指摘になった、要は災害時等の緊急事態のときにどう対応するかというのが極めて重要な観点だというふうに私どもは認識しております。ですので、我々が常に考えていくのは、いかにして経営の持続性、技術面、あるいは財政面も含めてですけれども、を維持していくのかなというのが常に頭にあります。
 そういう中で、先ほども御説明させていただいたように、一方でそういう災害対応もしていかなければいけないわけですが、他方で、先ほども御説明しましたように、上水事業の場合は下水事業ほどではないにしても、一般会計からの財政的な支援というのが恒常的に発生しているわけでございます。そういう中で、できるだけコストを削減しつつ効率的に物事をやっていかなければいけないという要請が片一方にあって、そういう中で、我々は非常に苦しい中でやりくりしているということでございます。
 そういう中では、また後ほど厚労省さんから説明があるかもしれませんけれども、数少なくなった職員一人一人の技能を上げていくということ、あるいは、それから先生も御指摘になったように、民間の活力を活用して進めていくというような問題。それから、広域的に自治体の枠を超えて、何かあったときには相互に応援し合うという体制を構築していくというようなこと。さらには、総務省として今推進しておりますのは、より一つ一つの事業体が小さいと、何かあったときの対応能力、あるいは将来に向けての技術的な承継というのもなかなか人が減っていく中で難しくなってきているわけですので、なるべく統合したり、あるいは広域化を図ることでそういうものを持続していっていただきたいというふうに思っているところであります。
○政府参考人(高島泉君) 厚労省でございます。
 基本的な考え方は今総務省からお話があったのと同じでございますが、冒頭御説明しましたように、やっぱり水道の事業体として維持していく中で非常に人が減っていく、高齢化が進んでいくということが今大きな問題になっていると思います。
 そうした中でどうやって対応していくかということにつきましては、先ほど申しましたが、やはり一つは広域化をして、広域化の中で人を集めて、その人たちに付いて技術を研修するとか、それから訓練をする、そういった形での技術の承継、それから訓練の中にも災害訓練等で災害対応の能力を持った方々を養成できるような、こういった事業体にしていかなくてはいけないということでございます。
 そういった意味で、一つは広域化をするということが大きな課題だろうというふうに思っています。しかし、これを全部まとめるということはできないので、広域化ができない場合には、やはりそれはネットワークをつくっていって連携を深めていくということが重要であると思います。先ほど阪神の話もございましたけれども、阪神の大地震の教訓もありまして、広域の応援ネットワークといったものをつくって災害時にはみんなで協力をしていこうという体制を整えているところであります。その中で、行政だけではなくて民間も含めてネットワークをつくって大規模災害等に対応していく、こういったことがこれからの取組として大事ではないかと、こういうふうに思っています。
 特に、水道事業体として人が減っていく中で、外部委託、また外部、民間との協力というのが増えてきております。例えば、料金徴収とか通常の保守点検、先ほど漏水の話もありましたけれども、そういった面については民間と連携をしながら事業を進めていくという形が今増えてきております。災害の対応につきましても、官と民が一緒になってネットワークをつくって対応していくと、こういうことがこれから求められていくのではないかと思っております。
○紙智子君 先ほどの質問に対しての答えがなかなかちょっと要領を得ていないというか。
 私が聞いたのは、阪神・淡路大震災のときの教訓をどういうふうに生かせたのかということが検証されたのですかというふうにお聞きしたんですよ。どういうふうに検証しているのかということが一つと。実際にやっぱりいろんな技術だとか継承していかなきゃいけないと。本来でいえば、本当に経験の中でつかんで、そういう能力も含めて持っている人がいたんだけれども、どんどん減ってしまってもう半分以下ぐらいになってきていると思うんですけれども、そういう中で、そういう技術の継承とかということも、なかなかこのままだったらできていかないんじゃないのかということが心配されているわけですよ。
 実際、だって現場に行ったって、今あれですよ、こういう水道だけじゃないですけれども、役所にいろんなことが集中するけれども、でも実際、専門家の人がいないから、いろんな専門家を探して、そしてどうするかということで、二重の何か手間になってしまっていて時間も掛かるということが現にあるわけで、そういうことを考えたときに、こういう問題点をやっぱりどう考えるのかということが必要なんじゃないですかということでお聞きしたんですよね。
○会長(藤原正司君) 紙さん、国交省でよろしいでしょうか。
○紙智子君 先ほど聞いたのは厚生労働省と総務省だったんですけれども。
○政府参考人(高島泉君) 先ほど申し上げましたけれども、阪神・淡路大震災のときには全国の水道事業者によって広域応援ネットワークを立ち上げまして、それが非常に被災地への復興に役に立ったという経験がございます。これは、数的にどのように検証したかという、数量的にというのはちょっと今持ち合わせていないんですけれども、非常に効果を上げたという、そういった経験の下に、今回、東日本震災が起きた際に、これは民間も含めてネットワークづくり、応援のためのネットワークを各自治体でつくりまして、いち早く水道供給施設の復活のためにみんなで協力したという実績を上げたというふうに考えています。
 それから……
○紙智子君 十分だったと。
○政府参考人(高島泉君) まあ、どこまでが十分か分かりませんけれども、基本的に一番生活に必要な基礎的な水を供給するという意味では、いち早く関係者が集まって供給ができたのではないかと思っております。全ての地域ということではないですけれども、立ち上がりは早かったと、こういうふうに思っています。
 それから、技術の継承ですが、やはり人が少なくなっていく中で、やはり事業体である市町村の職員だけでなかなか技術を継承していくのは難しくなっていますので、先ほど申しましたように、いろんな面で、保守点検だとか、それから料金徴収で、今はもう官と民が一緒になって事業を進めていくような形になっています。そういった意味で、その技術の継承についても広域ブロック化しながら、それから民間と一緒に連携をしながら、技術というものが継承されて将来の水道経営がしっかりできるように、こういうふうに考えているところであります。そのための研修なり訓練といったものもやっているところでございます。
○政府参考人(村中健一君) 今、厚労省さんがお答えになったとおりでございます。
○紙智子君 一言言わせてもらうと、総務委員会で去年議論になったときに、大臣は、やっぱり継承していくというのは、機械や何かは、マニュアルがあればそれで済むというわけじゃなくて、機械はあれだけれども、だけど人のものというのはそう簡単ではないから、そこはもっと重視してやらなきゃいけないという答弁しているわけですよね。その辺のところはちょっと、お話を聞いていると少し認識が違うなと思って聞いていたんですけれども、まあいいです。