<第180回国会 2012年6月19日 農林水産委員会>


TPP問題、福島米全袋検査問題、諫早干拓問題

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 郡司農水大臣に、まずはTPPの問題から質問したいと思います。
 今、G20で野田総理が参加をしているわけですけれども、今日、昼の速報で、野田総理と米国のオバマ大統領は日本のTPP参加に向けた協議を進展させることを確認したというのが入ってきているわけです。それで、参加表明を見送ったって、これは当たり前だと思うんですけれども、結局は、引き続きこの参加の方針というのは変わったわけじゃないということです。やっぱり、このこと自体がどれだけ多くの農民や国民に対して不安をかき立てているかということを真剣に考えるべきだと思うんです。
 農業団体からは毎日のように参加を断念すべきであるということで要請が来ておりますし、先週は北海道の根室、釧路地域の酪農の青年部の皆さんがはるばる飛んできて、議員会館の前で座込みをやりました。そのときに、やっぱりいいかげんに断念すべきだと、それができないんだったら早く国会を解散してほしいという声も出ているということだったわけです。これは農民だけじゃなくて消費者団体もそうですし、医療関係者、建設関係者からも懸念が示されているわけです。
 郡司大臣は五日の閣議後の会見で、TPPについて、日本の国益になると考えるのは難しいということを述べられました。国益にならないということが分かっている以上、これはもう事前協議から離脱すべきだと、これを野田総理に対して提言すべきではありませんか。
○国務大臣(郡司彰君)  五日の日に会見をしたことに触れられておりますけれども、私は国益にかなうという判断がまだできていないという発言をいたしました。そして、先ほど来からのやり取りの中にもございましたけれども、私は農林水産大臣として任命を受けましたので、農林水産の視点から見ればなかなか厳しい状況であるということは、これは常に申し上げているところであります。しかし、二十一分野のそれぞれについて今いろんな意味での情報の開示、あるいは国民的な議論ということもされている段階でございますので、なお今その状況を見守るというのが、これは私ども党としてもそうでありますし、内閣の一員としてもそのように考えているところでございます。
 それから、今日のニュースのことがちょっと触れられましたけれども、大変恐縮でございます、まだ確認をしておりませんので、また確認をしてからにしたいというふうに思いますけれども、これまでの、十一月の段階の交渉参加に向けた情報収集、そして情報開示、国民的議論、この範囲の中から逸脱をしているかどうかということについては、私は今のところちょっとまだ確認をできておりません。
○紙智子君 農業分野のことは農水大臣として発言するけれどもほかの二十一分野については見守るという話なんですけれども、そこで、ちょっとこの間の事前協議をめぐっての認識を伺いたいと思うんです。
 九か国との事前協議を経て、TPPの危険性が浮き彫りになっているというふうに思うわけです。一つは、農産物を含む全ての関税を撤廃するということが原則だと、改めてこれ、関係各国から日本に対して念押しされているということなんですよね。
 それで、重要品目に配慮という言葉をよく使われてきているんですけれども、この重要品目に配慮という中身も、関税ゼロの期間を、即時やるかそれとも何年か掛けてやるかというその範囲の話であって、関税撤廃そのものには例外はないということですよ。だから、米とかその他の重要品目というのは対象から外れるわけではないし、例外が認められるかのような幻想を与えるような議論はもうやめるべきじゃないかと、この点での大臣の認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(郡司彰君) 九か国から原則関税をなくしていこうと、こういうような話がされているということも承っております。一方で、この参加国同士の話合いに私たちの国はもちろん入っていないわけでありますけれども、そこにおいてどれほどの開示がなされているかということについてもまだ確たるものがつかめていないというジレンマも一方でございます。
 それから、重要品目その他のことについて、私自身はそのことについては一切言及をしておりません。関税が全てなくなるということになれば相当厳しい状況が考えられる、これは農林水産のことに関して言えばそのようなことだということの発言をしておりますが、実際にその重要品目が、例えばカナダの供給管理のシステムでありますとか、あるいはアメリカにおきましても乳製品とか砂糖とか今あるではないかと、こういうような、絡めていろんなところの話はお聞きをいたしますけれども、そのことを実際にどこできちんと話合いがされているとか、こういうことについての確証は私自身はまだつかんでおりません。
○紙智子君 つかんでいない、情報が開示されていないという話があるんですけれども、先日、四月十日ですかね、青森で説明会がやられたときに、政府の説明の中で言っているんですよ。重要品目、例えば米や牛肉、水産物、いろいろあって、重要品目であれば除外するという考え方でこれまではやってきたわけだけれども、どうやらTPPの参加国の考え方は、重要品目、センシティブ品目があるのは分かるが、それは基本的には撤廃期間を長く取れば大丈夫である、十年か十五年か分からないが、その期間を長く取ることでセンシティブ品目は配慮できるんじゃないかというのが基本的な考え方なんだと言って説明しているんですよ。
 だから、政府が、直接その交渉に当たっていた人がそういう感触でもって説明しているというわけですから、これはもう本当にそういう認識で見ないといけないということじゃないでしょうか。
○国務大臣(郡司彰君) その場所にいませんでしたから、雰囲気も含めてはっきりしたことは言えませんが、私はそれほど甘い形の判断をするべき段階にも来ていないというふうに思っております。したがって、九か国が原則撤廃をするという方向だとすれば、それは日本の農林水産業にとっては厳しい状況だという認識でこれからも対処していくというつもりでございます。
○紙智子君 もう一つお聞きしますけれども、米国のルールを我が国に押し付ける可能性もますます明確になっているということなんですよね。牛肉の検査基準の緩和という問題や食品添加物の表示、それから遺伝子組換えの表示をやめなさいという話ですとか、あと医薬品や医療機器の価格も維持する仕組みをやりなさいということですとか、あと米国の保険サービス業界ですね、こういうところの競争の条件確保のためにいろいろ意見を言っているわけです。
 そういう形で日本に対する要求が突き付けられていて、これを受けなければやっぱり参加させないということになるんであれば、これはもう日本の国益にならないというふうに思うわけですけれども、そういう要求に対してはやっぱりこたえられませんよ、日本の不利益になることはこたえられませんよということをはっきりと意思表示すべきだと思うんですけれども、これについて、大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(郡司彰君) そこのところの議論というのは非常に難しい議論をされているかというふうに思います。
 TPPの前段で話をされているというようなことが一方であります。それから、TPP本体の議論としてどれが、何を議論をされているんだ、この辺のところをどのように区別をしていくんだろうか、そこのところを私どもの国自体がどういうふうに理解をしていくんだろうかというのは、これからまだ議論をしなければいけないところ。しかし、不可分に結び付いているだろうという認識を持つ場合が多いわけでありまして、まさにそこのところの懸念というものが払拭するということには全部、全てについてなっていないという認識がありますから、そこのところについてはこれからもまたきちんとこれまでの情報収集、国民的な議論というものを進めていかなければいけない、そのように思っております。
○紙智子君 ですから、政府としては、野田総理自身がちゃんと情報を国民に開示して十分な国民的な議論を経て結論を求めていくというふうに言いながら、なかなか開示されないというか、情報がよく分からないまま、この国会においても国会議員自身がそのことがよく見えないと、こういう状況が続いているということ自体、大変問題だというふうに思うわけですよ。
 去年は、政府は今参加しなければルール作りに間に合わないんだというふうに言って、早くだから参加しなきゃいけないというふうに国民をあおっていたわけですけれども、既にこれルール作りには参加できないということも明らかになっているわけで、これから参加して、どれだけ日本の意見が取り入れられるかということも定かじゃないわけですよ。
 これ、日本と日本国民にとって食の安全、安心ということについては、非常に脅かす危険性があるということですし、医療でも命を脅かす危険が伴われると、そういうTPPについて、やっぱり事前交渉から離脱する決断をするべきだというふうに思うんですよ。
 前の鹿野農水大臣も、いろいろここで何回もやり取りしているわけですけれども、事前協議の結果、国益にならないのであれば離脱の道の選択もあるんだと、私はそう思うというふうに述べられていたわけです。ですから、今こそ、情報がまだ十分じゃない十分じゃないって言いながら、それでも明らかになっていることだけ見てもはっきりしていると思うんですよ。やっぱり離脱を判断すべきなんじゃありませんか。
○国務大臣(郡司彰君) 鹿野大臣がおっしゃっていたことと相違をするというつもりはありません。しかるべく、国益にかなう、かなわない、農林水産業としてはどうだというようなことを含めて、しっかりした議論の上にそうした判断をする時期はいずれ来るものだろうというふうに思っております。
 原則と現実ということも若干違いがあるやもしれません。例えば、WTOそのものも、これは原則関税はなくしていこうというところから、しかしながら、それぞれ現在のところは各国のセンシティブな品目については尊重しながらやっていこうというようなことになっているわけでありまして、まだ私どものこの交渉に関しての十分な判断をするものが全て備わっているということにはなっていないというふうに理解をしております。
○紙智子君 TPPをめぐっては、全国知事会それから市町村会なども拙速な対応については批判もし、やっぱり本当にこの政府の対応については厳しく言っていますよね。自治体の意見書も八割超えていますし、今はどんどんそれが広がっていまして、例えばオール北海道とか、それからオール沖縄、オール滋賀、オール宮崎という形で、もう県ぐるみの取組になっているわけです。
 それで、北海道では、経済がやっぱり一次産業に依拠して製造業も含めて関連産業が成り立っているということも深く認識されていまして、ですから、北海道経済全体に与える影響も非常に大きいんだと。一次産業が倒れてしまったら、もう全体が成り立たないということで、北海道の経済連も、道経連ですね、道経連もそうだし、先日お話ししたんですけれども、北海道の商工会議所ですね、この商工会議所もTPP参加についてはすべきでないと。多分大臣のところにも要請が来ているんじゃないかと思うんですけれども。
 こういう声にこたえて、やっぱり本当に参加断念を総理に対して行っていただきたいということをちょっと重ねて要求をしておきたいと思います。
 それから、次に行きますけれども、原発事故による放射能汚染への対応をめぐる国の責任についてです。
 それで、原発事故から一年三か月が過ぎたわけですけれども、この放射能汚染による打撃は本当に深刻で、先日、私、福島県に行きました。JAにお邪魔をしていろいろ実情を聞いたんですけれども、今、米の全袋検査を行うということで準備をしているわけです。
 放射能汚染の新基準ということができましたけれども、二十三年度産の米の数値で五百ベクレル以上あったところは、これ、作付け制限をするということですよね。それから、百ベクレル以上で五百ベクレル以下の地域については市町村を単位として政府が作付け制限をやるんだけれども、基準値を超えた米が流通しないということを前提にして作付けを認めるということにしているわけです。ただし、その作付けする際の条件が幾つか課せられていると。
 なぜ条件付で認めることになったのかということについて、まずお答え願います。
○国務大臣(郡司彰君) 紙委員も福島の方においでになったということでございますから、実情を御存じのことだろうというふうに思っております。昨年も、残念ながら超過をするようなお米が出ました。そのことによって福島全体が非常な打撃を受けたということも事実でございます。
 今回、そのような中で、しかしながら、やはり生産ということに関して取り組んでいきたいんだと、しかしそれは、調べた結果流通させないということも含めてしっかりその辺のところをやるから、何とか生産活動に取り組むということを止めないでほしいと、こういうようなやり取りの中で地区を限定をし、全袋検査、しかしその部分については、昨年出たところについては流通させない等々の条件を付けて作付けを認めたというような形で伺っております。
○紙智子君 それで、そういうふうに希望を出した農家の皆さんの思いというのは何かというと、やっぱり耕作をやめちゃうと、結局一年たったらもう草ぼうぼうですよね。そうすると、土地が荒れてしまって、もう放置しておけば簡単には元に戻らないということがあるものですから、将来再開するときを考えて、それで手入れをしておきたいと、こういう思いなわけですよね。これは、裏を返せば、いずれまたやるんだという意欲の表れでもあるわけですよ。
 そういう思いのときに、この農水省の対応というのは、作ることは認める代わりに以下の条件をクリアしなければならないという形で、一つは反転耕ですね、土をひっくり返して耕していくということだと思うんですけれども、あと、深く耕す、それから、土壌条件に応じたカリウム肥料や土地改良材の投入によって除染、吸収抑制対策をすると。それから、台帳を作って、誰がどの水田で、いつ収穫や乾燥調製をするのか台帳で管理する。それから、収穫後の飯米、縁故米を含めて全袋調査をすると。六項目でこの条件を課したわけです。
 それで、地域ごとには協議会がつくられて、今、検査機の配分も決まったんですけれども、いざやろうとなると、これ検査機を置く場所どうするんだと。どこらじゅうでやれるわけじゃなくて、やっぱり外と遮断して、検査機そのものが正確な数値になるようにしなきゃいけないわけだから、やっぱり屋内でちゃんとやらなきゃいけないと。それから、そこに運ぶための運送費だとかどうするのか。それから、持っていったときにはやっぱり駐車場も必要だし、そこに持っていった米を保管する場所も必要だということについてどうするんだという話。それから、実際にコンピューターと機械とを結んで数値をやりながらそれを管理する、その人はどうするのかとか、こういったことなどを含めて、人件費も含めてですけれども、誰が担うのかと。これはちゃんと明らかに詰まってなかったわけですよね。それで、いざやるとなったけれども、これはもう大変なことだと。
 そこまで補償されるのかどうかということで議論になっているわけですけれども、この点、農水省はどういうふうに把握して、どのような国としての責任を果たそうとしているんでしょうか。
○国務大臣(郡司彰君) 基本的に、例えば百五十の機器をそろえるということについては、これまでの県の方にお渡しをした形になっているところから支出をしていこうということについては決まっております。どこに設置をするんだ、どうやって運んでいくんだ、誰がそれをやるんだということについては、今おっしゃいましたように、相談をしているところでございます。ならばその費用はということになれば、これはもう原則的な話で恐縮でございますけれども、掛かった費用を算出をし、東電の方に請求をして損害賠償を受けると、こういうような流れになるんだろうというふうに思っております。
 ただ、流れはそのようでありましても、その一つ一つの過程におきまして農林水産省が間に入る形で、場所の選定、人の配置、それから損害賠償の手続等に対する助言等を行っていくと、そのように考えているところでございます。
○紙智子君 検査機の費用も含めて国が必要なものは負担すると言うんだけれども、現場に行ったらなっていないんですよ、そういうふうには。具体的に今話が進んでいて、例えば一つの事務運営費についてはこれだけ出しますよとか、機械一台分についてはこれだけ出しますよとかという話になっていっているんですよ、今。ところが、よくよく聞くと、例えば機械も五つぐらいのメーカーがあって自由に選べるというんだけれども、機械も値段が違うんですよね。そうすると、今付けようとしている予算が、実際には一番安い方のところにシフトして計算がされているんじゃないかと。だから、本当に全部含めて必要なところに行き着かないんじゃないかという声も出ているわけです。
 人件費は今、原則ということで東電に賠償を求めると言ったんですけれども、これも、いや、また、そしたら賠償求めたらどれだけ時間掛かるんだと、いつまでたっても出てこないんじゃないのかという話があって、その場合に、やっぱり東電に賠償を求めるのは当然なんですけれども、出るまでの間は国がちゃんと仮払いでやるとかいうようなことまで言わないと、これははっきりしないんですね。その点はどうですか。
○国務大臣(郡司彰君) 県の方も随分と頭を悩ましながらその実行策について今検討をされているというふうに伺っております。私どももただ傍観をするという立場ではございませんから、もちろん技術的な除染の問題も、先ほど、天地返しやその他のことも含めて行いますけれども、今のような事務作業につきましても、県の方と遺漏なく相談をしながらこれから進めていくというつもりでございます。
○紙智子君 国は、いや、その分、立て替えてもちゃんと面倒見るよということまでちゃんと言ってくださらないと。これ、もう一回ちょっと。
○国務大臣(郡司彰君) それは、何というんでしょう、第三者の委員会が、中間指針に入っていないというものがこれからも出てまいります。その都度やはりそれをどのように位置付けるかということをまずきちんとやりませんと、仮払いをして、その後どうするんだという、やはり見通しを持った中できちんと行うということが国の責任だろうと思っておりますので、今のような形の中で、きちんと国の方として対応してまいりたいと思います。
○紙智子君 これ元々は、この原発事故が起きなければこんなことをやらなくて済んだわけですよね、起きなければ。それが結局、東電とそれから原発を推進してきた政府の責任でこういうことになったわけで、やっぱり福島ブランドを何とか持っていこうというふうに、安全性をしっかり示そうということで、例えば百ベクレル以下でも検査しよう、自主的に検査しようということで始めているわけですよ。それで全袋検査ということにもなったわけですけれども、結局、こういう形で進めていることも現地では自主検査に扱われているわけですよね。結局、厚生労働省のホームページに、自主検査となると、そういう結果についても出ないことになるわけですよ。これは非常に問題だと思うんです。
 元々の原因はどこだったのかということを考えれば、やっぱりちゃんと責任を持って国が対応しなきゃならないわけで、生産者に負担が掛からないようにというように言っても、現実にはこういう形で持ち出しになっているわけです。だから、本当は全量国が買い上げて、国の責任で検査をするし、売れるものは売って、売れないものは処分するというのが、そこまでやるべきだというのが声だったわけですよ。ところが、現実には、市町村やJAや生産者がやらなきゃならない作業が膨大に増えて、負担も重くなっていると。
 だから、やっぱり検査は、食品衛生法ですか、で言うと、検査は国が基準を作って、都道府県が検査して監督するということになっているわけだけれども、自主検査ですから勝手にやってくださいということではないと思うんですよ。そこはちゃんと法律に基づく検査に位置付けるべきだし、高い濃度で汚染が広がっていて、本当に県がといってももう賄い切れないという状況があるわけですから、これは福島県任せにするんじゃなくて、国がちゃんと責任を持ってかかわってやるべきだというふうに思うんですよ。
 この点いかがですか。これ、厚生労働省にお願いします。
○大臣政務官(藤田一枝君) 委員の方から今御指摘をいただきました点、しっかり受け止めさせていただきたいと思いますが、現在、福島県が実施する二十四年産米の検査については、先ほど来御答弁もございましたけれども、福島県と農林水産省の間で県の管理の下で検査を行う方向で調整を進めていると承知をしております。
 その上で、厚生労働省としては、今後、福島県から提出される原子力災害対策特別措置法に基づく管理計画や検査計画の内容に基づいて、県の管理の下での公的な検査と位置付けるかどうかということを判断してまいりたいと、このように今考えているところでございます。
○紙智子君 最後、もう一問になりますけれども、諫早干拓の問題についてお聞きします。
 午前中、福岡議員が質問されていて、私、大体同感しながら聞いていたんですけれども、この事業については、福岡高裁の判決で来年十二月までに開門することが義務付けられているわけです。しかし、これ十二月ぎりぎりに開ければいいということでは決してなくて、さっきもありましたけれども、ノリですとか漁業のサイクルを考えれば、いつまでに何をどうするかということは示す必要があるわけですね。
 それで、郡司農水大臣もかつて座長ということでよく習知されているわけですけれども、やっぱり福岡判決の、この裁判に勝利をした側の原告団と前の農水大臣も会われましたけれども、是非、新たに大臣になった今、いち早く原告団と会って直接話合いをしてほしいと思うんですよ。その上で、開門の工程表については官僚任せにせずにできるだけ早く出すべきだと、いつ出されるのかと、この二つのことについてお答え願います。
○国務大臣(郡司彰君) 工程表については、しかるべき時期に出さなければいけない。じゃ、その時期はどうだということになれば、やはりこれまでの私自身の、間を置いたこともございますけれども、関係する方とやはり胸襟を開いて話合いができる関係をまずつくらせていただきたいと思います。その上におきまして、何というんでしょう、お互いが十分に納得まではいかなくても、少なくても認め合うような中で工程表を出せるように努力をしていきたい、そのように思っているところでございます。
 それから、誰に会う会わないということについて特別のことを考えているわけではございません。ただやはり、先ほど言いましたように、痛みを被る方ができるだけ多く、私は早く多く会うべきだろうというふうに思っておりまして、そのような判断だけを持ちながらいろいろな方とお話を伺いたい、そのように思っているところでございます。
○紙智子君 痛みを被る方が……
○委員長(小川勝也君) 時間超過しております。
○紙智子君 というふうにおっしゃいましたけれども、これ、勝訴した側の権利者は……
○委員長(小川勝也君) 時間超過しております。
○紙智子君 干拓事業でのしわ寄せで被害者なわけですから、そこは逆にならないようによろしくお願いします。
 終わります。